演習問題1
簡単のため[i]∈F5≃ℤ/5ℤを単にiと書くことにする。
(a)
F5≃ℤ/5ℤ={0,1,2,3,4}の元へのτ∈S5の作用を、τ·i=[τ(i)]で定義する。
ただし0=5である。
(1243)·{0,1,2,3,4}={0,2,4,3,1}
={2×0,2×1,2×2,2×3,2×4}だから、
(1243)はF5の元を2倍する作用と見ることができる。
2は5を法とした原始根だから、F5*≃<2>≃<(1243)>。
また(12345) ·{0,1,2,3,4}={1,2,3,4,0}
={0+1,1+1,2+1,3+1,4+1}だから、
(12345)はF5の元に1を足す作用と見ることができる。
加法群としてのF5≃<1>≃<(12345)>。
a,b,u∈F5 (a≠0)に対し6.4節Aと同様に、アフィン線形変換群AGL(1,F5)≃F5⋊F5*を、
γa,b∈AGL(1,F5)としてγa,b(u)=au+bで定義する。
uを2倍する変換はγ2,0で、uに1を足す変換はγ1,1である。
F5*≃<2>なので任意のc∈F5*に対しc=2icとなるicが存在する。
γ2,0∘γa,0=γ2a,0だから、γc,0=(γ2,0)ic。
また、F5≃<1>
なので任意のd∈F5に対しd=jd×1なるjdが存在する。
γ1,1∘γ1,b=γ1,b+1だから、γ1,d=(γ1,1) jd。
すると、任意のγc,d∈AGL(1,F5)に対し、γc,d=γ1,d∘γc,0=(γ1,1) jd∘(γ2,0)icとなるので、
AGL(1,F5)=<γ1,1, γ2,0>。
AGL(1,F5)はS5の部分群と同型なので、
この同型写像によってγ1,1は(12345)に、γ2,0は(1243)に移る。
このS5の部分群をAGL(1,F5)と同一視すれば、
AGL(1,F5)=<(12345),
(1243)>。
(b)
(a)により、任意のγc,d∈AGL(1,F5)に対し、γc,d=γ1,d∘γc,0=(γ1,1) jd∘(γ2,0)icである。
γ1,1=(12345)は偶置換、γ2,0=(1243)は奇置換なので、
γc,d∈A5であることはic≡0
(mod 2)と同値。
すなわちic/2=i'cとおけばγc,d=(γ1,1) jd∘[(γ2,0)2]i'cだから、
AGL(1,F5)⋂A5=<γ1,1, (γ2,0)2>=<(12345), (1243)2>=<(12345), (14)(23)>。
(c)
r=(12345), s=(14)(23)とすると、
o(r)=5, o(s)=2で、srs=(15432)=r-1だから、
<r,s>はD10の定義に一致する。
(d)
AGL(1,F5)の部分群が<(12345)>を含むなら、
この部分群の位数は20を割り5で割れるから、5,10,20のいずれかである。
|AGL(1,F5)|=20=22·5,|<(12345)>|=5なので、
<(12345)>はAGL(1,F5)の5-Sylow部分群。
Sylowの第3定理により、AGL(1,F5)の位数5の部分群の個数N5≡1 (mod 5)、
かつN5は| AGL(1,F5)|=20を割るので、N5=1でなければならない。
したがって、<(12345)>はAGL(1,F5)の位数5の唯一の部分群。
AGL(1,F5)=<(12345),
(1243)>の、<(12345)>を含む|G|=10なる部分群Gは、
定理A.1.5(Cauchyの定理)により位数2の元τを持つ。
(a)によりτ=(12345) jd(1243)icと表されるが、
o((12345))=5だから、jd≠0ならo(τ)=2ではありえない。
したがってτ∈<(1243)>だからG=<(12345), τ>で、
o(τ)=2となるのはτ=(1243)2=(14)(23)だけである。
よってG=<(12345),
