2010-12-27

シルヴァーマン 「はじめての数論」第3版 第37章練習問題3

37.14
(a)
p
N(p)
2
3
5
7
11
13
17
19
23
29
31
37
41
43
47
53
59
61
67
71
73
79
83
89
97
3
8
20
16
10
28
36
18
48
14
30
76
40
88
32
108
58
60
136
70
148
78
168
44
196

(b)
p=5の場合のみ、p|N(p)

(c)(d)
p≠5ならN(p)|p2-1
p≡±1 (mod 5)ならN(p)|p-1
p≡±2 (mod 5)ならN(p)|2p+2
証明がRenault (1996)の修士論文(定理3.11~3.13)にある。

37.15
(a)
F32-F12=3=F4
F42-F22=8=F6
F52-F32=21=F8
F62-F42=55=F10
F72-F52=144=F12
F82-F62=377=F14

Fm+n=Fm-1Fn+FmFn+1, とくにF2n=Fn-1Fn+FnFn+1=Fn+12-Fn-12
∵) mを固定してnについての数学的帰納法で証明する。
n=1のときFm+1=Fm-1+Fmなので成り立つ。
n=2のときFm+2=Fm-1+2Fm=Fm+1+Fmなので成り立つ。
n-1以下で成り立つとし、nのときは
Fm+n=Fm+n-1+Fm+n-2=Fm-1(Fn-1+Fn-2)+ Fm(Fn+Fn-1)=Fm-1Fn+FmFn+1
なのでnでも成り立つ。
m=nのときはF2n=Fn-1Fn+FnFn+1=Fn(Fn+1+Fn-1)=(Fn+1-Fn-1)(Fn+1+Fn-1)=Fn+12-Fn-12

(b)
問題文は誤植で、Fn+13+Fn3-Fn-13が正しい。
F33+F23-F13=8=F6
F43+F33-F23=34=F9
F53+F43-F33=144=F12
F63+F53-F43=610=F15

Fn+13+Fn3-Fn-13=F3n
∵) F3n=Fn+2n=Fn-1F2n+ FnF2n+1=Fn-1(Fn+12-Fn-12)+ Fn(Fn-1Fn+1+FnFn+1+Fn2)
=Fn+1(Fn-1+Fn)2+Fn3-Fn-13=Fn+13+Fn3-Fn-13

(c)
F3F1-F22=1
F4F2-F32=-1
F5F3-F42=1
F6F4-F52=-1

練習問題37.11で証明したCassiniの恒等式Fn+1Fn1Fn2=(1)nである。

(d)
4F3F2+F12=9=F42
4F4F3+F22=25=F52
4F5F4+F32=64=F62

4FnFn-1+Fn-22=Fn+12
∵) 4FnFn-1+Fn-22=4Fn-12+4Fn-1Fn-2+Fn-22=(2Fn-1+Fn-2)2=Fn+12

(e)
F54-4F44-19F34-4F24+F14=-6
F64-4F54-19F44-4F34+F24=-6
F74-4F64-19F54-4F44+F34=-6
F84-4F74-19F64-4F54+F44=-6

Fn+44-4Fn+34-19Fn+24-4Fn+14+Fn4=-6
∵) (a)(c)の公式を上手く使っていくのだと思うが、
ややこしくてうまくいかん・・・。

シルヴァーマン 「はじめての数論」第3版 第37章練習問題2

37.9
連続する2つの整数の対(r, r+1)(s, s+1)に対し(s>r)
(Fr, Fr+1)(Fs, Fs+1)とが一致すれば、rからsまでの列が、
sからもう一度繰り返される。

Fj (mod m)の値lの選択は0l m-1m通りなので、
(Fj, Fj+1)の対は多くともm2種類しかない。
したがって、1i m2 +1としてm2+1個の対(Fi, Fi+1)を考えれば、
鳩の巣原理により、mを法として合同な対の組(Fr, Fr+1),(Fs, Fs+1)
(1r<sm2 +1)が少なくとも一組ある。
したがって、mを法としたFibonacci数は、m2+1番目までに繰り返しが現れる。

いまr>1, N=s-rとすると、Fr-1=Fr+1-FrFs+1-Fs= Fs-1=Fr-1+N (mod m)だから、
mod mFr-1も周期Nで繰り返される。以下適当に繰り返せば、
F1mod m周期Nで繰り返されることがわかる。
したがってmod mF1からの数列が繰り返される。

37.10
(a)
FN=0, FN-1=1

(b)
FN, FN-1,..., F1mod mで逆順に書き、-m~-1に合同になるようにして負号を省略すると
m=2: 211
m=3: 32113122
m=4: 431233
m=5: 54133532115142252344
m=6: 651431253211615235413455
という並びになる。mod m
FN≡-m, FN-1≡-m+1, FN-2≡-1, FN-3≡-m+2, FN-4≡-3となる模様。

