2011-06-10

コックス「ガロワ理論」 6.2節の演習問題


演習問題1
σ2=1, τ2=1だから、{1,σ},{1,τ}はともにGal(L/)の部分群で位数は2
さらに巡回群/2に同型である。στ=τσだから、Gal(L/)は有限Abel群なので、
定理A.1.17により素数冪位数の巡回群の直積と同型となる。
|Gal(L/)|=4=2×2からGal(L/)=/2×/2=D4となり、
Gal(L/)Kleinの四元群である。

演習問題2
(a)
ω上の最小多項式はx2+x+1なのでσ(ω){ω,ω2}
2上の最小多項式はx3-2なのでσ(2){2,2ω,2ω2}
5.1節演習問題1によりLx3-2の分解体なので、
定理5.1.5によりLは有限次拡大だから、
命題6.1.4(b)により、σσ(ω)σ(2)によって一意的に定まる。

(b)
Lx3-2の分解体だから、命題5.1.8により{ω,ω2}の元を入れ替える
自己同型σGal(L/F)が存在する。
同様に{2,2ω,2ω2}の元を任意に入れ替える自己同型τGal(L/F)が存在する。
Gal(L/F)は命題6.1.2により群だから、自己同型の合成により、
σ(ω)τ(2)の可能な組み合わせが全て起こる。

演習問題3
(a)
5√2の最小多項式はx5-2である。したがって5√2ζ5上代数的なので、
定理4.4.3によりLは有限次拡大。
ζ5の最小多項式は4次式で、5√2の最小多項式は5次式だから、
命題4.3.4により[(ζ5):]=4, [(5√2):]=5
定理4.3.8(塔定理)により
(i) 4|[L:]
(ii) 5|[L:]
(iii) [L:]≤4·5=20である。
(i)(ii)によりLCM(4,5)=20|[L:]だから[L:]≥20なので、
(iii)と併せて[L:]=20

(b)
x5-2の根は(5√2ζ5)mL (0m≤4)だから、
x5-2の分解体をM=F(5√2, 5√2ζ5,(5√2ζ5)2, (5√2ζ5)3,(5√2ζ5)4)としてML
5√2ζ5/5√2=ζ5よりζ5MだからLM
したがってL=Mなので、Lx5-2の分解体。
x5-2は分離多項式だから、定理6.2.1(a)により|Gal(L/F)|=[L:]=20

演習問題4
(a)
命題A.2.1により1,ζn,ζn2,..., ζnn-1(ζn)f=xn-1の相異なる根だから、
fは分離的なので、(ζn)は分離多項式の分解体。

(b)
命題6.1.4によりσ(ζn)fの根だから、あるi(0in-1)が存在してσ(ζn)=ζni

(c)
σF上恒等な体の自己同型なので、6.1節演習問題7により
F上のベクトル空間としての(ζn)の基底を1,ζn,ζn2,..., ζnn-1として、
1=σ(1),σ(ζn),...,σ(ζn)n-1F上線形独立である。
いまgcd(n,i)=d>1とすると、n=n'd, i=i'd (n'<n, i'<i)と書けて、
1=1i'=ζnni'=ζnn'i'd=(ζni)n'=σ(ζn)n'となり、1σ(ζn)n'(n'<n)の線形独立性に反する。
したがってgcd(n,i)=1でなければならない。

(d)
ψ: σ→[i]とし(A.1.2にあるように[i]nを法とするiの合同類)
σ,τGal((ζn)/)σ(ζn)=ζni, τ(ζn)=ζnjとすると、
στ(ζn)=ζnijよりψ(στ)=[ij]gcd(ij,n)=1だから[ij](/n)*となるので、
ψは群準同型Gal((ζn)/)(/n)*となる。

ψ(σ)=[1]ならσ(ζn)=ζn
σは自己同型だから任意のk (1kn-1)について、σ(ζnk)=ζnkなので、
σは恒等写像eでなければならない。
したがってKer(ψ)=eなので、ψ11

(e)
(a)と定理6.2.1により|Gal((ζn)/)|=[(ζn):]である。
またGal((ζn)/)Im(ψ)より|Gal((ζn)/)|=|Im(ψ)|なので、
[(ζn):]=|Im(ψ)|

ψが群同型なら全射だからIm(ψ)=(/n)*となり
[(ζn):]=|Im(ψ)|=|(/n)*|=φ(n)

逆に[(ζn):]=|Im(ψ)|=φ(n)=|(/n)*|とすると、
ψ(d)により11なのでこれはIm(ψ)=(/n)*を意味する。
したがってψは全射だから同型となりGal((ζn)/)(/n)*

(f)
pが素数ならφ(p)=p-1。命題4.2.5によりp次円分多項式Φpの次数はp-1で、
上既約だから、[(ζp):]=p-1=φ(p)。したがって(e)によりGal((ζp)/)(/p)*

演習問題5
(a)
5.3節演習問題15により、F(α)F上既約なfF[x]の分解体だから、
定理6.2.1と命題4.3.4により|Gal(F(α)/F)|=[L:F]=deg(f)=p

pは素数で、素数位数の群は巡回群だから、Gal(F(α)/F)Cp/p

(b)
fの根はα, α+1,..., α+p-1σGal(F(α)/F)についてσ(α)=α+iなら、
命題6.2.1によりσは一意に定まる。

(c)
σは自己同型だからσ(α+j)=α+i+j (0jp-1)である。
φ: Gal(F(α)/F)/p (σ→[i])とすれば、
φ(σ)=[0]ならσ(α+j)=α+jが全てのjについて成り立つからσは恒等写像。
したがってφ11
全ての[i]に対しφ(σ)=[i]となるσ(b)により一意に定まるから、
φは全射なので同型となり、Gal(F(α)/F)/p

演習問題6
fF[x]の分離多項式でLfの分解体だから、定理6.2.1により|Gal(L/F)|=[L:F]
fF上既約だから5.1節演習問題11によりn|[L:F]
したがってn|Gal(L/F)|を割る。

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