2012-02-29

コックス「ガロワ理論」 14.2節の演習問題1


演習問題1
σ=(τ;μ1,..., μk), σ'=(τ';μ'1,..., μ'k)ABとする。
すべての(i,j)Riに対し、σ'(i,j)=(τ'(i), μ'i(j))なので、
σσ'(i,j)=σ(τ'(i), μ'i(j))=(ττ'(i), μτ'(i)μ'i(j))だから、
σσ'=(ττ'; μτ'(1)μ'1,..., μτ'(k)μ'k)となり(14.7)を得る。
ττ'Aμτ'(i)μ'iBだからσσ'ABなので、ABは積について閉じている。

演習問題2
(a)
任意のn>1について、Snの部分群Gに互換τ1つ含まれたとする。
n=|G An|とすると、τAnなのでτ(GAn)(GAn)=かつ|τ(GAn)|=nで、
τ(GAn)の元は全て奇置換だから、Gには偶置換と奇置換が同数含まれ|G|=2nである。
故にn=|GAn|=|G|/2

(12)=((1)(2)(3);(12),(3)(4),(5)(6))S3S2S6の元で互換だから、
|(S3S2)A6|=|S3S2|/2=24

(b)
σ=(12)(34)(56)として、σ=((1)(2)(3);(12),(34),(56))である。
S3S2の元はτS3, μ1{(1)(2),(12)}S2, μ2{(3)(4),(34)}S2,
μ3{(5)(6),(56)}S2として(τ; μ1, μ2, μ3)なので、(14.7)の積に対し、
σと可換だから、S3S2CS6({σ})

CS6({σ})={ρS6|ρσ=σρ}だから、
ρCS6({σ})についてσ-1ρσ=ρ
すなわちρ123456との
文字の置き換えに対し不変なS6の元だから、
ブロックR1,R2,R3を保つ置換なので、ρS3S2となり、
故にCS6({σ})S3S2

以上によりCS6({σ})=S3S2

(c)
σ=(12)(34)(56)は奇置換なので、S3S2
S3S2=((S3S2)A6)σ((S3S2)A6)
σについての左剰余類に分解されるから、
D={e,σ}S2とすればS3S2=D((S3S2)A6)である。
(a)により[S3S2:((S3S2)A6)]=2だから((S3S2)A6)S3S2
また(b)によりDの元はS3S2の元と可換だからDS3S2
σは奇置換で((S3S2)A6)は偶置換のみからなるから、
D((S3S2)A6)={e}
故にS3S2=((S3S2)A6D((S3S2)A6S2

演習問題3
(a)
Snの元に添字nをつけて区別することにする、
問題の準同型をπ:GS3とする。
π(x)=e3なるxGは例えばx=e6=(e3;e2,e2,e2)
π(x)=(12)3なるxGは例えばx=(13)(24)=((12)3;e2,e2,e2)
π(x)=(13)3なるxGは例えばx=(15)(26)=((12)3;e2,e2,e2)
π(x)=(23)3なるxGは例えばx=(35)(46)=((23)3;e2,e2,e2)
π(x)=(123)3なるxGは例えばx=(135)(246)=((123)3;e2,e2,e2)
π(x)=(132)3=(123)3-1なるxGは例えばx=(153)(246)=((132)3;e2,e2,e2)G
があるからπは全射。

Ker(π)(e3;μ1,μ2,μ3) (μ1{e2,(12)},μ2{e2,(34)},μ3∈∈{e2,(56)})の形の元からなり、
Ker(π)A6だから、Ker(π)={e6=(1), (12)(34),(12)(56),(34)(56)}

(b)
|G|=24=23·3だから定理A.5.1(a)Sylowの第1定理)により、
G3-Sylow部分群を持ち、定理A.5.1(c)Sylowの第1定理)により、
G3-Sylow部分群の個数をNとしてN≡1 (mod 3)かつN|24=|G|
故にN=1または4

(c)
6=1·6=2·3だから、位数6の元は6サイクルか、
2サイクルと3サイクルの共通部分のない積である。
いずれにせよ全て奇置換だから、A6は位数6の元を持たない。

