2012-12-26

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第3章§4の演習問題その1


演習問題1
x3-xy+y2=1x=1+ct, y=1+dtを代入してt[c3t2+(3c2-cd+d2)t+2c+d]=0
これより2c+d≠0なら重複度は1
2c+d=0なら、c≠0のときt2(c3t+3c2)=0より重複度は2
2c+d=0c=0ならd=0なのでx=1+ct=1, y=1+dt=1は直線を表現しない。
2c+d=0のときd=-2c、直線x=1+ct, y=1-2ct(1,1)における接線となり、
その傾きは-2である。

演習問題2
小問a
直線Lの方向ベクトルは、x,yの第1のパラメター表示に対し(c,d)
2のパラメター表示に対し(c',d')で、これらは同じ直線の方向ベクトルだから、
定数λが存在して(c,d)=λ(c',d')

小問b
g(t), g'(t)t=0における重複度をそれぞれk,k'とすれば、
g(t)=tkh(t) (h(0)0), g'(t)=tk'h'(t) (h'(0)0)

小問aによりc'=c/λ, d'=d/λだから、g'(t)=g(t/λ)なのでg'(t)=tkh(t)/λkとも書ける。
ここでh(0)=h'(0)0だからk=k'となるから、
t=0における重複度はパラメター付けによらない。

演習問題3
x2+y2-2に問題のパラメター付けを代入して
g(t)=2t2+2bt+b2-2だから、g(t)=0の判別式4-b2=0
すなわちb=±2のとき問題の直線(傾き1)は円に接する。

b=2のときt=-1だから接点は(-1,1),
b=-2のときt=1だから接点は(1,-1)

演習問題4
求める接線Tのパラメター付けをx=a+ct, y=b+dtとすると、
(a,b)V(f)だからg(t)=f(a+ct, b+dt)としてg(0)=0
TV(f)と重複度2以上で交わるから、g(t)の一次の項は0なので
0=g'(0)=(∂f(a,b)/∂x)(dx/dt)|t=0+(∂f(a,b)/∂y)(dy/dt)|t=0=c(∂f(a,b)/∂x)+d(∂f(a,b)/∂y)
これよりT上で
(∂f(a,b)/∂x)(x-a)+(∂f(a,b)/∂y)(y-b)=t[c(∂f(a,b)/∂x)+d(∂f(a,b)/∂y)]=0
となる。
f(a,b)≠0だから、f(a,b)/∂xf(a,b)/∂yは同時に0にならないので、
(∂f(a,b)/∂x)(x-a)+(∂f(a,b)/∂y)(y-b)=0が接線の方程式を定める。

演習問題5&6
t=0g(t)の重複度k以上の根なら,
mkとしてg(t)=tmh(t), h(0)≠0だから、
1l<kについてはある多項式p(t) (deg(p)=deg(h)-l=deg(g)-m-1)が存在して
g(l)(t)=tm-l{[m!/(m-l)!]h(t)+tp(t)}だからg(l)(0)=0
とくにt=0g(t)の重複度kの根なら、
上においてm=kだから1l<kについてg(l)(0)=0かつ、
l=kについてg(k)(0)=k!h(0)≠0

逆に1l<kについてg(l)(0)=0なら、n=deg(g), g(t)=0in aiti (aik)として
g(l)(0)=l!al=0によりal=0となり、
したがってg(t)=kin aiti=tk0jn-k aj+ktjとなり、
t=0g(t)の、重複度が少なくともkの根。

とくにg(k)(0)=k!ak≠0ならak≠0なので、
g(t)=kin aiti=tkh(t)ただしh(t)=0jn-k aj+ktjとすればh(0)=ak≠0だから、
t=0g(t)の重複度kの根。

