2011-06-05

コックス「ガロワ理論」 5.3節の演習問題2


演習問題7
(a)
fF上既約でf'が恒等的に0でなければdeg(f')<deg(f)だから、
補題5.3.5の証明と同様の議論によりgcd(f,f')=1
したがって命題5.3.2によりfは分離的。

(b)
f=∑i aixi (0i≤deg(f))とすると、f'=i iaixi-1=0F上で常に成り立つから、
すべてのiについてiai0 (mod p)である。
これよりi0 (mod p) に対しai=0だから、deg(f)0 (mod p) すなわちp|deg(f)
かつf=∑0j≤deg(f)/p apjxpj=j apj(xp)jとなるから、g1=j apjxjとすればf=g1(xp)

(c)
g1F上可約でg1=h2h3F上で因数分解できたとすると、(b)により
f=h2(xp)h3(xp)となりfF上可約。これはfの既約性に反するから、
g1F上既約。

(d)
deg(f)=mpe, gcd(m,p)=1とすると、e=0のときは(a)によりfは分離的だから、
g=fとすればよい。
e>0のときは(b)の操作をe回繰り返して得られる既約多項式をgeとすれば、
deg(ge)=m, pdeg(ge)となる。補題5.3.5によりgeは分離的となるから、
g=geとすれば、f=g(xpe)で命題5.3.16が結論される。

演習問題8
(a)
F=k(t,u)=k(u)(t)とみて、Fk(u)係数のtの有理関数体と見れば、
4.2節演習問題9によりk(t,u)x2-tは根を持たないので、
命題4.2.6によりk(t,u)x2-tは既約。
gcd(x2-t ,(x2-t)')=gcd(x2-t ,2x)=1だから、命題5.3.2によりx2-tF上分離的。

(b)
(a)と同様にk(t,u)x3-uは既約。(x3-u)')=3x=0だから、
gcd(x3-u ,(x3-u)')=gcd(x3-u ,0)=x3-u1となり、
命題5.3.2によりx3-uF上分離的でない。

演習問題9
(a)
F(α)において、αp=aより補題5.3.10からf=xp-αp=(x-α)pなので、
fF(α)において完全分解し、根はαのみである。
したがってF(α)fの分解体で、fF上既約だから、
命題4.1.5・命題4.3.4により[F(α):F]=p

(b)
F(α)F上のベクトル空間と見れば、
(a)と命題4.3.4により基底は1, α,..., αp-1で、任意のβF(α)F
β=b0+b1α+...+bp-1αp-1(b0,...,bp-1F)と一意的に表される。
βF(α)Fなので b1,...,bp-1の少なくともひとつは0でない。
補題5.3.10を繰り返し用い、αp=aFから
βp=b0p+b1pαp+...+bp-1pα(p-1)p=b0p+b1pa+...+bp-1pa(p-1) F

(c)
xp-βpの根cFが存在したとすると、
ag=-c+b0p+b1px+...+bp-1px(p-1) F[x]の根。
(b)によりb1,...,bp-1の少なくともひとつは0でないからdeg(g)p-1なので、
aは高々p-1次のF[x]の多項式の根となるから、
命題4.1.5によりaの最小多項式pF[x]の次数も高々p-1次となる。
命題4.1.3によりp|fとなるから、(a)で証明したfの既約性に反する。
したがってxp-βpの根cFは存在しないので、命題4.2.6によりxp-βpF上既約。

(d)
補題5.3.10より分解体F(α)において、xp-βp=(x-α)pと完全分解し、
したがってすべてのβF(α)Fは分離的でないから、FF(α)は純非分離である。

演習問題10
(a)
全てのαLの最小多項式がxpe-aの形なら、演習問題9と同様にして、
FLは純非分離である。

逆にFLは有限次純非分離拡大とする。
αLF上の最小多項式fF[x]は命題4.1.5によりF上既約なので、
命題5.3.16と演習問題7(d)により、deg(f)=mpe, gcd(m,p)=1とすると、
deg(g)=mなるF上の分離既約単多項式gF[x]が存在してf=g(xpe)

FLは純非分離拡大なのでfの分解体を含むから
(「非分離的」の意味を本の中でちゃんと定義してないが、そうだと思う・・・)、
fF[x]L上完全分解し、相異なるα1,...,αmLが存在して
f=(xpe-α1pe)...(xpe-αmpe)=(x-α1)pe...(x-αm)pe (1)
ただしFの標数がpであることから補題5.3.10を用いた。
αfの根だから、あるiに対しαi=αである。

gαpeLを根に持つから、命題5.2.1によりgL上完全分解し、
(1)f=g(xpe)よりL上でg=(x-α1pe)...(x-αmpe) (あるiに対しαi=α)。
ところがFLは純非分離拡大で、かつα1,...,αmLは相異なるから、
m=1でなければならない。したがってg=x-αpeだからf=g(xpe)=xpe-αpe
a=αpeとおいてf=xpe-a

(b)
(a)により全てのαLの最小多項式はxpe-aの形だから、
命題4.3.4により[L:F]=pe

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