2013-01-09

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第4章§2の演習問題

演習問題1
xm,yn<xm,yn>よりx,y<xm,yn>だから<x,y>√<xm,yn>
f√<xm,yn>とすればあるl>0が存在してfl<xm,yn>なので、
あるgx,gyk[x,y]についてfl=gxxm+gyynだからflkの定数項を含まない
fkの定数項を含めば、flも定数項を持つので矛盾、
故にfkの定数項を含まないから、
あるfx,fyk[x,y]についてf=fxx+fyyと書けるのでf<x,y>
したがって√<xm,yn><x,y>だから√<xm,yn>=<x,y>

演習問題2
f2,g3Iよりf,gIだから<f,g>Iはいえる。
逆にhIとすればあるm>0が存在してhmIなので、
あるA,Bk[x,y]についてhm=Af2+Bg3
これをあるa,bk[x,y]について(af+bg)mの形に常に書けるかというと、
一般に書けそうな気はしない。ただ証明となると・・・。

演習問題3
x2+1に根を持たないからV(x2+1)=
さらにx2+1上規約なので、
f[x]についてfm<x2+1>なら(x2+1)|fmだから、第3章§5定理3により(x2+1)|f
したがってf<x2+1>だから<x2+1>は根基イデアル。

演習問題4
小問a
Iがイデアルであることは補題5の証明で示されている。
定義4によりあるmに対しfmIならfIだから、
定義2によりIは根基イデアル。

小問b
Iが根基とする。fIなら定義4によりあるmに対しfmI
Iは根基だから定義2によりらfIとなるのでII
II261ページで既に示されているのでI=I

逆にI=Iとすると、あるmに対しfmIなら、
fI=IだからIは根基イデアル。

小問c
補題5によりIはイデアルなので√√IはイデアルでI√√I
f√√Iとすれば、あるmに対しfmIである。
補題5によりIは根基イデアルだからfIなので、√√II
したがって√√I=I

演習問題5
1章§4命題8によりV1V2ならI(V1)I(V2)だから、
Iは包含関係を逆転する。

xV(I2)とすると、xI2の元である多項式の共通零点。
I1I2だから、xI1の元である多項式の共通零点でもあるのでxV(I1)
したがってV(I2)V(I1)なのでVは包含関係を逆転する。

演習問題6
小問a
f<f1, f2>よりあるa,bk[x1,...,xn]についてf=af1+bf2だから、
n=m1+m2-1として(af1+bf2)n=0in cif1n-if2i、ただしci=nCian-ibi
im2-1ならn-i=m1+m2-1-im1だからf1m1|f1n-iim2ならf2m2|f2iだから、
(af1+bf2)n=0im2-1 cif1n-if2i+m2in cif1n-if2i=Af1m1+Bf2m2I
ただしA=0im2-1 cif1m2-1-if2i, B=m2in cif1n-if2i-m2k[x1,...,xn]

小問b
Ik[x1,...,xn]のイデアルなので、
Hilbertの基底定理によりIの基底<f1,...,fs>が存在する。
基底の数sについての帰納法を用いる。
s=1についてはIの定義により明らか。
s=2についてはm0=m1+m2-1であることを小問aで示した。

基底の数がs-1のときfIならfn0Iとなるn0が存在したと仮定する。
基底の数がsのときを考え、fIを任意に取る。
g<f1,...,fs-1><f1,...,fs>とすれば、あるa,bk[x1,...,xn]について、
f=ag+bfsである。fsIだからあるmに対しfsmIである。
すると小問aと同様にして、m0=m+n0-1とおけばfm0Iとなるので、
基底の数がsのときも成り立つ。

演習問題7
小問a
命題8を適用するため、Maxima
-----
load("grobner");
f1: x^3;
f2: y^3;
f3: x*y*(x+y);
f:x+y;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,1-t*f],[t,x,y]);
-----
により、<x3, y3,xy(x+y),1-t(x+y)>=<1>を得るので、
x+y√<x3, y3,xy(x+y)>

G={x3, y3,xy(x+y)}<x3, y3,xy(x+y)>の簡約Gröbner基底であることは、
Maximaですぐわかるので、
-----
poly_pseudo_divide(f,G,[x,y]);
poly_pseudo_divide(f^2,G,[x,y]);
poly_pseudo_divide(f^3,G,[x,y]);
-----
によってf3G=0となるから、求める最小の冪は3

小問b
小問aと同様に
-----
load("grobner");
f1: x+z;
f2: x^2*y;
f3: x-z^2;
f:x^2+3*x*z;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,1-t*f],[t,x,y,z]);
-----
<x+z, x2y, x-z2,1-t(x2+3xz)>=<x-1,y,z+1,t+1/2>≠<1>を得るので、
x2+3xz√<x+z, x2y, x-z2>