演習問題7
小問a
g(x,y)=y-f(x)として、C=V(g)である。
また問題のパラメター付けされた直線をTとする。
h(t)=g(a+t, f(a)+f'(a)t)=f(a)+f'(a)t-f(a+t)として、
実際h'(t)=f'(a)-f'(a+t)だからh'(0)=0なので、
定義3と演習問題5aにより、TC(a,f(a))における接線

小問b
(問題文のf'''(a)=0f''(a)=0の誤植(原著第3版で確認))

定義3と演習問題5bにより、
C(a,f(a))における接線がCと重複度3以上で交わることはh''(0)=0と同値。
h'(t)=-f''(a+t)だからh''(0)=-f''(a)=0と同値。

小問c
演習問題6により直ちに従う。

小問d
小問cによりf''(x)x=aで狭義単調だから、x=aで符号を変えるので、
(a,f(a))Cの変曲点。

演習問題8
小問a
f=x3-y2としてf/∂x=3x2, f/∂y=-2yだから、
f=0となるのは(0,0)のみ。

小問b
f=cx2-x3-y2としてf/∂x=2cx-3x2, f/∂y=-2yだから、
f=0となるのは(0,0)(2c/3,0)だが、(2c/3,0)V(f)だから(0,0)のみ。
(0,0)は曲線が交差する点。

小問c
f=x2+y2-a2としてf/∂x=2x, f/∂y=-2yだから、
f=0となるのは(0,0)だが、円なのでa>0だから(0,0)V(f)
したがって特異点はない。

演習問題9
小問a
原点を通る直線Lは、Lの方向ベクトルを(c,d)
(ただしcdは同時に0でない)として、
x=ct, y=dtとパラメター付けされる。
f=x3-y2としてf(ct,dt)=t2(c3t-d2)だから、d≠0なら(つまりほとんどの場合)、
Ly2=x3と重複度2で交わる。
d=0(このときc≠0)のときのみ重複度は3である。

小問b
f=x4+2xy2+y3としてf(ct,dt)=t3(c4t+2cd2+d3)だから、
2cd2+d3≠0ならLは重複度3で交わり、
2cd2+d3=0(このときc=0ならd=0となってしまうからc≠0)のときのみ、
重複度は4である。すなわち重複度3以上。

演習問題10
小問a
演習問題9と同様にLを定義し、
f=x3+x2-y2としてf(ct,dt)=t2(c3t+c2-d2)だから、
c2-d2≠0ならLは重複度2で交わる。

c2-d2=0のとき(このときc=0ならd=0となってしまうからc≠0)のときのみ、
重複度は3である。

小問b
c2-d2=0のとき、すなわちcdのとき、Lの傾きはd/c=±1で、
Ly2=x2(1+x)(0,0)で交差するそれぞれの曲線の接線。
c2-d2≠0のとき複数あるLと問題の曲線の交点が1つに重なるから、
重複度が上がる。

演習問題11
小問a
演習問題9と同様にLを定義し、
f=(x2+y2)3-4x2y2としてf(ct,dt)=t4[t2(c2+d2)3-4c2d2]だから、
cd≠0ならLは重複度4で交わる。
重複度4は、原点で4葉のバラの曲線が4本交差していることに対応する。

小問b
cd=0のとき、cdは同時に0でないのでc2+d2≠0だから、
Lは重複度6で交わる。
cd≠0のときL4葉のバラの曲線は、原点以外に2点の交点を持つが、
これらの2点も、c=0(Lx)またはd=0(Ly)のときは原点に重なるから、
重複度が6になる。

演習問題12
小問a
f(a,b,c)=(f(a,b,c)/∂x, f(a,b,c)/∂y, ∂f(a,b,c)/∂z)=0のとき。
この定義がwell-definedであることは2変数の時と同様に証明される。

小問b
f=x2+y2+z2-1としてf=(2x,2y,2z)だから、
f=0となるのは(0,0,0)だが、(0,0,0)V(f)
したがって特異点はない。

小問c
f=x2-y2z2+z3としてf=(2x,-2yz2,-2y2z+3z2)だから、
f=0となるのはakとして(0,a,0)すなわちy軸。
1章§22.5の曲面が交差する点に対応する。

