演習問題1
σ=(τ;μ1,..., μk), σ'=(τ';μ'1,..., μ'k)∈A≀Bとする。
すべての(i,j)∈Riに対し、σ'(i,j)=(τ'(i), μ'i(j))なので、
σσ'(i,j)=σ(τ'(i), μ'i(j))=(ττ'(i),
μτ'(i)μ'i(j))だから、
σσ'=(ττ'; μτ'(1)μ'1,..., μτ'(k)μ'k)となり(14.7)を得る。
ττ'∈A、μτ'(i)μ'i∈Bだからσσ'∈A≀Bなので、A≀Bは積について閉じている。
演習問題2
(a)
任意のn>1について、Snの部分群Gに互換τが1つ含まれたとする。
n=|G⋂
An|とすると、τ∉Anなのでτ(G⋂An)⋂(G⋂An)=∅かつ|τ(G⋂An)|=nで、
τ(G⋂An)の元は全て奇置換だから、Gには偶置換と奇置換が同数含まれ|G|=2nである。
故にn=|G⋂An|=|G|/2。
(12)=((1)(2)(3);(12),(3)(4),(5)(6))はS3≀S2⊂S6の元で互換だから、
|(S3≀S2)⋂A6|=|S3≀S2|/2=24。
(b)
σ=(12)(34)(56)として、σ=((1)(2)(3);(12),(34),(56))である。
S3≀S2の元はτ∈S3, μ1∈{(1)(2),(12)}≃S2, μ2∈{(3)(4),(34)}≃S2,
μ3∈{(5)(6),(56)}≃S2として(τ; μ1, μ2, μ3)なので、(14.7)の積に対し、
σと可換だから、S3≀S2⊂CS6({σ})。
CS6({σ})={ρ∈S6|ρσ=σρ}だから、
ρ∈CS6({σ})についてσ-1ρσ=ρ。
すなわちρは1と2、3と4、5と6との
文字の置き換えに対し不変なS6の元だから、
ブロックR1,R2,R3を保つ置換なので、ρ∈S3≀S2となり、
故にCS6({σ})⊂S3≀S2。
以上によりCS6({σ})=S3≀S2。
(c)
σ=(12)(34)(56)は奇置換なので、S3≀S2は
S3≀S2=((S3≀S2)⋂A6)⋃σ((S3≀S2)⋂A6)
とσについての左剰余類に分解されるから、
D={e,σ}≃S2とすればS3≀S2=D((S3≀S2)⋂A6)である。
(a)により[S3≀S2:((S3≀S2)⋂A6)]=2だから((S3≀S2)⋂A6)⊴S3≀S2、
また(b)によりDの元はS3≀S2の元と可換だからD⊴S3≀S2。
σは奇置換で((S3≀S2)⋂A6)は偶置換のみからなるから、
D⋂((S3≀S2)⋂A6)={e}。
故にS3≀S2=((S3≀S2)⋂A6)×D≃((S3≀S2)⋂A6)×S2。
演習問題3
(a)
Snの元に添字nをつけて区別することにする、
問題の準同型をπ:G→S3とする。
π(x)=e3なるx∈Gは例えばx=e6=(e3;e2,e2,e2)、
π(x)=(12)3なるx∈Gは例えばx=(13)(24)=((12)3;e2,e2,e2)、
π(x)=(13)3なるx∈Gは例えばx=(15)(26)=((12)3;e2,e2,e2)、
π(x)=(23)3なるx∈Gは例えばx=(35)(46)=((23)3;e2,e2,e2)、
π(x)=(123)3なるx∈Gは例えばx=(135)(246)=((123)3;e2,e2,e2)、
π(x)=(132)3=(123)3-1なるx∈Gは例えばx=(153)(246)=((132)3;e2,e2,e2)∈G
があるからπは全射。
Ker(π)は(e3;μ1,μ2,μ3) (μ1∈{e2,(12)},μ2∈{e2,(34)},μ3∈∈{e2,(56)})の形の元からなり、
Ker(π)⊂A6だから、Ker(π)={e6=(1),
(12)(34),(12)(56),(34)(56)}。
(b)
|G|=24=23·3だから定理A.5.1(a)(Sylowの第1定理)により、
Gは3-Sylow部分群を持ち、定理A.5.1(c)(Sylowの第1定理)により、
Gの3-Sylow部分群の個数をNとしてN≡1 (mod 3)かつN|24=|G|。
故にN=1または4。
(c)
6=1·6=2·3だから、位数6の元は6サイクルか、
2サイクルと3サイクルの共通部分のない積である。
いずれにせよ全て奇置換だから、A6は位数6の元を持たない。
(d)
N=1ならGの唯一つの3-Sylow部分群H≃C3はGの正規部分群。
また、Ker(π)⊴Gなので、h∈H, k∈Ker(π)を任意に取れば、
k-1hk∈Hかつh-1kh∈Ker(π)だから、
hkh-1k-1=(hkh-1)k-1∈Ker(π)かつhkh-1k-1=h(k-1hk)-1∈Hなので、
hkh-1k-1∈H⋂Ker(π)。
Ker(π)は(a)によりe以外には位数2の元しかなく、
H≃C3だからHはe以外には位数3の元しかないから、
