演習問題7
(a)
[γ]·∞=a/c=∞よりc=0。
すると(aα+b)/d=αより(a-d)α+b=0 (1), (aβ+b)/d=βより(a-d)β+b=0 (2)。
(1)-(2)より(a-d)(α-β)=0。α≠βだからa=d、さらにb=0を得る。
したがってγ=aI2∈F*I2。
(b)
α=∞なら(a)によりγ∈F*I2。
γで固定される3点のどれも∞でないとする。[γ]·α=αである。
δ=((e,f),(g,h))とすると[δ]·α=∞よりgα+h=0。
演習問題6(b)により、δの各要素を定数倍したものは、
同じF^への作用を与えるから、g=1, h=-αとして一般性を失わない。
さらに、γで固定される他の2点をη,ζ、すなわち[γ]·η=η, [γ]·ζ=ζとすると、
e=η+ζ-α, f=-ηζとすれば、[δ]·η=η, [δ]·ζ=ζとなるから、[δ] =((η+ζ-α,-ηζ),(1,-α))。
δ-1=((α, -ηζ),(1,-η-ζ+α))/(αη+αζ+α2-ηζ))より、
[δ-1]=((α, -ηζ),(1,-η-ζ+α))としてよいから、
[δγδ-1]·∞=[δ]·([γ]·([δ-1]·∞))=[δ]·([γ]·α)=[δ]·α=∞,
[δγδ-1]·η=[δ]·([γ]·([δ-1]·η))=[δ]·([γ]·η)=[δ]·η=η,
[δγδ-1]·ζ=[δ]·([γ]·([δ-1]·ζ))=[δ]·([γ]·ζ)=[δ]·ζ=ζとなる。
すなわち(a)によりδγδ-1∈F*I2だから、あるλ≠0が存在してδγδ-1=λI2。
したがってγ=λI2∈F*I2すなわち[γ]=[I2]となるので、
3点を固定するF^上のPGL(2,F)の作用は、恒等的な作用である。
(c)
i=1,2,3として、[γ1]·αi=βi, [γ2]·αi=βiとなったとすると、
[γ1-1]·βi=αiより、[γ1-1γ2]·αi=[γ1-1]·βi=αiだから、(b)により[γ1-1γ2]=[I2]。
したがって[γ2]=[γ1]だから一意性が従う。
演習問題8
P(a,b,c)と(0,0,1)を通る直線の方程式は、媒介変数をtとして
x=at, y=bt, z=1+(c-1)tである。
z=0のときt=1/(1-c)だから、π(a,b,c)=(a/(1-c),b/(1-c),0)。
演習問題9
[γ2]·z=izより[γ2]·1=i, [γ2]·i=-1, [γ2]·(-1)=-i。
命題7.5.8により[γ2]はこの3点1,i,-1での値によってただ一つに決まるので、
r2はγ2に対応する。
[γ3]·z=(z-1)/(z+1)より[γ3]·i=i, [γ3]·(-i)=-i, [γ3]·∞=1。
命題7.5.8により[γ3]はこの3点i,-i,∞での値によってただ一つに決まるので、
r3はγ3に対応する。
演習問題10
対称群(symmetric group)と対称の群(symmetry group)は違うことに注意。
(a)
正8面体の一つの頂点vはGの作用によって6個の頂点へ移るので、|G·v|=6。
vを不変にするGの作用は、vとその対向点を通る軸回りの回転で、
すなわちvの固定部分群は位数4の巡回群C4だから|Gv|=|C4|=4。
したがって定理A.4.9(群作用の基本定理)により|G|=|Gv||G·v|=24。
(b)
正8面体の各面の、Gの作用による移動は、
内接正6面体の8個の頂点の移動に1対1に対応する。
したがって、Gは正8面体の8個の面を置換する群S8の部分群と同型で、
この部分群は内接正6面体の各頂点を移す正6面体の回転の群と同型となる。
(c)
Gの作用によって、正6面体の4つの対角線が置換される。
