2012-01-25

コックス「ガロワ理論」 13.1節の演習問題2


演習問題11
(a)
a,bだから、4a2+c2=(b+2)2となるcが存在すれば、
c2=(b+2)2-4a2なのでc。例13.1.3により
Δ(f)=(4b-a2-8)2(b-2a+2)(b+2a+2)=(4b-a2-8)2[(b+2)2-4a2]=(4b-a2-8)2c2
fc2上既約なの命題5.3.7により分離的だから、
命題5.3.2によりΔ(f)≠0なので、c≠0

(b)
演習問題9により2θfの根なので、
定理13.1.1によりθf上可約。
Δ(f)=[(4b-a2-8)c]22だから、
fが規約ならば定理13.1.1(b)によりθf上完全分解するので、
fの分解体をLとしてGal(L/)C2×C2

32+42=52について、a=2,b=3,c=3である。
4b-a2-8=0なので、Δ(f)=0だからこの問題の状況に合致しない。
実際f=x4+2x3+3x2+2x+1=(x2+x+1)2fは可約。

52+122=132について、a=6,b=11,c=5である。
4b-a2-8=0なので、Δ(f)=0だからこの問題の状況に合致しない。
実際f=x4+6x3+11x2+6x+1=(x2+3x+1)2fは可約。

72+242=252について、a=12,b=7,c=23で、4b-a2-8=-124≠0である。
f=x4+12x3+7x2+12x+1Maxima上因数分解できないので既約だから、
Gal(L/)C2×C2

82+152=172について、a=4,b=15,c=15で、4b-a2-8=36≠0である。

f=x4+4x3+15x2+4x+1Maxima上因数分解できないので既約だから、
Gal(L/)C2×C2

演習問題12
(a)
θf=(x-β)hと書け、hF[x], deg(h)=2F上規約。
hの根をα1, α2とすれば、F(α1)においてh=(x-α1)(x-α2)hは完全分解するので、
E=F(α1)hα1F上の最小多項式だから[E:F]=2

h=x2-(α1+α2)x+α1α2F[x]だから、a1=α1+α2, a2=α1α2としてa1,a2Fである。
Δ(θf)=(β-α1)2(β-α2)2(α1-α2)2=[β2-(α1+α2)β+α1α2]2(α1-α2)2=(β2-a1β+a2)2(α1-α2)2において、
βFなのでβ2-a1β+a2Fだから、α=α1-α2F(√(Δ(θf)))
定理13.1.1の状況を考えているのでFの標数は2でないから、
α1=(a1+α)/2, α2=(a1-α)/2,なのでα1,α2F(√(Δ(θf)))となりEF(√(Δ(θf)))

Δ(θf) Fだから√(Δ(θf))F上の最小多項式の次数は2なので、
命題4.3.4により[F(√(Δ(θf))):F]=2
FEF(√(Δ(θf)))に定理4.3.8(塔定理)を用いて
2=[F(√(Δ(θf))):F]= [F(√(Δ(θf))):E][E:F]=2[F(√(Δ(θf))):E]だから、
[F(√(Δ(θf))):E]=1となり、補題4.3.3によりF(√(Δ(θf)))=Eとなる。
(13.6)より√(Δ(θf))=√(Δ(f))だから、E=F(√(Δ(f)))

(b)
g(x)の因子x2+c1x+c2-βの判別式はΔ1=4β+c12-4c2F
x2-βx+c4の判別式はΔ2=β2-4c4Fで、
定理13.1.1の条件式に現れる因子と同じ。

GC4g(x)E=F(√(Δ(f)))上完全分解することと同値なので、
Δ1, √Δ2がともにF(√(Δ(f)))の元であることと同値。
このとき [F(√(Δ(f))):F]=2によりあるu1,v1,u2,v2Fが存在して
Δ1= u1+v1√(Δ(f)), √Δ2= u2+v2√(Δ(f))だから、
Δ1= u12+v12Δ(f)+2u1v1√(Δ(f)), Δ2= u22+v22Δ(f)+2u2v2√(Δ(f))
Δ(f)≠0, Δ(f)(F*)2だからΔ1, Δ2Fであるためにはu1v1=0かつu2v2=0

問題が証明されるにはu1=u2=0らしいのだが、その理屈が分からない・・・。
演習問題15(a)がそれを示す問題だが、こちらも分からない・・・。

u1=u2=0ならば、Δ1=v1√(Δ(f)), √Δ2=v2√(Δ(f))
これより√(Δ1Δ(f))=v1Δ(f)Fだから、
v1≠0のときΔ1=4β+c12-4c2≠0, Δ1Δ(f) (F*)2となる。
v1=0のときはΔ1=0なので、演習問題6(b)によりΔ2=β2-4c4≠0だからv2≠0
√(Δ2Δ(f))=v2Δ(f)FなのでΔ1Δ(f) (F*)2となる。

