第3章§5,§6は余り興味ないので演習問題はパス。
演習問題1
小問a
f1=y-x2, f2=z-x3,g=f12+f22として、
a=(ax, ay, az)∈V(f1,f2)⊂ℝ3ならf1(a)=f2(a)=0よりg(a)=0だからV(f1,f2)⊂V(g)。
逆にa∈V(g)⊂ℝ3ならg=0となるのはf1=f2=0の時に限られるから、
a∈V(f1,f2)となるのでV(g)⊂V(f1,f2)。
したがってV(g)=V(f1,f2)だからV(g)も捩れ3次曲線。
小問b
Hilbertの基底定理により、あるf1,...,fs∈ℝ[x1,...,xn]が存在してI=<f1,...,fs>。
g=f12+...+fs 2∈ℝ[x1,...,xn]をとれば、小問aと同様にして、
V(g)=V(f1,...,fs)となるので、第2章§5命題9よりV(g)=V(I)となる。
演習問題2
V(J)={(0,1)}なので、f=xならfはV(J)上で消えるから、
f∈I(V(J))だが、明らかにf∉J。
演習問題3
小問a
例によってHTMLの問題により\tilde(x)をxで表す。
(1)の座標変換は全て1次変換だから、
i次斉次多項式hi(x1,...,xn)に(1)の変換を行なっても、
x1,...,xnについての全次数はiのままである。
それ故x1Nを含む項はhNのみから入る。
hN(x)=∑|α|=N cαxα (x=(x1,...,xn),
α∈ℤn≥0)とする。
hN(x)の和のx1Nの項への寄与は、x1α1=x1α1と、
xjαj=(xj+ajx1)αj (2≤j≤n)のx1についての最高次の項ajαjx1αjから来るので、
a=(a1,...,an)(ただしa1=1)として、c(a2,...,an)x1N=x1N∑|α|=N cαaα、
すなわちc(a2,...,an)=∑|α|=N cαaα=hN(a)=hN(1,a2,...,an)。
小問b
hの全次数をNとして、h(x)=∑|α|=N cαxα∈k[x1,...,xn] (x=(x1,...,xn), α∈ℤn≥0)とする。
k[x1,...,xn]でh(x)が零多項式なら、すべてのcα=0だから、
明らかにh(1,x2,...,xn)もk[x2,...,xn]の零多項式。
逆にh(1,x2,...,xn)がk[x2,...,xn]の零多項式とする。
hはN次斉次多項式なので、hの項のうちc(N,0,...,0)x1N
以外の項は全てx2,...,xnを含むから、c(N,0,...,0)以外のcα=0。
さらにc(N,0,...,0)はh(1,x2,...,xn)の定数項となるが、
h(1,x2,...,xn)は零多項式なのだから、c(N,0,...,0)も0に等しい。
したがってすべてのcα=0だから、k[x1,...,xn]でもh(x)は零多項式。
小問c
c(a2,...,an)がa2,...,anの多項式として零多項式なら、
小問aによりa2,...,anの多項式としてc(a2,...,an)=hN(1,a2,...,an)=0だから、
小問bによりa1,...,anの多項式としてhN(a1,...,an)=0。
すなわちhN(x1,...,xn)=0だから、f1の全次数がNであることに反する。
したがってc(a2,...,an)はa2,...,anの多項式として零多項式ではない。
演習問題4
kを代数的閉体とし、かつ有限体だったと仮定してk={a1,...,an}とすれば、
kは少なくとも0,1 (0≠1)を含むのでn≥2。
f=(x-a1)(x-a2)...(x-an)∈k[x]とし、g=f-1とすれば、
n≥2だからgは定数でない。
kは代数的閉体だから、全ての定数でないk[x]の多項式はkに根を持つが、
全てのkの元aiについてg(ai)=1だからgはkに根を持たないので矛盾。
したがってkは無限体。
演習問題5
0=0なので0∈I。
f,g∈Iについてf+g=f+gだからf+g∈I。
f∈I, h∈k[x1,...,xn]として、(1)の逆変換x1=x1, xj=xj-ajx1 (2≤j≤n)によって
hがh∈k[x1,...,xn]へ移るとすれば、fh∈Iだからfh∈I。
したがってIはk[x1,...,xn]のイデアル。
演習問題6
f=0のときは<f1,...,fs >はイデアルなので0∈<f1,...,fs>だから、
Hilbertの零点定理の証明は終わっているので、f≠0とする。
(2)に求値写像k[x1,...,xn,y]→k(x1,...,xn) (y↦1/f)を作用させれば、
求値写像は環準同型だから、k(x1,...,xn)において(3)、さらに(4)が得られる。
(4)は多項式の関係だから、k[x1,...,xn]において(4)と同じ関係式が成り立つので、
fm∈<f1,...,fs>となりHilbertの零点定理が成り立つ。
演習問題7
小問a
fがkに根x=aを持てば(a,1)≠(0,0)かつfh(a,1)=0。
逆に(a,b)≠(0,0)かつfh(a,b)=0が成り立ったとする。
b=0ならfh(a,b)=a0an=0。a0≠0だからa=0となるので、
(a,b)≠(0,0)に反するから、b≠0。
するとfhはn次の斉次だから0=fh(a,b)/bn=f(a/b)。
kは体だからa/b∈kなので、fはkに根を持つ。
小問b