H⋂Ker(π)={e}なので、hk=khである。
h∈H, k∈Ker(π)は任意だから、o(h)=3, o(k)=2の元を取れば、
(hk)i=hiki=eなる最小のi>0はlcm(o(h),o(k))=6だから、
o(hk)=6となり、故にGは位数6の元を持つ。これはG⊂A6より(c)と矛盾
したがってN=1ではありえない。よってN=4。
(e)
Gは共軛によって4つの3-Sylow部分群H1, H2, H3, H4に作用するので、
σ∈G, τ∈S4としてσ·Hi=σHiσ-1=Hj=Hτ(i)
(1≤i,j≤4)によって、
写像φ: G→S4を定義すると、φは明らかに群準同型。
|G|=|S4|=24だから、φが1対1であることを示せば良い。
Ker(φ)={e6}すなわち、すべての1≤i≤4についてσHiσ-1=Hiとなるσ∈Gが、
e6以外にない事を示す。
Gの3-Sylow部分群Hiは、eと、互いに逆元である2つの位数3の元からなる。
このうちeでない元は3サイクルか、2つの共通部分のない3サイクルの積だが、
R1, R2, R3をのブロックが2つの文字からなるので、
3サイクル1つではブロックを不変に保てないから、
2つの共通部分のない3サイクルの積でなければならない。
このHiの元に含まれる1つの3サイクルは、
1を{3,4}または{5,6}のいずれかに移し、
1が移った文字が3なら、3は{5,6}へ、4なら{3,4}へ移す。
この3サイクルによって、積のもう一方の3サイクルは一意に決まる。
この仕方は23=8通りあるので、互いに逆元である2つの組ずつ、
計4組が各Hiに入る。
したがって、Gの3-Sylow部分群は
H1={e,(135)(246),(153)(264)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,e2,e2),
((132); e2,e2,e2)},
H2={e,(136)(245),(163)(254)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,e2,(12)), ((132); (12),e2,e2)},
H3={e,(145)(236),(154)(263)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,(12),e2), ((132); e2,e2,(12))},
H4={e,(146)(235),(164)(253)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,(12),(12)), ((132); (12), e2,(12))}
である。
GのHiへの共軛による作用によって、Hiの元の文字は置換される。
すべての1≤i≤4についてσHiσ-1=Hiとなるσ∈Ker(φ)の作用によって、
例えばH1の(135)は不変であるか、または(246),(153),(264)のいずれかへ移り、
対応して(246)はそれぞれ、不変であるかまたは(135),(264),(153)へ移る。
ところが、(135)を不変に保たないσは、例えば(135)が(246)へ移る場合
(12)(34)(56)というように、全て3つの互換の積だからG⊂A6の元ではないので、
σH1σ-1=H1となるσ∈Gはe6のみとなる。
H2, H3, H4についても同様だから、Ker(φ)={e6}。
よってφは1対1だから同型となり、G≃S4。
(f)
演習問題2(c)によりS3≀S2≃G×S2だから、(e)によりS3≀S2≃S4×S2。
演習問題4
A,Bは置換群だから有限群で、あるk,l>1についてA⊂Sk, B⊂Slである。
補題14.2.8によりBk⊴A≀BかつA≀B/Bk=AだからA≀B/Bkは可解。
列G0={e}⊂G1=B⊂G2=B2⊂... ⊂Gk=Bkを考えると、
すべての1≤i≤kについて、Gi =Gi-1×Bだから、
Gi-1⊴GiかつGi/Gi-1=BなのでGi/Gi-1は可解。
故に8.1節演習問題8(b)によりGk=Bkは可解。
よって定理8.1.4によりA≀Bは可解。
演習問題5
(a)
(14.9)の写像をφ:Gi→Spとする。
σ=(τ;μ1,..., μk), σ'=(τ';μ'1,..., μ'k) ∈Giとすると、
Giの定義によりτ(i)=τ'(i)=iなので、(14.7)の積により
σσ'=(ττ'; μτ'(1)μ'1,..., μτ'(i)μ'i,..., μτ'(k)μ'k)=(ττ';
μτ'(1)μ'1,..., μiμ'i,..., μτ'(k)μ'k)だから、
φ(σσ')=μiμ'i=φ(σ)φ(σ')となり、φは群準同型。
Gi⊂Gだから命題8.1.3によりGiは可解で、Ker(φ)⊴Giだから、
