演習問題1
(a)
a0,...,anの分母の最小公倍数をm∈ℤとし、bi=maiとすると、
mf=b0xn+...+bn∈ℤ[x]。
mb0n-1f(x)=(b0x)n+b1b0n-1xn-1+b2b0n-1xn-2+... bn-1b0n-1x+b0n-1bn
なので、mb0n-1f(x/b0)=xn+b1xn-1+b2b0xn-2+... bn-1b0n-2x+b0n-1bn∈ℤ[x]だから、
λ=m(ma0)n-1∈ℚ*, μ=1/(ma0)∈ℚ*, g(x)=λf(μx)とればよい。
(b)
(fは分離的とは言っていないので、Galois群の位数からの議論はやりにくい。)
f,gの分解体をそれぞれLf, Lgとし、
fの根をα1,...,αn∈Lf、gの根をβ1,..., βn∈Lgとする。
必要なら適当に同型の分解体を取り、
また根の添字の順序を適当に入れ替えることにより、
βi=μαiとなり、Lg=ℚ(β1,..., βn)≃ℚ(α1,...,αn)=Lfなることが容易に示される。
この同型写像をφとする。
σ∈Gal(Lf/ℚ)に対し、σ(αi)=αj
(1≤i,j≤n)とする。
写像Φ: Gal(Lf/ℚ)→Gal(Lg/ℚ)を(Φ(σ))(βi)=βj=μαj
で定義すれば、明らかにΦは群準同型。
τg(βi)=βjなるあるτg∈Gal(Lg/ℚ)に対し、
τg(βi)=μτg(αi)=βj=μαjより、Lg上でτg(αi)=αj。
すなわちLf上で、(φ-1∘τg∘φ)(αi)=αjとなり、
φ-1∘τg∘φ∈Gal(Lf/ℚ), Φ(φ-1∘τg∘φ)=τgとなるのでΦは全射。
τg=e∈Gal(Lg/ℚ)ならφ-1∘τg∘φ=e∈Gal(Lf/ℚ)だからΦは単射、
故に同型だから、Gal(Lf/ℚ)≃Gal(Lg/ℚ)。
演習問題2
GによるSnの左剰余類分解の代表系を、
m=[Sn:G]としてσ1=e, σ2,..., σmとすれば、
(12.4)によりφi=σiG·φで、Rf(y)=∏1≤i≤m
(y-σi·φ)∈ℤ[x1,..., xn]。
Θ(y)=∏σ∈Sn (y-σ·φ)∈ℤ[x1,..., xn]とすれば、
Θ(y)はx1,..., xnについて対称的だから、
9.1節演習問題6によりΘ(y)∈ℤ[σ1,..., σn]で、
定理12.1.4によりΘ(y)=Rf(y)|G|である。
故にRf(y)もx1,..., xnについて対称的だから、Rf(y)∈ℤ[σ1,..., σn]。
演習問題3
Gf≃Gal(L/F)なので、
この同型によってτ∈Gfに対応するGal(L/F)の元をσとすれば、
β=φ(α1,..., αn)∈FでσはF上恒等だから
φ(α1,..., αn)=β=σ(β)=τ·φ(α1,..., αn)=φ(ατ(1),..., ατ(n))。
演習問題4
(a)
(定理13.1.5にS4の可移部分群が列挙されているが共軛が面倒。)
(1324)の作用によってφは不変だから<(1324)>⊂G。
[S4:<(1324)>]=6なので、<(1324)>によるS4の左剰余類は6つ。
g1=e, g2=(12), g3=(13), g4=(14), g5=(23),
g6=(24)
とすれば、gi-1gjは互換か3サイクルなので13.2節演習問題4と同様に、
i≠jならgi-1gj∉<(1324)>={(1),(1324),(12)(34),(1423)}となるから、
g1,..., g6は<(1324)>によるS4の左剰余類分解の代表系である。
2≤i≤6に対しgi·φ≠φなので、S4の元のうち、
φに作用したときにφが不変となるのは<(1324)>の元だけ。
故にG=<(1324)>。
(b)
g1·φ=-g2·φ=φだから、
(y-g1·φ)(y-g2·φ)=(y2-φ2)。
