2011-06-13

コックス「ガロワ理論」 6.3節の演習問題

演習問題1
σ(ω)=ωよりσ(ω2)=ω2だからσ(ω)上恒等。
σ(2)= ω2よりσ(ω2)=ω22, σ(ω22)=2だから、
σ{2,2ω,2ω2}を巡回的に移す置換である。
したがって対応するS3の置換は(123)

τ(ω)=ω2, τ(2)=2よりτ(ω2)=ω, τ(ω2)=ω22, τ(ω22)=ω2
τは単にωω2の互換だから、対応するS3の置換は(12)

演習問題2
σは自己同型でなければならないから、定理5.1.6・命題5.1.8
具体的なσの構成において、hF上の既約多項式でなければならない。
そうでないと補題4.1.13で同型が成り立たないから、
定理5.1.6の剰余環からの求値写像が同型でなくなり、
したがってσも同型でないので、σGalois群の元でない。
だいたい補題4.1.13の剰余環は命題3.1.1により体ですらない。
すなわち、根の置換をしていいのは、同じ最小多項式の根同士だけ。

・・・つまり剰余環で構成したらダメということだが、
剰余環を使わなければどうなるのか。多分同じことなんだろうけれど。
Galois対応まで見れば分かってくるんだろう。

(a)
iℚ(√2)上の最小多項式はx2+1で根は±i
√2上の最小多項式はx2-2で根は±√2
定理4.3.8(塔定理)により[(i,√2):]=4で、
(i,√2)は分離多項式f=(x2-2)(x2+1)の分解体だから、
定理6.2.1により|Gal((i,√2)/)|=[(i,√2):]=4
位数4の群はKleinの四元群D4(/2)×(/2)と巡回群C4/4だけだから、
Gal((i,√2)/)D4またはC4と同型で、どちらもS4の部分群。

置換が自己同型になるのは、恒等置換e
σ(√2)=-√2, σ(i)=iとなるσGal((i,√2)/)
τ(√2)=√2, τ(i)= -iとなるτGal((i,√2)/)στである。
すなわちGal((i,√2)/)={e,σ,τ,στ}D4

(b)
2上の最小多項式はx4-2である。
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=2とおくことにより、
上でx4-2は既約なので、命題5.3.7によりx4-2は分離的。根は±2, ±i2
i2/2=iより(i, 2)x4-2の分解体だから、
定理6.2.14.3節演習問題2(a)により|Gal((i, 2)/)|=[(i, 2):]=8
S4の部分群=4要素の置換を表現している群で、
位数8なのは二面体群D8だけなので、Gal((i, 2)/)D8

演習問題3
iℚ(√2)上の最小多項式はx2+1で根は±i
√2上の最小多項式はx2-2で根は±√2
√3上の最小多項式はx2-2で根は±√3

4.3.9より[(√2,√3):]=4
i(√2,√3)だからx2+1(√2,√3)に根を持たないので、
命題4.2.6によりx2+1(√2,√3)上既約となり[(i,√2,√3):(√2,√3)]=2
定理4.3.8(塔定理)により[(i,√2,√3):]=8となる。
(i,√2,√3)は分離多項式f= (x2+1)(x2-2)(x2-3)の分解体だから、
定理6.2.1により|Gal((i,√2,√3)/)|=[(i,√2,√3):]=8

Gal((i,√2,√3)/)±i,±√2,±√3の命題6.3.1により6要素の置換の群S6の部分群で、
±iの互換σ±√2の互換τ±√3の互換υの、
互いに独立な互換のみから生成される。
S6の位数8の部分群でこのような群はC2×C2×C2である。
具体的にはGal((i,√2,√3)/)={e,σ,τ,υ,στ,τυ,συ,στυ}C2×C2×C2

演習問題4
Gal(L/)は命題6.3.1によりS4の部分群で、
Lfの分解体なので、定理6.2.1によりGal(L/)=[L:]=4
f上既約だから、Gal(L/)は命題6.3.7により可移である。
位数4の群はD4C4で、どちらもS4の部分群だが、
可移なのはC4だけだから、Gal(L/)C4/4

演習問題5
fが分離的なので、各因子gk (1ks)fの分解体L上で完全分解し、
根の個数はそれぞれdkとなる。さらにどの2つの因子にも共通根はない。

σGal(L,F)が自己同型であるためには、
根の置換は同じ最小多項式の根の間でなければならないから、
σは各gkの根の間の置換σkSdk(の部分群)と、その合成のみからなる。
すなわちgkの根をαki(1idk)としてσk(αki)=αkjσk(αlm)=αlm (lk, 1mdm)で、
明らかにσkσl=σlσk (lk)がすべての1idk, 1mdmについて成り立つ。
σkは各Sdk内での置換を指定すれば命題題6.1.4により一意に定まるから、
σ=σ1...σsGal(L,F)も各Sdkの元の可換な積として一意的に表される。

一般にH1,H2を群Gの部分群として、H1の元とH2の元が可換で、
Gの任意の元がH1の元とH2の元の積として一意的に表されれば、
GH1×H2だから、Gal(L,F)(Sd1×... Sdsの部分群)となる。

演習問題6
Snが作用する集合をX={1,...,n}とし、任意のxXをとると、
HSnの部分群だから、定理A.4.9(群作用の基本定理)により、
Hにおけるxの固定部分群をHxとして|H|=|Hx||H·x|
HXへの作用は可移だから(どこにもちゃんとした定義がないが・・・)、
|H·x|=|X|=nなので|H|=|Hx|nとなり|H|nの倍数。

演習問題7
Lfの分解体でfF上既約だから、
命題6.3.7によりGal(L/F)Snの可移部分群である。
したがって演習問題6によりn|Gal(L/F)|を割る。


6.2演習問題6fの根による体拡大の立場から同じ命題を証明したが、
ここではGalois群の構造から証明していて、この2つは
Galois対応(定理7.3.1)の例になっている。

0 件のコメント :

コメントを投稿