2012-01-19

コックス「ガロワ理論」 13.1節の演習問題1


演習問題1
(a)
HTMLの制限のため、\hat(γ)γで表す。
{α1,..., αn}={β1,..., βn}だから、βi=αγ(i)となるγSnが存在し、
γ-1Snによってαi=βγ-1(i)となる。
σGal(L/F)に対しφ1(σ)=τSnとすると、σ(αi)=ατ(i)=τ·αi=φ1(σ)·αi
またσ(βi)=φ2(σ)·βi。ところで
σ(βi)=σ(αγ(i))=ατγ(i)=βγ-1τγ(i)=(γ-1τγ)·βi=γ(τ)·βi=γ(φ1(σ))·βi=(γφ1(σ))·βiなので、
任意のβiに対しφ2(σ)·βi=(γφ1(σ))·βiとなるから、φ2=γφ1

演習問題2
位数12の群はC12, C2×C6, D12, Q12, A4に同型なものだけで、
このうち4つの要素の置換に対応するものはA4だけだから、
A4S4の位数12の唯一の部分群である。

演習問題3
4次普遍多項式をfとすると、
2.4節演習問題9によりΔ(θ)=Δ(f)だから、
求値写像xiαiによってΔ(θf)=Δ(f)となり(13.6)を得る。
fは分離的だから命題5.3.2によりΔ(f) ≠0

演習問題4
σGal(L/F)に対し
o((1324))=4,o((12))=2なので、(7.13)σ(1324)に、τ(12)にそれぞれ対応する。
σ2=(12)(34), στ=(13)(24), σ2τ=(34), σ3τ=(14)(23)なので、
(7.13)に現れているD8の部分群について、
<σ>=<(1324)>C4, |<σ>|=4
<σ2, τ>=<(12)(34), (12)>=<(12),(34)>D4, |<σ2, τ>|=4
<σ2, στ>=<(12)(34),(13)(24)>D4, |<σ2, στ>|=4
<τ><στ><σ2τ><σ3τ><σ2>C2
したがって位数4D8の部分群は、
<(1324)>, <(12),(34)>, <(12)(34),(13)(24)>で尽くされる。
自明な部分群である位数8D8<(1324),(12)>と併せ、
<(1324),(12)>の位数4または8の部分群として(13.8)を得る。

演習問題5
gFに一つの根bを持つとすると、
g=(x-b)h, hF[x],deg(h)=2hの根をa1,a2とする。

Δ(g)0すなわちgは分離的とし、gの分解体をLとする。
gF上完全分解するとする。
定理7.4.1の前の議論と同様に、b,a1,a2へのGal(L/F)の作用によって、
Gal(L/F)S311群準同型を定義し、Gal(L/F)S3での像をGとする。

gF上完全分解すれば、L=FだからGal(L/F)={e}なので、
G={(1)}A3Fの標数は2でないので、定理7.4.1によりΔ(g) F2

逆にΔ(g)F2とすると、Fの標数は2でないので定理7.4.1により、
GA3C3C3は自明な部分群しか持たない。
G=C3ならba1またはa2に移すGal(L/F)の元が存在するが、
これはGal(L/F)によってbF が不変であることと矛盾。
したがってG={(1)}となり、Gal(L/F)={e}
FLGalois拡大なので[L:F]=|Gal(L/F)|=1だからL=F
故にgF上完全分解する。

次にΔ(g)=0の場合を考える。
Δ(g)=0は、gは重根を持つことと同値だから、
a1=a2, a1=b, a2=bのいずれかが成り立つことと同値。
a1=a2h=(x-a1)2F[x]と同値だからa1,a2Fと同値、
a1=bFh=(x-a2)(x-b)F[x] と同値だからa2Fと同値、、
同様にa2=bFa1Fと同値。
したがって、Δ(g)=0F2は重根を持つgF上完全分解することと同値。

演習問題6
(a)
α1+α2=α3+α4α1α2=α3α4から、
(α1-α3)(α1-α4)=α12-(α3+α4)α1+α3α4=α12-(α1+α2)α1+α1α2=0だから、
α1=α3またはα1=α4なので、fは分離的でない。

(b)
fは分離的なので(a)により、
α1+α2=α3+α4α1α2=α3α4の両方が同時に起こることはない。
4β-c12-4c2=(α1+α2-α3-α4)2, β2-4c4=(α1α2-α3α4)2だから、
4β-c12-4c2β2-4c4の両方が同時に0にはならない。