対角線の置換を与えれば正6面体の回転は一つに決まるので、
GはS4の部分群と同型となるから、対角線へのGの作用は群準同型G→S4を与える。
(d)
例7.5.10の構成において、内接正6面体の4つの対角線li (i=1,2,3,4)は、
ℝ3での正8面体の各重心(±1/3, ±1/3, ±1/3)のうち、
相対する2つの面の重心を通る直線である。
liのℝ3での代表点Qiを、liと正8面体の面の交点(=面の重心)で
z>0となる点と定義し、添字をQ1(1/3,1/3,1/3), Q2(-1/3,1/3,1/3),
Q3(-1/3,-1/3,1/3), Q4(1/3,-1/3, 1/3)とする。
原点O(0,0,0)とし、OQiとRiemann球面の交点をPiとすれば、
P1(1/√3,1/√3,1/√3), P2(-1/√3,1/√3,1/√3),
P3(-1/√3,-1/√3,1/√3), P4(1/√3,-1/√3,1/√3)。
(7.28)式よりπ^(P1)=(1+i)/(√3-1), π^(P2)=(-1+i)/(√3-1),
π^(P3)=(-1-i)/(√3-1), π^(P4)=(1-i)/(√3-1)。
QiOとRiemann球面の交点をPi'とすればPi(xi,yi,zi)なら。Pi'(-xi,-yi,-zi)。
さらに(7.28)式により、π^-1(α+iβ)=(2α/s,2β/s,(s-2)/s) (s=α2+β2+1)。
以上の定義を用いて、
r1(P1)= π^-1(π^∘r1∘π^-1(π^(P1)))= π^-1([γ1]·((1+i)/(√3-1))
=π^-1((√3-1)/(1+i))= (1/√3,-1/√3,-1/√3)=P2'なので、
r1によってl1はl2に移る。同様にr1(P2)=P1', r1(P3)=P4', r1(P4)=P3'。
したがってr1に対応するlの添字の置換は(12)(34)。
r2(P1)= π^-1(π^∘r2∘π^-1(π^(P1)))= π^-1([γ2]·((1+i)/(√3-1))=π^-1(π^(P2))=P2なので、
r2によってl1はl2に移る。同様にr2(P2)=P3, r2(P3)=P4, r2(P4)=P1。
したがってr2に対応するlの添字の置換は(1234)。
r3(P1)= π^-1(π^∘r3∘π^-1(π^(P1)))= π^-1([γ3]·((1+i)/(√3-1))
=(1/√3,1/√3,-1/√3)=P3'なので、
r3によってl1はl3に移る。同様にr3(P2)=P1, r3(P3)=P4, r3(P4)=P2'。
したがってr3に対応する置換は(1342)。
以上により、(c)の準同型G→S4によってr1→(12)(34), r2→(1234), r3→(1342)
と写像される。
(e)
(この本の置換の順序のコンヴェンションでは)(12)(34)·(1342)=(14)である。
6.4節演習問題7により、対称群は一つの巡回置換と一つの互換によって生成される
(添字を適当に付け替えれば(14)を(12)と書ける)から、
(1234), (1342), (12)(34)によってS4が生成される。
(f)
(e)により、(c)の準同型G→S4においてr1r3→ (14)である。
したがってr2とr1r3によって、S4と同型な群が生成されるからG≃S4。
演習問題11
(a)
この写像をφ: AGL(1,F)→PGL(2,F) (γa,b→((a,b),(0,1)))とする。
γa,bγc,d =γac,ad+b、一方((a,b),(0,1))((c,d),(0,1))=((ac,ad+b),(0,1))。
したがってφは群準同型。
