2012-02-24

コックス「ガロワ理論」 13.4節の演習問題


演習問題1
13.4.1t2=1t2=-1の誤植。

S3={(1),(12),(13),(23),(123),(132)}より、Maximaのバッチファイル
-----
t1:1;t2:-1;t3:2;
s1:y-(t1*x1+t2*x2+t3*x3);
s2:psubst([x1=x2,x2=x1],s1);
s3:psubst([x1=x3,x3=x1],s1);
s4:psubst([x2=x3,x3=x2],s1);
s5:psubst([x1=x2,x2=x3,x3=x1],s1);
s6:psubst([x1=x3,x3=x2,x2=x1],s1);
S:s1*s2*s3*s4*s5*s6;
Ss:ratsimp(elem([3],S,[x1,x2,x3])),elem:2;
s:subst([e1=-1,e2=-2,e3=1],Ss);
ss:factor(s);
-----
を用いて、SsS(y)が、ssss(y)が確かめられる。

演習問題2
問題文のKFの誤植だろう。

(13.32)α1,..., αnについて対称だから、
定理2.2.2と 系2.1.5によりsu(y)F[u1,...,un,y]

演習問題3
(a)
与式は各u1,...,un,yについて1次だから既約。

(b)
L[u1,...,un,y]PIDではないので、Euclid整域でないから、
割り算アルゴリズムは一意ではないので使えない)。

h=gqだからL[u1,...,un,y]においてh<g>である。
F[u1,...,un,y]においてh<g>だったとすると、
F[u1,...,un,y]h=gq1+r1なるq1,r1F[u1,...,un,y], r1<g>が存在して、
r10でない。
ところがF[u1,...,un,y]L[u1,...,un,y]の部分環だから、
L[u1,...,un,y]でもh=gq1+r1となり、
L[u1,...,un,y]においてh<g>となるので矛盾。
したがって、F[u1,...,un,y]においてもh<g>だから、
0でないq2F[u1,...,un,y]が存在してF[u1,...,un,y]においてh=gq2
Lは体だから系A.5.7によりL[u1,...,un,y]UFDなので、
部分環F[u1,...,un,y]においてh=gq2なら
L[u1,...,un,y]でもh=gq2でなければならない。
これはq2=qを意味するから、qF[u1,...,un,y]

(c)
任意のνGfをとると、h=μGf (y-1in uiαμσ(i))より、
σ-1νσ·h=μGf  (y-1in uσ-1νσ(i)αμσ(i))
ここでσ-1νσ(i)=jとおけば、
異なるiについてjも全て異なり、またσ(i)=ν-1σ(j)から、
σ-1νσ·h=μGf  (y-1jn ujαμν-1σ(j))=λGf  (y-1jn ujαλσ(j))=h
ただしλ=μν-1とおき、μGf全体を走るとき、
μν-1Gf全体を走ることを用いた。
故に、σ-1νσGだからσ-1GfσG

演習問題4
(a)
演習問題1と同様のMaximaバッチファイル
-----
s1:y-(u1*x1+u2*x2+u3*x3);
s2:psubst([x1=x2,x2=x1],s1);
s3:psubst([x1=x3,x3=x1],s1);
s4:psubst([x2=x3,x3=x2],s1);
s5:psubst([x1=x2,x2=x3,x3=x1],s1);
s6:psubst([x1=x3,x3=x2,x2=x1],s1);
S:s1*s2*s3*s4*s5*s6;
Ss:ratsimp(elem([3],S,[x1,x2,x3])),elem:2$
s:subst([e1=-1,e2=-2,e3=1],Ss)$
ss:factor(s);
------
を用いてsu(y)の規約因数分解を得る。

(b)
Maxima で計算して、
-------
h:(a)で得たhの表式、長いので略)
hsym:ratsimp(elem([3],h,[u1,u2,u3])),elem:2;
hres:ratsimp(h-subst([e1=u1+u2+u3,e2=u1*u2+u1*u3+u2*u3,
e3=u1*u2*u3],hsym));
hsym+hres;
-------
から、例13.4.3hの表式を得る。

演習問題5
演習問題4(a)と同様に、Maximaバッチファイル
-------
s1:y-(u1*x1+u2*x2+u3*x3);
s2:psubst([x1=x2,x2=x1],s1);
s3:psubst([x1=x3,x3=x1],s1);
s4:psubst([x2=x3,x3=x2],s1);
s5:psubst([x1=x2,x2=x3,x3=x1],s1);
s6:psubst([x1=x3,x3=x2,x2=x1],s1);
S:s1*s2*s3*s4*s5*s6;
Ss:ratsimp(elem([3],S,[x1,x2,x3])),elem:2$
s:subst([e1=0,e2=0,e3=1],Ss)$
ss:factor(s);
-------
から、例13.4.4su(y)の規約因数分解を得る。

