演習問題1
xm,yn∈<xm,yn>よりx,y∈√<xm,yn>だから<x,y>⊂√<xm,yn>。
f∈√<xm,yn>とすればあるl>0が存在してfl∈<xm,yn>なので、
あるgx,gy∈k[x,y]についてfl=gxxm+gyynだからflはkの定数項を含まない
fがkの定数項を含めば、flも定数項を持つので矛盾、
故にfはkの定数項を含まないから、
あるfx,fy∈k[x,y]についてf=fxx+fyyと書けるのでf∈<x,y>。
したがって√<xm,yn>⊂<x,y>だから√<xm,yn>=<x,y>。
演習問題2
f2,g3∈Iよりf,g∈√Iだから<f,g>⊂√Iはいえる。
逆にh∈√Iとすればあるm>0が存在してhm∈Iなので、
あるA,B∈k[x,y]についてhm=Af2+Bg3。
これをあるa,b∈k[x,y]について(af+bg)mの形に常に書けるかというと、
一般に書けそうな気はしない。ただ証明となると・・・。
演習問題3
x2+1はℝに根を持たないからV(x2+1)=∅。
さらにx2+1はℝ上規約なので、
f∈ℝ[x]についてfm∈<x2+1>なら(x2+1)|fmだから、第3章§5定理3により(x2+1)|f。
したがってf∈<x2+1>だから<x2+1>は根基イデアル。
演習問題4
小問a
√Iがイデアルであることは補題5の証明で示されている。
定義4によりあるm∈ℕに対しfm∈Iならf∈Iだから、
定義2により√Iは根基イデアル。
小問b
Iが根基とする。f∈√Iなら定義4によりあるm∈ℕに対しfm∈I。
Iは根基だから定義2によりらf∈Iとなるので√I⊂I。
I⊂√Iは261ページで既に示されているので√I=I。
逆に√I=Iとすると、あるm∈ℕに対しfm∈Iなら、
f∈√I=IだからIは根基イデアル。
小問c
補題5により√Iはイデアルなので√√Iはイデアルで√I⊂√√I。
f∈√√Iとすれば、あるm∈ℕに対しfm∈√Iである。
補題5により√Iは根基イデアルだからf∈√Iなので、√√I⊂√I。
したがって√√I=√I。
演習問題5
第1章§4命題8によりV1⊂V2ならI(V1)⊃I(V2)だから、
Iは包含関係を逆転する。
x∈V(I2)とすると、xはI2の元である多項式の共通零点。
I1⊂I2だから、xはI1の元である多項式の共通零点でもあるのでx∈V(I1)。
したがってV(I2)⊂V(I1)なのでVは包含関係を逆転する。
演習問題6
小問a
f∈<f1, f2>よりあるa,b∈k[x1,...,xn]についてf=af1+bf2だから、
n=m1+m2-1として(af1+bf2)n=∑0≤i≤n cif1n-if2i、ただしci=nCian-ibi。
i≤m2-1ならn-i=m1+m2-1-i≥m1だからf1m1|f1n-i、i≥m2ならf2m2|f2iだから、
(af1+bf2)n=∑0≤i≤m2-1 cif1n-if2i+∑m2≤i≤n cif1n-if2i=Af1m1+Bf2m2∈I。
ただしA=∑0≤i≤m2-1 cif1m2-1-if2i, B=∑m2≤i≤n cif1n-if2i-m2∈k[x1,...,xn]。
小問b
√Iはk[x1,...,xn]のイデアルなので、
Hilbertの基底定理により√Iの基底<f1,...,fs>が存在する。
基底の数sについての帰納法を用いる。
s=1については√Iの定義により明らか。
s=2についてはm0=m1+m2-1であることを小問aで示した。
基底の数がs-1のときf∈√Iならfn0∈√Iとなるn0が存在したと仮定する。
基底の数がsのときを考え、f∈√Iを任意に取る。
g∈<f1,...,fs-1>⊂<f1,...,fs>とすれば、あるa,b∈k[x1,...,xn]について、
f=ag+bfsである。fs∈√Iだからあるm∈ℕに対しfsm∈Iである。
すると小問aと同様にして、m0=m+n0-1とおけばfm0∈Iとなるので、
基底の数がsのときも成り立つ。
演習問題7
小問a
命題8を適用するため、Maximaで
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load("grobner");
f1:
x^3;
f2:
y^3;
f3:
x*y*(x+y);
f:x+y;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,1-t*f],[t,x,y]);
-----
により、<x3, y3,xy(x+y),1-t(x+y)>=<1>を得るので、
x+y∈√<x3, y3,xy(x+y)>。
G={x3, y3,xy(x+y)}が<x3, y3,xy(x+y)>の簡約Gröbner基底であることは、
Maximaですぐわかるので、
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poly_pseudo_divide(f,G,[x,y]);
poly_pseudo_divide(f^2,G,[x,y]);
poly_pseudo_divide(f^3,G,[x,y]);
-----
によってf3G=0となるから、求める最小の冪は3。
小問b
小問aと同様に
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load("grobner");
f1:
x+z;
f2:
x^2*y;
f3:
x-z^2;
f:x^2+3*x*z;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,1-t*f],[t,x,y,z]);
-----
<x+z,
x2y, x-z2,1-t(x2+3xz)>=<x-1,y,z+1,t+1/2>≠<1>を得るので、