2012-12-23

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第3章§3の演習問題


演習問題1
i: kmkm+n ((t1,...,tm) (t1,...,tm,f1(t1,...,tm),..., fn(t1,...,tm))において
f1,...,fnは多項式だから、全ての(t1,...,tm)kmにおいて定義されている。
πm: km+nkn ((t1,...,tm, x1,...,xn) (x1,...,xn))も、
全ての(t1,...,tm, x1,...,xn) km+nで定義されているので、
F: kmkn ((t1,...,tm) (f1(t1,...,tm),..., fn(t1,...,tm))F=πmiで与えられる。
Vの定義によりIm(i)=Vは明らか。

演習問題2
(2)f1,...,fnは多項式だから、
全ての(t1,...,tm)kmにおいて定義されているのでV
さらに(4)によりπm(V)=F(m)だから、閉包定理により、
アフィン多様体WV(Im)が存在してV(Im)-Wπm(V)=F(m)

演習問題3
x=t2(t)でパラメター表示される1内の点集合について、
F()x≥0となる点の集合。
I=<t2-x>とすればI1={0}なので、V(I1)=
もしあるf1,...,fsが存在して、W=V(f1,...,fs)について、
演習問題2が成り立ったとすると、
f1,...,fsx<0となる無限個の根を持たねばならない。
しかしは無限体なのでf1=...=fs=0でなければならないから、
W==V(I1)となり、WV(I1)と矛盾。
したがって演習問題2を満たすWは存在しない。

演習問題4&5
g1,..., g7のうち、tを含むのはg1だけだから、
I1=<g2,g3,g4,g5,g6,g7>である。
I2は§1演習問題1bによりI11次の消去イデアルで、
g2uの先頭項の係数は定数なので、
§14により任意の(x,y,z)V(I2)3について、
g2,g3,g4,g5,g6を同時に満たすuが存在する。
とくに(x,y,z)3について、g3の根となるuが定まり、
このug2,g3,g4,g5,g6を同時に満たす。
もし(x,y,z)3なら、g3uの実係数一次式となるから、
uとなり、かつこのuは一意である。
したがってこのとき(u,x,y,z)4

同様にI1からIへの拡張においても、g1t1次式で、
先頭係数が定数であることから、(u,x,y,z)4なら、
g1,..., g7を同時に満たすtが一意に定まり、(t,u,x,y,z)5

演習問題6
小問a
[u,v,x,y,z]におけるI=<x-uv, y-u2, z-v2>の簡約Gröbner基底は、Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: x-u*v;
f2: y-u^2;
f3: z-v^2;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[u,v,x,y,z]);
-----
で計算すれば{uv-x, u2-y, v2-z, ux-vy, uz-vx, x2-yz}なので、
消去定理によりI2=<x2-yz>だから定理1によりV=V(I2)
2章§5命題9によりV(I2)=V(x2-yz)なので、
Vの方程式はx2-yz=0

小問b
I1=<v2-z,x2-yz>で、v2-zvの最高次の係数は定数だから、
§24により任意の(x,y,z)V(I2)3について、
V(I1)へ拡張することができ、さらにIの基底の一つ
u2-yuの最高次の係数も定数だから、
同様に任意の(v,x,y,z)V(I1)4について、V(I)へ拡張することができる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、S=π2(V(I))だからS=V

小問c
u,vなら、y,z≥0だが、(x,y,z)3x2-yz=0を満たせば、
(x,-y,-z)3も満たすので、y,z<0となるV"半分"Sから欠けている。
欠けた"半分"を覆うために、uの代わりにiu, vの代わりにivとおいて、
x=-uv, y=-u2, z=-v2とすればよい。