(14)(23)>=AGL(1,F5)⋂A5となり、
AGL(1,F5)の<(12345)>を含む位数10の部分群はAGL(1,F5)⋂A5のみ。
演習問題2
(a)
|S5|=120=23·3·5で|<(12345)>|=5だから、
<(12345)>を含むS5の部分群の位数の、5の最高冪は1である。
故に<(12345)>はこのような部分群の5-Sylow部分群。
(b)
5サイクル(i1 i2 i3 i4 i5)においてi1,i2,i3,i4,i5の選び方は
5!通りあるが、i1,i2,i3,i4,i5を巡回的に置き換えた5つのサイクルは、
同じサイクルを表すので、5サイクルの数は5!/5=24通り。
演習問題3
(a)
・・・τは5サイクルなのでτ=(i1 i2 i3 i4 i5)とすると、
σ·τ=στσ-1=(σ(i1) σ(i2) σ(i3) σ(i4) σ(i5))で5サイクルとなり、
明らかに(1)·τ=τ, σ2·(σ1·τ)=(σ2σ1)·τではあるが、
σ∈S5は任意なので、σ·τ∈Gすなわちσ·τ∉Cとなってしまう場合がありうるんだが・・・。
それに定理13.2.2から、A5⊂Gとなる場合がありえて、
このときGはすべての5サイクルを含むから、
C=∅になってしまうわけだが、その時はどうすんだ・・・。
なんか問題おかしくね?
演習問題4
a1=(12345),
a2=(1243)とする。
AGL(1,F5)=<a1, a2>の構成は以下の通り。
(i) 部分群<a1>≃C5:
{1,2,3,4,5}の各元に0,1,2,3,4をそれぞれ足す置換。
C5≃<a1>={(1),
(12345), (13524), (14253), (15432)}
={e, a1, a12, a13, a14},
={e, a1, a12, a13, a14},
(ii) 部分群AGL(1,F5)⋂A5≃D10:
演習問題1(b)により、C5と、a22=(14)(23)によるC5の左剰余類の和集合、
すなわち(i)および{1,2,3,4,5}の各元に0,1,2,3,4をそれぞれ足して4倍する置換。
D10≃AGL(1,F5)⋂A5=<a1, a22>=<a1>⋃a22<a1>
=<a1>⋃{(14)(23), (13)(45), (12)(35), (25)(34), (15)(24)}
=<a1>⋃{a22, a22a1, a22a12, a22a13, a22a14},
=<a1>⋃{a22, a1a22a1-1, a12a22a1-2, a13a22a1-3, a14a22a1-4}
(iii) AGL(1,F5):
AGL(1,F5)⋂A5と、a2=(1243)によるAGL(1,F5)⋂A5の左剰余類の和集合、
すなわち、(ii)および、{1,2,3,4,5}の各元に0,1,2,3,4をそれぞれ足して2倍する置換と、
同じく8倍する置換:
AGL(1,F5)=(AGL(1,F5)⋂A5)⋃a2(AGL(1,F5)⋂A5)
=(AGL(1,F5)⋂A5)⋃{(1243),
(2354) =(12345)(1243)(12345)-1,
(1534)=(12345)2(1243)(12345)-2,
(1452)=(12345)3(1243)(12345)-3,
(1523)=(12345)4(1243)(12345)-4,
(1342)=(1243)-1, (2453)=(2354)-1, (1435)=(1534)-1, (1254)=(1452)-1, (1325)=(1523)-1}
=(AGL(1,F5)⋂A5)⋃{a2, a1a2a1-1, a12a2a1-2, a13a2a1-3, a14a2a1-4,
a2-1, a1a2-1a1-1, a12a2-1a1-2, a13a2-1a1-3, a14a2-1a1-4}。
|AGL(1,F5)|=20,
