演習問題11
(a)
a,b∈ℤだから、4a2+c2=(b+2)2となるc∈ℚが存在すれば、
c2=(b+2)2-4a2∈ℤなのでc∈ℤ。例13.1.3により
Δ(f)=(4b-a2-8)2(b-2a+2)(b+2a+2)=(4b-a2-8)2[(b+2)2-4a2]=(4b-a2-8)2c2。
fはc2上既約なの命題5.3.7により分離的だから、
命題5.3.2によりΔ(f)≠0なので、c≠0。
(b)
演習問題9により2はθfの根なので、
定理13.1.1によりθfはℚ上可約。
Δ(f)=[(4b-a2-8)c]2∈ℤ2だから、
fが規約ならば定理13.1.1(b)によりθfはℚ上完全分解するので、
fの分解体をLとしてGal(L/ℚ)≃C2×C2。
32+42=52について、a=2,b=3,c=3である。
4b-a2-8=0なので、Δ(f)=0だからこの問題の状況に合致しない。
実際f=x4+2x3+3x2+2x+1=(x2+x+1)2でfは可約。
52+122=132について、a=6,b=11,c=5である。
4b-a2-8=0なので、Δ(f)=0だからこの問題の状況に合致しない。
実際f=x4+6x3+11x2+6x+1=(x2+3x+1)2でfは可約。
72+242=252について、a=12,b=7,c=23で、4b-a2-8=-124≠0である。
f=x4+12x3+7x2+12x+1はMaximaでℚ上因数分解できないので既約だから、
Gal(L/ℚ)≃C2×C2。
82+152=172について、a=4,b=15,c=15で、4b-a2-8=36≠0である。
f=x4+4x3+15x2+4x+1はMaximaでℚ上因数分解できないので既約だから、
Gal(L/ℚ)≃C2×C2。
演習問題12
(a)
θf=(x-β)hと書け、h∈F[x], deg(h)=2はF上規約。
hの根をα1, α2とすれば、F(α1)においてh=(x-α1)(x-α2)とhは完全分解するので、
E=F(α1)。hはα1のF上の最小多項式だから[E:F]=2。
h=x2-(α1+α2)x+α1α2∈F[x]だから、a1=α1+α2, a2=α1α2としてa1,a2∈Fである。
Δ(θf)=(β-α1)2(β-α2)2(α1-α2)2=[β2-(α1+α2)β+α1α2]2(α1-α2)2=(β2-a1β+a2)2(α1-α2)2において、
β∈Fなのでβ2-a1β+a2∈Fだから、α=α1-α2∈F(√(Δ(θf)))。
定理13.1.1の状況を考えているのでFの標数は2でないから、
α1=(a1+α)/2, α2=(a1-α)/2,なのでα1,α2∈F(√(Δ(θf)))となりE⊂F(√(Δ(θf)))。
Δ(θf) ∈Fだから√(Δ(θf))のF上の最小多項式の次数は2なので、
命題4.3.4により[F(√(Δ(θf))):F]=2。
F⊂E⊂F(√(Δ(θf)))に定理4.3.8(塔定理)を用いて
2=[F(√(Δ(θf))):F]= [F(√(Δ(θf))):E][E:F]=2[F(√(Δ(θf))):E]だから、
[F(√(Δ(θf))):E]=1となり、補題4.3.3によりF(√(Δ(θf)))=Eとなる。
(13.6)より√(Δ(θf))=√(Δ(f))だから、E=F(√(Δ(f)))。
(b)
g(x)の因子x2+c1x+c2-βの判別式はΔ1=4β+c12-4c2∈F、
x2-βx+c4の判別式はΔ2=β2-4c4∈Fで、
定理13.1.1の条件式に現れる因子と同じ。
G≃C4はg(x)がE=F(√(Δ(f)))上完全分解することと同値なので、
√Δ1, √Δ2がともにF(√(Δ(f)))の元であることと同値。
このとき [F(√(Δ(f))):F]=2によりあるu1,v1,u2,v2∈Fが存在して
√Δ1= u1+v1√(Δ(f)), √Δ2= u2+v2√(Δ(f))だから、
Δ1= u12+v12Δ(f)+2u1v1√(Δ(f)),
Δ2= u22+v22Δ(f)+2u2v2√(Δ(f)) 。
Δ(f)≠0, Δ(f)∉(F*)2だからΔ1, Δ2∈Fであるためにはu1v1=0かつu2v2=0。
問題が証明されるにはu1=u2=0らしいのだが、その理屈が分からない・・・。
演習問題15(a)がそれを示す問題だが、こちらも分からない・・・。
u1=u2=0ならば、√Δ1=v1√(Δ(f)), √Δ2=v2√(Δ(f))。
これより√(Δ1Δ(f))=v1Δ(f)∈Fだから、
v1≠0のときΔ1=4β+c12-4c2≠0, Δ1Δ(f) ∈(F*)2となる。
v1=0のときはΔ1=0なので、演習問題6(b)によりΔ2=β2-4c4≠0だからv2≠0。
√(Δ2Δ(f))=v2Δ(f)∈FなのでΔ1Δ(f) ∈(F*)2となる。
まとめると、√Δ1, √Δ2がともにF(√(Δ(f)))の元なら、
4β+c12-4c2≠0のときΔ(f)(4β+c12-4c2)∈(F*)2、
4β+c12-4c2=0のときΔ(f)(β2-4c4)∈(F*)2となり、
