演習問題11
定理13.2.6(a)により、Δ(f)∉F2なら
G⊄A5だから、G=S5またはG=AGL(1,F5)。
このとき定理13.2.6(b)により、θfがFに根を持てばG=AGL(1,F5)、
持たなければG=S5となり、表の1行目と3行目が説明される。
Δ(f)∈F2ならG⊂A5だから、G=A5,G=AGL(1,F5) ⋂ A5またはG=<(12345)>。
このとき定理13.2.6(b)により、θfがFに根を持たなければ
G⊄ AGL(1,F5)だからG=A5となり、表の2行目が説明される。
またθfがFに根を持てばG⊂AGL(1,F5)だから、
G=AGL(1,F5) ⋂ A5またはG=<(12345)>。
定理13.2.6(c)により、fがF(α)上完全分解すれば、
G=<(12345)>で、そうでなければG=AGL(1,F5)⋂A5となり、
表の4行目と5行目となる。
演習問題12
Maximaコマンド
f:x^5-6*x+3;
resultant(f,diff(f,x),x);
を用いてRes(f,f',x)=-1737531を得、
(5.13)からΔ(f)=Res(f,f',x)=-1737531∉ℚ2だから、
G=AGL(1,F5)またはG=S5。
演習問題6(b)に基づくMaximaスクリプト
---------------
f:x^5-6*x+3;
c0:coeff(f,x,5);
c1:coeff(f,x,4);
c2:coeff(f,x,3);
c3:coeff(f,x,2);
c4:coeff(f,x,1);
c5:coeff(f,x,0);
u1:x1*x2+x2*x3+x3*x4+x4*x5+x5*x1-x1*x3-x3*x5-x5*x2-x2*x4-x4*x1;
u2:psubst([x1=x2,x2=x3,x3=x1],u1);
u3:psubst([x2=x3,x3=x4,x4=x2],u1);
u4:psubst([x3=x4,x4=x5,x5=x3],u1);
u5:psubst([x4=x5,x5=x1,x1=x4],u1);
u6:psubst([x5=x1,x1=x2,x2=x5],u1);
res:(y-u1)*(y-u2)*(y-u3)*(y-u4)*(y-u5)*(y-u6);
ThetaUniversal: ratsimp(elem([5],expand(res),[x1,x2,x3,x4,x5])),elem:2;
b2:subst([e1=-c1/c0,e2=c2/c0,e3=-c3/c0,e4=c4/c0,e5=-c5/c0],
coeff(ThetaUniversal,y,4));
b4:subst([e1=-c1/c0,e2=c2/c0,e3=-c3/c0,e4=c4/c0,e5=-c5/c0],
coeff(ThetaUniversal,y,2));
b6:subst([e1=-c1/c0,e2=c2/c0,e3=-c3/c0,e4=c4/c0,e5=-c5/c0],
coeff(ThetaUniversal,y,0));
discriminant:factor(c0^(-9)*resultant(f,diff(f,x),x));
resolvent:(y^3+b2*y^2+b4*y+b6)^2-2^10*discriminant*y;
--------------
により、θf=(y3+120y2+8640y-69120)2+210·1737531y。
θfはMaximaでℚ上因数分解できないので
θfはℚ上既約。よって命題13.2.7によりG=S5。
なお実際の計算では、Θf(スクリプトでのThetaUniversal)の計算は時間がかかるので、
一度別途計算した明示的表式をThetaUniversalにしている。
演習問題13
(a)
演習問題12と同様にして、Δ(f)=Res(f,f',x)=50000=24·55∉ℚ2だから、
G=AGL(1,F5)またはG=S5。
またこれも、演習問題12と同様にして、
θf=y6-210·50000y=y6-214·55yを得る。
(b)
ℚ⊂LはGalois拡大だからℚ(√5)⊂Lも定理7.1.3によりGalois拡大で、
[ℚ(√5):ℚ]=2だから定理7.1.5と定理4.3.8(塔定理)により
