2011-06-27

コックス「ガロワ理論」 7.4節の演習問題


演習問題1
fは既約分離多項式だから、命題6.3.7によりGal(L/F)は可移なのでGal(L/F)≠{e}
また|S3|=6だから|A3|=|S3|/2=3で、
位数3の群は巡回群C3/3に同型なものしかなく、
さらにC3の部分群は{e}C3だけ。
定理7.4.1(b)によりΔ(f)Fでの平方元の時、
Gal(L/F)の像はA3C3の部分群となるので、Gal(L/F)≠{e}からGal(L/F)C3

演習問題2
判別式はMaximaで終結式を用いて求める。
各問で与えられた式の分解体をLとする。

(a)
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)によりf=x3-4x+2上規約。
Δ(f)=148は平方数でないので命題7.4.2によりGal(L/)S3

(b)
x=a+b√37, a,b, b0とし、f=x3-4x+2に代入して整理すると4a3-4a-1=0
命題A.3.1によりa=p/qならp|1, q|4よりa=±1, ±1/2, ±1/4のいずれかだが、
このどれも4a3-4a-1=0を満たさないから、与式は(√37)上に根を持たないので、
補題A.1.19によりf(√37) 上既約。
Δ(f)=148=(2√37)2だから命題7.4.2によりGal(L/(√37))C3

(c)
命題A.3.1によりx=p/qならp|1, q|1よりx=±1だが、
いずれもf=x3-3x+1=0を満たさないから補題A.1.19によりf上既約。
Δ(f)=81=92なので、Gal(L/)C3

(d)
明らかにf=x3-t(t)上に根を持たないから、
命題4.2.6によりx3-t(t)上既約。
Δ(f)=-27t2=(3i√3t)2よりGal(L/(t))C3

(e)
(d)と同様にf=x3-t(t)上既約で、Δ(f)=-27t2(t)の元の平方でないから、
Gal(L/(t))S3

演習問題3
(a)
sgn((12))=-1だから定理7.4.1により(12)·f=A-BΔなので、
f+(12)·f=2A

(b)
2Aは対称式だから、f+(12)·fも対称式。すなわちf+(12)·fは対称多項式だから、
定理2.2.2によりσiの多項式。したがってAF[σ1,..,σn]

(c)
(12) Snだから(12)·A=Aとなるので、
(12)·f=A-BΔより(12)·(f-A)=-BΔ
故にP=(f-A)[(12)·(f-A)]=-B2Δ

(d)
v2P=-u2Δvuだから、v|Δとなるが、ΔF[σ1,..,σn]上既約だから、
v F[σ1,..,σn]の単数でなければならない。
したがってBF[σ1,..,σn]

演習問題4
(a)
問題の写像をφgとすると、
任意のhGに対し、g-1hGをとればφg(g-1h)=hとなるからφgは全射。
φg(h1)=φg(h2)=hならh1=h2=g-1hだからφg11

(b)
φg11で全射だから、Caley表の各行において、線の左の元gによって
Gの各元は別の元に重複なく移されるので、Caley表の各行はGの元の置換となる。

(c)
(a)(b)により任意のgGに対しφgGの元の置換を定義するから、
giによる置換を、gjの添字の置換σiSnで表現できる。
すなわちφgi(gj)=gigj=gσi(j)

演習問題5
σ1=(1)
σ2=(123)(456)
σ3=(132)(465)
σ4=(14)(26)(35)
σ5=(15)(24)(36)
σ6=(16)(25)(34)

演習問題6
(a)
任意のglGについてgigjgl=gigσj(l)=gσiσj(l)
一方gigjgl=gkgl=gσk(l)だから、σiσj=σk

(b)
(a)によりこの写像は群準同型。
giσ1=(1)ならi=1だから、この写像の核は{g1}={e}なので11

演習問題7
L3次多項式fの分解体だから、定理5.1.5によりFLは有限次拡大なので、
定理7.1.1によりFLGalois拡大となり、定理7.1.5により|Gal(L/F)|=[L:F]
√(Δ(f)) Fなので、定理7.4.2によりGal(L/F)S3だから|Gal(L/F)|=[L:F]=6

