2011-11-05

コックス「ガロワ理論」 9.2節の演習問題1


演習問題1
(a)
Gの単位元をeGとして(ge)f=gn=eGだから、|<ge>|=o(ge)f
いまo(ge)<fなら、あるr<fが存在してo(ge)=rだから、
ger=eGなのでo(g)=er<nとなるが、
gは位数nの巡回群Gの生成元だから、o(g)=|G|=nなので矛盾。
したがって|<ge>|=f
よって定理A.1.4(b)により、<ge>Gの、位数fのただ一つの部分群である。

(b)
Gの生成元をgとし、e=|G|/fe'=|G|/f'とする。(a)により、
Hf=<ge>, Hf'=<ge'>はそれぞれ、Gの位数f,f'のただ一つの部分群である。
f|f'なら、f'=rfとしてe=re'だから、ge=(ge')rHf'なのでHfHf'
逆にHfHf'なら、Hf'は巡回群なのであるrが存在して
ge=(ge')r=gre'だからe=re'。これよりf'=rfだからf|f'

演習問題2
(a)の証明:
(ζp)Galois拡大だから、定理7.3.2によりHf=Gal((ζp)/Lf)で、
HfGal((ζp)/)の部分群である。
定理9.1.11によりGal((ζp)/)(/p)*だから、Gal((ζp)/)Abel群。
したがってGal((ζp)/Lf)Gal((ζp)/)となり、
定理7.2.5によりLfGalois拡大である。

定理7.1.5により[(ζp):]=|Gal((ζp)/)|=p-1
また定理7.3.1により[(ζp):Lf]=|Hf|=fだから、
定理4.3.8(塔定理)により[Lf:]=[(ζp):]/[(ζp):Lf]=(p-1)/f=e

(b)の証明:
f,f'p-1の正の約数なので、演習問題1(b)により、HfHf'f|f'は同値。
(ζp)Galois拡大だから、命題7.1.3によりLf'(ζp)Galois拡大、
故に有限次拡大。

したがってHfHf'=Gal((ζp)/Lf')なら7.1節演習問題1により、Lf'Lf
逆にLf'Lf(ζp) なら補題7.2.4によりHf=Gal((ζp)/Lf)Gal((ζp)/Lf')=Hf'
以上によりHfHf'Lf'Lfは同値だから、Lf'Lff|f'は同値。

(c)の証明:
f|f'だから演習問題1(b)によりHfHf'だが、
Hf'AbelGal((ζp)/)の部分群なのでAbel群だから、HfHf'である。
Lf'Lf(ζp)で、Lf'(ζp)Galois拡大だから、
定理7.3.2によりGal((ζp)/Lf')/Gal((ζp)/Lf)=Hf'/HfGal(Lf/Lf')
故に|Gal(Lf/Lf')|=|Hf'|/|Hf|=f’/f

Hf'Hfは有限Abel群なので、Gal(Lf/Lf')Hf'/Hfも有限Abel群だから、
定理A.1.7により素数冪位数の巡回群の直積と同型となり、
したがって定理A.5.2(中国式剰余定理)により巡回群である。

演習問題3
(a)
x+x-1=ηとすると、x2+x-2=η2-2, x3+x-3=η3-3ηだから
x3+x2+x+1+x-1+x-2+x-3=η3+η2-2η-1
故にζΦ7の根ならば、ζ+ζ-1x3+x2-2x-1の根である。
ζ76=ζ7-1, ζ75=ζ7-2, ζ74=ζ7-3だから、η1=ζ7+ζ7-1, η2=ζ72+ζ7-2, η3=ζ73+ζ7-3,
x3+x2-2x-1の全ての根である。

(b)
命題A.3.1によりx3+x2-2x-1に根を持てば根はx=±1だが、
x=±1x3+x2-2x-1の根でないので、x3+x2-2x-1に根を持たない。
よって補題A.1.19によりx3+x2-2x-1上規約だから、
命題4.1.5によりx3+x2-2x-1η1の最小多項式なので、
命題4.3.4により[(η1):]=3
[(ζ7):]=6だから定理4.3.8(塔定理)により[(ζ7):(η1)]=2

η1=ζ7+ζ76だから(η1)(ζ7)で、(ζ7)ではGalois拡大だから
定理7.3.1により(η1Gal((ζ7)/(η1))の固定体で、
|Gal((ζ7)/(η1))|=[(ζ7):(η1)]=2だから、
Gal((ζ7)/(η1))は位数2の巡回群{e,τ}(o(τ)=2)である。
ζ7ζ76=ζ7の置換に対しη1は不変だから、τは複素共役をとる置換である。

(c)
x3+x2-2x-1の簡約3次方程式y3-(7/3)y -7/27 (x=y-1/3)に、
Cardanoの公式を適用して(9.10)式を得る。

演習問題4
GBによる左剰余類分解をG=λI gλB (gλG, |I|=[G:B])
またBAによる左剰余類分解をB=1jd bjA (bjB, |I|=[B:A]=d)とする。

写像ψλ:BgλB (bBgλbgλB)を考えると、
ggλBならβ=gλ-1gBだから、ψλは全射。
g1=g2 (g1,g2gλB)ならβ1=gλ-1g1= gλ-1g2=β2だからψλ11
したがってψλは全単射だから、BにおけるAの各左剰余類bjA(1jd)は、
ψλによって互いに交わらない集合ψλ(bjA)=gλbjAへ移る。
すなわちgλB=ψλ(B)=ψλ(1jd bjA)=1jψλ(bjA)= 1jd gλbjA
gλbjGだからgλbjAGにおけるAの左剰余類なので、
gλBは、d個のGにおけるAの左剰余類の互いに交わらない和集合。

演習問題5
 []=[λj]λj (mod p) (1)を意味する。
gcd(λ,p)=1だから、不定方程式(1)の解となる、
1i<pなるiが唯一つ存在し、異なるλjに対し異なるiを得る。
すなわち任意のλj (1jd)に対し、[]=[λj]となる[i]が唯一つ存在するから、
補題9.2.4によりすべての(f, λj)について、
(f, λj)=(f, iλ)=σ(η)となるσGal((ζp)/Lf')が存在する。

演習問題6
|[λ]Hf|=|Hf|=fだから、(f, λ)の定義により、
(f, λ)f個のζpaの形の項の和である。
補題9.2.4によりf周期はe個で、異なるf周期は共通の項を持たないので、
λ (f, λ)ef=p-1個の相異なるζpaの和だから、
λ (f, λ)=1ap-1ζpa=Φp(ζp)-1=-1

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