演習問題7
小問a
演習問題6aと同様に計算して、
I=<x-uv, y-uv2, z-u2>の簡約Gröbner基底は
{ uv-x, u2-z, ux-vz, uy-x2, vyz-x3, v2z-x2, vx-y, x4-y2z}だから、
I2=<x4-y2z>, I1=< vyz-x3, v2z-x2, vx-y, x4-y2z>
Vの方程式はx4-y2z=0

小問b
x=z=0のときI1の生成元のv0でない最高次の項が全て消えるので、
S上にないVの点は直線x=z=0 (y)上にある。
Sのパラメター表示においてx=z=0となるのはu=0の時で、
このときy=0となるから、(0,0,0)以外のy軸上の点はすべてSに含まれない。

演習問題8
(問題文のxのパラメター表示の右辺第2+3yv2+3uv2の誤植
(原著第3版で確認。))

小問a
演習問題6aと同様に計算して、Vの方程式は
0=x6-3x4y2+(5/9)x4z3+6x4z2-3x4z
+3x2y4+(26/9)x2y2z3+6x2y2z+(16/243)x2z6+(16/9)x2z5+(80/9)x2z4-16x2z3
-y6+(5/9) y4z3-6 y4z2-3 y4z-(16/243)y2z6+(16/9)y2z5-(80/9)y2z4-16y2z3
-(64/19683)z9+(128/243)z7-(64/3)z5

小問b
I1Gröbner基底に、v4+vz/2+v/2-y/2が含まれており、
vの最高次の係数が定数だから、
拡張定理によりV=V(I2)の全ての点はV(I1)へ拡張できる。
さらにIGröbner基底にu2-v2-z/3が含まれているので、
同様にしてV(I1)の全ての点はV(I)へ拡張できる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、S=π2(V(I))だからS=V

演習問題9
小問a
演習問題6aと同様に計算して、最小の多様体Vの方程式は
x2-y2z=0

小問b
I1Gröbner基底は{v-y, x2-y2z}で、
v-yvについての最高次の係数は定数だから、
拡張定理によりV=V(I2)の全ての点はV(I1)へ拡張できる。
IGröbner基底にはu2-zが含まれているから同様にして、
V(I1)の全ての点はV(I)へ拡張できる。
したがってπ2(V(I))=V(I2)=Vとなり、上で傘全体を覆うことが出来る。

パラメター表示から、uならz<0の点は覆うことができない。
Vの方程式x2-y2z=0においてz<0ならx=y=0だから、
Vに含まれるうち、z軸の負の部分が上で欠ける。

小問c
z=u2より一般にz>0ならu2つ決まる。
とくにx=y=0のときはv=0で、このときu=±√zに対し
(0,0,z)は同じ点となる。
したがってx=y=0かつz>0では一意ではなく、
これは傘曲面が交差する点に対応する。

演習問題10
小問a
f1(t),...,fn(t)tの多項式なので、tの最高次の係数はの定数だから、
4によりV=V(I)n+1としてπ1(V(I))=V(I1)となる。
したがって、曲線π1(V(I))V(I1)の全ての点を覆う。

小問b
1章§3の、単位円x2+y2=1に対するパラメター付け
x=(1-t2)/(1+t2), y=2t/(1+t2)は、(-1,0)を覆わないので反例となる。

小問c
演習問題3I=<t2-x>とすればI1={0}なので、V(I1)=だが
π1(V(I))は曲線x≥0だから反例となる。

演習問題11
小問a
fgはすべてのkmの点で0となるから零函数。
kは無限体だから、第1章§1命題5によりfg=0
g≠0だからf=0

小問b
定理2の証明にヒントにあるように、
(4)の代わりに(8)を用い、小問akm-W上消える多項式は0であることを、
kとを行き来するところで使えばよい。

演習問題12
小問a
[u,v,x,y,z]におけるI=<u2-vx, uy-v2, u-z>の簡約Gröbner基底は、Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: v*x-u^2;
f2: u*y-v^2;
f3: z-u;
poly_reduced_grobner([f1,f2,f3],[u,v,x,y,z]);
-----
で計算すれば{u-z, vx-z2, v2-yz, vz2-xyz, x2yz-z4}なので、
消去定理によりI2=<x2yz-z4>=<z(x2y-z3)>