(2.30)式によりΔ(f) Fなので、√(Δ(f))F上の最小多項式はx2-Δ(f)だから、
[F(Δ(f)):F]=2なので、定理4.3.8(塔定理)により[L:F(Δ(f))]=3である。
命題7.1.3によりF(Δ(f)) LGalois拡大だから、定理7.1.5により
|Gal(L/F(Δ(f)))|=[L:F(Δ(f))]=3
位数3の群は巡回群C3/3に同型なものしかないのでGal(L/F(Δ(f)))C3
また、C3S3は可移だから、命題6.3.7によりfF(Δ(f))上既約。

コックス「ガロワ理論」 7.3節の演習問題3


演習問題9
(b)(a):
特に書いていないがab, ab≠0しないと成り立たない。
Fの標数は2でないから、これは可能。
f=(x2-a)(x2-b)とすると、fは分離的である。

Lfの分解体だから、定理7.1.1によりFLGalois拡大。
a,bの最小多項式はそれぞれx2-a, x2-bなので、
Gal(L/F)±√aを入れ替える互換と、±√bを入れ替える互換の、
二つの独立な置換から生成されるから、Gal(L/F)/2×/2

(a)(b):
Gal(L/F)/2×/2FLGalois拡大なので、
定理7.1.1によりF上の分離多項式fが存在してLfの分解体である。
また定理7.1.5により[L:F]=|Gal(L/F)|=deg(f)=4
fは単多項式としても一般性を失わない。

fの異なる4根のうち2根ずつの独立な互換をσ,τとすれば、
Gal(L/F)={e,σ,τ,στ}。部分群は<σ>,<τ>でいずれもGal(L/F)の正規部分群だから、
<σ>,<τ>の固定体をそれぞれL<σ>, L<τ>とすれば定理7.3.2により
FL<σ>, FL<τ>Galois拡大。
故に定理7.1.5により[L<σ>:F]=|<σ>|=2,[L<τ>:F]=|<τ>|=2だから、
F上の最小多項式が2次である、fの根α1,α2L<τ>F, β1,β2L<σ>Fが存在して全て異なり、
7.1節演習問題12(d)によりα12=α22=aF, β12=β22=bFとしてよい。
すなわちα1,α2の最小多項式はp=x2-aβ1,β2の最小多項式はq=x2-bとなり、
命題4.1.3によりfp,qの倍式でdeg(f)=4だからf=pq=(x2-a)(x2-b)

演習問題10
(a)(b): (β)上のベクトル空間と見れば、
βは次数2の代数的元だから、α(β)は命題4.3.4により、
α=a+(a,b, b≠0)とかける。

(b)(c): (b)よりα+β=a+(b+1)βである。
b=-1ならα+β=a[x]1次式の根。
b≠-1とすれば、β=(α+β-a)/((b+1)
これをβが根となる2次式に代入すれば、
α+βが根となる、α+βについての2次式が得られる。

(c)(a):
(α)(β)と仮定する。拡大(α)(α,β), (β)(α,β)を考えれば、
α+β(α,β)(α), (β)2次の代数拡大だから[(α,β):]≤4
また、[(α):]=[(β):]=2|[(α,β):]なので、[(α,β):]=2または4
(α,β)=2なら[(α,β):(α)]=1なので補題4.3.3により(α,β)=(α)だから
(α)=(β)となって仮定に反するので、[(α,β):]=4

α,βの最小多項式は2次だから、命題6.3.7によりGal((α,β)/)は可移でなく、
αの最小多項式p2根同士の互換σと、βの最小多項式q2根同士の互換τの、
2つの独立な互換から生成されるので、Gal((α,β)/)={e,σ,τ,στ}/2×/2
|Gal((α,β)/)|=4=[(α,β):]だから、定理7.1.5により(α,β)Galois拡大。
Gal((α,β)/)の位数2の部分群は<σ><τ>のみで正規部分群。
対応する固定体はそれぞれ(β),(α)である。