x2+3xz∉√<x+z, x2y, x-z2>。
演習問題8
fm, fm+1は次数の異なる斉次多項式だから、共通の項を持たないので、
hは単にfm, fm+1の項を別々に並べた和である。
GCD(fm,
fm+1)=1なので、fm, fm+1は定数でない共通因子を持たないから、
hは可約ではありえない。したがって規約。
演習問題9
第3章§5定理5の一意分解性により、
f1,...,fs, g1,...,gtをk[x1,...,xn]の規約多項式として、
f,gは定数倍の不定性を除き、
f=f1,...,fs, g=g1,...,gtと一意に規約分解される。
{f1,...,fs}⋂{g1,...,gt}≠∅なら共通の元をh1,...,hrとすれば、
h=h1...hrとすればhは定義11(i)(ii)を満たすからGCD(f,g)=h。
{f1,...,fs}⋂{g1,...,gt}=∅ならfとgを同時に割り切るのはkの定数のみだから、
GCD(f,g)は定数。したがってGCD(f,g)=1としてよい。
演習問題10
h=GCD(f,g)なら、定義11(i)によりh|fかつh|gなので、
あるd1,
d2∈k[x1,...,xn]が存在してf=d1h, g=d2h。
任意のr∈<f,g>についてあるa,b∈k[x1,...,xn]が存在して、
r=af+bg=ad1h+bd2h∈<h>だから<f,g>⊂<h>。
いま<f,g>を含む任意の主イデアルJの生成元をpとすると、
f∈<p>かつg∈<p>だからp|fかつp|g。
するとh=GCD(f,g)だから定義11(ii)によりp|h。
故にあるq∈k[x1,...,xn]が存在して、qp=h。
任意のs∈<h>についてあるc∈k[x1,...,xn]が存在して、
s=ch=cqp∈<p>だから<h>⊂<p>=J。
したがって<h>は<f,g>を含む最小の主イデアル。
演習問題11
f1=x5-2x4+2x2-x, f2=x5-x4-2x3+2x2+x-1とする。
Maximaで
-----
f1:
x^5-2*x^4+2*x^2-x;
f2:
x^5-x^4-2*x^3+2*x^2+x-1;
g: gcd(f1,f2);
factor(g);
-----
によりg=GCD(f1, f2)=x4-2x3+2x-1=(x-1)3(x+1)を得る。
すると第1章§5命題6により<f1, f2>=<g>となる。
gred=(x-1)(x+1)=x2-1なので命題9により√<f1, f2>=<x2-1>。
したがって基底は{x2-1}となり、第1章§5演習問題17と一致する。
演習問題12
f=x5+3x4y+3x3y2-2x4y2+x2y3-6x3y3-6x2y4+x3y4-2xy5+3x2y5+3xy6+y7∈ℚ[x,y]とする。
Maximaでℚ上で因数分解してf=(x+y)3(x-y2)2より、
fred=(x+y)(x-y2)=x2-xy2+xy-y3だから、命題9により√<f>=<x2-xy2+xy-y3>。
演習問題13
小問a
F2では0=2だから、すべてのiについて∂f/∂xi=2xi=0。
小問b
fがxiを含めばfのxiについての次数をd>0, pj∈k[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn] (0≤j≤d)として、
f=p0+∑1≤j≤d pjxijで、pd≠0。これより∂f/∂xi=∑1≤j≤d jpjxij-1。
kの標数が0でpd≠0だから少なくともdpdxid-1の項は0でなく、
他の項はxiの冪が異なるので、dpdxid-1は和によって消えないので∂f/∂xi≠0。
fの、全次数が最高次の項αがxiを含まないなら、
α∈k[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn]はp0に含まれる。
∂f/∂xiではp0は消えるから∂f/∂xiはαを含まないので、
xiを含まないfの項に由来する∂f/∂xiの項の全次数はfの全次数より小さい。
また、αがxiを含むなら、α=α'xim, α'∈k[x1,...,xi-1,xi+1,...,xn]と書ける。
この項に由来する∂f/∂xiの項は、mα'xim-1の形で和に入るから、
全次数はfの全次数より小さい。
したがって∂f/∂xiの全次数はfの全次数より小さい。
演習問題14
Maximaで
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load("grobner");
f1:
x*y;
f2:
(x-y)*x;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y]);
-----
によりJ=<x2,xy>だからV(J)は直線x=0 (y軸)。
したがってI(V(J))=<x>なので零点定理により√J=<x>。
演習問題15
fの項のうち、異なる2つの文字の積を含む項は、
どのような項順序を取るかに関係なく必ずxy,xz,yzのいずれかで割れるから、
fをxy,xz,yzで割った余りはx,y,zのうち一つだけを含む項と定数項。
すなわちa,b,c∈k[x,y,z]およびX∈k[x],Y∈k[y],Z∈k[z]として
f=axy+bxz+cyz+X+Y+Zと書ける。
ただし定数項はX,Y,Zのいずれかに含めている。
このときA,B,C∈k[x,y,z]としてfm=Axy+Bxz+Cyz+(X+Y+Z)mの形である。
fm∈<xy,xz,yz>なら(X+Y+Z)m=0だからX+Y+Z=0なので、
f= axy+bxz+cyz∈<xy,xz,yz>となる。
fは任意だから<xy,xz,yz>は根基イデアル。
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