まとめると、Δ1, √Δ2がともにF(√(Δ(f)))の元なら、
4β+c12-4c2≠0のときΔ(f)(4β+c12-4c2)(F*)2
4β+c12-4c2=0のときΔ(f)(β2-4c4)(F*)2となり、
定理13.1.1(c)GC4となる条件に一致する。

演習問題13
fは定理13.1.1(c)の仮定を満たすので、fの分解体をLとして
Gal(L/F)C4またはD8である。
fは分離的なので定理7.1.1によりFLGalois拡大だから、
定理7.1.5により|Gal(L/F)|=[L:F]。故に[L:F]=4または8
またfF上規約なので、αF上の最小多項式だから[F(α):F]=deg(f)=4

fF(α)上完全分解することは、L= F(α)と同値だから、
|Gal(L/F)|=[F(α):F]=4と同値、したがってGal(L/F)C4と同値。
すなわち、fF(α)上完全分解しないなら、Gal(L/F)D8

演習問題14
各問の方程式の分解体をLとする。

(a)
f=x4+4x+2[x]として、p=2Schönemann-Eisenstein判定法によりf上既約。
θf演習問題8と同様に計算すると、θf=y3-8y-16
y=±1, ±2, ±4,±8, ±16θfの根でないから、命題A.3.1によりθf上既約。
Δ(f)=Res(f,f',x)=-28·192だから定理13.1.1によりGal(L/)S4

(b)
f=x4+8x+12[x]として、Maxima因数分解できないのでf上既約。
θf=y3-48y-64Maxima因数分解できないのでθf上既約。
Δ(f)=Res(f,f',x)=212·342だから定理13.1.1によりGal(L/)A4

(c)
f=x4+1=Φ8[x]は定理9.1.9により上既約。
θf=y3-4y=y(y-2)(y+2)上完全分解するから、
定理13.1.1によりGal(L/)C2×C2

(d)
f=x4+x3+x2+x+1=Φ5[x]は定理9.1.9により上既約。
θf=y3-y2-3y+2=(y-2)(y2+y+1)で、y2+y+1=Φ3(y)上既約だから、
θfにただひとつの根β=2しか持たない。

Δ(f)=Res(f,f',x)=53、また定理13.1.1(c)において、c1=-1, c2=1なので、
4β+c12-4c2=5≠0かつΔ(f)(4β+c12-4c2)=54(*)2だから、
定理13.1.1によりGal(L/)C4

(e)
f=x4-2[x]に根を持たないので、命題4.2.6により上既約。
θf=y3+8y=y(y2+8)で、y2+8に根を持たないので、
補題A.1.19により上既約だから、
θfにただひとつの根β=0しか持たない。

Δ(f)=Res(f,f',x)=-211、また定理13.1.1(c)において、c1=0, c2=0, c4=-2なので、
4β+c12-4c2=0かつ、β2-4c4=8=23よりΔ(f)(β2-4c4)=214(*)2だから、
定理13.1.1によりGal(L/)D8

演習問題15
(a)
4β+c12-4c2≠0 とする。βFなので4β+c12-4c2F

4β+c12-4c2(F*)2と仮定すると、
√(4β+c12-4c2)=α1+α2-α3-α4F*で、-c1=α1+α23+α4Fだから、
√(4β+c12-4c2)-c1=2(α1+α2)Fとなり、Fの標数は2でないからα1+α2F
これよりα3+α4F

・・・だとなぜ4β+c12-4c2(F*)2が禁じられるかわからん・・・・。
一番困る問題はC4の作用なのだが・・・。

演習問題16
(12.17)において求値写像xiαiを用いると、σjcj, ykβkである。
βk1つ、例えばβ1Fなら、β2, β3の最小多項式はF上の高々2次の多項式だから、
u2, u3, v2, v3Fとしてβ2=u2+√v2, β3=u3+√v3となる。
したがって(12.17)v1=4β1+c12-4c2Fとして
[c1±√v1±√(u2+√v2+c12-4c2) ±√(u3+√v3+c12-4c2)]/4と平方根のみで表現できるから、
これを根に持つF上の4次方程式の分解体をLとして、
[L:F]2べきである。

fは規約だから[L:F]≥4で、[L:F]=|G||S4|=24を割るから、
|G|=4または8である。

演習問題17
(a)
<(12),(34)><(12)(34),(13)(24)>が共役と仮定すると、
あるτS4が存在してτ(12)τ-1<(12)(34),(13)(24)>だが、
(12)は奇置換だからτ(12)τ-1も奇置換なので、
τ(12)τ-1<(12)(34),(13)(24)>A4の元ではありえず矛盾。
したがって<(12),(34)><(12)(34),(13)(24)>は共役でない。

(b)
fは規約だから命題6.3.7によりGは可移でなければならないが
6.3.6で示されたように、<(12),(34)>は可移でないので定理に現れない。