2011-11-30

コックス「ガロワ理論」 10.1節の演習問題1


演習問題1
01からC1を使ってx軸を得、
C2を使って0を中心とした半径1の円を描くと、
P2により-1が得られる。

1-1の距離は2である。そこでC2を使って、
1,-1を中心としたともに半径2の円をそれぞれ描くと、
P3により交点√3i, -√3iが得られるから、
これらの2点にC1を使ってy軸を得る。

演習問題2
(a)
01からC1を使ってx軸を得る。
C2を使って0を中心とした半径|α-β|の円c1を描き、
P2によりc1x軸のx>0となる側との交点εを得る。
C2を使って0を中心とした半径|α-γ|の円c2を描き、
C2を使ってεを中心とした半径|β-γ|の円c3を描くと、
P3によりc2c3の交点が、上半平面と下半平面にそれぞれ一つできる。
このうち上半平面の交点をδとすればよい。

(b)
n角形が直定規とコンパスで作図可能ならζnが作図可能であることは、
10.1.3で示された。
逆にζnが作図可能なら、(a)により0,1, ζnのなす角は2π/nだから、
ζnを中心とした半径|1-ζn|の円と単位円の交点は1, ζn2
以下繰り返して、1のすべてのn乗根1, ζn, ζn2,.... ζnn-1を得るので、
単位円上で隣り合うn乗根を直定規で結んで正n角形が得られる。

演習問題3
(a)
αを中心とした半径|β|の円と、0αを結ぶ直線の交点がα+β
したがってα+β0, α, βが同一直線上にある時も作図可能。

(b)
三角形(0,1,ia)~三角形(0,d,i)よりd/1=d=i/ia=1/a

(c)
aC, a>0なら、0を中心とした半径aの円とx軸の2つの交点のうち、
一つはaで、aでない方が-aだから-aCとなり、
Cは加法の逆元について閉じている。
a,bCについて、x軸上で(a)を用いてa+bCで、
(a)での作り方から明らかにa+bだから、a+bC
となりCは加法について閉じている。
またab=sign(a)sign(b)|a||b|, 1/a=sign(a)/|a|で、
|a|>0,|b|>0なら|a||b|, 1/|a|C{x |x>0}
またa=0またはb=0ならab=0Cだから、
Cは乗法と乗法の逆元について閉じている。
以上によりCは体となり、故にの部分体である。

(d)
(10.1)において三角形(0,1,α)~三角形(1,α,1+r)より1/d=d/r、故にd=√rC

演習問題4
(a)
高校の解析幾何からl1の方程式は(v1-v2)x+(u2-u1)y=u2v1-u1v2
だから、a1=v1-v2F, b1=u2-u1F, c1=u2v1-u1v2Fとすればよい。
α1β1は異なる点だから、a1b1が共に0になることはない。

(b)
Re(α2), Im(α2), Re(β2), Im(β2)Fなので、r=|α2-β2|とすれば
r2=(Re(α2)-Re(β2))2+(Im(α2)-Im(β2))2F
γ2=w1+iw2 (w1,w2F)とすれば、求める円の方程式は
(x-w1)2+(y-w2)2=r2だから、
a2=-2w1F, b2=-2w2F, c2=r2-w12-w22Fとすれば(10.3)を得る。

(c)
a1=0なら、α1β1は異なる点だから(a)により、
a1b1が共に0になることはないのでb1≠0
すなわちy=Im(α)=c1/b1=v1Fn
これを(10.3)に代入してxの二次方程式x2+a2x+v12+b2v1+c2=0が得られる。
この根x=Re(α)Fnに入るか、またはFnの二次拡大に入る。

演習問題5
(a)
P1によって01を結んでx軸を得る。
01の距離は1なので、
C1を使って単位円u1と、1を中心とした半径1の円c1を描く事ができる。
P3によってこの2円の2つの交点のうち上半平面の(1+i√3)/2が得られ、
さらにC1を使って、(1+i√3)/2を中心とした、
半径が|(1+i√3)/2-1|=1の円c2を描く事ができる。
P3によってu1c2の交点のうち1と異なる点として、
(-1+i√3)/2=e2πi/3=ζ3を得る。

(b)
i√3の最小多項式f=x2+3の分解体(i√3)を用いて、
ζ3=(-1+i√3)/2(i√3)かつ[(i√3):]=deg(f)=2となるから、
定理10.1.6によりζ3は作図可能。