(d)
N=1ならGの唯一つの3-Sylow部分群HC3Gの正規部分群。
また、Ker(π)Gなので、hH, kKer(π)を任意に取れば、
k-1hkHかつh-1khKer(π)だから、
hkh-1k-1=(hkh-1)k-1Ker(π)かつhkh-1k-1=h(k-1hk)-1Hなので、
hkh-1k-1HKer(π)
Ker(π)(a)によりe以外には位数2の元しかなく、
HC3だからHe以外には位数3の元しかないから、
HKer(π)={e}なので、hk=khである。
hH, kKer(π)は任意だから、o(h)=3, o(k)=2の元を取れば、
(hk)i=hiki=eなる最小のi>0lcm(o(h),o(k))=6だから、
o(hk)=6となり、故にGは位数6の元を持つ。これはGA6より(c)と矛盾
したがってN=1ではありえない。よってN=4

(e)
Gは共軛によって4つの3-Sylow部分群H1, H2, H3, H4に作用するので、
σG, τS4としてσ·Hi=σHiσ-1=Hj=Hτ(i) (1i,j≤4)よって、
写像φ: GS4を定義すると、φは明らかに群準同型。
|G|=|S4|=24だから、φ11であることを示せば良い。
Ker(φ)={e6}すなわち、すべての1i≤4についてσHiσ-1=HiとなるσGが、
e6以外にない事を示す。

G3-Sylow部分群Hiは、eと、互いに逆元である2つの位数3の元からなる。
このうちeでない元は3サイクルか、2つの共通部分のない3サイクルの積だが、
R1, R2, R3をのブロックが2つの文字からなるので、
3サイクル1つではブロックを不変に保てないから、
2つの共通部分のない3サイクルの積でなければならない。
このHiの元に含まれる1つの3サイクルは、
1{3,4}または{5,6}のいずれかに移し、
1が移った文字が3なら、3{5,6}へ、4なら{3,4}へ移す。
この3サイクルによって、積のもう一方の3サイクルは一意に決まる。
この仕方は23=8通りあるので、互いに逆元である2つの組ずつ、
4組が各Hiに入る。
したがって、G3-Sylow部分群は
H1={e,(135)(246),(153)(264)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,e2,e2), ((132); e2,e2,e2)},
H2={e,(136)(245),(163)(254)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,e2,(12)), ((132); (12),e2,e2)},
H3={e,(145)(236),(154)(263)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,(12),e2), ((132); e2,e2,(12))},
H4={e,(146)(235),(164)(253)}={(e3; e2,e2,e2),((123); e2,(12),(12)), ((132); (12), e2,(12))}
である。

GHiへの共軛による作用によって、Hiの元の文字は置換される。
すべての1i≤4についてσHiσ-1=HiとなるσKer(φ)の作用によって、
例えばH1(135)は不変であるか、または(246),(153),(264)のいずれかへ移り、
対応して(246)はそれぞれ、不変であるかまたは(135),(264),(153)へ移る。
ところが、(135)を不変に保たないσは、例えば(135)(246)へ移る場合
(12)(34)(56)というように、全て3つの互換の積だからGA6の元ではないので、
σH1σ-1=H1となるσGe6のみとなる。
H2, H3, H4についても同様だから、Ker(φ)={e6}
よってφ11だから同型となり、GS4

(f)
演習問題2(c)によりS3S2G×S2だから、(e)によりS3S2S4×S2

演習問題4
A,Bは置換群だから有限群で、あるk,l>1についてASk, BSlである。
補題14.2.8によりBkABかつAB/Bk=AだからAB/Bkは可解。
G0={e}G1=BG2=B2... Gk=Bkを考えると、
すべての1ikについて、Gi =Gi-1×Bだから、
Gi-1GiかつGi/Gi-1=BなのでGi/Gi-1は可解。
故に8.1節演習問題8(b)によりGk=Bkは可解。
よって定理8.1.4によりABは可解。

演習問題5
(a)
(14.9)の写像をφ:GiSpとする。
σ=(τ;μ1,..., μk), σ'=(τ';μ'1,..., μ'k) Giとすると、
Giの定義によりτ(i)=τ'(i)=iなので、(14.7)の積により
σσ'=(ττ'; μτ'(1)μ'1,..., μτ'(i)μ'i,..., μτ'(k)μ'k)=(ττ'; μτ'(1)μ'1,..., μiμ'i,..., μτ'(k)μ'k)だから、
φ(σσ')=μiμ'i=φ(σ)φ(σ')となり、φは群準同型。

