2011-09-01

コックス「ガロワ理論」 8.5節の演習問題


演習問題1
L1fの分解体なので、定理5.2.4によりFL1は正規かつ有限次拡大。
さらに補題4.4.2により代数拡大で、
F8.5節の仮定により標数0なので、命題5.3.7によりFL1は分離拡大。
したがってFL1は定理7.1.1によりGalois拡大である。
同様にFL2Galois拡大。

FL1が可解とすると、ζ1L1での1の原始m乗根(m=[L1:F])として、
FM1=L1(ζ1)は補題8.3.1によりGalois拡大となり、
定理7.1.1によりM1は分離多項式g=xm-1F[x]の分解体である。
gL1[x]の元とみなしたものをg1と書くことにし、また、
gL2[x]の元でもあるので、L2[x]の元とみなしたものをg2と書くことにする。
g2L2上の分解体をM2とすると、定理7.1.1によりFM2Galois拡大。

L1,L2fの分解体だから系5.1.7により、
L1L2となるF上恒等な同型φが存在するので、
[L2:F]=mだから、M2での1の原始m乗根をζ2とすれば、M2=L2(ζ2)
φF上恒等だからφ(g1)=g2
したがって定理5.1.6の条件をφ, g1, L1, L2, M1, M2は満たすから、
同型φ: M1M2が存在してφ=φ|L1

FL1は可解Galois拡大だから系8.3.4により FM1=L1(ζ1)は冪根的。
すなわち定義8.2.1により体の列F=F0F1...Fn=M1と、
mi>0 (i=1,...,n)が存在して、Fi=Fi-1(γi), γimiFi-1
同型φによって、体の列F=φ(F0)=F0φ(F1)...φ(Fn)=M2が得られ、、
φ(Fi)=φ(Fi-1)(φ(γi)), φ(γi)miφ(Fi-1)となるから、FM2=L2(ζ2)も冪根的となる。
したがってFL1は可解。FL2が可解の場合も同様。

演習問題2
fは既約だから命題4.1.5によりαの最小多項式なので、
命題4.3.4により[F(α):F]=deg(f)。したがってFF(α)は有限次拡大だから、
命題7.1.7によりGalois閉包F(α)Mが存在して拡大FMGalois拡大、
したがって正規拡大。fは既約かつαMだから、
命題5.2.1によりfM上完全分解するので、
fの分解体をLとすればLM

fは分離的だから、定理7.1.1によりFLGalois拡大なので、
命題7.1.7によりMLとなり、故にM=Lである。
したがって、MfF上の分解体。

演習問題3
Fの標数は0だから命題5.3.8により、g=f/gcd(f,f')は分離的。
fは分離的でないので命題5.3.2によりgcd(f,f')>0だからdeg(g)<4
故に命題8.5.4によりgは冪根で解ける。
gfは同じ根を持つから、以上によりfの根が得られた。

演習問題4
f上の最小多項式なので上既約だから、命題8.5.2により直ちに従う。

演習問題5
...

演習問題6
HG2-Sylow部分群とし、定理8.5.8の証明と同様にして、
固定体LHを考える。[LH:]=|G|/|H|<∞は有限次拡大だから、
定理4.4.3により上代数的なα1,... αmが存在して、LH=(α1,... αm)
定理4.3.8(塔定理)により、各αi上の最小多項式をfi[x]として、
[LH:]=i deg(fi)である。[LH:]=|G|/|H|は奇数なので、
全ての1i mについて deg(fi)は奇数となるが、
すると各fiは命題3.2.2によりに根を持つのだから、
fi上既約であるためには、全ての1i mについて deg(fi)=1でなければならない。
したがって[LH:]=1だからG=Hとなるので、
Galois対応によりの奇数次拡大は次数1の自明な拡大しかありえない。

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