2011-06-08

コックス「ガロワ理論」 5.3節の演習問題3

演習問題11
fF[x]は定数でないから、f'≠0fは単多項式として一般性を失わない。
ff'がどんなFの拡大においても共通根を持たなければ、
ff'の分解体を含む体においてもそうだから、
ff'が完全分解したときに共通因子はないので、
F[x]においてgcd(f,f')=1。命題5.3.2によりfは分離的である。

逆にfF[x]が分離的とする。命題5.3.2によりgcd(f,f')=1
ff'があるFの拡大において共通根αを持つと仮定する。
このときff'の分解体を含む体Lにおいては、
f=(x-α)2i≤deg(f) (x-αi)と一意に分解され、α,α2,...,αnは相異なる。
するとf'=(x-α)h'(x)+h(x), h(x)=2i≤deg(f) (x-αi)なので、0=f'(α)=h(α)=2i≤deg(f) (α-αi)
Lは体なので整域だから、少なくともひとつのiについてα=αiでなければならないが、
α,α2,...,αnは相異なるのでこれは不可能。
したがって、ff'はどんなFの拡大においても共通根を持たない。

演習問題12
FLは有限次拡大だから、補題4.4.2により代数拡大で、
任意のαLF上の最小多項式pαF[x]についてdeg(pα)|[L:F]
また、pαは命題4.1.5によりF上の既約多項式である。

p[L:F]だから、gcd(deg(pα), p)=1なので、補題5.3.5によりpαは分離的だから、
αは分離的。したがって、FLは分離拡大。

演習問題13
FKが分離拡大でないと仮定すると、あるαKが存在して、
αの最小多項式pαF[x]は分離的でないから、
命題5.3.2よりF上でdeg(gcd(f,f'))>0
ところがFLは分離拡大で、αLだから、
命題5.3.2よりF上でgcd(f,f')=1となり矛盾。したがってFKは分離拡大。
KLが分離拡大でないとしても同様。

演習問題14
MapleMathematicaは高いのでMaximaで。
f:x^6-x^5+x^3-2*x^2+1;
ratsimp(f/gcd(f,diff(f,x)));
で確かめられる。

演習問題15
(a)
f'=pxp-1-1=-1より、gcd(f,f')=1だからfは分離的。

(b)
αp-α+a=0と補題5.3.10を用い、
f(α+1)=(α+1)p-(α+1)+a=αp +1-α-1+a=0だから、α+1fの根。

(c)
(b)を繰り返し用い、α, α+1, α+2,..., α+p-1F(α)p個は、
すべて相異なるfの根だから、fの根はこれで尽くされる。
したがって、fF(α)に全ての根を持つので、fF(α)上完全分解する。

(d)
α, α+1, α+2,..., α+p-1F(α)は全て異なるので、fは分離的で、F(α)上完全分解する。
したがってFF(α)は分離多項式の分解体だから、
定理5.3.15(b)によりFF(α)は分離的。さらに定理5.2.4によりFF(α)は正規。

演習問題16
(a)
(5.6)式を繰り返し用い、(x-β)の因子が残っている項はx=βのとき全て消えるから、
残るのは[(x-β)m](m)h(x)からくるm!h(β)だけである。

(b)
(x-β)の因子が残っている項はx=βのとき全て消える。
βfの根として重複度mを持てばf=(x-β)mh(x), h(β)≠0だから、(a)により
f(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0f(m)(β)=m!h(β)≠0

逆にf(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0f(m)(β)=m!h(β)≠0とする。
f(β)=f'(β)=...=f(m-1)(β)=0から、f(x-β)の因子を少なくともm個持たねばならず、
f(m)(β)≠0から(x-β)の因子は高々m個となるから、βfの根として重複度mを持つ。

(c)
標数pm!の整数因子中にあると、f(m)(β)=0となるから、
m<pでなければならない。

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