※MathJaxの数式表示に少し時間がかかります。
1. Silverman (2006)の第2章に証明がある。
2. 略
3.
(a) 1が合同数と仮定すると、\[X^2+Y^2=Z^2\tag{1}\]\[XY=2\tag{2}\]を同時に満たす$X,Y,Z\in\mathbb{Q}$が存在する。(1)$\pm$2$\times$(2)から\[(X\pm Y)^2=Z^2\pm4\tag{3}\]これらの両辺の積をとって\[(X^2-Y^2)^2=Z^4-2^4\tag{4}\]$X,Y,Z$の分母の最小公倍数を$l$とし、(4)の両辺に$l^4$をかければ\[[(lX)^2-(lY)^2]^2=(lZ)^4-(2l)^4\tag{5}\]で、$lX,lY,lZ\in\mathbb{N}$だから、方程式$x^4-y^4=u^2$は整数解$x=lZ, y=2l, u=(lX)^2-(lY)^2$を持つ。
(1)の両辺に$l^2$をかければ\[(lX)^2+(lY)^2=(lZ)^2\tag{6}\]なので$lX,lY,lZ$はPythagoras数。
$X=n_{x}/d_{x}$, $Y=n_{y}/d_{y}$ , $Z=n_{z}/d_{z}$($\text{gcd}(n_{x},d_{x})= \text{gcd}(n_{y},d_{y})= \text{gcd}(n_{z},d_{z})=1$)とする。1.1節冒頭の平方因子の議論と同様に、$n_{x},n_{y},n_{z}$に共通因子があれば、$XY\in\mathbb{N}$は平方因子を持つ。が、これは$XY=2$と矛盾する。故に$n_{x},n_{y},n_{z}$に共通因子はない。
$Y=2/X=2d_{x}/n_{x}$において、$n_{x}$が素因子2を含むなら、$d_{x}$は素因子2を含まない。$n_{x}=2n'_{x}$として$n_{y}=d_{x}, d_{y}=n'_{x}$なので、$\text{gcd}(d_{x},d_{y})=\text{gcd}(d_{x},n'_{x})=1$。$n_{x}$が素因子2を含まないなら、$n_{y}=2d_{x}, d_{y}=n_{x}$なので、$\text{gcd}(d_{x},d_{y})= \text{gcd}(d_{x},n_{x})= 1$となり、いずれにせよ$\text{gcd}(d_{x},d_{y})= 1$である。\[Z^2=X^2+Y^2=\frac{\displaystyle{n_{x}^{2}d_{y}^{2}+n_{y}^{2}d_{x}^{2}}}{\displaystyle{d_{x}^2d_{y}^2}}\]で、$d_{z}^{2}$は分母$d_{x}^{2}d_{y}^{2}$を分子$n_{x}^{2}d_{y}^{2}+n_{y}^{2}d_{x}^{2}$と約分して現れるから、$d_{z}|(d_{x}d_{y})$となる。以上のことから$l=d_{x}d_{y}$。
$d_{x}d_{y}/d_{z}=m\in\mathbb{N}$とすると、(6)は\[n_{x}^2+n_{y}^2=(mn_{z})^2\tag{7}\]である。$n_{x},mn_{z}$が共通の素因子$g\ge2$をもてば、
\[n_{y}^{2}=(mn_{z})^{2}-n_{x}^2\tag{8}\]が素因子$g$をもつ。したがって$g|n_{y}$となるから$\text{gcd}(n_{x},n_{y})\ge g$となり、$n_{x},n_{y}$に共通因子がないことと矛盾する。故に$\text{gcd}(n_{x},mn_{z})=1$、同様に$\text{gcd}(n_{y},mn_{z})=1$だから、$n_{x},n_{y},mn_{z}$は原始Pythagoras数。よって$n_{x},n_{y}$の偶奇は互いに逆だから$u= (lX)^2-(lY)^2= n_{x}^2-n_{y}^2$は奇数。
(b) (問題文の「フェルマーの最終定理はその系である」は「フェルマーの最終定理の系である」の誤訳(google booksで一部見られる原書で確認))。
$x^4=u^2+y^2$とみても、巻末ヒントにあるHardy & Wright (1960) 13.3節のような降下法の議論にもっていけない・・・。
4.
