演習問題11
(a)(d)
定理9.1.11によりGal(ℚ(ζp)/ℚ)≃(ℤ/pℤ)*=<[g]>で、
Hf=Gal(ℚ(ζp)/Lf)⊂Gal(ℚ(ζp)/ℚ)は、
(ℤ/pℤ)*の位数fの唯一の部分群と同型だからHf≃<[g(p-1)/f]>=<[ge]>。
同じ同型写像によって、同様にHfq=Gal(ℚ(ζp)/Lfq)≃<[g(p-1)/fq]>=<[ge/q]>。
τ(ζp)=ζpge/qなので、定理9.1.11によりこの同型は、
τを[ge/q]へ移すからHfq=<τ>。
LfはHfの固定体だから、Hfqの各元をLfへ制限すると、
HfqにおいてHfに対する同じ左剰余類に属する元は、
Lfにおいて同じ置換を引き起こす。
f|fqだから演習問題1(b)によりHf⊂Hfq、
さらにHfqは巡回群なのでAbel群だからHf⊴Hfqなので、
Hfqの各元のLfへの制限の集合は、Hfq/Hf≃<τ|LfHf
>=<σ'Hf >となる。
なお<σ'Hf >の位数は|Hfq|/|Hf|=qでqは素数なので<σ'Hf >≃ℤ/qℤだから、
σ'=τ|Lf をHfq=<τ>≃<[ge/q]>の同型によって [ge/q]と同一視し、
さらに[ge/q]を簡単のためge/qと書くことにすれば
Hfq/Hf ={Hf, ge/qHf, g2e/qHf, ..., g(q-1)e/qHf}、
すなわちHfq=Hf⋃ge/qHf⋃g2e/qHf⋃...⋃g(q-1)e/qHfとなり(9.23)式を得る。
一方f|fqだから命題9.2.1によりℚ⊂Lfq⊂Lf⊂ℚ(ζp)で、
Gal(ℚ(ζp)/ℚ)≃(ℤ/pℤ)*はAbel群だから、Hf ⊴Gal(ℚ(ζp)/ℚ)。
Lfq⊂Lf⊂ℚ(ζp)に定理7.3.2を用いてGal(Lf
/Lfq)≃Hfq/Hfとなるので、
Gal(Lf /Lfq)≃<σ'Hf >≃ℤ/qℤ。
σ'Hfの代表元としてσ'をとってσ'Hfと同一視することで、
Gal(Lf /Lfq)≃<σ'>≃ℤ/qℤとなる。
(b)
q=2ならω=-1∈ℚ⊂Lfqなので、Lfq(ω)=Lfq, Lf(ω)=Lfだから
Gal(Lf (ω)/Lfq(ω))≃Gal(Lf /Lfq)。
以下q≠2すなわちqは奇素数とする。
命題4.2.5と命題4.1.5によりωのℚ上の最小多項式はΦq∈ℚ[x]。
qはp-1の約数なのでgcd(q,p)=1だから、
9.1節演習問題16によりΦqはℚ(ζp)上規約。
Lfq⊂Lf⊂ℚ(ζp)だから、ΦqはLfq, Lf上でも規約である。
qは奇素数だから9.1節演習問題1により
[Lfq(ω):Lfq]=deg(Φq)=φ(q)=q-1,
[Lf(ω):Lf]=q-1
また(8.6)によりℚ⊂ℚ(ζp)はGalois拡大だから、
ℚ⊂Lfq⊂ℚ(ζp)と命題7.1.3によりLfq⊂ℚ(ζp) はGalois拡大。
Lfq⊂Lf⊂ℚ(ζp)から定理7.3.1と定理A.1.1(Lagrangeの定理)により
[Lf:Lfq]=[Gal(ℚ(ζp)/Lfq):Gal(ℚ(ζp)/Lf)]=[Hfq:Hf]=|Hfq|/|Hf |=q。
したがって定理4.3.8(塔定理)により、
[Lf(ω):Lfq]=[Lf(ω):Lf][Lf:Lfq]=q(q-1)だから
q(q-1)=[Lf(ω):Lfq]=[Lf(ω):Lfq(ω)][Lfq(ω):Lfq]=(q-1)[Lf(ω):Lfq(ω)]により
[Lf(ω):Lfq(ω)]=q。
(a)によりℚ⊂Lfq⊂Lf⊂ℚ(ζp)でℚ⊂Lfは命題9.2.1によりGalois拡大だから、
命題7.1.3によりLfq⊂LfはGalois拡大で、
定理7.1.5により|Gal(Lf/Lfq)|=[Lf:Lfq]=q。
さらに補題8.3.1によりLfq(ω)⊂Lf(ω)はGalois拡大だから、
定理7.1.5により|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))|=[Lf(ω):Lfq(ω)]=q。
Lfq⊂Lf(ω), Lfq⊂LfはGalois拡大だから、
定理7.2.7によりGal(Lf(ω)/Lfq)/Gal(Lf(ω)/Lf)≃Gal(Lf/Lfq))。
この同型写像は定理7.2.7の証明から、
群準同型写像Φ: Gal(Lf(ω)/Lfq)→Gal(Lf/Lfq)