|S5|=120だから、[S5: AGL(1,F5)]=6。
代表系の一つがeであることは自明。
g1=e, g2=(123),
g3=(234), g4=(345), g5=(145), g6=(125)とする。
g∈S5として、ga∈gAGL(1,F5)はg-1ga∈AGL(1,F5)と同値。
すなわちあるha∈hAGL(1,F5)についてg-1ha∉AGL(1,F5)は、ha∉gAGL(1,F5)と同値。
gAGL(1,F5)=hAGL(1,F5)またはgAGL(1,F5)⋂hAGL(1,F5)=∅だから、
ha∉gAGL(1,F5)はすべてのh'∈hAGL(1,F5)についてh'∉gAGL(1,F5)と同値。
故にあるa∈AGL(1,F5)について、g-1ha∉AGL(1,F5)は、
gAGL(1,F5)⋂hAGL(1,F5)=∅と同値。
したがって、g1=e, g2=(123), g3=(234), g4=(345), g5=(145), g6=(125)として、
g1, g2,..., g6がS5におけるAGL(1,F5)の左剰余類の代表系であることと、
あるa∈AGL(1,F5)についてi≠jならgi-1gja∉AGL(1,F5)であることは同値となる。
aとしてeをとると、g2,…, g6は上のAGL(1,F5)に含まれないので、
2≤i≤6についてgiAGL(1,F5)≠AGL(1,F5)。さらに、
g3-1g2e=(143),
g4-1g2e=(12543), g5-1g2e=(12354),g6-1g2e=(235),
g4-1g3e=(254),
g5-1g3e=(15423), g6-1g3e=(15234), g5-1g4e=(153),
g6-1g4e=(15342),
g6-1g5e=(142)はすべてAGL(1,F5)の元でない。
よってg1=e, g2,..., g6はS5におけるAGL(1,F5)の左剰余類の代表系である。
演習問題5
定理13.2.6(b)の(13.18)の係数の証明:
(13.18)の左辺は(y-β1)6=y6-6β1y5+15β12y4-20β13y3+15β14y2-6β15y+1。
右辺のy5の係数は、最初の平方式の、
y3とb2y2の2通りの積から来るから2b2となるので、-6β1=2b2。
Fの標数は2でないから、b2=-3β1。
右辺のy4の係数は、最初の平方式の、
b2y2の平方と、y3とb4yの2通りの積とから来るから、
b22+2b4となるので、15β12=b22+2b4。
b2=-3β1よりb4=3β12。
右辺のy3の係数は、最初の平方式の、
b2y2とb4yの2通りの積と、y3とb6の2通りの積とから来るから、
2b2b4+2b6となるので、-20β13=2b2b4+2b6。
b2=-3β1, b4=3β12よりb6=-β13。
定理13.2.6(c)の証明:
fは分離的なので定理7.1.1によりF⊂LはGalois拡大だから、
定理7.1.5により|G|=|Gal(L/F)|=[L:F]。
fがF(α)上完全分解することは、L= F(α)と同値だから、
|G|= [L:F]=deg(f)=5と同値で、
定理13.2.2により、|G|=5となるのはGが<(12345)>と共軛な場合に限られる。
したがって、fがF(α)上完全分解することと、
Gが<(12345)>と共軛であることは同値。
演習問題6
(a)
Maximaでは
u1:x1*x2+x2*x3+x3*x4+x4*x5+x5*x1
-x1*x3-x3*x5-x5*x2-x2*x4-x4*x1;
u2:psubst([x1=x2,x2=x3,x3=x1],u1);
u3:psubst([x2=x3,x3=x4,x4=x2],u1);
u4:psubst([x3=x4,x4=x5,x5=x3],u1);
u5:psubst([x1=x4,x4=x5,x5=x1],u1);