(c)
FN+1F1=1≡-m+1, FN+2F2=1≡-m+1 (mod m)だから、
FN= FN+2-FN+1=0≡-m (mod m)
FN-1FN+1-FN≡1≡-m+1(mod m)
FN-2FN-FN-1≡-1 (mod m)
FN-3FN-1-FN-2≡-m+2 (mod m) (m=2なら-2),
FN-4FN-2-FN-3m-3≡-3 (mod m) (m=2なら-1),

37.11
以下の証明は英語版ウィキペのPisano周期
mを法としたFibonacci数列の周期のこと)の項を参考にしている。
名前は「ピサのレオナルド(Leonardo Pisano)=Fibonacciに由来するらしい。

まず以下の補題を証明する。
補題(Cassiniの恒等式):Fn+1Fn1Fn2=(1)n
∵) 数学的帰納法で証明する。n=2に対してF3F1-F22=1=(-1)2で正しい。
n-1で正しい、つまりFnFn2-Fn12=(-1)n-1と仮定すると、nでは
Fn+1Fn1Fn2=(2Fn1+Fn2) Fn1-(Fn1+Fn2)2=Fn12-Fn2(Fn1+Fn2)=Fn12-Fn2Fn=(-1)n
となるので、nでも正しいから、Cassiniの恒等式が全てのn≥2で成り立つ。

Cassiniの恒等式により、FN(m)+1FN(m)1FN(m)2=(-1)N(m)
練習問題37.10(c)からFN(m)+1FN(m)-1≡1 (mod m), FN(m)≡0 (mod m)なので、
1≡(-1)N(m) (mod m)を得る。これよりm≥3ではN(m)は偶数
(m=2では1≡-1 (mod 2)だから奇数でもよい)

37.12
(a)(b)
gcd(m1, m2)=1のとき、
N(m1m2)=LCM(N(m1),N(m2))= N(m1)N(m2)/gcd(N(m1),N(m2))の模様。

(c)
N(5184)=N(26·34)=N(64)N(81)/gcd(N(61), N(81))=864,
N(6887)=N(71·97)=N(71)N(97)/gcd(N(71), N(97))=980


(d)
以下の証明はRenault (1996)の修士論文を参考にしている。

Fi+N(m1m2)Fia (mod m1m2), 0a<m1m2とすれば、
Fi =a+m1m2r, Fi+N(m1m2)=a+m1m2s (r,s≥0)おける。
aa' (mod m1)とすると、a=a'+m1t (0a'<m1)として、
Fi+N(m1m2)=a'+m1(m2s+t)≡a'+m1(m2r+t)≡Fi (mod m1)となる。
すなわちN(m1m2)mod m1でもFibonacci列の周期となるので、N(m1)|N(m1m2)
同様にN(m2)|N(m1m2)なので、N(m1m2)N(m1), N(m2)の公倍数だから、
LCM(N(m1), N(m2))|N(m1m2) (1)

一方、N(m1)|LCM(N(m1), N(m2)), N(m2)|LCM(N(m1), N(m2))より、
F1+LCM(N(m1), N(m2))F1 (mod m1)かつF1+LCM(N(m1), N(m2))F1 (mod m2)で、
しかもgcd(m1, m2)=1だから、定理11.2(中国の剰余定理)により、
F1+LCM(N(m1), N(m2))F1 (mod m1m2)。同様にF2+LCM(N(m1), N(m2))F2 (mod m1m2)となるので、
全てのiに対しFi+LCM(N(m1), N(m2))Fi (mod m1m2)
すなわちLCM(N(m1), N(m2))mod m1m2Fibonacci列の周期になるから、
N(m1m2)|LCM(N(m1), N(m2)) (2)

(1),(2)によりN(m1m2)=LCM(N(m1), N(m2))
Fibonacci数であることは本質的でなく、Lucas数などの一般化列でも成り立つ


37.13
(a)
N(2)=3, N(22)=6
N(3)=8, N(32)=24
N(5)=20, N(52)=100
N(7)=16, N(72)=112

(b)
N(p2)=pN(p)と予想される。

(c)
N(2)=3, N(22)=6, N(23)=12, N(24)=24, N(25)=48, N(26)=96
N(3)=8, N(32)=24, N(33)=72, N(34)=216
N(pn)=pn-1N(p)と予想される。

(d)
N(2209)=N(472)=47N(47)=1504
N(1024)=N(210)= 29N(2)=1536
N(729)=N(36)= 35N(3)=1944


(e)

数学的帰納法による証明がRenault (1996)の修士論文
(p=2について定理3.5, p≥3について定理3.8)にあるが少し長く、
またFibonacci数の行列表現なども説明しなければならないが、
それを記すにはこの余白は小さすぎる。

未解決問題として「全ての素数pと、t>1に対しN(pt)> N(p)」が、
証明も反証もされていないらしい。