γa,b∈Ker(φ)とすると、φ(γa,b)=((1,0),(0,1))よりa=1,b=0だから、
Ker(φ)={γ1,0}={eAGL(1,F)}なのでφは1対1。
(b)
演習問題6(b)のPGL(2,F)のF^への作用[γ]·α=(aα+b)/(cα+d)において、
[γ]·∞=a/c=∞となるのはc=0のときで、演習問題6(b)により
[γ]はa,b,c,dを定数倍してもGL(2,F)において同じ同値類を与えるから、
d=1としてよい。したがって、c=0,d=1が∞の固定部分群PGL(2,F)∞を与える。
故に[γ∞]∈PGL(2,F)∞を任意にとると[γ∞]·α=aα+b=γa,b(α)
となるγa,bが存在するので、φは PGL(2,F)∞の上への写像、
すなわちIm(φ)=PGL(2,F)∞。
(a)によりφは1対1準同型だからAGL(1,F)≃PGL(2,F)∞。
演習問題12
(a)
n=4のときはこの多面体は正8面体だから、
演習問題10により対称の群はS4。
n≠4のときは、頂点の位置はℂ^で1,ζn,..., ζnn-1,0,∞である。
演習問題の図から、0と∞を交換して1を不変に保つ回転bと、
0と∞を不変に保つz軸回りの2π/n (i=0,1,...,n-1)の回転rによって、
対称の群Gが生成されることがわかる。
明らかにo(b)=2, o(r)=nで、<b>≃C2, <r>≃Cn, G=<r,b>≃Cn⋃Cnb≃D2n。
実際、bは例7.5.10や演習問題10のr1と同じだから、
定理7.5.9の準同型写像をφ: G→PGL(2,ℂ)として、
φ(b)=[β]=((0,1),(1,0))、[β]·z=1/z。
φ(r)=[ρ]とすると、[ρ]·z=e2πi/nzだから、[ρ]=((e2πi/n,0),(0,1))。
[β][ρ][β]=((1,0),(0,e2πi/n))で、この定数倍は[βρβ]と同じPGL(2,ℂ)の同値類に属するから、
((e-2πi/n,0),(0,1))=ρ-1を[βρβ]の新たな代表元に取れる。
したがって[βρβ]=[ρ-1]だから、[β]と[ρ]が生成するPGL(2,ℂ)の部分群Im(φ)は、
D2nと同型。φは定理7.5.9により1対1だから、G≃D2n。
(b)
z=c上の頂点を、1,ζn,..., ζnn-1から動かした順にそれぞれPj (j=1,...,n)とすると、
Pj(√(1-c2)cos[2π(j-1)/n], √(1-c2)sin[2π(j-1)/n], c)だから、(7.28)式より
π^(Pj)=√[(1+c)/(1-c)]e2πi(j-1)/n。
[β]·π^(Pj)=√[(1-c)/(1+c)]e-2πi(j-1)/nなので、π^-1([β]·π^(Pj))はどの頂点にも対応しないから、
(a)のbは対称の群の元でない。
[ρ]·π^(Pj)=√[(1-c)/(1+c)]e2πij/nはPjをP[j+1]nへ移す回転を与えるから、
対称の群の生成元である。
したがって、対称の群G=<r>である。o(r)=nだったからG≃Cn。
(c)
対称の群G≃C1={e}となる場合:
恒等変換のみが対称の群となるのは、立体を恒等変換以外どのように回転しても、
重なり合わせることができないときなので、
例えば球に内接する、全ての2辺の組が不等な立体。
対称の群G≃C2となる場合:
(b)では(a)のn≠4の立体の対称面をずらしたが、対称面ではなく極の2点を、
同じ方向にずらす、例えばℝ3で(0,0,1),(0,0,-1)を、
それぞれN(d,0,√(1-d2)), S(d,0,-√(1-d2)) (0<d<1)へずらした立体を考える。
ℂ^では(7.28)式よりπ^(N)=[1+√(1-d2)]/d, π^(S)=[1-√(1-d2)]/d。