(σ∈Gal(Lf(ω)/Lfq)→Φ(σ)=σ|Lf)において、
Ker(Φ)=Gal(Lf(ω)/Lf)であることから得られる。
Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))⊂Gal(Lf(ω)/Lfq) から、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω)): Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))→Gal(Lf/Lfq) を考えると、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))は明らかに群準同型。
Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))の元はLfq(ω)上恒等なのでωを固定するから、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))(τ)=1LfならτはLf,とωを共に固定するので、
Ker(Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω)))はGal(Lf(ω)/Lfq(ω))の単位元のみからなる。
したがってΦ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))は1対1。
|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))|=|Gal(Lf/Lfq)|=qだったから、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))は全射となり、故に同型。
よってGal(Lf
(ω)/Lfq(ω))≃Gal(Lf /Lfq)≃<σ'Hf
>≃ℤ/qℤ。
(c)
定義9.2.3より(f,λ)=∑a∈[λ]Hf ζpaで、
命題9.2.6により任意のλについてLf=ℚ((f,λ))だから(f,λ) ∈Lf。
(b)によりσ∈Gal(Lf(ω)/Lfq(ω)) に対しσ'=σ|Lfなので、
σ((f,λ))=σ'((f,λ))=∑a∈[λ]Hf ζpage/q =(f,ge/qλ)。
演習問題12
(a)
gcd(m,p)=1だから9.1節演習問題16によりΦpはℚ(ζm)上規約で、
したがって命題4.1.5によりℚ(ζm)上のζpの最小多項式。
deg(Φp)=p-1だから、命題4.3.4により1, ζp,..., ζpp-2はℚ(ζm)上線形独立。
(b)
ζp,..., ζpp-1が線形従属すなわち、
すべてが0でないあるa1,..,ap-1∈ℚ(ζm)が存在して
a1ζp+...+ap-1ζpp-1=0なら、ζp(a1+...+ap-1ζpp-2)=0より
a1+...+ap-1ζpp-2=0となり、(a)の1, ζp,..., ζpp-2の線形独立性と矛盾。
したがってζp,..., ζpp-1は線形独立。
(c)
(b)により、補題9.2.4の証明と全く同様に示される。
演習問題13
aが(a/17)=1を満たす、すなわち17を法とした平方剰余であることは、
17を法としたある原始根に対するaの指数が偶数であることと同値だから、
演習問題8(b)により、原始根として3を取ると
平方剰余の集合はH8=<[32]>={[1],[2],[4],[8],[9],[13],[15],[16]}。
非剰余の集合は[3]H8で、(ℤ/17ℤ)*=H8⋃[3]H8、なお(17/17)=0なので、
∑0≤a≤17 (a/17) ζ17a=∑a∈H8 ζ17a-∑a∈[3]H8ζ17a=(8,1)-(8,3)。
演習問題14
(a)
gはnを法とした原始根なので、
補題9.1.2(Fermatの小定理)により[gn-1]=[1]。
rは1の原始n乗根だからk=rgn-2。
A={r, r[g],...,
r[gn-2]}とおくと、
Galoisの表の置換は、0≤j≤n-2に対し、
rを
r[gj]へ移す自己同型の群Gを与える。
明らかに写像φ: G→(ℤ/nℤ)* (σ∈G→[gj])は同型だから、
τ(r)=r[g]とすればG=<τ>, o(τ)=|(ℤ/nℤ)*|=n-1。