小問b
W=V(uv)=V(u)V(v)だから、W={(u,v)2| u=0またはv=0}なので、
2-W={(u,v)2| uv0}
したがって(5)によりi(2-W)={(u,v,x,y,z)5| uvxyz0}
jの定義によりj(2-W)={(1/uv,u,v,x,y,z)6| uvxyz0}だから、
π1(j(2-W))={(u,v,x,y,z)5| uvxyz0}=i(2-W)
また(8)の上の議論からj(2-W)=V(J)なのでπ1(V(J))=i(2-W)
すると閉包定理によりV(J1)i(2-W)をふくむ最小のアフィン多様体。

新たな変数wを用い、[w,u,v,x,y,z]において(7)(8)式の手続きに従うと、
J=<u2-vx, uy-v2, u-z, uvw-1>の簡約Gröbner基底は、
小問aと同様にMaximaで計算して、
{ wz3-x, wyz2-v, wxy-1, u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3}
これよりJ1=<u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>
u2-vx=-(vx-z2)+(u+z)(u-z)vx-z2=-(u2-vx)+(u+z)(u-z)
およびuy-v2=-(v2-yz)+y(u-z)v2-yz=-(uy-v2)+y(u-z)から、
J1=<u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3>
したがって第2章§5命題9によりV(J1)=V(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)

以上によりi(2-W)をふくむ最小のアフィン多様体は、
V(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)

小問c
(0,0,x,y,0)Iの生成元は全て消えるから{(0,0,x,y,0)}V(I)
IJ1なのでV(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)V(I)だが、
xy≠0ならvz-xy, x2y-z3(0,0,x,y,0)で消えないので、
(0,0,x,y,0)V(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)
したがってV(u-z, u2-vx, uy-v2, vz-xy, x2y-z3)V(I)なので、
小問bによりV(I)i(2-W)をふくむ最小のアフィン多様体でない。

小問d
Jの簡約Gröbner基底{ wz3-x, wyz2-v, wxy-1, u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3}から、
J3=<x2y-z3>, J2=<vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>
v2-yzvの最高次の係数が定数なので拡張定理により、
V(J3)の任意の点はV(J2)へ拡張でき、π1(V(J2))=V(J3)
J1=<u-z, vx-z2, v2-yz, vz-xy, x2y-z3>についても、
u-zuの最高次の係数が定数なので拡張定理により、
V(J2)の任意の点はV(J1)へ拡張でき、π1(V(J1))=V(J2)

Jの基底のwの最高次の係数は、
z=0かつ xy=0のときに限りすべて0となる。
従ってV(J3)の任意の点のうち、x軸上とy軸上の点のみ、
(5)でパラメター表示されない。

演習問題13
図式(7)においてm=1gk[t]なので第1章§53により、
Wは高々deg(g)個の要素から成る有限集合で、k-W上で常にgi≠0

(t,x1,...,xn)V(I)なら、すべてのiについてgi(t)xi-fi(t)=0なので、
もしgi(t)=0ならfi(t)=0だが、
iについてfi,gik[t]は互いに素だから、
gi(t)fi(t)は同時に0になることはないので、この場合は起こり得ない。
すなわちgi(t)≠0だからtk-Wかつxi=fi(t)/gi(t)となり、
故に図式(7)において(t,x1,...,xn)i(k-W)。したがってV(I)i(k-W)
逆の包含関係は明らかだからV(I)=i(k-W)なのでF(k-W)=π1(V(I))