[β]·π^(N)=[1-√(1-d2)]/d=π^(S), [β]·π^(S)=π^(N), [β]·ζnj=ζn[-j]nだから、
bはNとSを交換し、z=0上の頂点を別の頂点へ重ねるので、b∈G。
[ρ]·π^(N)=[1+√(1-d2)]e2πi/n/dはどの頂点にも対応しないので、r∉Gだから、
G=<b>とo(b)=2よりG≃C2。
対称の群G≃D4=C2×C2となる場合:
G={e,σ,τ,στ}, o(σ)=o(τ)=2, στ=τσである。
σ=r1をx軸周りのπ回転、τをy軸周りのπ回転とすると、
στ=τσはz軸周りのπ回転。対応する立体は、球に内接し、
各辺がx,y,z軸のいずれかに平行な、不等辺直方体である。
実際、ℝ3でP1(1,0,0), P2(0,1,0), P3(0,0,1)とすると、
π^(P1)=1, π^(P2)=i, π^(P3)=∞。
(a)のφを用い、σは例7.5.10や演習問題10のr1と同じなので、
[φ(σ)]2=I2,
σ(P1)=π^-1(π^∘σ∘π^-1(π^(P1)))= π^-1([φ(σ)]·1)=π^-1(1)=P1
σ(P2)=π^-1([φ(σ)]·i)=π^-1(-i)= (0,-1,0),
σ(P3)=π^-1([φ(σ)]·∞)=π^-1(0)=(0,0,-1)。
(a)のφを用いて[φ(τ)]=((0,-1),(1,0))すなわち[φ(τ)]·z=-1/zとすると、
[φ(τ)]2=I2,
τ(P1)=π^-1(π^∘τ∘π^-1(π^(P1)))=π^-1([φ(τ)]·1)=π^-1(-1)=(-1,0,0),
τ(P2)=π^-1([φ(τ)]·i)=π^-1(i)=(0,1,0),
τ(P3)=π^-1([φ(τ)]·∞)=π^-1(0)=(0,0,-1)だから、
命題7.5.8によりy軸回りのπ回転に対応する[φ(τ)]はただひとつ定まる。
[φ(στ)]=[φ(σ)][φ(τ)]=((1,0),(0,-1))=-[φ(τ)][φ(σ)]で、
[φ(σ)][φ(τ)]の定数倍は[φ(σ)][φ(τ)]と同じPGL(2,ℂ)の同値類に属するから、
PGL(2,ℂ) において[φ(στ)]=[φ(τ)][φ(σ)]=[φ(τσ)]。
定理7.5.9によりφは1対1だからστ=τσ。
[φ(στ)]·z=-zは確かにz軸周りのπ回転となる。
対称の群G≃D8となる場合:
G={e,σ,σ2,σ3,τ,στ,σ2τ,σ3τ}, o(σ)=4, o(τ)=2, σ2τ=τσ2である。
部分群H={e,σ2,τ,σ2τ}≃D4⊴D8なので、先のD4の結果から、
σ2はx軸周りのπ回転、τはy軸周りのπ回転、σ2τはz軸周りのπ回転と見做せる。
これより、σはx軸周りのπ/2回転と見做せる。
対応する立体は、球に内接する立方体でない正四角柱で、
側面の辺がx軸に平行なものである。
点の定義をD4の場合と同様として、σ(P1)=P1, σ(P2)=P3, σ(P3)=(0,-1,0)
とならなければならないので、
σ(P1)=π^-1(π^∘σ∘π^-1(π^(P1)))=π^-1([φ(σ)]·1)=P1=π^-1(1)より[φ(σ)]·1=1,
σ(P2)=π^-1([φ(σ)]·i)=P3=π^-1(∞)より[φ(σ)]·i=∞,
σ(P3)=π^-1([φ(σ)]·∞)=(0,-1,0)=π^-1(-i)より[φ(σ)]·i=-i。
これを満たすのは[φ(σ)]=((-i,1),(1, i))すなわち[φ(σ)]·z=(-iz+1)/(z-i)。
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