u6:psubst([x1=x2,x2=x5,x5=x1],u1);
(b)
Maximaでは
res:(y-u1)*(y-u2)*(y-u3)*(y-u4)*(y-u5)*(y-u6);
ratsimp(elem([5],expand(res),[x1,x2,x3,x4,x5])),elem:2;
で、Θ(y)のy4, y2, y0の係数B2, B4, B6が(13.20)と一致することが確認できる。
また、Θ(y)のy1の係数は
160σ52+[(-160σ2-128σ12)σ3+96σ1σ22]σ5+(96σ12-128σ2)σ42+(96σ32-32σ1σ2σ3)σ4
=25{5σ52+[(-5σ2-4σ12)σ3+3σ1σ22]σ5+(3σ12-4σ2)σ42+(3σ32-σ1σ2σ3)σ4}
であるが、y1の係数は√Δ(f)で交代式なので、これはゴミ。
(c)
√Δ(f)を
des:(x1-x2)*(x1-x3)*(x1-x4)*(x1-x5)*(x2-x3)*(x2-x4)
*(x2-x5)*(x3-x4)*(x3-x5)*(x4-x5);
ratsimp(elem([5],des^2,[x1,x2,x3,x4,x5]),elem:2);
で計算しようとしても、Maximaでは表現が長すぎて出ない・・・。
演習問題7
(a)
補題13.2.4によりAGL(1,F5)でu2は不変だから、
uを不変にする作用はAGL(1,F5)=<(12345),(1243)>の部分群。
ここで演習問題1(a)を用いた。
(12345)·u=uまた(1243)·u=-uだから(1243)2·u=(14)(23)·u =u。
したがって、uの対称の群は演習問題1(b)により
<(12345),(14)(23)>=AGL(1,F5)⋂A5。
(b)
演習問題4と同様にg1=e, g2=(123), g3=(234), g4=(345), g5=(145), g6=(125)とする。
g1,...,
g6は偶置換だから、giAGL(1,F5)には、
AGL(1,F5)の偶置換の数=|AGL(1,F5)⋂A5|=10個の偶置換が含まれ、
これらはgi(AGL(1,F5)⋂A5)の元となるから、
S5におけるgiAGL(1,F5)⋂A5は 、A5における gi(AGL(1,F5)⋂A5)と同じ集合である。
したがって(13.15)はA5におけるAGL(1,F5)⋂A5の剰余類の代表系となる
演習問題8
演習問題4と同様のノーテーションを用いる。
(a)
補題13.2.4により、u2の固定部分群はAGL(1,F5)
だから、
uの固定部分群をGuとすると、Gu⊂AGL(1,F5) 。
u1=u=∑0≤i≤4 a1i·(x1x2- x1x3)=∑a∈<a1> a·(x1x2- x1x3)なので、
<a1>≃C5の元の作用に対しuは不変だから、<a1>⊂Gu。
さらに 、(13.13)にa22= (14)(23)を作用させることで、
a22·u=(14)(23)·u=uが確かめられるので、AGL(1,F5)⋂A5=C5⋃(14)(23)C5⊂Gu。
a2·u= (1243)·u=-uだから、a2(AGL(1,F5)⋂A5)の作用に対し、
uは-uに移る。
AGL(1,F5)=(AGL(1,F5)⋂A5)⋃a2(AGL(1,F5)⋂A5)だから、
Gu=AGL(1,F5)⋂A5で、uに作用すると-uとなるようなS5の置換は
a2(AGL(1,F5)⋂A5)の元だけである。
以下a1の指数はℤ/5ℤの元と考える。
a2(AGL(1,F5)⋂A5)は演習問題4で示したように、
i∈ℤ/5ℤ としてa1ia2±1a1-iからなる。
また、j∈ℤ, 0≤j≤4とし、ℤ/5ℤの代表系{0,1,2,3,4}をjと同一視すると、
gj+2=a1jg2a1-j, a1gj+2a1-1= g[j+1]+2である。