すなわちGは位数n-1の巡回群。
(b)
deg((xn-1)/(x-1))=deg(Φn)=|(ℤ/nℤ)*|=n-1、
また最後の行はより一般の場合として、
定理7.1.5(c)について述べていると思われる。
演習問題15
f=1なら定義9.2.3においてH1={e}だから、
[λ]H1={[λ]}なので、 (1,λ)=ζp[λ]。
すなわち1周期とは1の原始p乗根。
演習問題16
<[3]>はGal(ℚ(ζ7)/ℚ)≃(ℤ/7ℤ)*の部分群なので定理A.1.1(Lagrangeの定理)により、
|<[3]>|=o([2])は|(ℤ/7ℤ)*|=φ(7)=6を割る。
3が7の原始根でない、すなわち[3]が(ℤ/7ℤ)*の生成元でないなら、
1でも6でもない6の正の約数m∈{2,3}が存在して[3m]=[1]だが、
[32]=[2]≠[1], [33]=[6]≠[1]なので、
このようなmは存在しない。よって3は7の原始根。
Galois対応により
[L2:ℚ]=|Gal(L2/ℚ)|=[Gal(ℚ(ζ7)/ℚ):H2]=|Gal(ℚ(ζ7)/ℚ)|/|H2|=3だから、
ℚ⊂L2は3次拡大なので2周期のℚ上の最小多項式は3次。
この最小多項式をf=y3+a2y2+a1y+a0とする。
H2=<[33]>={1,6},
2H2={2,5}, 3H2={3,4}で
Gal(ℚ(ζ7)/ℚ)≃(ℤ/7ℤ)*=H2⋃2H2⋃3H2。
相異なる2周期は(2,1),(2,2),(2,3)で、
(2,1)=∑a∈H2 ζ7a=ζ7+ζ76=η1, (2,2)=∑a∈2H2 ζ7a=ζ72+ζ75=η2,
(2,3)=∑a∈3H2 ζ7a=ζ73+ζ74=η3で、例9.2.5が確認される。
命題9.2.6により2周期のℚ上の最小多項式は
f=(y-(2,1))(y-(2,2))(y-(2,3))∈ℚ[y]。
これよりa2=-((2,1)+(2,2)+(2,3))=1、ただし
演習問題6により(2,1)+(2,2)+(2,3)=-1を用いた。
補題9.2.9により
(2,1)(2,2)=(2,1+2)+(2,6+2)=(2,3)+(2,1),
(2,1)(2,3)=(2,1+3)+(2,6+3)=(2,3)+(2,2)。
命題9.2.4を用いて、σi∈Gal(ℚ(ζ7)/ℚ), σi((2,λ))=(2,iλ)とすると、
(2,2)(2,3)=σ2((2,1)(2,2))=σ2((2,3)+(2,1))=(2,1)+(2,2)。
a1はこれらの和だからa1=2((2,1)+(2,2)+(2,3))=-2。
また補題9.2.9を用いて
(2,3)2=(2,3+3)+(2,4+3)=(2,1)+2。これより
-a0= (2,1)(2,2)(2,3)=(2,3)2+(2,1)(2,3)=(2,1)+2+(2,3)+(2,2)=1,
よってa0=-1。
以上によりf= y3+y2-2y-1。これで演習問題3(a)が示された。
演習問題3(b)については、
命題9.2.6によりL2=ℚ((2,1))=ℚ(η1)だから
[ℚ(η1):ℚ]=[L2:ℚ]=3かつℚ(η1)はH2={1,6}の固定体。
[6]=[-1]だから、σ6(ζ7)=ζ7-1=ζ7となり、
6は複素共役を取る置換τに対応する。
3(c)は演習問題3と同様。
演習問題17
2|fだから演習問題1(b)により{[1],[p-1]}≃H2⊂Hf。
HfのH2による左剰余類をH2=[λ1]H2,
[λ2]H2,..., [λf/2]H2とする(λ1=1)と、
すべての1≤i≤f/2について[λi]H2≃{[λi], [λi(p-1)]}={[λi], [-λi]}だから、
∑a∈[λi]H2 ζpa=ζpλi+ζp-λi=ζpλi+ζpλi∈ℝ。
Hf=∐1≤i≤f/2 [λi]H2だから、(f,1)=∑a∈Hf ζpa=∑1≤i≤f/2 (ζpλi+ζpλi) ∈ℝ。
補題9.2.4によりσ∈Gal(ℚ(ζp)/ℚ)), σ(ζp)=ζpλを用いることで、
任意の1≤λ≤p-1に対し
(f,λ)=σ((f,1))=∑1≤i≤f/2 (ζpλλi+ζp-λλi) =∑1≤i≤f/2 (ζpλλi+ζpλλi)∈ℝ。
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