kが代数的閉体でないので、k上に根を持たないg∈k[x]が存在する。
gh(0,0)=0は自明。
小問aにより(a,b)≠(0,0)以外にgh(a,b)=0となる(a,b)∈k2は存在しないから、
f=ghとおけばV(f)={(0,0)}。
小問c
変数の数sについての数学的帰納法を用いる。
s=1についてはf=x1∈k[x1]の根はx1=0だけだから成り立つ。
s=2については小問bで示した。
変数の数がs-1の時成り立つと仮定して、変数の数がs+1のときを考える。
kが代数的閉体でないので、k上に根を持たないg∈k[xs]が存在する。
gh(xs,y)をとる。帰納法の仮定により、
h∈k[x1,...,xs-1]でh=0の解がks-1の原点のみになるものが存在するので、
f=gh(xs,h)∈k[x1,...,xs]をとれば、小問aにより、
f=0となるのはxs=0かつh=0の時のみ。
h=0の解はks-1の原点のみだから、f=0の解はksの原点のみである。
なお演習問題1はg(xs)=xs2+1に対応する。
小問d
ヒントがまんま。
k[x1,...,xs]において小問cのf(x1,...,xs)をとってf(g1,...,gs)を考えれば、
f=0の解はg1=...=gs=0のみだからV(f)=V(g1,...,gs)。
演習問題8
V(I)≠∅ならIはknに零点を持つ多項式からなるからI⋂S=∅。
逆にI⋂S=∅とする。
kが代数的閉体ならS=k∖{0}。
I⋂S=∅だからI⊊k[x1,...,xn]なので弱形の零点定理によりV(I)≠∅。
kが代数的閉体でないときは、演習問題7により、
あるf∈k[x1,...,xn]が存在してV(I)=V(f)。
さらに演習問題7でのfの構成は斉次多項式から行われるので、
f∈Iである。I⋂S=∅よりf∉Sだから、
fはknに零点を持つので、V(f)≠∅。したがってV(I)≠∅。
演習問題9
小問a
f∈k[x1,...,xn], r∈kとしてαA(rf(x))=rf(Ax)=rf(x)=rαA(f(x))、
またg∈k[x1,...,xn]としてαA(f(x)+g(x))=f(Ax)+g(Ax)=f(x)+g(x)=αA(f(x))+αA(g(x))。
したがってαAはk線型。
小問b
αA(f(x)·g(x))=f(Ax)·g(Ax)=f(x)·g(x)=αA(f(x))·αA(g(x))。
小問c
αAが上への1対1になるには、
x=Axなるxがxの全ての成分に対し一意に決まることが必要だから、
Aが正則行列であることが必要条件。
逆は明らかなのでAが正則行列であることが必要十分。
小問d
I={αA(f): f∈I}とする。αA(0)=0なので0∈I、
またf,g∈Iとすると、小問aによりf+g=αA(f+g)∈Iだが、
h∈k[x1,...,xn]に対し常にh=αA(h)なるhが存在するとは限らないので、
一般にはhf∈Iはいえないから、Iはk[x1,...,xn]のイデアルでない。
実際A=((1,0),(1,0))ならx= x, y=xなので、
任意のf(x,y)についてf=αA(f)=f(x,x)だから、
Iの元はyを含まない多項式からなる。
例えばf=xyとすればf=x2∈I。h=yとすればhf=x2y∉I。
αAが上への1対1、すなわち小問cによりAが正則なら、
h∈k[x1,...,xn]に対し常にh=αA(h)なるhが存在するから、
小問bによりhf=αA(hf)∈IだからIはk[x1,...,xn]のイデアル。
小問e
I={f∈k[x1,...,xn]: αA(f)∈I}とする。αA(0)=0∈Iなので0∈I、
またf,g∈Iとすると、小問aによりαA(f+g)=f+g∈Iだからf+g∈I、
h∈k[x1,...,xn]として小問bによりαA(hf)=hf∈Iとなるのでhf∈I。
したがってIはk[x1,...,xn]のイデアル。
小問f
αAは求値写像だから環準同型なので、a,bはそのまま成り立つ。
cは一般には条件を見出すことが難しそう。
dが一般にイデアルにならないことは変わらない。
eは環準同型としての性質のみに依存しているので、
Aの成分がk[x1,...,xn]でも成り立つ。
演習問題10
f1=y-x2, f2=z-x3,g=f12+f22として、
g∈<f1, f2>だから<g>⊂<f1, f2>。
p,q∈ℝ[x,y]をℝに実根を持たない、
定数倍を除き異なる、2変数のℝ上で既約な多項式とし、
0でないf∈ℝ[x,y]についてV(f)≠∅とする。
第1章§2補題2の証明からV(fq)=V(f)⋃V(q)で、
V(q)=∅なのでV(fq)=V(f)。同様にV(fp)=V(f)。
<fp>⊂<fq>と仮定すると、あるg∈ℝ[x,y]が存在してgfp=fqだからp|q。
p,qはℝ上規約だからpはqの定数倍でなければならないが、
これはp,qの取り方に矛盾。同様に<fq>⊂<fp>と仮定しても矛盾だから、
<fq>と<fp>は包含関係がない、
同一の空でない多様体を与えるイデアルである。
ℝ[x]でも同様に、p,q∈ℝ[x]を次数が2以上の、
異なるℝ上の規約単多項式とすることで、
包含関係がない、同一の空でない多様体を与えるイデアルを作ることが出来る。
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