演習問題6
直定規とコンパスで20°=60°/3が作図できたとすると、
その倍角の40°も作図可能だから、例10.1.9で示されたことと矛盾する。
・・・のだが、多分そういう証明をCoxが期待しているのではないので、
もそっと丁寧に。

直定規とコンパスで20°=60°/3が作図できると仮定する。
これは単位円上にζ18=cos20°+isin20°が作図可能であることを意味する。
するとζ18からx軸に垂線を下ろすことで、cos20°が作図可能。
1.3節のcos3倍角公式から、
cos60°=1/2=4cos320°-3cos20°なので、
f=8x3-6x-1の根が作図可能。
命題A.3.1によりfに根を持てば根は±1, ±1/2, ±1/4, ±1/8のいずれかだが、
これらはすべてfの根ではないから、補題A.1.19によりf上規約となり、
したがって命題4.1.5によりfcos20°上の最小多項式。
ところがLfの分解体とするとdeg(f)=3|[L:]だから定理10.1.12と矛盾。
よって直定規とコンパスでは20°は作図不能。

演習問題7
Fは有限次拡大だから補題4.4.2により代数拡大で、
Fの標数は0だから命題5.3.7により分離拡大。
したがって命題7.1.7により、
FMとなるF上のGalois閉包Mが同型を除き一意に存在する。

Fは代数拡大なので、定理4.4.3により、
F=(α1,..., αm) (m=[F:])となる、
上代数的なα1,..., αmFが存在する。
命題7.1.6の証明から、α1,..., αm上の最小多項式p1,...,pm[x]のうち、
相異なる多項式をq1,...,qrとしてf=q1...qrとし、
fの根全体をβ1,..., βnとすれば、M=(β1,..., βn)
Fなのでα1,..., αmだから、fに根を持つので、
命題3.2.1によりf上完全分解する。
したがってβ1,..., βnだからMである。

2011-11-29

コックス「ガロワ理論」 9.2節の演習問題3


演習問題11
(a)(d)
定理9.1.11によりGal((ζp)/)(/p)*=<[g]>で、
Hf=Gal((ζp)/Lf)Gal((ζp)/)は、
(/p)*の位数fの唯一の部分群と同型だからHf<[g(p-1)/f]>=<[ge]>
同じ同型写像によって、同様にHfq=Gal((ζp)/Lfq)<[g(p-1)/fq]>=<[ge/q]>
τ(ζp)=ζpge/qなので、定理9.1.11によりこの同型は、
τ[ge/q]へ移すからHfq=<τ>

LfHfの固定体だから、Hfqの各元をLfへ制限すると、
HfqにおいてHfに対する同じ左剰余類に属する元は、
Lfにおいて同じ置換を引き起こす。
f|fqだから演習問題1(b)によりHfHfq
さらにHfqは巡回群なのでAbel群だからHfHfqなので、
Hfqの各元のLfへの制限の集合は、Hfq/Hf<τ|LfHf >=<σ'Hf >となる。
なお<σ'Hf >の位数は|Hfq|/|Hf|=qqは素数なので<σ'Hf >/qだから、
σ'=τ|Lf Hfq=<τ><[ge/q]>の同型によって [ge/q]と同一視し、
さらに[ge/q]を簡単のためge/qと書くことにすれば
Hfq/Hf ={Hf, ge/qHf, g2e/qHf, ..., g(q-1)e/qHf}
すなわちHfq=Hfge/qHfg2e/qHf...g(q-1)e/qHfとなり(9.23)式を得る。

一方f|fqだから命題9.2.1によりLfqLf(ζp)で、
Gal((ζp)/)(/p)*Abel群だから、Hf Gal((ζp)/)
LfqLf(ζp)に定理7.3.2を用いてGal(Lf /Lfq)Hfq/Hfとなるので、
Gal(Lf /Lfq)<σ'Hf >/q
σ'Hfの代表元としてσ'をとってσ'Hfと同一視することで、
Gal(Lf /Lfq)<σ'>/qとなる。

(b)
q=2ならω=-1Lfqなので、Lfq(ω)=Lfq, Lf(ω)=Lfだから
Gal(Lf (ω)/Lfq(ω))Gal(Lf /Lfq)
以下q2すなわちqは奇素数とする。

命題4.2.5と命題4.1.5によりω上の最小多項式はΦq[x]
qp-1の約数なのでgcd(q,p)=1だから、
9.1節演習問題16によりΦq(ζp)上規約。
LfqLf(ζp)だから、ΦqLfq, Lf上でも規約である。
qは奇素数だから9.1節演習問題1により
[Lfq(ω):Lfq]=deg(Φq)=φ(q)=q-1, [Lf(ω):Lf]=q-1