τ1=(34), τ2=(13)とすると、o(τ1)=o(τ2)=2, o(gj+2)=3なので
τ1=(123)(1342)=g2a2-1=a2g2-1=a2g22, τ2=(234)(1243)=g3a2=a2-1g3-1=a2-1g32。
10=5C2個あるS5の互換は、
基本互換T1={(34),(45),(15),(12),(23)}={τ1, a1τ1a1-1, a12τ1a1-2, a13τ1a1-3, a14τ1a1-4}か、
T2={(13),(24),(35),(14),(25)}={τ2, a1τ2a1-1, a12τ2a1-2, a13τ2a1-3, a14τ2a1-4},
のいずれかの元である。
u1,u2へのS5の互換の作用をMaximaでベタで探索すると
(12)·u1=-u5
(13)·u1=-u3
(14)·u1=-u6
(15)·u1=-u4
(23)·u1=-u6
(24)·u1=-u4
(25)·u1=-u2
(34)·u1=-u2
(35)·u1=-u5
(45)·u1=-u3
(12)·u2=-u6
(13)·u2=-u5
(14)·u2=-u4
(15)·u2=-u3
(23)·u2=-u3
(24)·u2=-u5
(25)·u2=-u1
(34)·u2=-u1
(35)·u2=-u4
(45)·u2=-u6
である。
k∈ℤ, 0≤k≤4とし、
ℤ/5ℤの代表系{0,1,2,3,4}をkと同一視する。
a1ka2±1a1-k∈a2(AGL(1,F5)⋂A5)より
-u1=(a1ka2±1a1-k)·u1である。
複号+については、
a1ka2a1-k=a1ka2g2-1g2a1-k=(a1ka2g2-1a1-k)(a1kg2a1-k)
=(a1kτ1a1-k)gk+2=τ'kgk+2である。ただしτ'k=a1kτ1a1-k∈T1は互換。
すなわちすべてのk について、-u1=(τ'kgk+2)·u1=τ'k·uk+2で、
-u1=(34)·u2=(45)·u3=(15)·u4=(12)·u5=(23)·u6を意味する。
複号-については、
a1ka2-1a1-k=a1ka2-1g3-1g3a1-k=(a1ka2-1g3-1a1-k)(a1kg3a1-k)
=(a1kτ2a1-k)g[k+1]+2=τ''kg[k+1]+2である。ただしτ''k=a1kτ2a1-k∈T1は互換。
すなわちすべてのk について、-u1=(τ''kg[k+1]+2)·u1=τ''k·u[k+1]+2で、
-u1=(13)·u3=(24)·u4=(35)·u5=(14)·u6=(25)·u2を意味する。
したがって、S5の10個すべての互換τに対し、ある0≤j≤4が存在してτ·uj+2=-u1。
次に0≤j≤4に対し、-uj+2=gj+2·(-u1)=(gj+2a1ka2±1a1-k)·u1である。
複号+については、gj+2=g[j-1]+3=a1j-1g3a1-(j-1)よりk=j-1なら
gj+2a1j-1a2a1-(j-1)=a1j-1g3a1-(j-1)a1j-1a2a1-(j-1)=a1j-1g3a2a1-(j-1)
=a1j-1τ2a1-(j-1)=τ''j-1だから、-uj+2=τ''j-1·u1で、
-u2=(25)·u1,-u3=(13)·u1, -u4=(24)·u1, -u5=(35)·u1,-u6=(14)·u1を意味し、
上のMaximaでの計算と一致する。
複号-については、gj+2=a1jg2a1-jよりk=jなら
gj+2a1ja2-1a1-j=a1jg2a1-ja1ja2-1a1-j=a1jg2a2-1a1-j-
=a1jτ1a1-j=τ'jだから、-uj+2=τ'j·u1で、
-u2=(34)·u1,-u3=(45)·u1, -u4=(15)·u1, -u5=(12)·u1,-u6=(23)·u1を意味し、
上のMaximaでの計算と一致する。
