第2章§9は余り興味ないのでパス。
演習問題1
小問a
明らかに0∈k[xl+1,...,xn]で、Iはイデアルだから0∈Iなので、0∈Il。
f,g∈Ilなら、f,g∈k[xl+1,...,xn]よりf+g∈k[xl+1,...,xn]、
またIはイデアルだからf+g∈Iなので、f+g∈Il。
f∈Il, h∈k[xl+1,...,xn]ならhf∈k[xl+1,...,xn]、
またIはイデアルでh∈k[x1,...,xn]でもあるからhf∈Iなので、hf∈Il。
以上によりIlはk[xl+1,...,xn]のイデアル。
小問b
k[xl+2,...,xn]⊂k[xl+1,...,xn]より Il+1=I⋂k[xl+2,...,xn]⊂I⋂k[xl+1,xl+2,...,xn]= Il。
また Il⊂IだからIl+1=I⋂k[xl+2,...,xn]とIlの共通部分を取って
Il+1= Il⋂k[xl+2,...,xn]となり、Il+1は Ilの一次の消去イデアル。
演習問題2
小問a
f1=x2+2y2-3, f2=x2+xy+y2-3とするとI=<f1, f2>。
Maximaで
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1:x^2+2*y^2-3;
f2: x^2+x*y+y^2-3;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y]);
-----
により、変数順序x>yのlex順序での、Iの簡約Gröbner基底は
G={x2+2y2-3, xy-y2,
y3-y}なので、
消去定理により{y3-y}=G⋂k[y]はIy=I⋂k[y]のGröbner基底。
変数順序y>xのlex順序で同様にすれば、
Iの簡約Gröbner基底{y+(1/2)x3-(3/2)x, x4-4x2+3}と、
Ix=I⋂k[x]のGröbner基底{x4-4x2+3}を得る
小問b
IyのGröbner基底y3-y=y(y-1)(y+1)よりV(Iy)の部分解はy=0,±1。
xについてのf1の最高次の項の係数は1で定数だから、
系4により上の部分解を持つV(I)の元が存在する。
小問aによりIのy3-y以外の簡約Gröbner基底x2+2y2-3,
xy-y2の、
y=0,±1の時の共通解が求める解で、
y=0のときx=±√3、y=1のときx=1、y=-1のときx=-1を得るから、
V(I)={(±√3,0),(1,1),(-1,-1)}。
IxのGröbner基底からも、同じ結果が得られる、というかこちらからのほうが楽。
うまくできてるなぁ。
小問c
小問bより、有理的な解は(1,1)と(-1,-1)。
小問d
k2が(±√3,0)も含む最小の体はk=ℚ(√3)。
演習問題3
演習問題2と同様にして、変数順序y>xのlex順序での、
Iの簡約Gröbner基底は{4y+3x3-6x,3x4-8x2+4}だから、
Ix=I⋂k[y]のGröbner基底として{3x4-8x2+4}を得るので部分解はx=±√2, ±√6/3。
Iのもう一つの簡約Gröbner基底より、
x=±√2のときy=0, x=±√6/3のときy=∓4√6/3(複号同順)。
故にℚ2においては解なし。
ℂ2においては(±√2,0), (√6/3, -4√6/3), (-√6/3, 4√6/3)の4つ。,
演習問題4
Iの簡約Gröbner基底はMaximaで
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1:x^2+y^2+z^2-4;
f2: x^2+2*y^2-5;
f3:x*z-1;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[x,y,z]);
-----
により{x+2z3-3z, y2-z2-1, z4-(3/2)z2+1/2}だから、
I1のGröbner基底が{y2-z2-1, z4-(3/2)z2+1/2},
I2のGröbner基底が{z4-(3/2)z2+1/2}である。
I2のGröbner基底から部分解z=±1, ±√2/2を得る。
I1のGröbner基底y2-z2-1の、yの最高次の係数は定数だから、
系4によりI2の部分解を拡張するI1の部分解が存在し、
(y,z)=(±√2,1), (±√2,-1), (±√6/2,√2/2), (±√6/2,-√2/2)。
さらにIのGröbner基底x+2z3-3z,の、xの最高次の係数は定数だから、
系4によりI1の部分解を拡張する解が存在し、
(x,y,z)=(1,±√2,1), (-1,±√2,-1), (√2,±√6/2,√2/2), (-√2,±√6/2,-√2/2)。
有理的な解は存在しない。
演習問題5
(問題文の最後の部分「・・・のl次消去イデアルである。」は、
「・・・のl次消去イデアルの基底である。」の誤訳(原著第3版で確認)。)
定理2の証明で、lex順序であることを使う議論があるが、
実はl消去タイプの単項式順序ならすべて、この議論は成り立つ。
したがって「lex順序」を「l消去タイプの単項式順序」で置き換えた、