演習問題8
fm, fm+1は次数の異なる斉次多項式だから、共通の項を持たないので、
hは単にfm, fm+1の項を別々に並べた和である。
GCD(fm, fm+1)=1なので、fm, fm+1は定数でない共通因子を持たないから、
hは可約ではありえない。したがって規約。

演習問題9
3章§5定理5の一意分解性により、
f1,...,fs, g1,...,gtk[x1,...,xn]の規約多項式として、
f,gは定数倍の不定性を除き、
f=f1,...,fs, g=g1,...,gtと一意に規約分解される。

{f1,...,fs}{g1,...,gt}なら共通の元をh1,...,hrとすれば、
h=h1...hrとすればhは定義11(i)(ii)を満たすからGCD(f,g)=h
{f1,...,fs}{g1,...,gt}=ならfgを同時に割り切るのはkの定数のみだから、
GCD(f,g)は定数。したがってGCD(f,g)=1としてよい。

演習問題10
h=GCD(f,g)なら、定義11(i)によりh|fかつh|gなので、
あるd1, d2k[x1,...,xn]が存在してf=d1h, g=d2h
任意のr<f,g>についてあるa,bk[x1,...,xn]が存在して、
r=af+bg=ad1h+bd2h<h>だから<f,g><h>

いま<f,g>を含む任意の主イデアルJの生成元をpとすると、
f<p>かつg<p>だからp|fかつp|g
するとh=GCD(f,g)だから定義11(ii)によりp|h
故にあるqk[x1,...,xn]が存在して、qp=h
任意のs<h>についてあるck[x1,...,xn]が存在して、
s=ch=cqp<p>だから<h><p>=J
したがって<h><f,g>を含む最小の主イデアル。

演習問題11
f1=x5-2x4+2x2-x, f2=x5-x4-2x3+2x2+x-1とする。
Maxima
-----
f1: x^5-2*x^4+2*x^2-x;
f2: x^5-x^4-2*x^3+2*x^2+x-1;
g: gcd(f1,f2);
factor(g);
-----
によりg=GCD(f1, f2)=x4-2x3+2x-1=(x-1)3(x+1)を得る。
すると第1章§5命題6により<f1, f2>=<g>となる。
gred=(x-1)(x+1)=x2-1なので命題9により√<f1, f2>=<x2-1>
したがって基底は{x2-1}となり、第1章§5演習問題17と一致する。

演習問題12
f=x5+3x4y+3x3y2-2x4y2+x2y3-6x3y3-6x2y4+x3y4-2xy5+3x2y5+3xy6+y7[x,y]とする。
Maxima上で因数分解してf=(x+y)3(x-y2)2より、
fred=(x+y)(x-y2)=x2-xy2+xy-y3だから、命題9により√<f>=<x2-xy2+xy-y3>

演習問題13
小問a
F2では0=2だから、すべてのiについてf/∂xi=2xi=0

小問b
fxiを含めばfxiについての次数をd>0, pjk[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn] (0jd)として、
f=p0+1jd pjxijで、pd≠0。これよりf/∂xi=1jd jpjxij-1
kの標数が0pd≠0だから少なくともdpdxid-1の項は0でなく、
他の項はxiの冪が異なるので、dpdxid-1は和によって消えないのでf/∂xi≠0

fの、全次数が最高次の項αxiを含まないなら、
αk[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn]p0に含まれる。
f/∂xiではp0は消えるからf/∂xiαを含まないので、
xiを含まないf項に由来するf/∂xiの項の全次数はfの全次数より小さい。
また、αxiを含むなら、α=α'xim, α'k[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn]と書ける。
この項に由来するf/∂xiの項は、mα'xim-1の形で和に入るから、
全次数はfの全次数より小さい。
したがってf/∂xiの全次数はfの全次数より小さい。

演習問題14
Maxima
-----
load("grobner");
f1: x*y;
f2: (x-y)*x;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y]);
-----
によりJ=<x2,xy>だからV(J)は直線x=0 (y)
したがってI(V(J))=<x>なので零点定理によりJ=<x>

演習問題15
fの項のうち、異なる2つの文字の積を含む項は、
どのような項順序を取るかに関係なく必ずxy,xz,yzのいずれかで割れるから、
fxy,xz,yzで割った余りはx,y,zのうち一つだけを含む項と定数項。
すなわちa,b,ck[x,y,z]およびXk[x],Yk[y],Zk[z]として
f=axy+bxz+cyz+X+Y+Zと書ける。
ただし定数項はX,Y,Zのいずれかに含めている。
このときA,B,Ck[x,y,z]としてfm=Axy+Bxz+Cyz+(X+Y+Z)mの形である。
fm<xy,xz,yz>なら(X+Y+Z)m=0だからX+Y+Z=0なので、
f= axy+bxz+cyz<xy,xz,yz>となる。
fは任意だから<xy,xz,yz>は根基イデアル。

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