演習問題1
i: km→km+n ((t1,...,tm)↦ (t1,...,tm,f1(t1,...,tm),..., fn(t1,...,tm))において
f1,...,fnは多項式だから、全ての(t1,...,tm)∈kmにおいて定義されている。
πm: km+n→kn ((t1,...,tm, x1,...,xn)↦ (x1,...,xn))も、
全ての(t1,...,tm, x1,...,xn) ∈km+nで定義されているので、
F: km→kn ((t1,...,tm)↦ (f1(t1,...,tm),..., fn(t1,...,tm))はF=πm∘iで与えられる。
Vの定義によりIm(i)=Vは明らか。
演習問題2
(2)のf1,...,fnは多項式だから、
全ての(t1,...,tm)∈kmにおいて定義されているのでV≠∅。
さらに(4)によりπm(V)=F(ℂm)だから、閉包定理により、
アフィン多様体W⊊V(Im)が存在してV(Im)-W⊂πm(V)=F(ℂm)
演習問題3
x=t2(t∈ℝ)でパラメター表示されるℝ1内の点集合について、
F(ℝ)はx≥0となる点の集合。
I=<t2-x>とすればI1={0}なので、V(I1)=ℝ。
もしあるf1,...,fsが存在して、W=V(f1,...,fs)について、
演習問題2が成り立ったとすると、
f1,...,fsはx<0となる無限個の根を持たねばならない。
しかしℝは無限体なのでf1=...=fs=0でなければならないから、
W=ℝ=V(I1)となり、W≠V(I1)と矛盾。
したがって演習問題2を満たすWは存在しない。
演習問題4&5
g1,..., g7のうち、tを含むのはg1だけだから、
I1=<g2,g3,g4,g5,g6,g7>である。
I2は§1演習問題1bによりI1の1次の消去イデアルで、
g2のuの先頭項の係数は定数なので、
§1系4により任意の(x,y,z)∈V(I2)⊂ℂ3について、
g2,g3,g4,g5,g6を同時に満たすu∈ℂが存在する。
とくに(x,y,z)∈ℂ3について、g3の根となるu∈ℂが定まり、
このuはg2,g3,g4,g5,g6を同時に満たす。
もし(x,y,z)∈ℝ3なら、g3はuの実係数一次式となるから、
u∈ℝとなり、かつこのuは一意である。
したがってこのとき(u,x,y,z)∈ℝ4。
同様にI1からIへの拡張においても、g1がtの1次式で、
先頭係数が定数であることから、(u,x,y,z)∈ℝ4なら、
g1,..., g7を同時に満たすt∈ℝが一意に定まり、(t,u,x,y,z)∈ℝ5。
演習問題6
小問a
ℂ[u,v,x,y,z]におけるI=<x-uv, y-u2, z-v2>の簡約Gröbner基底は、Maximaで
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x-u*v;
f2: y-u^2;
f3: z-v^2;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[u,v,x,y,z]);
-----
で計算すれば{uv-x,
u2-y, v2-z, ux-vy, uz-vx, x2-yz}なので、
消去定理によりI2=<x2-yz>だから定理1によりV=V(I2)。
第2章§5命題9によりV(I2)=V(x2-yz)なので、
Vの方程式はx2-yz=0。
小問b
I1=<v2-z,x2-yz>で、v2-zのvの最高次の係数は定数だから、
§2系4により任意の(x,y,z)∈V(I2)⊂ℂ3について、
V(I1)へ拡張することができ、さらにIの基底の一つ
u2-yのuの最高次の係数も定数だから、
同様に任意の(v,x,y,z)∈V(I1)⊂ℂ4について、V(I)へ拡張することができる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、S=π2(V(I))だからS=V。
小問c
u,v∈ℝなら、y,z≥0だが、(x,y,z)∈ℝ3がx2-yz=0を満たせば、
(x,-y,-z)∈ℝ3も満たすので、y,z<0となるVの"半分"がSから欠けている。
欠けた"半分"を覆うために、uの代わりにiu, vの代わりにivとおいて、
x=-uv, y=-u2, z=-v2とすればよい。
演習問題7
小問a
演習問題6aと同様に計算して、
I=<x-uv, y-uv2, z-u2>の簡約Gröbner基底は
{ uv-x,
u2-z, ux-vz, uy-x2, vyz-x3, v2z-x2, vx-y, x4-y2z}だから、