ここでφ2=Δ[x12+x22+x32+x42+2(x1x2+x3x4)-2(x1x3+x1x4+x2x3+x2x4)]
=Δ(4y1+σ12-4σ2)。
g4·φ=-g5·φ=√Δ(x1+x3- x2-x4),
g3·φ=-g6·φ=√Δ(x1+x4- x2-x3)から、
同様にして(y-g4·φ)(y-g5·φ)=y2-Δ(4y2+σ12-4σ2),
(y-g3·φ)(y-g6·φ)=y2-Δ(4y3+σ12-4σ2)だから、
R(y)=∏1≤i≤3 [y2-Δ(4yi+σ12-4σ2)]
(c)
演習問題2によりRf(y)のyの各冪の係数はx1,..., x4の対称式。
σ1=σ3=0, σ2=b,
σ4=dより、Maximaで
--------------
y1:x1*x2+x3*x4;
y2:psubst([x2=x3,x3=x2],y1);
y3:psubst([x2=x4,x4=x2],y1);
uniresolvent:(y^2-Delta*(4*y1+e1^2-4*e2))
*(y^2-Delta*(4*y2+e1^2-4*e2))*(y^2-Delta*(4*y3+e1^2-4*e2));
R:expand(elem([4],expand(uniresolvent),[x1,x2,x3,x4])),elem:2;
resolvent:factor(subst([e1=0,e2=b,e3=0,e4=d],R));
--------------
により
Rf(y)=y2(y4+8bΔ(f)y2+16b2Δ(f)2-26dΔ(f)2)=y2[(y2+4bΔ(f))2-26dΔ(f)2]。
演習問題5
(a)
Gはφの固定部分群だから、定理A.4.9(群の作用の基本定理)により、
l=|H·φ|=[H:G]。
(b)
H·RH(y)=RH(y)で、Gf⊂Hだから、Gf·RH(y)=RH(y)。
したがってGf·RfH(y)=RfH(y)。
Gf≃Gal(L/F)なので、RfH(y)のyの各冪の係数は、
Gal(L/F)の固定体すなわちFの元だからRfH(y)∈F[y]。
(c)
fの根のラベルを適当なτによって置き換えることで、
Gf⊂Gとしてよい。Gはφの固定部分群だから、
Gf·φ=φなので、Gf·φ(α1,...,αn)=φ(α1,...,αn)。
Gf≃Gal(L/F)なのでφ(α1,...,αn)はGal(L/F)の固定体Fの元だから、
RfH(y)はFに少なくともひとつの根φ(α1,...,αn)をもつ。
(d)
β=φ(α1,...,αn)∈Fとし、Gf⊄Gと仮定する。
τ∈Gf∖Gをとると、Gはφの固定部分群だからτ·φ≠φ。
τ·φ(α1,...,αn)はRfH(y)の根で、βは単根だから、
τ·φ(α1,...,αn)≠β。
ところでGf≃Gal(L/F)より、τに対応するGal(L/F)の元をσとすれば、
β=φ(α1,...,αn)∈Fなのでβ=σ(β)=τ·φ(α1,...,αn)となり矛盾。
故にGf⊂G。
演習問題6
(a)
(13.26)のRf(y)がF上可約と仮定すると、
Δ(f)(4βi+c12-4c2)の少なくとも1つはFの元。
ところが、βiはFerrariの分解式θfの根で、
Gf=A4またはGf=S4なら定理13.1.1によりθfはF上規約だから、
すべてのβi∉Fなので、Δ(f)(4βi+c12-4c2)∉F。よってRf(y)はF上既約。
(b)
Gf=<(1324),(12)>なら定理13.1.1によりθfはF上に唯一つの根βを持ち、
β=β1として、(i) 4β1+c12-4c2≠0かつΔ(f)(4β1+c12-4c2)∉(F*)2、
または(ii) 4β1+c12-4c2=0かつΔ(f)(β12-4c4)∉(F*)2。
しかし(ii)はRf(y)=y2[y2-Δ(4β2+c12-4c2)][y2-Δ(4β3+c12-4c2)]
となりRf(y)の分離性に反するので、(i)の場合だけを調べればよい。
