(a)
与えられた群はKleinの四元群D4で、
4個の文字のうち2つずつを入れ替える置換全てからなる。
HTMLの制約のため、(1234)を(ijkl)へ移す置換を((1234)(ijkl))と書くことにする。
任意のσ=((1234)(ijkl))∈S4について、
σ(12)(34)σ-1=((ijkl)(1234))(34)(12)((1234)(ijkl))=(ij)(kl)∈D4,
σ(13)(24)σ-1=((ijkl)(1234))(24)(13)((1234)(ijkl))=(ik)(jl)∈D4,
σ(14)(23)σ-1=((ijkl)(1234))(23)(14)((1234)(ijkl))=(il)(jk)∈D4で、
(ij)(kl),(ik)(jl),(il)(jk)は(12)(34),(13)(24),(14)(23)の単なる並べ替えだから、
σD4σ-1=D4となるのでD4⊴S4。
(b)
任意のσ∈S4とα∈A4について、sign(σασ-1)=1だからσασ-1∈A4なのでσA4σ-1⊂A4。
任意のα∈A4についてα=((1234)(ijkl)), sign(α)=1とすると、
β=((1234)(jikl)) ∈A4, σ=(12)∈S4としてσβσ-1=αだから、
α∈σA4σ-1なのでA4⊂σA4σ-1。
故にA4=σA4σ-1だからA4はS4の正規部分群で[S4:A4]=|S4|/|A4|=24/12=2。
(a)と同様の議論によりD4⊴A4, [A4:D4]=12/4=3。
D4={e,τ,υ,τυ},τυ=υτとするとυ<τ>υ-1=<τ>だから<τ>≃C2⊴ D4, [D4:C2]=4/2=2。
以上により列{e}⊂C2⊂D4⊂A4⊂S4は定義8.1.1を満たすので、A4, S4は可解。
演習問題2
HTMLの制限のため、\tilde{G}をGで表す。
HTMLの制限のため、\tilde{G}をGで表す。
(a)
主張(a):
πの定義によりG0⊂G/Hは明らか。
任意のg∈G/Hについてg=gHとなるg∈Gが存在して、
π(g)=gとなるのでG/H⊂G0。以上によりG0=G/H。
したがってπは全射準同型。
主張(b):
πの定義により明らか。
主張(c):
任意のg∈Gi-1とh∈Giについてghg-1∈Giで、πは準同型だから、
π(g)=g∈Gi-1, π(h)=h∈Giとして Gi∋π(ghg-1)=ghg-1よりgGig-1⊂Gi。
πは全射だから任意のh∈Gi⊂G/Hについてh=hHとなるh∈Gi⊂Gが存在する。
任意のg∈Gi-1についてa=ghg-1∈Giだからg-1=g1∈Gi-1としてh=g1ag1-1。
これよりg1=π(g1)∈Gi-1としてh=π(h)=g1ag1-1となるa=π(a)∈Giが存在するから、
Gi⊂gGig-1。以上によりGi=gGig-1だからGi⊴Gi-1。
主張(d):
主張の写像をφとし、g1,g2-1∈Gi-1とすると、Gi⊴Gi-1よりg2Gig2-1=Giだから
φ(g1Gig2-1Gi)=φ(g1g2-1(g2Gig2-1)Gi)=φ(g1g2-1Gi)=π(g1g2-1)Gi=π(g1)π(g2)-1Gi,
また主張(c)によりGi⊴Gi-1なのでπ(g2)Giπ(g2)-1=Giだから
φ(g1Gi)φ(g2-1Gi)=π(g1)Giπ(g2-1)Gi=π(g1)π(g2)-1(π(g2)Giπ(g2)-1)Gi=π(g1)π(g2)-1Giとなり、
したがってφ(g1Gig2-1Gi)=φ(g1Gi)φ(g2-1Gi)だからφは群準同型。
πは全射なので任意のg∈Gi-1に対しg∈Gi-1が存在してg=π(g)だから、
gGi=π(g)Gi=φ(gGi)となり、φは全射となる。
(b)
φは全射なので、定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりM1/Ker(φ) ≃M2。
Ker(φ)はM1の部分群だから、定理A.1.1(Lagrangeの定理)により、
|Ker(φ)|は|M1|=pを割り、|M2|=|M1|/|Ker(φ)|。
pは素数なので|Ker(φ)|=1または|Ker(φ)|=pだから、|M2|=1または|M2|=p。
(c)
定義8.1.1により|Gi-1/Gi|は素数で、
主張(d)によりφ: Gi-1/Gi→Gi-1/Giは全射準同型だから、
(b)により|Gi-1/Gi|=1または|Gi-1/Gi|=|Gi-1/Gi|、
すなわちGi-1=Giまたは|Gi-1/Gi|は素数。
演習問題3
(a)
演習問題2(a)によりπは全射準同型。