I2=<x4-y2z>, I1=< vyz-x3, v2z-x2, vx-y, x4-y2z>。
Vの方程式はx4-y2z=0。
小問b
x=z=0のときI1の生成元のvの0でない最高次の項が全て消えるので、
S上にないVの点は直線x=z=0 (y軸)上にある。
Sのパラメター表示においてx=z=0となるのはu=0の時で、
このときy=0となるから、(0,0,0)以外のy軸上の点はすべてSに含まれない。
演習問題8
(問題文のxのパラメター表示の右辺第2項+3yv2は+3uv2の誤植
(原著第3版で確認。))
小問a
演習問題6aと同様に計算して、Vの方程式は
0=x6-3x4y2+(5/9)x4z3+6x4z2-3x4z
+3x2y4+(26/9)x2y2z3+6x2y2z+(16/243)x2z6+(16/9)x2z5+(80/9)x2z4-16x2z3
-y6+(5/9) y4z3-6 y4z2-3 y4z-(16/243)y2z6+(16/9)y2z5-(80/9)y2z4-16y2z3
-(64/19683)z9+(128/243)z7-(64/3)z5。
小問b
I1のGröbner基底に、v4+vz/2+v/2-y/2が含まれており、
vの最高次の係数が定数だから、
拡張定理によりV=V(I2)の全ての点はV(I1)へ拡張できる。
さらにIのGröbner基底にu2-v2-z/3が含まれているので、
同様にしてV(I1)の全ての点はV(I)へ拡張できる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、S=π2(V(I))だからS=V。
演習問題9
小問a
演習問題6aと同様に計算して、最小の多様体Vの方程式は
x2-y2z=0。
小問b
I1のGröbner基底は{v-y, x2-y2z}で、
v-yのvについての最高次の係数は定数だから、
拡張定理によりV=V(I2)の全ての点はV(I1)へ拡張できる。
IのGröbner基底にはu2-zが含まれているから同様にして、
V(I1)の全ての点はV(I)へ拡張できる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、ℂ上で傘全体を覆うことが出来る。
パラメター表示から、u∈ℝならz<0の点は覆うことができない。
Vの方程式x2-y2z=0においてz<0ならx=y=0だから、
Vに含まれるうち、z軸の負の部分がℝ上で欠ける。
小問c
z=u2より一般にz>0ならuは2つ決まる。
とくにx=y=0のときはv=0で、このときu=±√zに対し
(0,0,z)は同じ点となる。
したがってx=y=0かつz>0では一意ではなく、
これは傘曲面が交差する点に対応する。
演習問題10
小問a
f1(t),...,fn(t)はtの多項式なので、tの最高次の係数はℂの定数だから、
系4によりV=V(I)⊂ℂn+1としてπ1(V(I))=V(I1)となる。
したがって、曲線π1(V(I))はV(I1)の全ての点を覆う。
小問b
第1章§3の、単位円x2+y2=1に対するパラメター付け
x=(1-t2)/(1+t2), y=2t/(1+t2)は、(-1,0)を覆わないので反例となる。
小問c
演習問題3のI=<t2-x>とすればI1={0}なので、V(I1)=ℝだが
π1(V(I))は曲線x≥0だから反例となる。
演習問題11
小問a
fgはすべてのkmの点で0となるから零函数。
kは無限体だから、第1章§1命題5によりfg=0。
g≠0だからf=0。
小問b
定理2の証明にヒントにあるように、
(4)の代わりに(8)を用い、小問aのkm-W上消える多項式は0であることを、
kとℂとを行き来するところで使えばよい。
演習問題12
小問a
ℂ[u,v,x,y,z]におけるI=<u2-vx, uy-v2, u-z>の簡約Gröbner基底は、Maximaで
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: v*x-u^2;
f2: u*y-v^2;
f3: z-u;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[u,v,x,y,z]);
-----
で計算すれば{u-z, vx-z2, v2-yz, vz2-xyz, x2yz-z4}なので、
消去定理によりI2=<x2yz-z4>=<z(x2y-z3)>
小問b
W=V(uv)=V(u)⋃V(v)だから、W={(u,v)∈ℂ2| u=0またはv=0}なので、
ℂ2-W={(u,v)∈ℂ2| uv≠0}。