|Gal(L/ℚ(√5))|=[L:ℚ(√5)]=[L:ℚ]/[ℚ(√5):ℚ]=|Gal(L/ℚ)|/2
=|AGL(1,F5)|/2=10。
故にGal(L/ℚ(√5))はGal(L/ℚ)≃AGL(1,F5)の位数10の部分群。
ℚ(√5)にfは根を持たないので、
命題4.2.6によりfはℚ(√5)上規約だから、
命題6.3.7によりGal(L/ℚ(√5)と同型なAGL(1,F5)の部分群は可移。
したがってGal(L/ℚ(√5)≃AGL(1,F5)⋂A5である。
演習問題14
(a)
Maximaではx5+px3+p2x/5+qを、
一度5x5+5px3+p2x+5qと整式に直してから終結式が計算される。
つまり単多項式の終結式として計算されないが、
(5.13)は単多項式の話だからそのままでは使えない。
fが単多項式でない場合は、fの最高次の係数をanとして、
Δ(f)=(-1)n(n-1)/2 an-2n+1Res(f,f',x)である。
この点に注意してあとは演習問題12と同様に計算すると、
f:x^5+p*x^3+p^2*x/5+q;
factor(resultant(f,diff(f,x),x)/5^9);
から、Δ(f)=(4p5+3125q2)2/55を得る。
また、θf=(y3-7p2y2+11p4y+3p6/25+4000pq2)2-210·(4p5+3125q2)2y/55
も演習問題12と同様に得られる。
(b)
Maximaで因数分解して、
θf=(y-5p2)[3125y5-28125p2y4+81250p4y3+(25000000pq2-74250p6)y2
+(-50000000p3q2+1625p8)y-10000000000q4-600000p5q2-9p10]/3125
だから、y=5p2はθfの根である。
(c)
Maximaで
ratsimp(subst(x=z-p/(5*z),f));
によって計算して、
f(z-p/5z)=z5-p5/(55z5)+qを得る。
(d)
(c)により、f=0は(z5)2+qz5-p5/55だから、
z5の2次方程式として解けるので、fは冪根で解ける。
ただ、現れる10個のxの根のうち、
どれが真の根か判別する必要はある。
演習問題15
演習問題12と同様にMaximaで計算して
Δ(f)=256a5+3125b4,
θf=(y3-20ay2+240a2y+320a3)2-210(256a5+3125b4)y。
演習問題16
(a)
Fの標数は5なのでa=0ならf'=0だから、
gcd(f,f')=f≠1となりfの分離性の仮定に反する。
したがってa≠0。
(b)
a=-1ならfの根の1つをαとして、
5.3節演習問題15によりF(α)はfの分解体で、F⊂F(α)はGalois拡大。
6.2節演習問題5(a)により、Gal(F(α)/F)≃ℤ/5ℤだから、
fのF上のGalois群Gal(F(α)/F)は巡回的、
故にAbel群だから、命題8.1.5によりGal(F(α)/F)は可解群である。
(Fの標数5は|Gal(F(α)/F)|=5を割るから、8.6節Cでの注意により、
F⊂F(α)が可解拡大になるかどうかは明らかでない)
(c)
x5-x+b'がfと同値なら、あるλに対し
x5-x+b'=x5+λ-4ax+λ-5bだから、λ4=-a, b'=λ-5b。
すなわちλはg=y4+a∈F[y]の根である。
gは4次式なので、gのGalois群は可解、
またgcd(g,g’)=1だからgは分離的なので、
gの分解体をLとすればF⊂LはGalois拡大となり、
問題の条件を満たす。
(d)
(c)によりL上ではfはgの根λを用いて、
h=x5-x+b'∈L[x] (b'=λ-5b)に帰着され、Gal(L/F)は可解群。
さらに(b)により、hの根の1つをαとして、
L(α)はhのL上の分解体で、Gal(L(α)/L)は可解群。
L(α)はhのL上の分解体だから、fのF上の分解体である。
定理7.1.1によりF⊂L(α)はGalois拡大で、
fのF上のGalois群はGal(L(α)/F)。
F⊂LはGalois拡大だから、定理7.3.2によりGal(L(α)/L)⊴Gal(L(α)/F)、