GiGだから命題8.1.3によりGiは可解で、Ker(φ)Giだから、
定理8.1.4と定理A.1.3(群準同型の基本定理)により、
Gi/Ker(φ)Im(φ)は可解。

Gは可移だから、任意にs,tRiをとるとσ(s)=tとなるσGが存在し、
したがってσ(Ri)=Riとなるので、σGiだから、
σ=(τ;μ1,..., μi,..., μk) (τ(i)=i)内のμiRiにおいて可移。
故にIm(φ)は可移。

以上によりIm(φ)は可解かつ可移。

(b)
すべての(k,l)Riに対し
γ(k,l)=(σ-1(ρ;ν1,..., νp)σ)(k,l)=(σ-1(ρ;ν1,..., νp))(τ(k), μk(l))
=σ-1(ρτ(k), ντ(k)μk(l))=(τ-1ρτ(k), μτ-1ρτ(k)-1ντ(k)μk(l))
である。k=j, l=iに対しτ-1ρτ(j)=j, ντ(j)=νi=θだから、
γ(j,i)=(j,μj-1θμj(i))=(j,λj(i))なので、λj=μj-1θμj

演習問題6
(a)
σ=(τ;g1,..., gn), σ'=(τ';g'1,..., g'k) AGとすると、
数学ノートの積の定義によりσσ'AGで、
eAG=(eA; eG,..., eG)AGは明らかにAGの単位元。
またσ-1=(τ-1;gτ-1(1)-1,...,gτ-1(n)-1)AGとし、Gが作用する集合をXとすれば、
iA, xXに対し、σσ-1(i,x)=σ(τ-1(i), gτ-1(i)-1(x))=(ττ-1(i), gτ-1(i)gτ-1(i)-1(x))=(i,x)および
σ-1σ(i,x)=σ-1(τ(i), gi(x))=(τ-1τ(i), gτ-1(τ(i))-1gi(x))=(i,x)だから、
σ-1AGにおけるσの逆元となる。
よってAGは数学ノートの積について群をなす。

(b)
写像(τ;g1,..., gn)→τは群準同型AGAを定義する。
これは全射で、その核はGn=G×...×Gに同型である。

∵) (a)の積によりこの写像は準同型で、
AGの定義により明らかに全射。
核は(eA; g1,..., gn)で、(eA; g1,..., gn)(g1,..., gn)Gnは明らかに群同型。

(c)
(b)と定理A.1.3(群準同型の基本定理)により、
AG/GnAだから、|AG|=|A||G|n

演習問題7
HGへのすべての関数の集合だから、
すべての1inについて
I(i)=eGとなるIが存在し、任意のφHについて
()(i)=(φI)(i)=φ(i)だから、IHの単位元。
また、任意のφHについてφ-1(i)=φ(i)-1となる関数φ-1が存在して、
φ-1Hにおけるφの逆元となる。よってHは群をなす。

φ→(φ(1),...,φ(n))によって写像HGnを定義すれば、
Hにおける積の定義によりこの写像は群準同型で、
HGへのすべての関数の集合だから、この写像は全射。
またこの写像の核はすべての1inについて
φ(i)=eGとなるφだから、上で定義したIのみである。
故に写像は11、よって同型。したがってHGn

(b)
(τ,φ)=(τ; φ(1),...,φ(n))と数学ノートの積の定義および、
(c)の作用の定義により、
(τ,φ)(τ',φ')=(ττ'; φ(τ'(1))φ'(1),..., φ(τ'(n))φ'(n))
=(ττ';((τ')-1·φ)(1)φ'(1),..., ((τ')-1·φ)(n)φ'(n))
=(ττ';(((τ')-1·φ)φ')(1),..., (((τ')-1·φ)φ')(n))
=(ττ',((τ')-1·φ)φ')

(c)
任意のφHについて(eA·φ)(i)=φ(eA(i))=φ(i)だからeA·φ=φ
また任意のτ,τ'Aについて、
(τ·(τ'·φ))(i)=(τ'·φ)(τ-1(i))=φ((τ')-1τ-1(i))=φ((ττ')-1(i))=(ττ'·φ)(i)
だから(iの置換の順序を逆転するために逆元をとることが必要)、
定義A.4.1の作用の定義を満たしている。