(c)
G=<(1324),(12)>またはG=<(1324)>である。
4β-c12-4c2=0とすると、fは分離的なので(b)によりβ2-4c40だから、β2-4c4F*

いまG=<(1324),(12)>とする。
(12)に移るσGal(L/F)に対し、定理7.4.1によりσ(√(Δ(f)))= -√(Δ(f))
また σ(β2-4c4)=σ(α1α2-α3α4)=α1α2-α3α4=β2-4c4
Fの標数は2でなく、Δ(f)≠0, β2-4c4≠0だから、
σ(√(Δ(f)(β2-4c4)))=-√(Δ(f)(β2-4c4))√(Δ(f)(β2-4c4))なので√(Δ(f)(β2-4c4))F
故にΔ(f)(β2-4c4)(F*)2

G=<(1324)>のときは、
(1324)に移るσGal(L/F)に対し、定理7.4.1によりσ(√(Δ(f)))= -√(Δ(f))
また σ(β2-4c4)=σ(α1α2-α3α4)=-(α1α2-α3α4)=-(β2-4c4)
故にσ(√(Δ(f)(β2-4c4)))=√(Δ(f)(β2-4c4))なので√(Δ(f)(β2-4c4))Fだから、
故にΔ(f)(β2-4c4)(F*)2

よってG=<(1324),(12)>であることとΔ(f)(β2-4c4)(F*)2は同値。
θfの根が(13.7)と異なるラベル付けのα1~α4で表現されているときは、
Gが共役な群へ移るだけだから、G<(1324),(12)>と共役であることと、
Δ(f)(β2-4c4)(F*)2は同値。

演習問題7
(例13.1.2θf(y)=y3+4x2-4x-17θf(y)=y3+4y2-4y-17の誤植)

fに対するFerrariの分解式はθf(y)=y3-2y2-8y=y(y-4)(y+2)だから、
θf(y)上完全分解するので、定理13.1.1(b)に該当し、
fの分解体をLとしてGal(L/)C2×C2D4,|Gal(L/)|=4
すなわち、定理13.1.1における、Galois群が最も小さい場合の一つである。

演習問題8
単多項式f/7Ferrariの分解式は
θf(y)= y3+3y2-(240/72)y-3824/73
73θf(y)Maximaコマンド
c1:16/7; c2:-21/7; c3:-8/7; c4:4/7;
res:expand(7^3*(y^3-c2*y^2+(c1*c3-4*c4)*y
-c3^2-c1^2*c4+4*c2*c4));
factor(res);
上因数分解すると、因数分解できないのでθf(y)上規約。
故にfの分解体をLとして定理13.1.1(a)によりGal(L/)S4またはA4

(5.13)(13.6)によりΔ(f/7)=Δ(θf)=-Res(θf,θf',x)なので、
Maximaコマンド
factor(resultant(res,diff(res,y),y));
で終結式を計算してΔ(θf)=26·36·76·3739F2だから、
定理13.1.1(a)によりGal(L/)S4となる。

Δ(f/7)=Δ(θf)≠0だからfは分離的なので、
定理7.1.1によりLGalois拡大だから、
定理7.1.5により[L:]=|Gal(L/)|=24となり2冪でない。
よって定理10.1.14によりfの根は作図可能数でない。

演習問題9
0fの根でないのでα≠0
f/x4=(1/x)4+a(1/x)3+b(1/x)2+ a/x+1=f(1/x)だから、
αfの根ならf(α-1)=f(α)/α4=0となり、α-1fの根。
Maximaコマンド
f:x^4+a*x^3+b*x^2+a*x+1;
gcd(f,diff(f,x));
によりgcd(f,f')=1だから命題5.3.2によりfは分離的なので、
fα, α-1と異なる根βを持ち、fの根はα, α-1, β, β-1である。
したがって(13.5)により、θfの根の一つはαα-1+ββ-1=2

演習問題10
Maximaコマンド
f:x^4+b*x^2+d;
resultant(f,diff(f,x),x);
によりRes(f,f',x)=16d(b2-4d)2だから(5.13)によりΔ(f)= Res(f,f',x)=16d(b2-4d)2

Maximaコマンド
c1:0;c2:b;c3:0;c4:d;
res:(y^3-c2*y^2+(c1*c3-4*c4)*y-c3^2-c1^2*c4+4*c2*c4);
によりθf=y3-by2-4dy+4bd=(y-b)(y2-4d)

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