π(e)=HはG/Hの単位元なのでKの単位元でもあるからe∈π-1(K)。
またh∈Hならπ(h)=hH=H∈Kだから、H⊂π-1(K)。
k1,k2∈π-1(K)とすると、π(k1)=k1H∈K, π(k2)=k2H∈Kで、
KはG/Hの部分群だから(k1H)(k2H)∈K。
πは全射だから、(k1H)(k2H)=kHとなるk∈Gが存在するので、k∈π-1(K)。
πは準同型だから(k1H)(k2H)=π(k1)π(k2)=π(k1k2)=k1k2Hとなるので、
k=k1k2としてよい。すなわちk1k2∈π-1(K)。
したがってπ-1(K)はHを含むGの部分群。
(b)
g∈Gとしてπ(g)=gH=eH=Hなら、
任意のh1∈Hに対しあるh2∈Hが存在してgh1=h2なので
g=h2h1-1∈Hだから、Ker(π)=π-1({eH})=H。
(c)
(a)によりπ-1(G/H)⊂G。任意のg∈Gについてπ(g)=gH∈G/Hだから、
G⊂π-1(G/H)となるのでπ-1(G/H)=G。
演習問題4
0≤i≤mに対し、Giとπ-1の定義によりπ(Gi)=π(π-1(Gi))=Gi。
またg∈π-1(Gi)ならπ(g)∈Gi⊂Gi-1だからπ-1(Gi)⊂π-1(Gi-1)で、
演習問題3(a)によりGi=π-1(Gi)はHを含むGの部分群。
g∈π-1(Gi), h∈π-1(Gi-1),とすると、π(g)∈Gi, π(h)∈Gi-1でπは準同型なので、
Gi⊴Gi-1よりπ(hgh-1)=π(h)π(g)π(h)-1∈Giだから、
hgh-1∈π-1(Gi)となるので、π-1(Gi)⊴π-1(Gi-1)となる。
p=[Gi-1:Gi]=|Gi-1/Gi|は素数なのでGi-1/Gi≃Cp、
πは全射準同型で、演習問題3(b)によりKer(π)=Hだから、
定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりGi/H≃Giとなり|Gi|/|H|=|Gi|。
同様に|Gi-1|/|H|=|Gi-1|なので、p=|Gi-1/Gi|=|Gi-1|/|Gi|=|Gi-1|/|Gi|=|Gi-1/Gi|だから、
Gi-1/Gi≃Cp≃Gi-1/Giとなる。
演習問題5
(a)
任意のg∈Z(G), h∈Gについてgh=hgよりg=hgh-1だから、
0≤i≤o(g)-1としてhgih-1=gi∈<g>。
故にh<g>h-1=<g>なので<g>⊴G。
(b)
n=1ならG≃CpはAbel群だから命題8.1.5により可解。
m<nなる全てのmについて位数pmの群は可解と仮定する。
|G|=pnならGの部分群の位数はpの冪なので、
g∈Z(G), g≠eとして|<g>|=pl (0<l≤n)。
l=nならGは巡回群で、したがってAbel群だから、命題8.1.5により可解。
l<nとすると、(a)により<g>⊴Gだから、|G/<g>|=pn-l。
帰納法の仮定により、<g>とG/<g>は可解となるから、
定理8.1.4によりGは可解。
演習問題6
(a)
|G|=10=2·5とし、NをGの5-Sylow部分群の個数とすると、
Sylowの第3定理よりN|10かつN≡1 (mod 5)なのでN=1。
したがって5-Sylow部分群はただ一つなのでこれをHとすると、
Sylowの第2定理よりH⊴G。|H|=5は素数だから、
H≃C5となりAbel群だから命題8.1.5によりHは可解。
|G/H|=2よりG/H≃C2だから同様にG/Hも可解。
よって定理8.1.4によりGは可解。
|G|=15=3·5のときについても同様。
(b)
|G|=30とする。Gが可解なら、30=2·3·5は素数でないので、
N≠{e}, N≠GなるGの正規部分群Nが存在して|G/N|=2,3または5。
逆にGの正規部分群Nが存在してN≠{e}, N≠Gなら、
|N|と|G/N|は|G|の約数2,3,5,6,10,15のいずれかである。
位数2,3,5の群は巡回群と同型で、故にAbel群だから命題8.1.5により可解。
位数6の群はC6かS3に同型なので可解。
位数10,15の群は(a)により可解。したがってNとG/Nは常に可解なので、
定理8.1.4によりGは可解。
(c)
|G|=30=2·3·5とし、N3をGの3-Sylow部分群の個数とすると、
Sylowの第3定理よりN3|30かつN3≡1 (mod 3)なのでN3=1または10。
N5をGの5-Sylow部分群の個数とすると、
Sylowの第3定理よりN5|30かつN5≡1 (mod 5)なのでN5=1または6。
(d)
Gが3-Sylow部分群を10個、5-Sylow部分群を6個同時に含むと仮定する。