また(8.6)により(ζp)Galois拡大だから、
Lfq(ζp)と命題7.1.3によりLfq(ζp) Galois拡大。
LfqLf(ζp)から定理7.3.1と定理A.1.1Lagrangeの定理)により
[Lf:Lfq]=[Gal((ζp)/Lfq):Gal((ζp)/Lf)]=[Hfq:Hf]=|Hfq|/|Hf |=q
したがって定理4.3.8(塔定理)により、
[Lf(ω):Lfq]=[Lf(ω):Lf][Lf:Lfq]=q(q-1)だから
q(q-1)=[Lf(ω):Lfq]=[Lf(ω):Lfq(ω)][Lfq(ω):Lfq]=(q-1)[Lf(ω):Lfq(ω)]により
[Lf(ω):Lfq(ω)]=q

(a)によりLfqLf(ζp)Lfは命題9.2.1によりGalois拡大だから、
命題7.1.3によりLfqLfGalois拡大で、
定理7.1.5により|Gal(Lf/Lfq)|=[Lf:Lfq]=q
さらに補題8.3.1によりLfq(ω)Lf(ω)Galois拡大だから、
定理7.1.5により|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))|=[Lf(ω):Lfq(ω)]=q

LfqLf(ω), LfqLfGalois拡大だから、
定理7.2.7によりGal(Lf(ω)/Lfq)/Gal(Lf(ω)/Lf)Gal(Lf/Lfq))
この同型写像は定理7.2.7の証明から、
群準同型写像Φ: Gal(Lf(ω)/Lfq)→Gal(Lf/Lfq)
(σGal(Lf(ω)/Lfq)Φ(σ)=σ|Lf)において、
Ker(Φ)=Gal(Lf(ω)/Lf)であることから得られる。
Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))Gal(Lf(ω)/Lfq) から、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω)): Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))→Gal(Lf/Lfq) を考えると、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))は明らかに群準同型。
Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))の元はLfq(ω)上恒等なのでωを固定するから、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))(τ)=1LfならτLf,ωを共に固定するので、
Ker(Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω)))Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))の単位元のみからなる。
したがってΦ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))11
|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))|=|Gal(Lf/Lfq)|=qだったから、
Φ|Gal(Lf(ω)/Lfq(ω))は全射となり、故に同型。
よってGal(Lf (ω)/Lfq(ω))Gal(Lf /Lfq)<σ'Hf >/q

(c)
定義9.2.3より(f,λ)=a[λ]Hζpaで、
命題9.2.6により任意のλについてLf=((f,λ))だから(f,λ) Lf
(b)によりσGal(Lf(ω)/Lfq(ω)) に対しσ'=σ|Lfなので、
σ((f,λ))=σ'((f,λ))=a[λ]Hf ζpage/q =(f,ge/qλ)

演習問題12
(a)
gcd(m,p)=1だから9.1節演習問題16によりΦp(ζm)上規約で、
したがって命題4.1.5により(ζm)上のζpの最小多項式。
deg(Φp)=p-1だから、命題4.3.4により1, ζp,..., ζpp-2(ζm)上線形独立。

(b)
ζp,..., ζpp-1が線形従属すなわち、
すべてが0でないあるa1,..,ap-1(ζm)が存在して
a1ζp+...+ap-1ζpp-1=0なら、ζp(a1+...+ap-1ζpp-2)=0より
a1+...+ap-1ζpp-2=0となり、(a)1, ζp,..., ζpp-2の線形独立性と矛盾。
したがってζp,..., ζpp-1は線形独立。

(c)
(b)により、補題9.2.4の証明と全く同様に示される。

演習問題13
a(a/17)=1を満たす、すなわち17を法とした平方剰余であることは、
17を法としたある原始根に対するaの指数が偶数であることと同値だから、
演習問題8(b)により、原始根として3を取ると
平方剰余の集合はH8=<[32]>={[1],[2],[4],[8],[9],[13],[15],[16]}
非剰余の集合は[3]H8で、(/17)*=H8[3]H8、なお(17/17)=0なので、
0a≤17 (a/17) ζ17a=aH8 ζ17a-a[3]H8ζ17a=(8,1)-(8,3)