一般化された消去定理が成り立つ。
演習問題6
小問a
第2章§4の演習問題12で既に示した。
小問b
問題の単項式順序を>mixedとする。
x=(x1,...,xl), y=(xl+1,...,xn), α,γ∈ℤl≥0, β,δ∈ℤn-l≥0として、
xαyβ>mixed xγyδ⇔xα>grevlex
xγまたはxα=xγかつyβ>grevlex
yδ。
この定義より、α>0なら任意のβ,δ∈ℤn-l≥0に対し常にxαyβ>mixed
yδだから、
l消去タイプの単項式順序である。
小問c
小問a,bの単項式順序のどちらもl消去タイプだから、
演習問題5の消去定理からG⋂k[xl+1,...,xn]はI⋂k[xl+1,...,xn]のGröbner基底。
また小問a,bの単項式順序のどちらも、
xl+1,...,xnについてはgrevlex順序なのだから、
BuchbergerアルゴリズムでGを構成する時に、
G⋂k[xl+1,...,xn]⊂k[xl+1,...,xn]はxl+1,...,xnについてのgrevlex順序で作られるから、
G⋂k[xl+1,...,xn]はgrevlex順序に関するGröbner基底。
演習問題7
小問a
Maximaで
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: t^2+x^2+y^2+z^2;
f2: t^2+2*x^2-x*y-z^2;
f3: t+y^3-z^3;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[t,x,y,z]);
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により計算でき、Iの5つの簡約Gröbner基底を得る(長たらしいので略)。
うちtを含まないものが4つあるので、
I⋂k[x,y,z]の4つのGröbner基底(2つの6次式と、12次、11次)が得られる。
小問b
小問aのMaximaコマンドにおいて、2行目を
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poly_monomial_order: grevlex;
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とすればよい。結果Iの3つの簡約Gröbner基底
{y3-z3+t, x2-xy-y2+2z2, t2+xy+2y2+3z2}を得る。
うちtを含まないのはx2-xy-y2+2z2だけなので、
{x2-xy-y2+2z2}がI⋂k[x,y,z]のGröbner基底。
(問題文には2つとあるけど・・・
Maximaでなく手で計算してもMaximaの出力が正しそう・・・)
小問c
小問bの問題か答えのどちらかに間違いがあるみたいなので、
こんがらがるからパス。
演習問題8
(6)のGröbner基底g1の式をyについて解けば、
y=±√{-z2(z2-1)±z√[z2(z2-1)2-4]}/√2。ただし複号はすべての組合せについて取るので、
一つのzに対し4つのyが定まる。
このy=y(z)を使ってx=1/(y(z)z)だから、一つのzに対し4つの(x,y,z)が解になる。
演習問題9
小問a
f1=x10-x5y+1, f2=x2-xz+1とするとI=<f1, f2>。
Maximaで
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load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x^10-y*x^5+1;
f2: x^2-x*z+1;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[x,y,z]);
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によりlex順序でのIの簡約Gröbner基底は
g1=f2=x2-xz+1,g2=y-z5+5z3-5zだから、
消去定理によりI1のGröbner基底は{g2}、I2のGröbner基底は{0}。
小問b
g2のyの最高次の係数は定数だから、
系4により任意の部分解c∈V(I2)について、
部分解(y,z)=(b,c)∈V(I1)が存在する。
さらにg1のxの最高次の係数も定数だから、
同様に部分解(x,y,z)=(a,b,c)∈V(I)に拡張できる。
小問c
g2=0よりy=z5-5z3+5zなので、
任意のz=c∈ℝについてy∈ℝが求まる。
さらにg1=0よりx=[z±√(z2-4)]/2だから、
V(I1)のうち|z|≥2の点がV(I1)の解に拡張できる。
本文中でも述べられているように、拡張定理はℂで成り立つが、
ℝでは必ずしも成り立たない。
小問d
小問cよりx=[z±√(z2-4)]/2, y=z5-5z3+5z。
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