演習問題1
σ2=1, τ2=1だから、{1,σ},{1,τ}はともにGal(L/ℚ)の部分群で位数は2、
さらに巡回群ℤ/2ℤに同型である。στ=τσだから、Gal(L/ℚ)は有限Abel群なので、
定理A.1.17により素数冪位数の巡回群の直積と同型となる。
|Gal(L/ℚ)|=4=2×2からGal(L/ℚ)=ℤ/2ℤ×ℤ/2ℤ=D4となり、
Gal(L/ℚ)はKleinの四元群である。
演習問題2
(a)
ωのℚ上の最小多項式はx2+x+1なのでσ(ω)∈{ω,ω2}、
∛2のℚ上の最小多項式はx3-2なのでσ(∛2)∈{∛2,∛2ω,∛2ω2}。
5.1節演習問題1によりLはx3-2の分解体なので、
定理5.1.5によりℚ⊂Lは有限次拡大だから、
命題6.1.4(b)により、σはσ(ω)とσ(∛2)によって一意的に定まる。
(b)
Lはx3-2の分解体だから、命題5.1.8により{ω,ω2}の元を入れ替える
自己同型σ∈Gal(L/F)が存在する。
同様に{∛2,∛2ω,∛2ω2}の元を任意に入れ替える自己同型τ∈Gal(L/F)が存在する。
Gal(L/F)は命題6.1.2により群だから、自己同型の合成により、
σ(ω)とτ(∛2)の可能な組み合わせが全て起こる。
演習問題3
(a)
5√2の最小多項式はx5-2である。したがって5√2とζ5はℚ上代数的なので、
定理4.4.3によりℚ⊂Lは有限次拡大。
ζ5の最小多項式は4次式で、5√2の最小多項式は5次式だから、
命題4.3.4により[ℚ(ζ5):ℚ]=4, [ℚ(5√2):ℚ]=5。
定理4.3.8(塔定理)により
(i) 4|[L:ℚ]
(ii) 5|[L:ℚ]
(iii) [L:ℚ]≤4·5=20である。
(i)(ii)によりLCM(4,5)=20|[L:ℚ]だから[L:ℚ]≥20なので、
(iii)と併せて[L:ℚ]=20。
(b)
x5-2の根は(5√2ζ5)m∈L (0≤m≤4)だから、
x5-2の分解体をM=F(5√2, 5√2ζ5,(5√2ζ5)2, (5√2ζ5)3,(5√2ζ5)4)としてM⊂L。
5√2ζ5/5√2=ζ5よりζ5∈MだからL⊂M。
したがってL=Mなので、Lはx5-2の分解体。
x5-2は分離多項式だから、定理6.2.1と(a)により|Gal(L/F)|=[L:ℚ]=20。
演習問題4
(a)
命題A.2.1により1,ζn,ζn2,..., ζnn-1∈ℚ(ζn)はf=xn-1の相異なる根だから、
fは分離的なので、ℚ⊂ℚ(ζn)は分離多項式の分解体。
(b)
命題6.1.4によりσ(ζn)はfの根だから、あるi(0≤i≤n-1)が存在してσ(ζn)=ζni。
(c)
σはF上恒等な体の自己同型なので、6.1節演習問題7により
F上のベクトル空間としてのℚ(ζn)の基底を1,ζn,ζn2,..., ζnn-1として、
1=σ(1),σ(ζn),...,σ(ζn)n-1はF上線形独立である。
いまgcd(n,i)=d>1とすると、n=n'd, i=i'd (n'<n, i'<i)と書けて、
1=1i'=ζnni'=ζnn'i'd=(ζni)n'=σ(ζn)n'となり、1とσ(ζn)n'(n'<n)の線形独立性に反する。
したがってgcd(n,i)=1でなければならない。
(d)
ψ: σ→[i]とし(例A.1.2にあるように[i]はnを法とするiの合同類)、
σ,τ∈Gal(ℚ(ζn)/ℚ)、σ(ζn)=ζni, τ(ζn)=ζnjとすると、
στ(ζn)=ζnijよりψ(στ)=[ij]。gcd(ij,n)=1だから[ij]∈(ℤ/nℤ)*となるので、
ψは群準同型Gal(ℚ(ζn)/ℚ)→(ℤ/nℤ)*となる。
ψ(σ)=[1]ならσ(ζn)=ζn。
σは自己同型だから任意のk (1≤k≤n-1)について、σ(ζnk)=ζnkなので、
σは恒等写像eでなければならない。
したがってKer(ψ)=eなので、ψは1対1。
(e)
(a)と定理6.2.1により|Gal(ℚ(ζn)/ℚ)|=[ℚ(ζn):ℚ]である。
またGal(ℚ(ζn)/ℚ)≃Im(ψ)より|Gal(ℚ(ζn)/ℚ)|=|Im(ψ)|なので、
[ℚ(ζn):ℚ]=|Im(ψ)|。
ψが群同型なら全射だからIm(ψ)=(ℤ/nℤ)*となり
[ℚ(ζn):ℚ]=|Im(ψ)|=|(ℤ/nℤ)*|=φ(n)。
逆に[ℚ(ζn):ℚ]=|Im(ψ)|=φ(n)=|(ℤ/nℤ)*|とすると、
ψは(d)により1対1なのでこれはIm(ψ)=(ℤ/nℤ)*を意味する。
したがってψは全射だから同型となりGal(ℚ(ζn)/ℚ)≃(ℤ/nℤ)*。
(f)
pが素数ならφ(p)=p-1。命題4.2.5によりp次円分多項式Φpの次数はp-1で、
ℚ上既約だから、[ℚ(ζp):ℚ]=p-1=φ(p)。したがって(e)によりGal(ℚ(ζp)/ℚ)≃(ℤ/pℤ)*。
演習問題5
(a)
5.3節演習問題15により、F(α)はF上既約なf∈F[x]の分解体だから、
定理6.2.1と命題4.3.4により|Gal(F(α)/F)|=[L:F]=deg(f)=p。
pは素数で、素数位数の群は巡回群だから、Gal(F(α)/F)≃Cp≃ℤ/pℤ。
(b)
fの根はα, α+1,..., α+p-1。σ∈Gal(F(α)/F)についてσ(α)=α+iなら、
命題6.2.1によりσは一意に定まる。
(c)
σは自己同型だからσ(α+j)=α+i+j (0≤j≤p-1)である。
φ: Gal(F(α)/F)→ℤ/pℤ (σ→[i])とすれば、
φ(σ)=[0]ならσ(α+j)=α+jが全てのjについて成り立つからσは恒等写像。
したがってφは1対1。
全ての[i]に対しφ(σ)=[i]となるσが(b)により一意に定まるから、
φは全射なので同型となり、Gal(F(α)/F)≃ℤ/pℤ。
演習問題6
fはF[x]の分離多項式でLはfの分解体だから、定理6.2.1により|Gal(L/F)|=[L:F]。
fはF上既約だから5.1節演習問題11によりn|[L:F]。
したがってnは|Gal(L/F)|を割る。
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