Gの3-Sylow部分群をX1,...,X10とすると、
これらはすべて位数3だからC3に同型なので、
Xi=<xi>={e,xi,xi 2} (xi∈Xi, o(xi)=3)となり、各Xiは位数3の元を2個含む。
Xi≠Xj (i≠j)だから、xi≠xj, xi≠xj2, xi2≠xj (i≠j)となり、
したがってGは位数3の元を2·10=20個含む。
同様に、5-Sylow部分群が6個あったとすると、
Gは位数5の元を4·6=24個含む。
|G|=30<24+20=44だから、鳩の巣原理により、
Gには位数が3かつ5の元が存在することになり矛盾。
したがって、Gが10個の3-Sylow部分群と6個の5-Sylow部分群を
同時に含むことは起こりえない。
以上により(c)のN3=1またはN5=1だから、
Gの3-Sylow部分群と5-Sylow部分群のいずれかはGの正規部分群Nとなり、
(b)によりNは可解。|G/N|=10または6なので、(b)によりG/Nは可解。
したがって定理8.1.4によりGは可解。
演習問題7
|G|<60なら、|G|=30=2·3·5と|G|=42=2·3·7の場合を除いて、
|G|=pnqm (n≥0, m≥0)の形となるから、
定理8.1.8(Burnsideの定理)により|G|<60, |G|≠30,42の群は可解。
演習問題6により|G|=30の群は可解、
例8.1.11により|G|=42の群は可解なので、
|G|<60の群Gは全て可解。
演習問題8
(a)
i=n-kとして、kについての数学的帰納法で証明する。
k=0のときGn-1/Gn=Gn-1/{e}=Gn-1はAbel群だから、命題8.1.5により可解。
いまGn-kが可解と仮定する。
Gn-k⊴Gn-k+1なので、自然準同型π:Gn-k+1→Gn-k+1/Gn-k (gn-k+1→gn-k+1Gn-k)を、
定理8.1.4の証明と同様に考えると、演習問題2(a)と同様にしてπは全射で、
π(Gn-k+1)=Gn-k+1/Gn-k, Ker(π)=Gn-kであることが示される。
Gn-k+1/Gn-kはAbel群なので命題8.1.5により可解だから、
Abelである正規部分群の列
Hm={eGn-k }⊴Hm-1⊴...⊴Hl⊴...⊴H0=Gn-k+1/Gn-k (1≤l≤m)が存在して、
|Hl-1|/|Hl|=pl(l>0)は素数となる。
(8.1)式と同様にπ-1を考える。すなわちπ-1(Hl)={h∈Gn-k+1|π(h)∈Hl }。
演習問題3と同様にして、π-1(Hm)=Gn-k⊂π-1(Hm-1)⊂...⊂π-1(H0)=Gn-k+1で、
π-1(Hl)はGn-kを含むGn-k+1の部分群であることが示される。
任意のg∈π-1(Hl-1), h∈π-1(Hl)に対し、Gn-k+1/Gn-kはAbel群なので
π(ghg-1)=π(g)π(h)π(g-1)=π(g)π(g-1)π(h)=π(h)だからghg-1∈π-1(Hl)となるので、
π-1(Hl)⊴ π-1(Hl-1)である。したがって、π-1によって正規部分群の列
π-1(Hm)=Gn-k⊴π-1(Hm-1) ⊴...⊴π-1(H0)=Gn-k+1が得られる。
π-1の定義から明らかにIm(π|π-1(Hl-1))=Hl-1 だからπ|π-1(Hl-1)は全射で、
Ker(π|π-1(Hl-1))=Gn-kだから、定理A.1.3(群準同型の基本定理)により
π-1(Hl-1)/Gn-k≃Hl-1。これより|π-1(Hl-1)|=|Hl-1||Gn-k |。
同様に|π-1(Hl)|=|Hl||Gn-k |となるので、|π-1(Hl-1)|/|π-1(Hl)|=|Hl-1|/|Hl|=plは素数となる。
帰納法の仮定によりπ-1(Hm)=Gn-kは可解だから、
{e}⊴...⊴π-1(Hm)となる定義8.1.1を満たす正規部分群の列が存在する。
したがって正規部分群の列{e}⊴...⊴π-1(Hm)=Gn-k⊴π-1(Hm-1) ⊴...⊴π-1(H0)=Gn-k+1は、
定義8.1.1を満たすから、Gn-k+1は可解。
以上によりG0=Gは可解。
(b)
i=n-kとして、kについての数学的帰納法で証明する。
k=0のときGn-1/Gn=Gn-1/{e}=Gn-1は仮定により可解。
いまGn-kが可解と仮定する。
Gn-k ⊴Gn-k+1かつGn-k+1/Gn-kは可解だから、定理8.1.4によりGn-k+1は可解である。
したがってG0=Gは可解。
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