演習問題1
σ(ω)=ωよりσ(ω2)=ω2だからσはℚ(ω)上恒等。
σ(∛2)= ω∛2よりσ(ω∛2)=ω2∛2, σ(ω2∛2)=∛2だから、
σは{∛2,∛2ω,∛2ω2}を巡回的に移す置換である。
したがって対応するS3の置換は(123)。
τ(ω)=ω2, τ(∛2)=∛2よりτ(ω2)=ω, τ(ω∛2)=ω2∛2, τ(ω2∛2)=ω∛2。
τは単にωとω2の互換だから、対応するS3の置換は(12)。
演習問題2
σは自己同型でなければならないから、定理5.1.6・命題5.1.8の
具体的なσの構成において、hはF上の既約多項式でなければならない。
そうでないと補題4.1.13で同型が成り立たないから、
定理5.1.6の剰余環からの求値写像が同型でなくなり、
したがってσも同型でないので、σはGalois群の元でない。
だいたい補題4.1.13の剰余環は命題3.1.1により体ですらない。
すなわち、根の置換をしていいのは、同じ最小多項式の根同士だけ。
・・・つまり剰余環で構成したらダメということだが、
剰余環を使わなければどうなるのか。多分同じことなんだろうけれど。
Galois対応まで見れば分かってくるんだろう。
(a)
iのℚ(√2)上の最小多項式はx2+1で根は±i。
√2のℚ上の最小多項式はx2-2で根は±√2。
定理4.3.8(塔定理)により[ℚ(i,√2):ℚ]=4で、
ℚ(i,√2)は分離多項式f=(x2-2)(x2+1)の分解体だから、
定理6.2.1により|Gal(ℚ(i,√2)/ℚ)|=[ℚ(i,√2):ℚ]=4。
位数4の群はKleinの四元群D4≃(ℤ/2ℤ)×(ℤ/2ℤ)と巡回群C4≃ℤ/4ℤだけだから、
Gal(ℚ(i,√2)/ℚ)はD4またはC4と同型で、どちらもS4の部分群。
置換が自己同型になるのは、恒等置換e、
σ(√2)=-√2, σ(i)=iとなるσ∈Gal(ℚ(i,√2)/ℚ)、
τ(√2)=√2, τ(i)= -iとなるτ∈Gal(ℚ(i,√2)/ℚ)、στである。
すなわちGal(ℚ(i,√2)/ℚ)={e,σ,τ,στ}≃D4。
(b)
∜2のℚ上の最小多項式はx4-2である。
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=2とおくことにより、
ℚ上でx4-2は既約なので、命題5.3.7によりx4-2は分離的。根は±∜2, ±i∜2。
i∜2/∜2=iよりℚ(i, ∜2)はx4-2の分解体だから、
定理6.2.1と4.3節演習問題2(a)により|Gal(ℚ(i, ∜2)/ℚ)|=[ℚ(i, ∜2):ℚ]=8。
S4の部分群=4要素の置換を表現している群で、
位数8なのは二面体群D8だけなので、Gal(ℚ(i, ∜2)/ℚ)≃D8。
演習問題3
iのℚ(√2)上の最小多項式はx2+1で根は±i。
√2のℚ上の最小多項式はx2-2で根は±√2。
√3のℚ上の最小多項式はx2-2で根は±√3。
例4.3.9より[ℚ(√2,√3):ℚ]=4。
i∉ℚ(√2,√3)だからx2+1はℚ(√2,√3)に根を持たないので、
命題4.2.6によりx2+1はℚ(√2,√3)上既約となり[ℚ(i,√2,√3):ℚ(√2,√3)]=2。
定理4.3.8(塔定理)により[ℚ(i,√2,√3):ℚ]=8となる。
ℚ(i,√2,√3)は分離多項式f= (x2+1)(x2-2)(x2-3)の分解体だから、
定理6.2.1により|Gal(ℚ(i,√2,√3)/ℚ)|=[ℚ(i,√2,√3):ℚ]=8。
Gal(ℚ(i,√2,√3)/ℚ)は±i,±√2,±√3の命題6.3.1により6要素の置換の群S6の部分群で、
±iの互換σ・±√2の互換τ・±√3の互換υの、
互いに独立な互換のみから生成される。
S6の位数8の部分群でこのような群はC2×C2×C2である。
具体的にはGal(ℚ(i,√2,√3)/ℚ)={e,σ,τ,υ,στ,τυ,συ,στυ}≃C2×C2×C2。
演習問題4
Gal(L/ℚ)は命題6.3.1によりS4の部分群で、
Lはfの分解体なので、定理6.2.1によりGal(L/ℚ)=[L:ℚ]=4。
fはℚ上既約だから、Gal(L/ℚ)は命題6.3.7により可移である。
位数4の群はD4とC4で、どちらもS4の部分群だが、
可移なのはC4だけだから、Gal(L/ℚ)≃C4≃ℤ/4ℤ。
演習問題5
fが分離的なので、各因子gk (1≤k≤s)はfの分解体L上で完全分解し、
根の個数はそれぞれdkとなる。さらにどの2つの因子にも共通根はない。
σ∈Gal(L,F)が自己同型であるためには、
根の置換は同じ最小多項式の根の間でなければならないから、
σは各gkの根の間の置換σk∈Sdk(の部分群)と、その合成のみからなる。
すなわちgkの根をαki(1≤i≤dk)としてσk(αki)=αkj、σk(αlm)=αlm (l≠k, 1≤m≤dm)で、
明らかにσkσl=σlσk (l≠k)がすべての1≤i≤dk, 1≤m≤dmについて成り立つ。
σkは各Sdk内での置換を指定すれば命題題6.1.4により一意に定まるから、
σ=σ1...σs∈Gal(L,F)も各Sdkの元の可換な積として一意的に表される。
一般にH1,H2を群Gの部分群として、H1の元とH2の元が可換で、
Gの任意の元がH1の元とH2の元の積として一意的に表されれば、
G≃H1×H2だから、Gal(L,F)≃(Sd1×... Sdsの部分群)となる。
演習問題6
Snが作用する集合をX={1,...,n}とし、任意のx∈Xをとると、
HはSnの部分群だから、定理A.4.9(群作用の基本定理)により、
Hにおけるxの固定部分群をHxとして|H|=|Hx||H·x|。
HのXへの作用は可移だから(どこにもちゃんとした定義がないが・・・)、
|H·x|=|X|=nなので|H|=|Hx|nとなり|H|はnの倍数。
演習問題7
Lはfの分解体でfはF上既約だから、
命題6.3.7によりGal(L/F)はSnの可移部分群である。
したがって演習問題6によりnは|Gal(L/F)|を割る。
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