2012-12-03

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第2章§8の演習問題


演習問題1
Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: -x^3+y;
f2: x^2*y-z;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y,z]);
f: x*y^3-z^2+y^5-z^3;
poly_pseudo_divide(f,G,[x,y,z]);
-----
によりfG=0を得るのでfI

演習問題2
演習問題1と同様にMaxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x*z-y;
f2: x*y+2*z^2;
f3: y-z;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y,z]);
f: x^3*z-2*y^2;
poly_pseudo_divide(f,G,[x,y,z]);
-----
によりfG=2zを得るのでfI

演習問題3
Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x^2+y^2+z^2-1;
f2: x^2+y^2+z^2-2*x;
f3: 2*x-3*y-z;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[x,y,z]);
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よりI=<x2+y2+z2-1, x2+y2+z2-2x, 2x-3y-z>簡約Gröbner基底はlex順序で
{g1=x-1/2, g2=z2-z/5-23/40, g3=y+z/3-1/3}
g1=0よりx=1/2, g2=0よりz=(2±3√26)/20だから、
g3=0よりy=(6√26)/20(複号同順)
従ってV(I)={(1/2, (6+√26)/20, (2-3√26)/20), (1/2, (6-√26)/20, (2+3√26)/20)}

演習問題4
Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x^2*y-z^3;
f2: 2*x*y-4*z-1;
f3: z-y^2;
f4: x^3-4*z*y;
G:poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,f4],[x,y,z]);
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よりI=<x2y-z3, 2xy-4z-1, z-y2, x3-4yz>簡約Gröbner基底はlex順序で{1}だから、
I=k[x,y,z]なのでV(I)=

演習問題5
小問a
f/∂x=4x3+4xy2-8x-3, f/∂y=4x2y+4y3-8y-3
V(<f/∂x, ∂f/∂y>)が臨界点。

Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f: (x^2+y^2-4)*(x^2+y^2-1)+(x-3/2)^2+(y-3/2)^2;
dfx:expand(diff(f,x));
dfy:expand(diff(f,y));
G: poly_reduced_grobner([dfx,dfy],[x,y]);
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より<f/∂x, ∂f/∂y>簡約Gröbner基底はlex順序で{g1=x-y, g2=8y3-8y-3}
g2=0よりy=-1/2, (1±√13)/4g1=0よりx=yだから、
V(<f/∂x, ∂f/∂y>)={(-1/2,-1/2), ((1+√13)/4, (1+√13)/4), ((1-√13)/4, (1-√13)/4)}

小問b
fHesse行列は、g1=0よりx=yとすればH(f)=8((2x2-1,x2), (x2,2x2-1))
MaximafHessian 64[(2x2-1)2-x4]を計算すると、
x=(1-√13)/4のときHessian26-10√13<0なので鞍点。
x=-1/2x=(1-√13)/4Hessianが正なので極値点で、
x=-1/2のとき2f/∂x2|x=y=-1/2=-4<0だから極大、
x=(1-√13)/4のとき2f/∂x2|x=y=(1-√13)/4=48+16√13>0だから極小。

演習問題6
(4)式の左辺の最後の項は-(1/3)z3ではなく-(1/3)z2の誤植(原著第3版で確認)。

Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: t+u-x;
f2: t^2+2*t*u-y;
f3: t^3+3*t^2*u-z;
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[t,u,x,y,z]);
-----
で計算すると、7個の簡約Gröbner基底を得る:
G={t+u-x,
u2-x2+y,
-2ux2+2uy+2x3-3xy+z,
uxy-uz-x2y-xz+2y2,
-2uxz+2uy2-2x2z+xy2+yz,
-2uy3+2uz2+4x2yz-xy3+2xz+-5y2z,
-4x3z2+3x2y2+6xyz-4y3-z2}
この最後の元を3で割って(4)を得る。
ただし(4)式の左辺の最後の項は-(1/3)z3ではなく-(1/3)z2の誤植
(原著第3版で確認)。

本文には(原著第3版でも)「Gの元は6個」とあるが・・・。
簡約Gröbner基底は§7命題6により唯一だから、
変数順序の設定をMaximaで間違っているか、
または本文の(原著第3版でも)6個」が「7個」の誤植。

演習問題7
小問a
問題文の第1、第2の直線をそれぞれC1,C2とする。
パラメターtのある値に対しC1,C2上の点がそれぞれ一つ決まり、
通常のベクトル解析からこれら2点を通る直線は、
パラメターをuとして
t(x,y,z)=u(t(t,0,1)- t(0,1,t))+ t(0,1,t)= t(ut, 1-u,u+t-ut)なので与式を得る。

小問b
[t,u,x,y,z]においてlex順序t>u>x>y>zに対する、
<tu-x,-u+1-y,-tu+t+u-z>簡約Gröbner基底を、Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: t*u-x;
f2: -u+1-y;
f3: -t*u+t+u-z;
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[t,u,x,y,z]);
-----
で計算すると、G={u+y-1,t-x-y-z+1,xy+y2+yz-2y-z+1}
<u+y-1,t-x-y-z+1,xy+y2+yz-2y-z+1><xy+y2+yz-2y-z+1>だから、
§5命題9と第1章§4命題8により5において
V=V(xy+y2+yz-2y-z+1)V(u+y-1,t-x-y-z+1,xy+y2+yz-2y-z+1)

