演習問題11
f∈F[x]は定数でないから、f'≠0。fは単多項式として一般性を失わない。
fとf'がどんなFの拡大においても共通根を持たなければ、
fとf'の分解体を含む体においてもそうだから、
fとf'が完全分解したときに共通因子はないので、
F[x]においてgcd(f,f')=1。命題5.3.2によりfは分離的である。
逆にf∈F[x]が分離的とする。命題5.3.2によりgcd(f,f')=1。
fとf'があるFの拡大において共通根αを持つと仮定する。
このときfとf'の分解体を含む体Lにおいては、
f=(x-α)∏2≤i≤deg(f) (x-αi)と一意に分解され、α,α2,...,αnは相異なる。
するとf'=(x-α)h'(x)+h(x), h(x)=∏2≤i≤deg(f) (x-αi)なので、0=f'(α)=h(α)=∏2≤i≤deg(f) (α-αi)。
Lは体なので整域だから、少なくともひとつのiについてα=αiでなければならないが、
α,α2,...,αnは相異なるのでこれは不可能。
したがって、fとf'はどんなFの拡大においても共通根を持たない。
演習問題12
F⊂Lは有限次拡大だから、補題4.4.2により代数拡大で、
任意のα∈LのF上の最小多項式pα∈F[x]についてdeg(pα)|[L:F]。
また、pαは命題4.1.5によりF上の既約多項式である。
p∤[L:F]だから、gcd(deg(pα), p)=1なので、補題5.3.5によりpαは分離的だから、
αは分離的。したがって、F⊂Lは分離拡大。
演習問題13
F⊂Kが分離拡大でないと仮定すると、あるα∈Kが存在して、
αの最小多項式pα∈F[x]は分離的でないから、
命題5.3.2よりF上でdeg(gcd(f,f'))>0。
ところがF⊂Lは分離拡大で、α∈Lだから、
命題5.3.2よりF上でgcd(f,f')=1となり矛盾。したがってF⊂Kは分離拡大。
K⊂Lが分離拡大でないとしても同様。
演習問題14
MapleやMathematicaは高いのでMaximaで。
f:x^6-x^5+x^3-2*x^2+1;
ratsimp(f/gcd(f,diff(f,x)));
で確かめられる。
演習問題15
(a)
f'=pxp-1-1=-1より、gcd(f,f')=1だからfは分離的。
(b)
αp-α+a=0と補題5.3.10を用い、
f(α+1)=(α+1)p-(α+1)+a=αp +1-α-1+a=0だから、α+1はfの根。
(c)
(b)を繰り返し用い、α, α+1, α+2,..., α+p-1∈F(α)のp個は、
すべて相異なるfの根だから、fの根はこれで尽くされる。
したがって、fはF(α)に全ての根を持つので、fはF(α)上完全分解する。
(d)
α, α+1, α+2,..., α+p-1∈F(α)は全て異なるので、fは分離的で、F(α)上完全分解する。
したがってF⊂F(α)は分離多項式の分解体だから、
定理5.3.15(b)によりF⊂F(α)は分離的。さらに定理5.2.4によりF⊂F(α)は正規。
演習問題16
(a)
(5.6)式を繰り返し用い、(x-β)の因子が残っている項はx=βのとき全て消えるから、
残るのは[(x-β)m](m)h(x)からくるm!h(β)だけである。
(b)
(x-β)の因子が残っている項はx=βのとき全て消える。
βがfの根として重複度mを持てばf=(x-β)mh(x), h(β)≠0だから、(a)により
f(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0、f(m)(β)=m!h(β)≠0。
逆にf(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0、f(m)(β)=m!h(β)≠0とする。
f(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0から、fは(x-β)の因子を少なくともm個持たねばならず、
f(m)(β)≠0から(x-β)の因子は高々m個となるから、βはfの根として重複度mを持つ。
(c)
標数pがm!の整数因子中にあると、f(m)(β)=0となるから、
m<pでなければならない。
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