あとは定理1の証明と同様に進めることができる。
もしkが代数的閉体なら、V(I)kn+1から閉包定理により、
V(I1)π1(V(I))=F(k-W)knを含む最小のアフィン多様体となり証明が終わる。

kが代数的閉体でないときは、kKとなる代数的閉体を考え、
定理1の証明と同様にkKを多様体の添字とする。
Kにおいてg=0となる元の集合をUとする。
§2補題1よりπ1(Vk(I))Vk(I1)である。
Zk=Vk(h1,...,hs)knについてF(k-W)Zkとなったとすると、
F(k-W)上でhi=0だから、各hiFk-W全体で消える。
hiは多項式で、任意のtk-WについてF(t)=(f1(t)/g1(t),..., fn(t)/gn(t))だから、
hiF(t)は分母にg1(t),..., gn(t)だけを含む有理式である。
すなわち、各hiFの分母は0にならず、分子のnik[t]k-W全体で消える。
Wは有限集合でkは無限体だからk-Wは無限集合なので、
niは無限個のtに対して0となる。
故に第1章§1命題5から全てのni=0でなければならない。
したがってk-WにおいてhiFは零多項式である
するとhiFK-U上でも零多項式となるから、
F(K-U)上で全てのhiは消えるので、
ZK=VK(h1,...,hs)KnF(K-U)を含むKnの多様体。
Kは代数的閉体だから、上で示したことによりVK(I1)ZKとなる。
knにある解のみを取ることにより、Vk(I1)Zk
したがって、Vk(I1)π1(Vk(I))=F(k-W)knを含む最小のアフィン多様体

演習問題14
小問a
3tt3+1, 3t2t3+1はそれぞれ互いに素だから、
演習問題13により単に分母を払った多項式のイデアル
I=<(t3+1)x-3t, (t3+1)y-3t2>の簡約Gröbner基底を求めればよい。Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
f1: (1+t^3)*x-3*t;
f2: (1+t^3)*y-3*t^2;
poly_reduced_grobner([f1,f2],[t,x,y]);
-----
により、Iの簡約Gröbner基底として{t2y-3t+x, tx-y, ty2+x2-3y, x3-3xy+y3}
が得られるので、I1=<x3-3xy+y3>だから、
Descartesの葉線の方程式はx3-3xy+y3=0

小問b
においては、演習問題13によりV(I1)は、
F(-{-1,-ω,-ω2})=π1(V(I))を含む最小の多様体。
tを含むIの簡約Gröbner基底のtの最高次は、
x=y=0以外では同時に0とならないので、
拡張定理によりV(I1)=π1(V(I)){(0,0)}だが、
t=0のときx=y=0だから、(0,0)π1(V(I))となるので、
V(I1)=π1(V(I))=F(-{-1,-ω,-ω2})となる。
したがって、-{-1,-ω,-ω2}において問題のパラメター表示は曲線全体を覆う。

においては、Iの簡約Gröbner基底にtx-y, ty2+x2-3yが含まれるから、
(x,y)2x=y=0でないならtである。
x=y=0ならIの簡約Gröbner基底t2y-3t+xからt=0となり、
したがって全ての(x,y)V(I1)2について、tだから、
-{-1}において問題のパラメター表示は曲線全体を覆う。

演習問題15
1章§3演習問題16aにより、w>0なら問題のパラメター表示の分母は、
において消えないから、
演習問題13により、単に分母を払った多項式のイデアルの、
簡約Gröbner基底を求めればよい。Maxima
-----
load(grobner)$
poly_monomial_order: lex;
g: expand((1-t)^2+2*t*(1-t)*w+t^2);
f1: expand((1-t)^2*x1+2*t*(1-t)*w*x2+t^2*x3)-expand(g*x);
f2: expand((1-t)^2*y1+2*t*(1-t)*w*y2+t^2*y3)-expand(g*y);
poly_reduced_grobner([f1,f2],[t,x,y]);
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とやってみたらpoly_reduced_grobnerエラーだなあ・・・。
Maximaだと文字定数入りはダメなのかな。