定理13.1.1(c)のG≃C4となる条件に一致する。
演習問題13
fは定理13.1.1(c)の仮定を満たすので、fの分解体をLとして
Gal(L/F)≃C4またはD8である。
fは分離的なので定理7.1.1によりF⊂LはGalois拡大だから、
定理7.1.5により|Gal(L/F)|=[L:F]。故に[L:F]=4または8。
またfはF上規約なので、αのF上の最小多項式だから[F(α):F]=deg(f)=4。
fがF(α)上完全分解することは、L= F(α)と同値だから、
|Gal(L/F)|=[F(α):F]=4と同値、したがってGal(L/F)≃C4と同値。
すなわち、fがF(α)上完全分解しないなら、Gal(L/F)≃D8。
演習問題14
各問の方程式の分解体をLとする。
(a)
f=x4+4x+2∈ℤ[x]として、p=2のSchönemann-Eisenstein判定法によりfはℚ上既約。
θfを演習問題8と同様に計算すると、θf=y3-8y-16。
y=±1,
±2, ±4,±8, ±16はθfの根でないから、命題A.3.1によりθfはℚ上既約。
Δ(f)=Res(f,f',x)=-28·19∉ℚ2だから定理13.1.1によりGal(L/ℚ)≃S4。
(b)
f=x4+8x+12∈ℤ[x]として、Maximaでℚ上因数分解できないのでfはℚ上既約。
θf=y3-48y-64はMaximaでℚ上因数分解できないのでθfはℚ上既約。
Δ(f)=Res(f,f',x)=212·34∈ℚ2だから定理13.1.1によりGal(L/ℚ)≃A4。
(c)
f=x4+1=Φ8∈ℤ[x]は定理9.1.9によりℚ上既約。
θf=y3-4y=y(y-2)(y+2)とℚ上完全分解するから、
定理13.1.1によりGal(L/ℚ)≃C2×C2。
(d)
f=x4+x3+x2+x+1=Φ5∈ℤ[x]は定理9.1.9によりℚ上既約。
θf=y3-y2-3y+2=(y-2)(y2+y+1)で、y2+y+1=Φ3(y)はℚ上既約だから、
θfはℚにただひとつの根β=2しか持たない。
Δ(f)=Res(f,f',x)=53、また定理13.1.1(c)において、c1=-1, c2=1なので、
4β+c12-4c2=5≠0かつΔ(f)(4β+c12-4c2)=54∈(ℚ*)2だから、
定理13.1.1によりGal(L/ℚ)≃C4。
(e)
f=x4-2∈ℤ[x]はℚに根を持たないので、命題4.2.6によりℚ上既約。
θf=y3+8y=y(y2+8)で、y2+8はℚに根を持たないので、
補題A.1.19によりℚ上既約だから、
θfはℚにただひとつの根β=0しか持たない。
Δ(f)=Res(f,f',x)=-211、また定理13.1.1(c)において、c1=0, c2=0, c4=-2なので、
4β+c12-4c2=0かつ、β2-4c4=8=23よりΔ(f)(β2-4c4)=214∉(ℚ*)2だから、
定理13.1.1によりGal(L/ℚ)≃D8。
演習問題15
(a)
4β+c12-4c2≠0 とする。β∈Fなので4β+c12-4c2∈F。
4β+c12-4c2∈(F*)2と仮定すると、
√(4β+c12-4c2)=α1+α2-α3-α4∈F*で、-c1=α1+α2+α3+α4∈Fだから、
√(4β+c12-4c2)-c1=2(α1+α2)∈Fとなり、Fの標数は2でないからα1+α2∈F。
これよりα3+α4∈F。
・・・だとなぜ4β+c12-4c2∈(F*)2が禁じられるかわからん・・・・。
一番困る問題はC4の作用なのだが・・・。
演習問題16
(12.17)において求値写像xi→αiを用いると、σj→cj, yk→βkである。
βkの1つ、例えばβ1∈Fなら、β2, β3の最小多項式はF上の高々2次の多項式だから、
u2, u3, v2, v3∈Fとしてβ2=u2+√v2, β3=u3+√v3となる。
したがって(12.17)はv1=4β1+c12-4c2∈Fとして
[c1±√v1±√(u2+√v2+c12-4c2) ±√(u3+√v3+c12-4c2)]/4と平方根のみで表現できるから、
これを根に持つF上の4次方程式の分解体をLとして、
[L:F]は2べきである。
fは規約だから[L:F]≥4で、[L:F]=|G|は|S4|=24を割るから、
|G|=4または8である。
演習問題17
(a)
<(12),(34)>と<(12)(34),(13)(24)>が共役と仮定すると、
あるτ∈S4が存在してτ(12)τ-1∈<(12)(34),(13)(24)>だが、
(12)は奇置換だからτ(12)τ-1も奇置換なので、
τ(12)τ-1は<(12)(34),(13)(24)>⊂A4の元ではありえず矛盾。
したがって<(12),(34)>と<(12)(34),(13)(24)>は共役でない。
(b)
fは規約だから命題6.3.7によりGは可移でなければならないが
例6.3.6で示されたように、<(12),(34)>は可移でないので定理に現れない。