Gal(L/F)≃Gal(L(α)/F)/Gal(L(α)/L)である。
Gal(L(α)/L)、Gal(L/F)はともに可解だから、
定理8.1.4によりGal(L(α)/F)は可解。
(e)
(Fの標数は5なので定理8.3.3(Galoisの定理)は使えず、
5は|Gal(L(α)/L)|=5を割るので、
|Gal(L(α)/F)|=
|Gal(L(α)/L)||Gal(L/F)|を割るから、
8.6節演習問題7の状況とも合致しないので、
F⊂L(α)がどのような拡大なのか、別の議論が必要)
標数5の体F上の、任意の5次分離既約多項式gが、
Bring-Jerrard形式に、Galois拡大F⊂L上で変形できたと仮定する。
ただしGal(L/F)は可解群。
gをBring-Jerrard形式に変形した方程式をh=x5+ax+b∈L[x]とし、
hのL上の分解体をMとすれば、(d)と同様の議論により、
MはgのF上の分解体で、Gal(M/F)は可解となる。
gはF上規約だから、Gal(M/F)≃G⊂S5なるGは命題6.3.7により可移。
Gは可解だから、定理13.2.2と定理8.4.5によりG⊂AGL(1,F5)である。
ところが、例えば(7.17)の普遍拡大を、
n=5, F=F5(σ1,..., σ5), M=F5(x1,..., x5)で考えると、
G=S5なので,、G⊂AGL(1,F5)でない拡大が存在することになり矛盾。
演習問題17
(a)
Maximaで
f:x^3+3*x+1;
g:x^2+b*x+a-y;
eliminate([f,g],[x]);
によって(13.22)を得る。
ただしP(a,b)=b3-3ab2+(3-3a)b-a3+6a2-9a3-1。
(b)
(13.22)のy2の係数=3(2-a)=0からa=2。
これよりyの係数=3(b2+b-1)=0からb2+b-1=0。
(c)
えーと、解き方の筋道の解説ではあるが、特に何をしろとは書いてない。
原書でもそう。まあ実際にこの筋道を実行しろということだと思うので、
x3+3x+1=-bx2+(-a+y)x+3x+1=-b(y-a-bx)+1+(-a+y+3)x=-by+ab+1+(y+b2-a+3)x=0
でy+b2-a+3≠0だから、x=(-by+ab+1)/(y+b2-a+3)。
演習問題18
(a)
Maximaで
f:x^5-5*P*x^2-5*Q*x-Q^2/P-P^3/Q;
ratsimp(subst(x=(Q^2/P)^(1/5)+P/Q*(Q^2/P)^(2/5),f));
で計算すると0になるのでfの根。
(b)
f=x5-5Px2-5Qx-Q2/P-P3/Q∈ℚ[x]として、演習問題12と同様に計算すると、
Δ(f)=55(Q6-11P4Q3-P8)2∉ℚ2で、
θf=(y3+100Qy2+(4000Q2-2000P4/Q)y)2-210·55(Q6-11P4Q3-P8)2y
は根y=0をℚに持つので、
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群はAGL(1,F5)。
(c)
g=x5-D, h=x5-5Px3+5Px2+D∈ℚ[x]とする。
(b)と同様に計算して、
Δ(g)=55D4,
θg=y(y5-210·55D4)
Δ(h)=55(4P5-D2)2,
θh=(y-125P2)[y5-225P2y4+16250P4y3-(371250P6+40000D2P)y2
+(203125P8+2000000D2P3)y-28125 P10+600000 D2P5-3200000D4]。
で、g,hとも判別式はℚ2の元でなく、6次分解式がℚに根を持つので、
例13.2.8の前の表からℚ上のGalois群はいずれもAGL(1,F5)。
ℚ(√5)上では、Δ(f)=55(Q6-11P4Q3-P8)2∈ℚ(√5)2,
Δ(g)∈ℚ(√5)2, Δ(h)∈ℚ(√5)2だから、
f,g,hはすべて、ℚ(√5)上のGalois群がAGL(1,F5)⋂A5の部分群になる。
・・・なのだが、f,g,hのℚ上のGalois群は位数20のAGL(1,F5)で、
gcd(f,f')=gcd(g,g')=gcd(h,h')=1だからf,g,hは分離的。
