相似の導入のあれこれ 目次へ
近所の中3に教えている数学は、これから相似に入る。
相似の導入って、そういえばどうやってたっけ?と調べてみると、
中3数学の相似の概念→三角形の相似3条件
(二角相等・三辺比相等・二辺夾角比相等)にかけての導入って、
昔から曖昧だっていう批判がいろいろあるのね。
相似は、直線図形の相似性を証明することそれ自体より、
比例を図形の計量できっちり使えることの方が実用上は大事だと思う。
つまり、どうせ高校以降では解析幾何学がメインなんだから、
複雑な直線図形の絡んだ相似性を初等幾何的にゴリゴリやるより、
相似であること自体は割と簡単に分かる図形について、
相似比と比例を用いて計量をしっかりやる訓練を積んで、
比例の具体例を豊富に経験することが大事だ。
要するに習うより慣れろ的性格が強い。
だから相似の導入段階では、多少曖昧でも冗長になり過ぎないよう、
生徒の中にサクッと入りさえすれば、とりあえずそれでいいとは思う。
そうは言っても、そもそも相似の概念があやふやなままでは、
相似でないものを相似と思ってしまいかねないので、
いい加減に済ますわけにも行かない。
手元の文献でいろいろ当たってみた。
本によって導入の仕方がまちまちで、みなさんやっぱり苦労している感じがする。
まあ相似はそもそも、相似自体がどうと言うより、
ユークリッド空間における比例理論の話で、
つまり背景には図形と実数などの体との写像がある。
中1~中2の比例・一次関数との関連性もかなり強い。
中2初等幾何の、合同性というか等しいor等しくないの
1ビットがメインだった世界とは、実はかなり異質な世界だ。
三角形の相似条件とか、なまじ中2初等幾何と見た目が似ているだけに、
その異質さに数学好きだった自分も中3で戸惑った記憶がある、
てかはっきり言って相似は好きじゃなかった。
自分はともかく問題をやって慣れたけど、
数学が得意な子でも戸惑うポイントてのは大概、
躓く子が続出するポイントでもある。
実際、高1で三角函数というか三角比が出るが、
そこで訳がわからなくなる子は大抵、
相似は、中3の二次関数~高校の解析幾何学・線形代数学で、
本格的に扱う大きなテーマ「図形と式の統合」の中の一環という性格もあって、
その文脈での位置づけという要素も入る。
論理構築が好みの子と、実用を実感したい好みの子の要求を、
同時にある程度満足させないといけないというのもある。う~ややこしい。
中学での相似の導入の仕方って、匙加減というか高度なバランス感覚が要求される、
数学教育的には結構深いテーマみたいだなあ。
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