したがって、S5の10個すべての互換τに対し、ある0≤j≤4が存在してτ·u1=-uj+2。
最後に、0≤k≤4, 0≤j≤4に対するτ'k·uj+2, τ''k·uj+2については、
Maximaで計算したj=0,0≤k≤4に対する、
τ'k·u2, τ''k·u2の10個の関係式τ'k·u2=-ul+2, τ''k·u2=-um+2, (0≤l≤4, 0≤m≤4)の両辺に、
a1jを左作用させると、
a1j∈Guよりa1j·u1=u1なので、τ'kについて
左辺=(a1jτ'k)·u2=(a1jτ'kg2)·u1=(a1jτ'kg2a1-j)·u1=(τ'k+jg j+2)·u1=τ'k+j·uj+2
右辺=a1j·(-ul+2)=(a1jgl+2a1ka2±1a1-k)·u1=(a1jgl+2a1ka2±1a1-k
a1-j)·u1
=(a1jgl+2a1-ja1ja1ka2±1a1-ka1-j)·u1=(g[l+j]+2a1k+ja2±1a1-(k+j))·u1=g[l+j]+2·(-u1)=-u[l+j]+2、
ただしa1k+ja2±1a1-(k+j)∈a2(AGL(1,F5)⋂A5)から(a1k+ja2±1a1-(k+j))·u1=-u1を用いた。
したがって、τ'k·u2=-ul+2ならτ'k+j·uj+2=-u[l+j]+2の
0≤k≤4, 0≤j≤4に対する25個の関係式を得る。
同様に、τ''k·u2=-um+2ならτ'k+j·uj+2=-u[m+j]+2の25個の関係式を得る。
以上により、S5の10個すべての互換τと、6個のui (1≤i≤6)に対し、
τとiの60個の組み合わせ全てに対して、ある(1≤n≤6)が存在してτ·ui=-un。
(b)
(a)により0≤j≤4,0≤k≤4, 0≤l≤4,について、
τ'k·u1=-uk+2,τ'k·uk+2=-u1、またτ'k·u2=-ul+2ならτ'k+j·uj+2=-u[l+j]+2。
これより任意の固定されたkについて、τ'kがu1,...,u6に作用すると、
元の順番は入れ替わるが集合としては、
{u1,...,u6}は{-u1,...,-u6}に移ることがわかる。
τ''kについても同様である。
したがって、u1,...,u6の対称多項式を一般にs=∑σ∈S6 uσ(1)i1...uσ(6)i6として、
S5の互換τの作用について、
τ·s= ∑σ∈S6 (-uσ(1)i1)...(-uσ(6)i6)=(-1)i1+...+ i6s。
Biはu1,...,u6の対称多項式で、i= i1+...+ i6だから、τ·Bi =(-1)iBi。
(c)
(b)により、iが偶数ならS5の任意の互換τに対しτ·Bi =Bi。
対称群S5は10個の互換T1⋃T2から生成されるから、
S5のすべての元の作用に対しBiは不変なので、
定義2.2.1によりBiはx1,...,x5の対称多項式となるから、
定理2.2.2によりBi∈F[σ1,...,σ5]。
(d)
(b)により、iが奇数ならS5の任意の互換τに対しτ·Bi =-Bi。
A5の元は偶数個の互換の積だから、BiはA5の作用に対し不変なので、
7.4節演習問題3により、Bi=A+B√Δ(f)となるA,B∈F[σ1,...,σ5]が存在する。
τの作用に対しA,Bは不変でτ·√Δ(f)=-√Δ(f)だから、
-Bi=τ·Bi=τ·(A+B√Δ(f))=A-B√Δ(f))。
これとBi=A+B√Δ(f)の和をとって、A=0を得る。
よってBi=B√Δ(f), B∈F[σ1,...,σ5]。
(e)
u1,...,u6はx1,...,x5の2次式で、
Biはu1,...,u6のi次式だから、x1,...,x5の2i次式。
Δ(f)はx1,...,x5の10次式なので(d)により、
iが奇数ならi≥5またはB=0でなければならない。
したがってB1=B3=0かつ B5=a√Δ(f) (a∈F)。