小問c
小問aよりu,tを消去して3においてxy+y2+yz-2y-z+1=0を得るから、
S上の点はすべてVの方程式を満たすのでSV

xy+y2+yz-2y-z+1=0よりx=(1-y)[z+x-(1-y)]
1-y=u, z+x-(1-y)=tとおけばx=ut, y=1-u, z=u+t-ut
とパラメタ付けられるから、Vの方程式を満たす点は、
Sのパラメタ表示で表せるので、VS。したがってV=S

演習問題8
小問a
Tの式からt,uを消去して、R2=x2+y2として(R-2)2+z2=1を得るので、
Tは原点を中心とし、大半径R=2, 小半径r=1のトーラス。

小問b
Tの式に普通に代入して
ac+2c-x=0,
ad+2d-y=0,
b-z=0を得る。

小問c
Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: a*c+2*c-x;
f2: a*d+2*d-y;
f3: b-z;
f4: a^2+b^2-1;
f5: c^2+d^2-1;
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,f4,f5],[a,b,c,d,x,y,z]);
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で計算して、9個の簡約Gröbner基底が得られる
(全部書き下すと面倒なので略)。
うちa,b,c,dを含まないのは、
x4+2x2y2+2x2z2-10x2+y4+2y2z2-10y2+z4+6z2+9

演習問題9
小問a
sin(2s)=2ab, cos(2s)=2a2-1, sin(3s)=-4b3+3b, cos(3s)=4a3-3aより、
8a5-2a3-3a-x=0, -8a2b3+6a2b-4b3-3b-y=0, 2ab-z=0

小問b
Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: 8*a^5-2*a^3-3*a-x;
f2: -8*a^2*b^3+6*a^2*b-4*b^3-3*b-y;
f3: 2*a*b-z;
f4: a^2+b^2-1;
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,f4],[a,b,x,y,z]);
-----
で計算して、7個のとても複雑な簡約Gröbner基底が得られる。
書き下すのは面倒なので略。

小問c
演習問題8Tのパラメタ付けの式で、t=2s, u=3sすなわち3t-2u=0とおけば、
Kのパラメタ付けの式になるから、Tの方程式で生成されるイデアルの生成元に、
さらに3t-2uを生成元として追加したイデアルが、
Kの方程式で生成されるイデアルである。
したがってTの方程式は、小問bの方程式で生成されるイデアルに含まれる。
幾何学的にはKT

演習問題10
球面(x-1)2+(y-1)2+(z-1)2=r2に接するx4+y2+z2-1=0の点のうち、
rが最小のものが求める点。
すなわちLagrangeの未定乗数をλとして、
f1=x4+y2+z2-1=0,
f2=2x3-λ(x-1)=0,
f3=y-λ(y-1)=0,
f4=z-λ(z-1)=0の解。
< f1, f2,f3,f4>の、lex順序λ>x>y>zでの簡約Gröbner基底は、Maxima
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x^4+y^2+z^2-1;
f2: expand(2*x^3-lambda*(x-1));
f3: expand(y-lambda*(y-1));
f4: expand(z-lambda*(z-1));
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3,f4],[lambda,x,y,z]);
-----
で計算してGの元として、h1(z), h2(z), h3(z),zのみの多項式として、
y-z, h1(z), x-h2(z), λ-h3(z)4つである。
h1(z)=0Maximarealrootsで解くと実根として
z=-20921873/33554432-0.62352040410042
z=21300981/335544320.63481870293617を得る。
y=z, x=h2(z)より、(x-1)2+(y-1)2+(z-1)2=r2に接するx4+y2+z2-1=0の点は
(-0.68676072170846, -0.62352040410042, -0.62352040410042)
(0.66367620270798, 0.63481870293617, 0.63481870293617)となり、
(1,1,1)に近いのは後者。

演習問題11
小問a
f1=a+b+c-3,
f2=a2+b2+c2-5,
f3=a3+b3+c3-7として、
<f1,f2,f3>からlex順序a>b>cでの簡約Gröbner基底Gを求め、
f=a4+b4+c4-9についてfGを求める。すなわちMaxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: a+b+c-3;
f2: a^2+b^2+c^2-5;
f3: a^3+b^3+c^3-7;
G: poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[a,b,c]);
f: a^4+b^4+c^4-9;
poly_pseudo_divide(f,G,[a,b,c]);
-----
によりfG=0だから、§62によりf<f1,f2,f3>
よってf1=f2=f3=0の制限のもとでa4+b4+c4-9=0

小問b
小問aと同様にしてf=a5+b5+c5-11として、fG=-4だからf<f1,f2,f3>
すなわちa5+b5+c5≠11

小問c
小問aと同様にしてf=a5+b5+c5として、fG=29だからa5+b5+c5=29
同様にf=a6+b6+c6として、fG=-19だからa6+b6+c6=-19

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