演習問題7
(a)
fがF上既約でf'が恒等的に0でなければdeg(f')<deg(f)だから、
補題5.3.5の証明と同様の議論によりgcd(f,f')=1
したがって命題5.3.2によりfは分離的。
(b)
f=∑i aixi (0≤i≤deg(f))とすると、f'=∑i iaixi-1=0がF上で常に成り立つから、
すべてのiについてiai≣0 (mod p)である。
これよりi≢0 (mod p) に対しai=0だから、deg(f)≣0 (mod p) すなわちp|deg(f)。
かつf=∑0≤j≤deg(f)/p apjxpj=∑j apj(xp)jとなるから、g1=∑j apjxjとすればf=g1(xp)。
(c)
g1がF上可約でg1=h2h3とF上で因数分解できたとすると、(b)により
f=h2(xp)h3(xp)となりfもF上可約。これはfの既約性に反するから、
g1はF上既約。
(d)
deg(f)=mpe, gcd(m,p)=1とすると、e=0のときは(a)によりfは分離的だから、
g=fとすればよい。
e>0のときは(b)の操作をe回繰り返して得られる既約多項式をgeとすれば、
deg(ge)=m, p∤deg(ge)となる。補題5.3.5によりgeは分離的となるから、
g=geとすれば、f=g(xpe)で命題5.3.16が結論される。
演習問題8
(a)
F=k(t,u)=k(u)(t)とみて、Fをk(u)係数のtの有理関数体と見れば、
4.2節演習問題9によりk(t,u)上x2-tは根を持たないので、
命題4.2.6によりk(t,u)上x2-tは既約。
gcd(x2-t ,(x2-t)')=gcd(x2-t ,2x)=1だから、命題5.3.2によりx2-tはF上分離的。
(b)
(a)と同様にk(t,u)上x3-uは既約。(x3-u)')=3x=0だから、
gcd(x3-u ,(x3-u)')=gcd(x3-u ,0)=x3-u≠1となり、
命題5.3.2によりx3-uはF上分離的でない。
演習問題9
(a)
F(α)において、αp=aより補題5.3.10からf=xp-αp=(x-α)pなので、
fはF(α)において完全分解し、根はαのみである。
したがってF(α)はfの分解体で、fはF上既約だから、
命題4.1.5・命題4.3.4により[F(α):F]=p。
(b)
F(α)をF上のベクトル空間と見れば、
(a)と命題4.3.4により基底は1, α,..., αp-1で、任意のβ∈F(α)∖Fは
β=b0+b1α+...+bp-1αp-1(b0,...,bp-1∈F)と一意的に表される。
β∈F(α)∖Fなので b1,...,bp-1の少なくともひとつは0でない。
補題5.3.10を繰り返し用い、αp=a∈Fから
βp=b0p+b1pαp+...+bp-1pα(p-1)p=b0p+b1pa+...+bp-1pa(p-1) ∈F
(c)
xp-βpの根c∈Fが存在したとすると、
aはg=-c+b0p+b1px+...+bp-1px(p-1) ∈F[x]の根。
(b)によりb1,...,bp-1の少なくともひとつは0でないからdeg(g)≤p-1なので、
aは高々p-1次のF[x]の多項式の根となるから、
命題4.1.5によりaの最小多項式p∈F[x]の次数も高々p-1次となる。
命題4.1.3によりp|fとなるから、(a)で証明したfの既約性に反する。
したがってxp-βpの根c∈Fは存在しないので、命題4.2.6によりxp-βpはF上既約。
(d)
補題5.3.10より分解体F(α)において、xp-βp=(x-α)pと完全分解し、
したがってすべてのβ∈F(α)∖Fは分離的でないから、F⊂F(α)は純非分離である。
演習問題10
(a)
全てのα∈Lの最小多項式がxpe-aの形なら、演習問題9と同様にして、
F⊂Lは純非分離である。
逆にF⊂Lは有限次純非分離拡大とする。
α∈LのF上の最小多項式f∈F[x]は命題4.1.5によりF上既約なので、
命題5.3.16と演習問題7(d)により、deg(f)=mpe, gcd(m,p)=1とすると、
deg(g)=mなるF上の分離既約単多項式g∈F[x]が存在してf=g(xpe)。
F⊂Lは純非分離拡大なのでfの分解体を含むから
(「非分離的」の意味を本の中でちゃんと定義してないが、そうだと思う・・・)、
f∈F[x]はL上完全分解し、相異なるα1,...,αm∈Lが存在して
f=(xpe-α1pe)...(xpe-αmpe)=(x-α1)pe...(x-αm)pe (1)。
ただしFの標数がpであることから補題5.3.10を用いた。
αはfの根だから、あるiに対しαi=αである。
gはαpe∈Lを根に持つから、命題5.2.1によりgもL上完全分解し、
(1)とf=g(xpe)よりL上でg=(x-α1pe)...(x-αmpe) (あるiに対しαi=α)。
ところがF⊂Lは純非分離拡大で、かつα1,...,αm∈Lは相異なるから、
m=1でなければならない。したがってg=x-αpeだからf=g(xpe)=xpe-αpe。
a=αpeとおいてf=xpe-a。
(b)
(a)により全てのα∈Lの最小多項式はxpe-aの形だから、
命題4.3.4により[L:F]=pe。
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