演習問題9
(a)
θfはL上完全分解するから、θfの分解体をKとしてK⊂L。
θfは仮定によりF上規約で、y6の項を必ず持つから恒等的に0でなく、
deg(θf)=6は素数べきでないので、5.3節演習問題7によりθfは分離的。
したがって命題6.3.7によりGal(K/F)に対応するS6の部分群は可移だから、
6.3節演習問題6により6は|Gal(K/F)|を割る。
f, θfは分離的だから、定理7.1.1によりF⊂L, F⊂KはGalois拡大。
故に定理7.3.2によりGal(L/F)/Gal(L/K)≃Gal(K/F)なので、
|Gal(K/F)|は|Gal(L/F)|=|G|を割る。6は|Gal(K/F)|を割るから、|G|を割る。
(または、F⊂LはGalois拡大だから|G|=|Gal(L/F)|=[L:F]。
定理4.3.8(塔定理)により[L:F]=[L:K][K:F]で、
θfは仮定によりF上規約だからβ1∈Kの最小多項式なので、
補題4.4.2により6|[K:F]だから、6は|G|を割る。
これならθfの分離性は示さなくていい。)
定理13.2.2により|G|は(13.12)の群の一つと共役で、
これらの群のうち位数が6で割れるのはA5とS5のみだから、
A5⊂G。
(b)
定理8.4.3の証明から、A5はすべての3サイクルを含むので、
演習問題7(b)によりA5は(13.15)の代表系をすべて含むから、
{h1,...,h6}⊂A5·h。
求値写像xi→αiによってhi→βiと写るから
{β1,..., β6}⊂A5·β1なので、β1,..., β6のA5の作用は可移的である。
(c)
β1,..., β6はθfの根だから、補題4.1.3によりp|θf。
θfの根はβ1,..., β6のみで、β1,..., β6のF上の最小多項式はすべてp。
pもθfも単多項式だから、θf =pm。
ここで、deg(θf)=6よりdeg(p)m=6すなわちm|6でなければならないから、
m=1,2,3または6。
m=6ならdeg(p)=1となり、p∈F[y]だから、
θfはF上完全分解するのでβ1,..., β6∈F。
すなわち定理13.2.6の証明のσi∈Gal(L/F)についてσi(β1)= βiを意味し、
定理13.2.6の証明で示されたようにこれは不可能。
したがってm=1,2または3。
(d)
(c)によりm=2ならdeg(p)=3なので、
p=y3+ay2+by+cとしてθf =(y3+ay2+by+c)2。
すると命題13.2.5のθfとの比較により、Δ(f)=0となるが、
fは分離的だから命題5.3.2によりΔ(f)≠0なので矛盾。
したがってm≠2。
(e)
まずFの標数は3でないとする
(すでにFの標数は2でないことは仮定されている)。
(c)によりm=3ならdeg(p)=2なので、p=y2+ay+bとして
θf =(y2+ay+b)3=y6+3ay5+(3b+3a2)y4+(6ab+a3)y3+(3b2+3a2b)y2+3ab2y+b3。
命題13.2.5のθfとy5, y4, y3の係数を比較して、
2b2=3a, 2b4+b22=3b+3a2,
2b2b4+2b6=6ab+a3。
これよりb2=3a/2, b4=(3/8)(4b+a2),
b6=(12ab-a3)/16。
y2の係数から2b2b6+b42=3b2+3a2bなので、
b2, b4, b6の式を代入して整理すると、
3(4b-a2)2/64=0を得るので4b=a2。
y1の係数から2b2b6-210Δ(f)=3ab2。
b2, b4, b6の式を代入して整理すると、
3(4b-a2)2/64=-210Δ(f)だから、4b=a2よりΔ(f)=0となり、
(d)と同様にfの分離性に反する。
したがってFの標数が3でなければm≠3。
次にFの標数を3とする。