固定された$n\in\mathbb{N}$に対し、同一の$x$を与える2つの正の有理数の3つ組$(X,Y,Z), (X',Y',Z')$があったとすると、命題1.1の証明で既に示されたことから$4x= Z^2= Z'^2$より$Z= Z'$。また\[(X\pm Y)^2=4x\pm4n\]\[(X'\pm Y')^2=4x\pm4n\]なので複号$+$の式を辺々引いて整理すれば\[(X+Y)^2=(X'+Y')^2\]これより\[(X-X')+(Y-Y')=0\tag{1}\]同様に複号$-$の式から\[(X-X')-(Y-Y')=0\tag{2}\](1)(2)から$X=X', Y=Y'$を得る。
5.
(a) $n=5$に対し、$X=3/2, Y=20/3, Z=41/6$なので、命題1.1から$x=41^2/12^2=1681/144$。
(b) $n=6$に対し、$X=3, Y=4, Z=5$なので、命題1.1から$x =5^2/2^2 =25/4$。
(c) 計算機で探索して、分母・分子が100以下の有理数の中では$x =29^2/2^2 =841/4, x =37^2/2^2 =1369/4$が見つかる。
6.
(a) $p(x,y,z) =2x^2+y^2+32z^2$, $q(x,y,z) =2x^2+y^2+8z^2$とする。$n =2x^2+y^2+32z^2 =2x^2+y^2+8(2z)^2$なので、整数の3つ組$(x,y,z) =(a,b,c)$について、$n =p(a,b,c)$と$n =q(a,b,2c)$は同値。
Tunnelの定理(B)が成り立つとすると、$n =p(x,y,z)$となる$(x,y,z)$が$N$個あるとすれば、
$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$は$2N$個ある。$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$のうち、$z$が偶数であるものは、$N$個なので、$z$が奇数のものも$2N-N =N$個。よって$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$のうち$z$が奇数であるものと、$z$が偶数であるものの数は等しい。
(b) 略
7.
(a) 巻末ヒントにより、$n \equiv5 \text{ or } 7 \pmod{8}$なら、$n=2x^2+y^2+8z^2$を満たす整数の3つ組$(x,y,z)$は存在しないので、$z$が偶数の3つ組と奇数の3つ組は共に0個だから、演習問題6(a)によりTunnelの定理(B)の条件が満たされる。
(b) 41
(c) 演習問題2を使って計算機で原始Pythagoras数を探索すると、1500番目くらいに合同数41を与える組$(123/20, 40/3, 881/60)$が見つかる。
1. Silverman (2006)の第2章に証明がある。
2. 略
3.
(a) 1が合同数と仮定すると、\[X^2+Y^2=Z^2\tag{1}\]\[XY=2\tag{2}\]を同時に満たす$X,Y,Z\in\mathbb{Q}$が存在する。(1)$\pm$2$\times$(2)から\[(X\pm Y)^2=Z^2\pm4\tag{3}\]これらの両辺の積をとって\[(X^2-Y^2)^2=Z^4-2^4\tag{4}\]$X,Y,Z$の分母の最小公倍数を$l$とし、(4)の両辺に$l^4$をかければ\[[(lX)^2-(lY)^2]^2=(lZ)^4-(2l)^4\tag{5}\]で、$lX,lY,lZ\in\mathbb{N}$だから、方程式$x^4-y^4=u^2$は整数解$x=lZ, y=2l, u=(lX)^2-(lY)^2$を持つ。
(1)の両辺に$l^2$をかければ\[(lX)^2+(lY)^2=(lZ)^2\tag{6}\]なので$lX,lY,lZ$はPythagoras数。
$X=n_{x}/d_{x}$, $Y=n_{y}/d_{y}$ , $Z=n_{z}/d_{z}$($\text{gcd}(n_{x},d_{x})= \text{gcd}(n_{y},d_{y})= \text{gcd}(n_{z},d_{z})=1$)とする。1.1節冒頭の平方因子の議論と同様に、$n_{x},n_{y},n_{z}$に共通因子があれば、$XY\in\mathbb{N}$は平方因子を持つ。が、これは$XY=2$と矛盾する。故に$n_{x},n_{y},n_{z}$に共通因子はない。