したがって(5)によりi(ℂ2-W)={(u,v,x,y,z)∈ℂ5| uvxyz≠0}。
jの定義によりj(ℂ2-W)={(1/uv,u,v,x,y,z)∈ℂ6| uvxyz≠0}だから、
π1(j(ℂ2-W))={(u,v,x,y,z)∈ℂ5| uvxyz≠0}=i(ℂ2-W)。
また(8)の上の議論からj(ℂ2-W)=V(J)なのでπ1(V(J))=i(ℂ2-W)。
すると閉包定理によりV(J1)はi(ℂ2-W)をふくむ最小のアフィン多様体。
新たな変数wを用い、ℂ[w,u,v,x,y,z]において(7)~(8)式の手続きに従うと、
J=<u2-vx, uy-v2,
u-z,
uvw-1>の簡約Gröbner基底は、
小問aと同様にMaximaで計算して、
{ wz3-x, wyz2-v, wxy-1, u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3}。
これよりJ1=<u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>。
u2-vx=-(vx-z2)+(u+z)(u-z)とvx-z2=-(u2-vx)+(u+z)(u-z)、
およびuy-v2=-(v2-yz)+y(u-z)とv2-yz=-(uy-v2)+y(u-z)から、
J1=<u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3>。
したがって第2章§5命題9によりV(J1)=V(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)。
以上によりi(ℂ2-W)をふくむ最小のアフィン多様体は、
V(u-z, u2-vx,
uy-v2, vz-xy, x2y-z3)。
小問c
(0,0,x,y,0)でIの生成元は全て消えるから{(0,0,x,y,0)}⊂V(I)。
I⊂J1なのでV(u-z, u2-vx,
uy-v2, vz-xy, x2y-z3)⊂V(I)だが、
xy≠0ならvz-xy, x2y-z3は(0,0,x,y,0)で消えないので、
(0,0,x,y,0)∉V(u-z, u2-vx,
uy-v2, vz-xy, x2y-z3)。
したがってV(u-z, u2-vx,
uy-v2, vz-xy, x2y-z3)⊊V(I)なので、
小問bによりV(I)はi(ℂ2-W)をふくむ最小のアフィン多様体でない。
小問d
Jの簡約Gröbner基底{ wz3-x, wyz2-v, wxy-1, u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3}から、
J3=<x2y-z3>, J2=<vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>。
v2-yzのvの最高次の係数が定数なので拡張定理により、
V(J3)の任意の点はV(J2)へ拡張でき、π1(V(J2))=V(J3)。
J1=<u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>についても、
u-zのuの最高次の係数が定数なので拡張定理により、
V(J2)の任意の点はV(J1)へ拡張でき、π1(V(J1))=V(J2)。
Jの基底のwの最高次の係数は、
z=0かつ xy=0のときに限りすべて0となる。
従ってV(J3)の任意の点のうち、x軸上とy軸上の点のみ、
(5)でパラメター表示されない。
演習問題13
図式(7)においてm=1。g∈k[t]なので第1章§5系3により、
Wは高々deg(g)個の要素から成る有限集合で、k-W上で常にgi≠0。
(t,x1,...,xn)∈V(I)なら、すべてのiについてgi(t)xi-fi(t)=0なので、
もしgi(t)=0ならfi(t)=0だが、
各iについてfi,gi∈k[t]は互いに素だから、
gi(t)とfi(t)は同時に0になることはないので、この場合は起こり得ない。
すなわちgi(t)≠0だからt∉k-Wかつxi=fi(t)/gi(t)となり、
故に図式(7)において(t,x1,...,xn)∈i(k-W)。したがってV(I)⊂i(k-W)。
逆の包含関係は明らかだからV(I)=i(k-W)なのでF(k-W)=π1(V(I))。
あとは定理1の証明と同様に進めることができる。
もしkが代数的閉体なら、V(I)⊂kn+1から閉包定理により、
V(I1)はπ1(V(I))=F(k-W)⊂knを含む最小のアフィン多様体となり証明が終わる。