θf =(y2+ay+b)3=y6+a3y3+b3なので、
命題13.2.5のθfとyの各冪の係数を比較して、
0=2b2=2b4+b22=2b2b6+b42=2b2b6-210Δ(f),
2b2b4+2b6=a3,b3=b62。
これよりb2=0だから、2b2b6-210Δ(f)=0よりΔ(f)=0となり、
fの分離性に反する。
したがってFの標数が3でもm≠3。
(c)(d)によりm=1となり、θf はF上既約。
標数3を特別扱いしても式は係数を3を法として還元するだけで、
全く変わらないけど・・・。
演習問題10
(a)
演習問題4、演習問題8と同様のノーテーションを用いる。
Gは可移だから定理13.2.2により、
Gは<a1>=<(12345)>と共軛な部分群を含むので、
必要ならα1,..., α5のラベルを適当に付け替えて<a1>⊂Gとしてよい。
演習問題8から、j∈ℤ, 0≤j≤4としℤ/5ℤの代表系{0,1,2,3,4}をjと同一視すると、
gj+2=a1jg2a1-j, a1gj+2a1-1= g[j+1]+2である。
h2=u22=g2·u12で、a1·u1=u1だから、a1jの作用に対し
a1j·h2=(a1jg2)·u12=[(a1jg2a1-j)a1j]·u12=gj+2·u12=hj+2だから、
求値写像xi→αiによってhi→βiと写ることを用いて、
a1j·β2=βj+2となる。故に<a1>·β2={β2, β3, β4, β5, β6}だから、
<a1>はβ2,..., β6上に可移的に作用する
(b)
演習問題9(c)と同様に証明できる。
β2,..., β6はgの根だから、補題4.1.3によりp|g。
gの根はβ2,..., β6のみで、β2,..., β6のF上の最小多項式はすべてp。
pもgも単多項式だから、g=pm。
ここで、deg(g)=5よりdeg(p)m=5すなわちm|5でなければならないから、
m=1または5。
(c)
まずFの標数は3でないとする
(すでにFの標数は2でないことは仮定されている)。
(b)によりm=5ならdeg(p)=1。β2はgの根だから、p=y-β2なので、
g=(y-β2)5=y5-5β2y4+10β22y4-10β23y2+5β24y-β25,
θf =(y-β1)g。
命題13.2.5のθfとy5, y4, y3の係数を比較して、
2b2=-5β2-β1, 2b4+b22=10β22-5β1β2, 2b2b4+2b6=-10β23-10β1β22。
これよりb2=(-5β2-β1)/2, b4=(15β22+5β1β2-β12)/8,
b6=(-5β23-15β1β22+5β12β2-β13)/16。
y2の係数から2b2b6+b42=5β24+10β1β23なので、
b2, b4, b6の式を代入して整理すると、
(β2-β1)4=0を得るのでβ1=β2。
y1の係数から2b2b6-210Δ(f)=-β25-5β1β24なので、
b2, b4, b6の式を代入して整理すると、
210Δ(f)=(β2-β1)4(11β2-β1)/64=0を得るので、β1=β2からΔ(f)=0となり、
fの分離性に反する。したがってFの標数が3でなければm≠5。
次にFの標数を3とする。
g=y5+β2y4+β22y4+2β23y2+2β24y+2β25,
θf =(y-β1)gなので、
命題13.2.5のθfとyの各冪の係数を比較して、
b2=β1+2β2, b4=β12+2β1β2, b6=β23+2β12β2+2β13。
標数が3でない場合と同様の手順で、
y2の係数から(β2-β1)4=0を得、y1の係数からΔ(f)=0となるので、
fの分離性に反する。
したがってm≠5だから(b)によりm=1となり、gはF上規約。
標数3を特別扱いしても式は係数を3を法として還元するだけで、
全く変わらないけど・・・。
0 件のコメント :
コメントを投稿