(d)
(6.9)の半直積の定義から、(φ,τ),(φ',τ')HAについて、
(φ,τ)(φ',τ')=(φ(τ·φ'), ττ')である。
写像ψ: AGHA ((τ,φ)→(τ·φ,τ))について、明らかにψは全射。
(b)によりψ((τ,φ)(τ',φ'))=ψ(ττ',((τ')-1·φ)φ')=((ττ')·(((τ')-1·φ)φ'), ττ')
=((τ·φ)((ττ')·φ'), ττ')=(τ·φ,τ)(τ'·φ',τ')=ψ((τ,φ))ψ((τ',φ'))だからψは群準同型。
ψ((τ,φ))=(I, eA)=(eA·I, eA)なら(τ,φ)=(eA, I)だからψ11
よってψは同型となるから、AGHA

2012-02-25

コックス「ガロワ理論」 14.1節の演習問題


演習問題1
(a)
<θ>の正規化群をNとする。
τNとすると、τθτ-1<θ>だから、ある1lp-1が存在して
τθτ-1=θlだからτθ=θlτ
逆にτθ=θlτならτθτ-1=θlだからτN

(b)
(14.1)を繰り返し適用することで、
τ(i+j)=τ(i+(j-1)+1)=τ(i+(j-1))+l=....=τ(i)+jl

演習問題2
(a)
HGよりgH=Hgだから、(gH)o(g)=g o(g)Ho(g)=H
定理A.1.1Lagrangeの定理)から|G/H|=|G|/|H|=[G:H]だから、
任意のgHG/Hについて(gH)[G:H]=eG/H=H
以上により(gH)o(g)=(gH)[G:H]=H

(b)
gcd(o(g),[G:H])=1だから、あるm,nが存在してmo(g)+n[G:H]=1
(a)により(gH)o(g)=(gH)[G:H]だから、
(gH)mo(g)=(gH)1-n[G:H]= (gH)m[G:H]よりgH=(gH)(m+n)[G:H]
さらに(gH)[G:H]=Hを用いてgH=[(gH)[G:H]]m+n=Hとなるので、gH

演習問題3
定理A.5.1(c)Sylowの第3定理)により、
Gp-Sylow部分群の個数をNとして、
N1 (mod p)かつN|G|=pm (1mp-1)を割る。
N1 (mod p)よりN=pk+1≠p (k≥0)だからN|mなので、
ある1dmについてm=Nd=pkd+dだが、
1mp-1だからk=0でなければならない。
したがってN=1となり、<θ>Gの唯一つのp-Sylow部分群だから、
gGを任意として<θ>の位数pの共軛部分群g<θ>g-1=<θ>となるので、
<θ>Gである。

演習問題4
GFrobenius群なら、GxGy={e}である。
Gは可移的なのでg(x)=yとなるgGが存在するからGxG
また|G·x|=|X|<|G|から定理A.4.9(群の作用の基本定理)により|Gx|=|G|/|G·x|=|G|/|X|>1
故に1<|Gx|<|G|
H=Gxとし、任意のgHについて、g(x)=yxとすると、
gHg-1Gの部分群で(gHg-1)·y=yだから、
gHg-1Gyなので、HgHg-1={e}である。

逆はうーん・・・。

演習問題5
Fの標数は0fは規約だから命題5.3.7により分離的。
f[x]は奇数次なので、命題3.2.2により少なくとも1つの実根αを持つ。
f2つの実根α,γを持ち、かつβなる根も持ったとする。
fは冪根で解けるから、定理14.1.1によりL=F(α, β)=F(α, γ)となるが、
F(α, β) かつF(α, γ)だから矛盾。
故にfはただひとつの実根を持つか、またはp個全ての根が実根である。

演習問題6
6.4節演習問題6により、f3つの実根を持つ。
f[x][x]は規約5次式だから、演習問題5により、
fは冪根で解くことはできない。

演習問題7
τSpについてτθτ-1AGL(1,Fp)とする。
(τθτ-1)p=τθpτ-1 =eだから、o(τθτ-1)=pである。
補題14.1.2(a)により<θ>AGL(1,Fp)で、[AGL(1,Fp):<θ>]=p-1だから、
gcd([AGL(1,Fp):<θ>], o(τθτ-1))=1なので、補題14.1.3によりτθτ-1<θ>
したがってτ<θ>を正規化するので、補題14.1.2(a)によりτAGL(1,Fp)