Δ(f)(4β1+c12-4c2)∉(F*)2よりy2-Δ(f)(4β1+c12-4c2)はF上規約だから、
Rf(y)=g(y)h(y), g(y)=y2-Δ(f)(4β1+c12-4c2),
h(y)=[y2-Δ(f)(4β2+c12-4c2)][y2-Δ(f)(4β3+c12-4c2)]
として、2次式g(y)はF上規約で、β2, β3∉Fなので4次式h(y)もF上既約。
(c)
Gf=<(12)(34),(13)(24)>なら定理13.1.1により、
θfはF上完全分解し、Δ(f)∈F2。
すなわちすべてのi=1,2,3に対しβi∈Fなので、Δ(f)(4βi+c12-4c2)∈F。
gi=y2-Δ(f)(4βi+c12-4c2)∈F[y]とすると、Rf(y)=g1(y)g2(y)g3(y)。
ここで例えば4β1+c12-4c2∈F2なら、
(12.15)から√(4β1+c12-4c2)=α1+α2-α3-α4∈Fなので、
Gf≃Gal(L/F)よりGf·(α1+α2-α3-α4)=α1+α2-α3-α4
だが、(13)(24)·(α1+α2-α3-α4)=-(α1+α2-α3-α4)なので矛盾。
したがって、4β1+c12-4c2∉F2となり、Δ(f)∈F2よりΔ(f)(4βi+c12-4c2) ∉F2だから、
g1はF上既約。4β2+c12-4c2, 4β3+c12-4c2についても同様にすれば、
g2(y), g3(y)もF上既約であることが示される。
(d)
Gf=<(1324)>なら定理13.1.1によりθfはF上に唯一つの根βを持ち、
β=β1として、(i) 4β1+c12-4c2≠0かつΔ(f)(4β1+c12-4c2)∈(F*)2、
または(ii) 4β1+c12-4c2=0かつΔ(f)(β12-4c4)∈(F*)2だが、
(b)と同様に(ii)はRf(y)の分離性に反するので、
(i)の場合だけを調べればよい。
Δ(f)(4β1+c12-4c2)∈(F*)2だから、(b)のg(y)はさらに
g(y)=g1(y)g2(y), g1(y)=y-√[Δ(f)(4β1+c12-4c2)],
g2(y)=y+√[Δ(f)(4β1+c12-4c2)],
とF上の1次式の積に因数分解される。
(b)の4次規約式h(y)をg3(y)=h(y)とすれば、Rf(y)=g1(y)g2(y)g3(y)。
(e)
(a)~(d)により、Rf(y)の既約因数分解によって、
定理13.1.1のG=Gfは完全に決定される。
演習問題7
GL(3,F2)の元は階数3の正則行列で、
F23から自身への正則線形変換と1対1に対応し、
F23の0でない7つの元への置換に対応する。
線形変換が正則なので、同じ置換を与える線形変換は同じ変換だから、
F23から自身への正則線形変換とS7の元は1対1に対応する。
したがって、GL(3,F2)→S7は1対1。
演習問題8
(a)
F23の2次元部分空間は、互いに定数倍でない任意のx1,x2∈F23に対し、
方程式a1x1+a2x2=0
(a1,a2∈F2はすべてが0になることはない)で表される。
F23の0でない7つの元のうち、等しくないどの2つも互いに定数倍でないから、
x1,x2の取りかたは7C2=7個ある。
(b)
任意のa∈GL(3,F)は階数3の正則行列だからa-1を持つので、
任意のC∈F3に対し、a·B=Cとなるaが存在してB=a-1·Cとなる。
したがってGL(3,F)のF3への作用は可移。
(c)
互いに定数倍でない任意のx1,x2∈F3に対し、
B=a1x1+a2x2∈F3(a1,a2∈Fが共に0になることはない)とすれば、
(b)により任意のC=b1y1+b2y2∈F3(b1,b2∈Fが共に0になることはない)について、
a·B=Cとなるa∈GL(3,F)が存在するから、
