演習問題1
(a)
Gの単位元をeGとして(ge)f=gn=eGだから、|<ge>|=o(ge)≤f。
いまo(ge)<fなら、あるr<fが存在してo(ge)=rだから、
ger=eGなのでo(g)=er<nとなるが、
gは位数nの巡回群Gの生成元だから、o(g)=|G|=nなので矛盾。
したがって|<ge>|=f。
よって定理A.1.4(b)により、<ge>はGの、位数fのただ一つの部分群である。
(b)
Gの生成元をgとし、e=|G|/f, e'=|G|/f'とする。(a)により、
Hf=<ge>, Hf'=<ge'>はそれぞれ、Gの位数f,f'のただ一つの部分群である。
f|f'なら、f'=rfとしてe=re'だから、ge=(ge')r∈Hf'なのでHf⊂Hf'。
逆にHf⊂Hf'なら、Hf'は巡回群なのであるrが存在して
ge=(ge')r=gre'だからe=re'。これよりf'=rfだからf|f'。
演習問題2
(a)の証明:
ℚ⊂ℚ(ζp)はGalois拡大だから、定理7.3.2によりHf=Gal(ℚ(ζp)/Lf)で、
HfはGal(ℚ(ζp)/ℚ)の部分群である。
定理9.1.11によりGal(ℚ(ζp)/ℚ)≃(ℤ/pℤ)*だから、Gal(ℚ(ζp)/ℚ)はAbel群。
したがってGal(ℚ(ζp)/Lf)⊴Gal(ℚ(ζp)/ℚ)となり、
定理7.2.5によりℚ⊂LfはGalois拡大である。
定理7.1.5により[ℚ(ζp):ℚ]=|Gal(ℚ(ζp)/ℚ)|=p-1、
また定理7.3.1により[ℚ(ζp):Lf]=|Hf|=fだから、
定理4.3.8(塔定理)により[Lf:ℚ]=[ℚ(ζp):ℚ]/[ℚ(ζp):Lf]=(p-1)/f=e。
(b)の証明:
f,f'がp-1の正の約数なので、演習問題1(b)により、Hf⊂Hf'とf|f'は同値。
ℚ⊂ℚ(ζp)はGalois拡大だから、命題7.1.3によりLf'⊂ℚ(ζp)はGalois拡大、
故に有限次拡大。
したがってHf⊂Hf'=Gal(ℚ(ζp)/Lf')なら7.1節演習問題1により、Lf'⊂Lf。
逆にLf'⊂Lf⊂ℚ(ζp) なら補題7.2.4によりHf=Gal(ℚ(ζp)/Lf)⊂Gal(ℚ(ζp)/Lf')=Hf'。
以上によりHf⊂Hf'とLf'⊂Lfは同値だから、Lf'⊂Lfとf|f'は同値。
(c)の証明:
f|f'だから演習問題1(b)によりHf⊂Hf'だが、
Hf'はAbel群Gal(ℚ(ζp)/ℚ)の部分群なのでAbel群だから、Hf⊴Hf'である。
Lf'⊂Lf⊂ℚ(ζp)で、Lf'⊂ℚ(ζp)はGalois拡大だから、
定理7.3.2によりGal(ℚ(ζp)/Lf')/Gal(ℚ(ζp)/Lf)=Hf'/Hf≃Gal(Lf/Lf')。
故に|Gal(Lf/Lf')|=|Hf'|/|Hf|=f’/f。
Hf', Hfは有限Abel群なので、Gal(Lf/Lf')≃Hf'/Hfも有限Abel群だから、
定理A.1.7により素数冪位数の巡回群の直積と同型となり、
したがって定理A.5.2(中国式剰余定理)により巡回群である。
演習問題3
(a)
x+x-1=ηとすると、x2+x-2=η2-2, x3+x-3=η3-3ηだから
x3+x2+x+1+x-1+x-2+x-3=η3+η2-2η-1。
故にζがΦ7の根ならば、ζ+ζ-1はx3+x2-2x-1の根である。
ζ76=ζ7-1, ζ75=ζ7-2, ζ74=ζ7-3だから、η1=ζ7+ζ7-1, η2=ζ72+ζ7-2, η3=ζ73+ζ7-3,
がx3+x2-2x-1の全ての根である。
(b)
命題A.3.1によりx3+x2-2x-1がℚに根を持てば根はx=±1だが、
x=±1はx3+x2-2x-1の根でないので、x3+x2-2x-1はℚに根を持たない。
よって補題A.1.19によりx3+x2-2x-1はℚ上規約だから、
命題4.1.5によりx3+x2-2x-1はη1の最小多項式なので、
命題4.3.4により[ℚ(η1):ℚ]=3。
[ℚ(ζ7):ℚ]=6だから定理4.3.8(塔定理)により[ℚ(ζ7):ℚ(η1)]=2。
η1=ζ7+ζ76だからℚ(η1)⊂ℚ(ζ7)で、ℚ⊂ℚ(ζ7)ではGalois拡大だから
定理7.3.1によりℚ(η1) はGal(ℚ(ζ7)/ℚ(η1))の固定体で、
|Gal(ℚ(ζ7)/ℚ(η1))|=[ℚ(ζ7):ℚ(η1)]=2だから、
Gal(ℚ(ζ7)/ℚ(η1))は位数2の巡回群{e,τ}(o(τ)=2)である。
ζ7→ζ76=ζ7の置換に対しη1は不変だから、τは複素共役をとる置換である。
(c)
x3+x2-2x-1の簡約3次方程式y3-(7/3)y -7/27 (x=y-1/3)に、
Cardanoの公式を適用して(9.10)式を得る。
演習問題4
GのBによる左剰余類分解をG=∐λ∈I gλB (gλ∈G, |I|=[G:B])、
またBのAによる左剰余類分解をB=∐1≤j≤d bjA (bj∈B, |I|=[B:A]=d)とする。
写像ψλ:B→gλB (b∈B→gλb∈gλB)を考えると、
g∈gλBならβ=gλ-1g∈Bだから、ψλは全射。
g1=g2 (g1,g2∈gλB)ならβ1=gλ-1g1= gλ-1g2=β2だからψλは1対1。
したがってψλは全単射だから、BにおけるAの各左剰余類bjA(1≤j≤d)は、
ψλによって互いに交わらない集合ψλ(bjA)=gλbjAへ移る。
すなわちgλB=ψλ(B)=ψλ(∐1≤j≤d bjA)=∐1≤j≤d ψλ(bjA)= ∐1≤j≤d gλbjA。
gλbj∈GだからgλbjAはGにおけるAの左剰余類なので、
gλBは、d個のGにおけるAの左剰余類の互いに交わらない和集合。
演習問題5
[iλ]=[λj]はiλ≡λj (mod p) (1)を意味する。
gcd(λ,p)=1だから、不定方程式(1)の解となる、
1≤i<pなるiが唯一つ存在し、異なるλjに対し異なるiを得る。
すなわち任意のλj (1≤j≤d)に対し、[iλ]=[λj]となる[i]が唯一つ存在するから、
補題9.2.4によりすべての(f, λj)について、
(f, λj)=(f, iλ)=σ(η)となるσ∈Gal(ℚ(ζp)/Lf')が存在する。
演習問題6
|[λ]Hf|=|Hf|=fだから、(f, λ)の定義により、
(f, λ)はf個のζpaの形の項の和である。
補題9.2.4によりf周期はe個で、異なるf周期は共通の項を持たないので、
∑λ (f, λ)はef=p-1個の相異なるζpaの和だから、
∑λ (f, λ)=∑1≤a≤p-1ζpa=Φp(ζp)-1=-1。
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