演習問題6
(a)
[x1,...,xn]においてf=gh (g,h[x1,...,xn], deg(g)>0,deg(h)>0)
と可約になったとする。あるr,sが存在して、
rg,sh[x1,...,xn]だから、[x1,...,xn]においてrsf=(rg)(sh)となる。
r,sは素因数分解した形で表されていると考えれば、
素数は[x1,...,xn]において規約かつf上規約なので、
rsf2通りの既約因数分解を持つことになり、
[x1,...,xn]UFDであることと矛盾。
したがってf[x1,...,xn]上でも規約。

(b)
h1su(y)[u1,...,un,y]の規約因子とすると、
(a)によりh1[u1,...,un,y]の規約因子で、,
[u1,...,un,y]UFDだから、[u1,...,un,y]の単数倍、
すなわち倍の不定性を除きhh1は一致する。

演習問題7
fMaximaで規約因数分解できないので上既約。
Maxima
------
f:x^5+20*x+16;
discriminant:factor(resultant(f,diff(f,x),x));
factor(f),modulus:7;
-------
を用いてΔ(f)=216·56と、例13.4.6F7[x]における規約因数分解を得る。

演習問題8
p=3に対するSchönemann-Eisenstein判定法によりf上既約。
Maxima
------
f:x^5-6*x+3;
factor(f),modulus:11;
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を実行して、F11においてf=(x2+3x+8)(x3+8x2+x+10)だから、
定理13.4.5によりlcm(2,3)=6|Gal(L/)|を割る。
定理13.2.2S5の可移部分群のうち、位数が6で割れるのは
A5S5だけである。
Δ(f)=-34·19·11292だから、定理13.2.6によりGal(L/)S5

演習問題9
Sn2つの置換τ1, τ2について、あるσSnに対しτ2=σ-1τ1σとすると、
τ2τ1の各サイクルの文字をσによって置換したものだから、
τ1と同じサイクル型を持つ。
逆にτ2τ1と同じサイクル型を持てば、
τ1の各サイクルの文字をτ2の対応する文字に置換するσSnが存在するので、
τ2=σ-1τ1σである。

演習問題10
(a)
(13.35)の集合をCとすると、
GSnの部分群なので、ある固定したサイクル型の元は、
必ずしもGに入らないから、C =であることもありうる。
C の場合は、σ1, σ2Cなら演習問題9により、
あるτSnが存在してσ2=τ-1σ1τである。
共軛関係は同値関係だから、Snはこの同値関係によって類別されるので、
ある固定したサイクル型を持つSnの類とGの共通部分がC

τGであることとσ1, σ2Gの同じ共軛類に属することは同値だが、
そのようなτGは常に存在するとは限らないので、
一般にはCGの共軛類の和集合。

(b)
S4の部分群G={(1),(12),(34),(12)(34)}D4を考える。
サイクル型が"3,1"の元は存在しないので、このサイクル型についてC =
サイクル型が"2,1,1"の元は(12)(34)だが、
(34)=τ-1(12)τとなるτGに存在しない(S4には存在する)から、
(12)(34)Gの異なる共軛類に属するので、
サイクル型"2,1,1"に対しCG2つの共軛類の和集合。

演習問題11
(a)
S4の元は(1)(2)(3)(4)4C2=6個の互換、4P3/3=8個の3サイクル、
4P4/4=6個の4サイクルと、3個の独立な互換同士の積である。
したがって
サイクル型
1,1,1,1
2,1,1
3,1
4
2,2
元の数
1
6
8
6
3
元の割合
4%
25%
33%
25%
13%

A4の元は(1)(2)(3)(4)4P3/3=8個の3サイクル、
3個の独立な互換同士の積である。
サイクル型
1,1,1,1
3,1
2,2
元の数
1
8
3
元の割合
8%
67%
25%

D8の元は(1)(2)(3)(4)2個の互換、2個の4サイクル、
3個の独立な互換同士の積である。
サイクル型
1,1,1,1
2,1,1
4
2,2
元の数
1
2
2
3
元の割合
13%
25%
25%
38%

D4A4の元は(1)(2)(3)(4)3個の独立な互換同士の積である。
サイクル型
1,1,1,1
2,2
元の数
1
3
元の割合
25%
75%

C4の元は(12.37)の通り。

(b)
13.1節の演習問題15」は「13.1節の演習問題14」の誤植。
Maximafactorで因数分解した結果を自動で例えばリストに割り当てて、
あとの計算で使う方法がわからない・・・。

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