GL(3,F)はF3の2次元部分空間の集合に可移的に作用する。
演習問題9
任意のa∈GL(3,F2)は正則だからdet(a)∈F2は0でないので、
det(a)=1の可能性しかない。故にGL(3,F2)=SL(3,F2)。
同様にPGL(3,F2)=PSL(3,F2)。
PGL(3,F2)=GL(3,F2)/F2*Iだが、F2*={1}だからF2*I={I}なので、
GL(3,F2)/F2*I ≃GL(3,F2)。
演習問題10
演習問題5において、H=<(1324)>, φ=y1=√Δ(x1+x2-x3-x4)とすれば、
H·φ={φ,-φ}なので、RfH(y)=(y-φ(α1,α2,α3,α4))(y+φ(α1,α2,α3,α4))=y2-φ(α1,α2,α3,α4) 2
演習問題4(b)によりφ(α1,α2,α3,α4)2=Δ(4β1+c12-4c2)だから、
RfH(y)=y2-Δ(4β1+c12-4c2)となり、(13.27)を得る。
演習問題11
(a)
{1,...,7}のうち3個の元の集合を{i,j,k}とし、
3個の元の他の任意の集合を{l,m,n}とする。
{i,j,k}={l,m,n}なら(1)∈A7をとり(1)·{i,j,k}={l,m,n}。
{i,j,k}に{l,m,n}同じ元が2つ、例えばi=lかつj=mなら、
i,jと異なる元pをとり(pkn)∈A7を用いて(pkn)·{i,j,k}={l,m,n}。
{i,j,k}に{l,m,n}同じ元が1つ、例えばi=lなら、
独立な互換の積(jm)(kn)∈A7をとり(jm)(kn)·{i,j,k}={l,m,n}。
{i,j,k}と{l,m,n}の元が全て異なれば、
i,j,k,l,m,nと異なる元pをとり
7サイクル(piljmkn)∈A7を用いて(piljmkn)·{i,j,k}={l,m,n}。
したがって任意の{l,m,n}に対しがσ∈A7が存在して、
σ·{i,j,k}={l,m,n}となるので、A7の作用は可移。故にS7の作用も可移。
(b)
γa,b∈AGL(1,F7)
(a,b∈F7)について、{0,1,2}の固定部分群G{0,1,2}を調べる。
G{0,1,2}の作用によって{0,1,2}は、
{0,1,2},{0,2,1},{2,1,0},{1,0,2},{1,2,0},{2,0,1}のいずれかに写る。
u∈F7として、γa,bの作用によって、u→au+bと写され、
u∈F7として、γa,bの作用によって、u→au+bと写され、
{0,1,2}へ移る場合a=1,b=0、すなわちγ1,0=e、
{2,1,0}へ移る場合a=6,b=2、
また{0,2,1},{1,0,2},{1,2,0},{2,0,1}へ移るγa,bは存在しない。
したがってG{0,1,2}={γ1,0=e, γ6,2}だから、
定理A.4.9(群の作用の基本定理)により、
|AGL(1,F7)·{0,1,2}|=|AGL(1,F7)|/|G{0,1,2}|=42/2=21。
同様に、{0,1,3}の固定部分群G{0,1,3}を調べる。
G{0,1,3}の作用によって{0,1,3}は、
{0,1,3},{0,3,1},{3,1,0},{1,0,3},{1,3,0},{3,0,1}のいずれかに写る。
{0,3,1}へ移る場合a=1,b=0、すなわちγ1,0=e、
{1,3,0}へ移る場合a=2,b=1、
{3,0,1}へ移る場合a=4,b=3、
また{0,3,1},{3,1,0},{1,0,3}へ移るγa,bは存在しない。
したがってG{0,1,3}={γ1,0=e, γ2,1, γ4,3}だから、
定理A.4.9(群の作用の基本定理)により、
|AGL(1,F7)·{0,1,3}|=|AGL(1,F7)|/|G{0,1,3}|=42/3=14。
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