$Y=2/X=2d_{x}/n_{x}$において、$n_{x}$が素因子2を含むなら、$d_{x}$は素因子2を含まない。$n_{x}=2n'_{x}$として$n_{y}=d_{x}, d_{y}=n'_{x}$なので、$\text{gcd}(d_{x},d_{y})=\text{gcd}(d_{x},n'_{x})=1$。$n_{x}$が素因子2を含まないなら、$n_{y}=2d_{x}, d_{y}=n_{x}$なので、$\text{gcd}(d_{x},d_{y})= \text{gcd}(d_{x},n_{x})= 1$となり、いずれにせよ$\text{gcd}(d_{x},d_{y})= 1$である。\[Z^2=X^2+Y^2=\frac{\displaystyle{n_{x}^{2}d_{y}^{2}+n_{y}^{2}d_{x}^{2}}}{\displaystyle{d_{x}^2d_{y}^2}}\]で、$d_{z}^{2}$は分母$d_{x}^{2}d_{y}^{2}$を分子$n_{x}^{2}d_{y}^{2}+n_{y}^{2}d_{x}^{2}$と約分して現れるから、$d_{z}|(d_{x}d_{y})$となる。以上のことから$l=d_{x}d_{y}$。
$d_{x}d_{y}/d_{z}=m\in\mathbb{N}$とすると、(6)は\[n_{x}^2+n_{y}^2=(mn_{z})^2\tag{7}\]である。$n_{x},mn_{z}$が共通の素因子$g\ge2$をもてば、
\[n_{y}^{2}=(mn_{z})^{2}-n_{x}^2\tag{8}\]が素因子$g$をもつ。したがって$g|n_{y}$となるから$\text{gcd}(n_{x},n_{y})\ge g$となり、$n_{x},n_{y}$に共通因子がないことと矛盾する。故に$\text{gcd}(n_{x},mn_{z})=1$、同様に$\text{gcd}(n_{y},mn_{z})=1$だから、$n_{x},n_{y},mn_{z}$は原始Pythagoras数。よって$n_{x},n_{y}$の偶奇は互いに逆だから$u= (lX)^2-(lY)^2= n_{x}^2-n_{y}^2$は奇数。
(b) (問題文の「フェルマーの最終定理はその系である」は「フェルマーの最終定理の系である」の誤訳(google booksで一部見られる原書で確認))。
$x^4=u^2+y^2$とみても、巻末ヒントにあるHardy & Wright (1960) 13.3節のような降下法の議論にもっていけない・・・。
4.
固定された$n\in\mathbb{N}$に対し、同一の$x$を与える2つの正の有理数の3つ組$(X,Y,Z), (X',Y',Z')$があったとすると、命題1.1の証明で既に示されたことから$4x= Z^2= Z'^2$より$Z= Z'$。また\[(X\pm Y)^2=4x\pm4n\]\[(X'\pm Y')^2=4x\pm4n\]なので複号$+$の式を辺々引いて整理すれば\[(X+Y)^2=(X'+Y')^2\]これより\[(X-X')+(Y-Y')=0\tag{1}\]同様に複号$-$の式から\[(X-X')-(Y-Y')=0\tag{2}\](1)(2)から$X=X', Y=Y'$を得る。
5.
(a) $n=5$に対し、$X=3/2, Y=20/3, Z=41/6$なので、命題1.1から$x=41^2/12^2=1681/144$。
(b) $n=6$に対し、$X=3, Y=4, Z=5$なので、命題1.1から$x =5^2/2^2 =25/4$。
(c) 計算機で探索して、分母・分子が100以下の有理数の中では$x =29^2/2^2 =841/4, x =37^2/2^2 =1369/4$が見つかる。
6.
(a) $p(x,y,z) =2x^2+y^2+32z^2$, $q(x,y,z) =2x^2+y^2+8z^2$とする。$n =2x^2+y^2+32z^2 =2x^2+y^2+8(2z)^2$なので、整数の3つ組$(x,y,z) =(a,b,c)$について、$n =p(a,b,c)$と$n =q(a,b,2c)$は同値。
Tunnelの定理(B)が成り立つとすると、$n =p(x,y,z)$となる$(x,y,z)$が$N$個あるとすれば、
$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$は$2N$個ある。$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$のうち、$z$が偶数であるものは、$N$個なので、$z$が奇数のものも$2N-N =N$個。よって$n =q(x,y,z)$となる$(x,y,z)$のうち$z$が奇数であるものと、$z$が偶数であるものの数は等しい。
(b) 略
7.
(a) 巻末ヒントにより、$n \equiv5 \text{ or } 7 \pmod{8}$なら、$n=2x^2+y^2+8z^2$を満たす整数の3つ組$(x,y,z)$は存在しないので、$z$が偶数の3つ組と奇数の3つ組は共に0個だから、演習問題6(a)によりTunnelの定理(B)の条件が満たされる。
(b) 41
(c) 演習問題2を使って計算機で原始Pythagoras数を探索すると、1500番目くらいに合同数41を与える組$(123/20, 40/3, 881/60)$が見つかる。
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