定理8.1.4と定理A.1.3(群準同型の基本定理)により、
Gi/Ker(φ)≃Im(φ)は可解。
Gは可移だから、任意にs,t∈Riをとるとσ(s)=tとなるσ∈Gが存在し、
したがってσ(Ri)=Riとなるので、σ∈Giだから、
σ=(τ;μ1,..., μi,..., μk) (τ(i)=i)内のμiはRiにおいて可移。
故にIm(φ)は可移。
以上によりIm(φ)は可解かつ可移。
(b)
すべての(k,l)∈Riに対し
γ(k,l)=(σ-1(ρ;ν1,..., νp)σ)(k,l)=(σ-1(ρ;ν1,..., νp))(τ(k), μk(l))
=σ-1(ρτ(k), ντ(k)μk(l))=(τ-1ρτ(k),
μτ-1ρτ(k)-1ντ(k)μk(l))
である。k=j, l=iに対しτ-1ρτ(j)=j, ντ(j)=νi=θだから、
γ(j,i)=(j,μj-1θμj(i))=(j,λj(i))なので、λj=μj-1θμj。
演習問題6
(a)
σ=(τ;g1,..., gn), σ'=(τ';g'1,..., g'k) ∈A≀Gとすると、
数学ノートの積の定義によりσσ'∈A≀Gで、
eA≀G=(eA; eG,..., eG)∈A≀Gは明らかにA≀Gの単位元。
またσ-1=(τ-1;gτ-1(1)-1,...,gτ-1(n)-1)∈A≀Gとし、Gが作用する集合をXとすれば、
i∈A, x∈Xに対し、σσ-1(i,x)=σ(τ-1(i), gτ-1(i)-1(x))=(ττ-1(i), gτ-1(i)gτ-1(i)-1(x))=(i,x)および
σ-1σ(i,x)=σ-1(τ(i),
gi(x))=(τ-1τ(i), gτ-1(τ(i))-1gi(x))=(i,x)だから、
σ-1はA≀Gにおけるσの逆元となる。
よってA≀Gは数学ノートの積について群をなす。
(b)
写像(τ;g1,..., gn)→τは群準同型A≀G→Aを定義する。
これは全射で、その核はGn=G×...×Gに同型である。
∵)
(a)の積によりこの写像は準同型で、
A≀Gの定義により明らかに全射。
核は(eA; g1,..., gn)で、(eA; g1,..., gn)→(g1,..., gn)∈Gnは明らかに群同型。
(c)
(b)と定理A.1.3(群準同型の基本定理)により、
A≀G/Gn≃Aだから、|A≀G|=|A||G|n。
演習問題7
HはGへのすべての関数の集合だから、
すべての1≤i≤nについて
I(i)=eGとなるIが存在し、任意のφ∈Hについて
(Iφ)(i)=(φI)(i)=φ(i)だから、IはHの単位元。
また、任意のφ∈Hについてφ-1(i)=φ(i)-1となる関数φ-1が存在して、
φ-1はHにおけるφの逆元となる。よってHは群をなす。
φ→(φ(1),...,φ(n))によって写像H→Gnを定義すれば、
Hにおける積の定義によりこの写像は群準同型で、
HはGへのすべての関数の集合だから、この写像は全射。
またこの写像の核はすべての1≤i≤nについて
φ(i)=eGとなるφだから、上で定義したIのみである。
故に写像は1対1、よって同型。したがってH≃Gn。
(b)
(τ,φ)=(τ;
φ(1),...,φ(n))と数学ノートの積の定義および、
(c)の作用の定義により、
(τ,φ)(τ',φ')=(ττ';
φ(τ'(1))φ'(1),..., φ(τ'(n))φ'(n))
=(ττ';((τ')-1·φ)(1)φ'(1),..., ((τ')-1·φ)(n)φ'(n))
=(ττ';(((τ')-1·φ)φ')(1),..., (((τ')-1·φ)φ')(n))
=(ττ',((τ')-1·φ)φ')
(c)
任意のφ∈Hについて(eA·φ)(i)=φ(eA(i))=φ(i)だからeA·φ=φ。
また任意のτ,τ'∈Aについて、
(τ·(τ'·φ))(i)=(τ'·φ)(τ-1(i))=φ((τ')-1τ-1(i))=φ((ττ')-1(i))=(ττ'·φ)(i)
だから(iの置換の順序を逆転するために逆元をとることが必要)、
定義A.4.1の作用の定義を満たしている。
(d)
(6.9)の半直積の定義から、(φ,τ),(φ',τ')∈H⋊Aについて、
(φ,τ)(φ',τ')=(φ(τ·φ'), ττ')である。
写像ψ: A≀G→H⋊A ((τ,φ)→(τ·φ,τ))について、明らかにψは全射。
(b)によりψ((τ,φ)(τ',φ'))=ψ(ττ',((τ')-1·φ)φ')=((ττ')·(((τ')-1·φ)φ'), ττ')
=((τ·φ)((ττ')·φ'), ττ')=(τ·φ,τ)(τ'·φ',τ')=ψ((τ,φ))ψ((τ',φ'))だからψは群準同型。
ψ((τ,φ))=(I,
eA)=(eA·I, eA)なら(τ,φ)=(eA, I)だからψは1対1。
よってψは同型となるから、A≀G≃H⋊A。