2011-06-02

コックス「ガロワ理論」 4.4節の演習問題


演習問題1
オーバーラインのタグはないので、代数的数の体をで表す。
(a)
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)により、pを素数として、
4.3.4f=xn+px+pは任意のnについて上既約。
は定理3.2.4により代数的閉で、
f[x][x]からf上代数的な根αをもつから、
4.4.6の定義によりαn
fは単多項式なので命題4.1.5によりαn上の最小多項式である。
L=(αn)とすれば、αnを含む体なので、
補題4.1.9によりL の部分体で、命題4.3.4により[L:]=deg(f)=nとなる。

(b)
[:]=m<∞と仮定する。
の定義と補題4.1.3により、任意のαに対し
ある上の既約多項式g[x]が一意に存在して、
α上の最小多項式となり、常にdeg(g)mとなる。
一方、任意のnに対し(a)f[x]上既約だから、
fの根αnについてdeg(f)=n>mとなる最小多項式f
常に存在することになり、deg(f)mと矛盾。
したがって[:]=∞。

演習問題2
(a)
x2-2上既約なので、[(√2):]=2
√5x2-5(√2)[x]の根だから、補題4.1.3により、
(√2)上の√5の最小多項式の次数は高々2次である。
したがって[(√2,√5):(√2)]2
同様に、[(√2,√5, 12):(√2,√5)]4, [(√2,√5, 12,i):(√2,√5, 12)]≤2,
[(√2,√5, 12,i,171/5):(√2,√5, 12,i)]≤5, [L:(√2,√5, 12,i,171/5)]≤11
となるので、4.3節演習問題7により、
[L:]2·2·4·2·5·11=1760

(b)
拡大L(a)により有限次拡大で、αLなので、
補題4.4.2(b)によりα上の最小多項式の次数をdとしてd|1760
したがって、d≤1760

演習問題3
(a)
α上の最小多項式p[x]が整数係数なら、p[x]だからαは代数的整数。
逆にαが代数的整数すなわち[x]の単多項式fの根とする。
f[x]だから、補題4.1.3により上での最小多項式p[x]と、
q[x]が存在してf=pq, p(α)=0。すると定理A.3.2Gaussの補題)により、
あるδp,q[x]が存在してp=δp, q=δ-1q, f=pq, p(α)=0
f,pは単多項式だから、δ=1なのでp=p[x]となる。
したがってα上の最小多項式は整数係数。

(b)
ω/2上の最小多項式はx2+x/2+1/4なので整数係数でないから、
(a)によりω/2は代数的整数でない。

演習問題4
任意のαLに対し、F(α)Lで、命題4.3.4によりm=[F(α):F]とすれば
(4.10)式のようにa0+a1α+...+amαm=0が成り立つような、
全てが0になることはないa0,...,amが存在するので、
αm次多項式a0+a1x+...+amxmF[x]の根。
命題4.3.8(塔定理)によりn=[L:F]=[L:F(α)][F(α):F]=m[L:F(α)]だから、
mnである。
したがって、任意のαLF[x]0でない多項式の根。

演習問題5
α=π+e, β=π-eのどちらも上代数的とすると、
命題4.4.4により(α+β)/2=π, (α-β)/2=e上代数的となるので、
Hermiteの定理、Lindemannの定理に反する。
したがって、α βのうち少なくともひとつは超越的である。

演習問題6
F上代数的な、Fの元でないfF(x)が存在したと仮定すると、
定義4.1.1によりある定数でない多項式gF[x]が存在して、
g(f(x))=0が任意のxFについて成り立つ。

f=p/q (p,qF[x], p,qは互いに素)g=anxn+...+a1x+a0とすると、
0=an(p/q)n+...+a1(p/q)+a0よりanpn=-q(an--1pn-1 +...+a1pqn-2+a0qn-1)
したがってqpnを割る。系A.5.7によりF[x]UFDだから、
qF[x]の素元である既約多項式の積として一意に因数分解できる。
するとqの素因数の各々がpnを割るから、すべてのqの素因数はpを割る。
これはqpを割ることを意味するので、p,qが互いに素であるためには、
qF[x]の単数、すなわちqFでなければならないので、fF[x]

fF[x]に対しg(f(x))=anfn+...+a1f+a0=0が任意のxについて成り立つから、
an=...=a0=0なので、gは零多項式。これはgが定数でないことに反する。
以上により、F上代数的な、Fの元でないfF(x)は存在しない。

演習問題7
FLは代数拡大だから、補題4.1.3により任意のαLについて、
定数でない最小多項式pF[x]が存在して、
命題4.1.5によりF上既約である。
ところがFは代数的閉だから、任意のfF[x]F上完全分解するので、
F上既約な多項式は一次単多項式のみ。
故にp(x)=x-αF[x]となるからαF。したがってLFとなり、F=L

演習問題8
(a)
p=x2+1[x]L[x]とすれば、定理3.1.4により拡大LK
pK上完全分解するものが存在するから、
Kをそのようにとればpは根αKをもつ。

(b)
α上代数的で、p=x2+1が最小多項式だから、
命題4.3.4により[(α):]=2で、(α)の基底は1,αである。
また(α)は有限次拡大なので補題4.4.2により代数的である。
(α)L(α)は明らかに体拡大で、L(α)の任意の元は、
(一意ではないかもしれないが)l1+l2α (a,bL)と書ける。
Lは代数的だから、l1,l2上代数的なので、(α)上代数的。
α(α)上代数的だから、命題4.4.4によりl1+l2α(α)上代数的である。
したがって、(α)L(α)は代数的である。

写像φ: (α) (a+a+bi)は明らかに準同型で、
Ker(φ)=0だから、(α)

(c)
(α)は代数的閉体で、(b)により(α)L(α)は代数的だから、
演習問題7により(α)=L(α)となるので補題4.3.3により[L(α):(α)]=1
故に[L(α):]=[L(α):(α)][(α):]=2なので、
拡大LL(α)において[L(α):L][L:]=[L(α):]=2 (1)
したがって[L:]≤2となる。
L(α)だから、Lなら(1)において[L(α):L]=[:L]=1より[L:]=2
逆に[L:]=2なら(1)において2[:L]=2より[:L]=1だからL

演習問題9
演習問題3(a)により、αが代数的整数なら、
α上の最小多項式x-αは整数係数。したがってα
逆にαなら、α上の最小多項式x-αは整数係数だから、
演習問題3(a)により、αは代数的整数。

1 件のコメント :

  1. ありがとうございました。
    勉強を進めます。

    それでも、段々と難しくなってきます。
    解答が本当にありがたいです。

    ガロワ理論勉強中の読者より。

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