故に定理7.1.1によりf,g,hの分解体をそれぞれLf,Lg,Lhとして、
ℚ⊂Lf, ℚ⊂Lg, ℚ⊂Lh,はすべてGalois拡大だから、
定理7.1.5により[Lf:ℚ]=[Lg:ℚ]= [Lh:ℚ]=|AGL(1,F5)|=20。
2次拡大ℚ⊂ℚ(√5)によってGalois群は、
AGL(1,F5)の部分群になっているから、
Galois対応によりℚ(√5)はLf,Lg,Lhの部分体で、
|Gal(Lf/ℚ(√5))|=|Gal(Lg/ℚ(√5))|=|Gal(Lh/ℚ(√5))|=10。
この位数は5で割れるので、補題13.2.1から
Gal(Lf/ℚ(√5)), Gal(Lg/ℚ(√5)), Gal(Lh/ℚ(√5))は可移で、
位数5の巡回群を部分群に持つ。故に演習問題1(d)により、
Gal(Lf/ℚ(√5)), Gal(Lg/ℚ(√5)), Gal(Lh/ℚ(√5))は全て、
AGL(1,F5)⋂A5と同型でなければならない。
AGL(1,F5)⋂A5≃D10は巡回群でないから、
(13.24)の最初の2つの多項式のℚ(√5)上のGalois群は巡回群でない。
・・・ということになり、題意と矛盾。
問題文はℚ(√5)になっているが、(13.24)のあとの本文はℚ(ζ5)となっていて、
問題文と本文とで、何を示すべきなのか混乱がある模様・・・。
演習問題19
演習問題12のスクリプトを用いる。
(a)
fはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
Δ=3·72·23∉ℚ2,
θf=y6-40y5+880y4-8960y3+44800y2-3308544y+102400
で、θfはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群はS5。
(b)
fはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
Δ=216·56∈ℚ2,
θf=y6-800y5+352000y4-71680000y3+7168000000y2-557056000000y+6553600000000
で、θfはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群はA5。
(c)
fはp=2に対するSchönemann-Eisenstein判定法によりℚ上既約。
Δ=24·55∉ℚ2,
θf=y(y5- 51200000)で、θfはℚに根を持つ。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群はAGL(1,F5)。
(d)
fはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
Δ=212·56∈ℚ2,
θf=(y-100)( y5+300y4+52000y3+6320000y2+660000000y-16000000)で、
θfはℚに根を持つ。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群は、
AGL(1,F5)⋂A5または<(12345)>。
fの根の一つはわからん・・・。
(e)
fはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
Δ=114∈ℚ2,
θf=y(
y5-264y4+25168y3-1022208y2+14992384y-14992384)で、
θfはℚに根を持つ。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群は、
AGL(1,F5)⋂A5または<(12345)>。
fの根の一つはわからん・・・。
演習問題20
演習問題12のスクリプトを用いると、
Δ=-24·4003∉ℚ2,
θf=y6-360y5+47856y4-3025152y3+103474944y2-1812875264y+14770999296
で、θfはMaximaで因数分解できないのでℚ上既約。
例13.2.8の前の表からfのℚ上のGalois群はA5となり、
可解群でないから、ℚ上冪根で解くことはできない。
0 件のコメント :
コメントを投稿