演習問題14
(a)
gnを法とした原始根なので、
補題9.1.2Fermatの小定理)により[gn-1]=[1]
r1の原始n乗根だからk=rgn-2
A={r, r[g],..., r[gn-2]}とおくと、
Galoisの表の置換は、0jn-2に対し、
r r[gj]へ移す自己同型の群Gを与える。
明らかに写像φ: G(/n)* (σG[gj])は同型だから、
τ(r)=r[g]とすればG=<τ>, o(τ)=|(/n)*|=n-1
すなわちGは位数n-1の巡回群。

(b)
deg((xn-1)/(x-1))=deg(Φn)=|(/n)*|=n-1
また最後の行はより一般の場合として、
定理7.1.5(c)について述べていると思われる。

演習問題15
f=1なら定義9.2.3においてH1={e}だから、
[λ]H1={[λ]}なので、 (1,λ)=ζp[λ]
すなわち1周期とは1の原始p乗根。

演習問題16
<[3]>Gal((ζ7)/)(/7)*の部分群なので定理A.1.1Lagrangeの定理)により、
|<[3]>|=o([2])|(/7)*|=φ(7)=6を割る。
37の原始根でない、すなわち[3](/7)*の生成元でないなら、
1でも6でもない6の正の約数m{2,3}が存在して[3m]=[1]だが、
[32]=[2]≠[1], [33]=[6]≠[1]なので、
このようなmは存在しない。よって37の原始根。

Galois対応により
[L2:]=|Gal(L2/)|=[Gal((ζ7)/):H2]=|Gal((ζ7)/)|/|H2|=3だから、
L23次拡大なので2周期の上の最小多項式は3次。
この最小多項式をf=y3+a2y2+a1y+a0とする。

H2=<[33]>={1,6}, 2H2={2,5}, 3H2={3,4}
Gal((ζ7)/)(/7)*=H22H23H2
相異なる2周期は(2,1),(2,2),(2,3)で、
(2,1)=aH2 ζ7a=ζ7+ζ76=η1, (2,2)=a2H2 ζ7a=ζ72+ζ75=η2,
(2,3)=a3Hζ7a=ζ73+ζ74=η3で、例9.2.5が確認される。
命題9.2.6により2周期の上の最小多項式は
f=(y-(2,1))(y-(2,2))(y-(2,3))[y]

これよりa2=-((2,1)+(2,2)+(2,3))=1、ただし
演習問題6により(2,1)+(2,2)+(2,3)=-1を用いた。

補題9.2.9により
(2,1)(2,2)=(2,1+2)+(2,6+2)=(2,3)+(2,1),
(2,1)(2,3)=(2,1+3)+(2,6+3)=(2,3)+(2,2)
命題9.2.4を用いて、σiGal((ζ7)/), σi((2,λ))=(2,)とすると、
(2,2)(2,3)=σ2((2,1)(2,2))=σ2((2,3)+(2,1))=(2,1)+(2,2)
a1はこれらの和だからa1=2((2,1)+(2,2)+(2,3))=-2

また補題9.2.9を用いて
(2,3)2=(2,3+3)+(2,4+3)=(2,1)+2。これより
-a0= (2,1)(2,2)(2,3)=(2,3)2+(2,1)(2,3)=(2,1)+2+(2,3)+(2,2)=1,
よってa0=-1
以上によりf= y3+y2-2y-1。これで演習問題3(a)が示された。

演習問題3(b)については、
命題9.2.6によりL2=((2,1))=(η1)だから
[(η1):]=[L2:]=3かつ(η1)H2={1,6}の固定体。
[6]=[-1]だから、σ6(ζ7)=ζ7-1=ζ7となり、
6は複素共役を取る置換τに対応する。

3(c)は演習問題3と同様。

演習問題17
2|fだから演習問題1(b)により{[1],[p-1]}H2Hf
HfH2による左剰余類をH2=[λ1]H2, [λ2]H2,..., [λf/2]H2とする(λ1=1)と、
すべての1if/2について[λi]H2{[λi], [λi(p-1)]}={[λi], [-λi]}だから、
a[λi]H2 ζpa=ζpλi+ζp-λi=ζpλi+ζpλi
Hf=1if/2 [λi]H2だから、(f,1)=aHζpa=1if/2 (ζpλi+ζpλi)
補題9.2.4によりσGal((ζp)/)), σ(ζp)=ζpλを用いることで、
任意の1λp-1に対し
(f,λ)=σ((f,1))=1if/2 (ζpλλi+ζp-λλi) =1if/2 (ζpλλi+ζpλλi)