kが代数的閉体でないときは、k⊂Kとなる代数的閉体を考え、
定理1の証明と同様にkとKを多様体の添字とする。
Kにおいてg=0となる元の集合をUとする。
§2補題1よりπ1(Vk(I))⊂Vk(I1)である。
Zk=Vk(h1,...,hs)⊂knについてF(k-W)⊂Zkとなったとすると、
F(k-W)上でhi=0だから、各hi∘Fはk-W全体で消える。
各hiは多項式で、任意のt∈k-WについてF(t)=(f1(t)/g1(t),..., fn(t)/gn(t))だから、
hi∘F(t)は分母にg1(t),..., gn(t)だけを含む有理式である。
すなわち、各hi∘Fの分母は0にならず、分子のni∈k[t]がk-W全体で消える。
Wは有限集合でkは無限体だからk-Wは無限集合なので、
niは無限個のtに対して0となる。
故に第1章§1命題5から全てのni=0でなければならない。
したがってk-Wにおいてhi∘Fは零多項式である
するとhi∘FはK-U上でも零多項式となるから、
F(K-U)上で全てのhiは消えるので、
ZK=VK(h1,...,hs)⊂KnはF(K-U)を含むKnの多様体。
Kは代数的閉体だから、上で示したことによりVK(I1)⊂ZKとなる。
knにある解のみを取ることにより、Vk(I1)⊂Zk。
したがって、Vk(I1)はπ1(Vk(I))=F(k-W)⊂knを含む最小のアフィン多様体
演習問題14
小問a
3tとt3+1, 3t2とt3+1はそれぞれ互いに素だから、
演習問題13により単に分母を払った多項式のイデアル
I=<(t3+1)x-3t, (t3+1)y-3t2>の簡約Gröbner基底を求めればよい。Maximaで
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: (1+t^3)*x-3*t;
f2: (1+t^3)*y-3*t^2;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[t,x,y]);
-----
により、Iの簡約Gröbner基底として{t2y-3t+x,
tx-y, ty2+x2-3y,
x3-3xy+y3}
が得られるので、I1=<x3-3xy+y3>だから、
Descartesの葉線の方程式はx3-3xy+y3=0。
小問b
ℂにおいては、演習問題13によりV(I1)は、
F(ℂ-{-1,-ω,-ω2})=π1(V(I))を含む最小の多様体。
tを含むIの簡約Gröbner基底のtの最高次は、
x=y=0以外では同時に0とならないので、
拡張定理によりV(I1)=π1(V(I))⋂{(0,0)}だが、
t=0のときx=y=0だから、(0,0)∈π1(V(I))となるので、
V(I1)=π1(V(I))=F(ℂ-{-1,-ω,-ω2})となる。
したがって、ℂ-{-1,-ω,-ω2}において問題のパラメター表示は曲線全体を覆う。
ℝにおいては、Iの簡約Gröbner基底にtx-y, ty2+x2-3yが含まれるから、
(x,y)∈ℝ2でx=y=0でないならt∈ℝである。
x=y=0ならIの簡約Gröbner基底t2y-3t+xからt=0∈ℝとなり、
したがって全ての(x,y)∈V(I1)⊂ℝ2について、t∈ℝだから、
ℝ-{-1}において問題のパラメター表示は曲線全体を覆う。
演習問題15
第1章§3演習問題16aにより、w>0なら問題のパラメター表示の分母は、
ℝにおいて消えないから、
演習問題13により、単に分母を払った多項式のイデアルの、
簡約Gröbner基底を求めればよい。Maximaで
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
g:
expand((1-t)^2+2*t*(1-t)*w+t^2);
f1:
expand((1-t)^2*x1+2*t*(1-t)*w*x2+t^2*x3)-expand(g*x);
f2:
expand((1-t)^2*y1+2*t*(1-t)*w*y2+t^2*y3)-expand(g*y);
poly_reduced_grobner([f1,f2],[t,x,y]);
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とやってみたらpoly_reduced_grobnerでエラーだなあ・・・。
Maximaだと文字定数入りはダメなのかな。
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