(α+β)は仮定により2次だから、定理7.3.1により、
Gal((α,β)/(α+β))Gal((α,β)/)の位数2の部分群。
α+β<σ><τ>の作用に対し不変でないから、
Gal((α,β)/)<σ>,<τ>以外の位数2の部分群を持たなければならないが、
そのような群は存在しないので矛盾。
したがって(α)=(β)

演習問題11
Gal(L/K)Nの正規部分群なので、定理7.3.2によりLNKGalois拡大。
7.2節演習問題8により、NGal(L/K)を正規部分群に含む、
最大のGal(L/F)の部分群。これよりGal(L/K)を正規部分群に含む、
任意のGal(L/F)の部分群Mに対し、MNとなるから、
定理7.3.2により、LMKGalois拡大で、LNLMK
したがってLNKがその部分体上Galoisになる最小のKの部分体。

演習問題12
(a)
Nの定義により任意のn1Ng1Gに対し、
h1Hが(一般に一意でないが)存在してn1=g1h1g1-1
n1-1=g1h1-1g1-1Nだから、Nの任意の元に対しその逆元もNの元。
任意のn2Nをとれば、あるh2Hが存在してn2=g1h2g1-1だから、
n1n2=g1h1h2g1-1N。したがってNGの部分群。
任意のgGについて、gn1g-1=(gg1)h1(gg1)-1Nなので、NG

(b)
N=G gHg-1eHe-1=HなのでNHに含まれる。
いまMH, MGとすると、任意のmM, gGに対し
gmg-1MだからM=G gMg-1⊂⋂G gHg-1=N
したがってNHに含まれる最大の正規部分群。

演習問題13
演習問題12のようにN=gGal(L/F) gGal(L/K)g-1Gal(L/K)とする。
演習問題12によりNGal(L/K), NGal(L/F)
FLGaloisだから定理7.3.2によりFKLNLで、LNFGalois
したがってFLNは定理7.1.7(a)を満たす。

FLNが定理7.1.7(b)も満たすことを示す。
FGaloisとなるような、Kを含む任意の拡大について、
そのGalois群をM,、対応する固定体をLMとする。
すなわちFLMGaloisで、定理7.3.2によりMGal(L/K), MGal(L/F)
演習問題12によりMNだから、定理7.3.2によりKLNLM
LM上の恒等写像をLNに制限した写像をφ: LNLMとすれば、
φK上恒等となる体の準同型となる。
したがってFLNは定理7.1.7(b)も満たすので、LNKGalois閉包である。

演習問題14
6.2節演習問題4により、Gal((ζn)/)(/n)*だから、Gal((ζn)/)Abel群。

6.2節演習問題4(a)により円分体(ζn)は、
上の分離多項式である円分多項式Φnの分解体で、
6.2節演習問題4(e)により(ζn)は有限次拡大だから、
定理7.1.1により(ζn)Galois拡大。
定理7.3.2によりGal(L/) Gal((ζn)/)の部分群だからAbel群である。
さらにGal((ζn)/)Abel群だからGal(L/)Gal((ζn)/)なので、
定理7.3.2によりLGalois拡大、したがって定理7.1.1により正規。

演習問題15
(a)
6.4Aの議論から、σ1,b(ζp)=ζp, σ1,b(p√2)=ζpb p√2だから、LT'=(ζp)

(b)
σa,0(ζp)=ζpa, σa,0(p√2)=p√2により、固定体は(p√2)

2011-06-26

コックス「ガロワ理論」 7.3節の演習問題2


演習問題4
5.4節演習問題4(a)により [L:F]=p2なのでFLは有限次拡大で、
5.4節演習問題5(b)によりL=F(α,β)だから、
命題6.1.4によりσGal(L/F)としてσ(α), σ(β)(xp-t)(xp-u)の根で、
σ(α), σ(β)によってσは一意的に決まる。

Gal(L/F)は各々の最小多項式の根の間での置換からなる。
5.4節演習問題4(a)により、αF上の最小多項式はxp-tで根はαだけ、
βF上の最小多項式はxp-uで根はβだけ。
 (xp-t)(xp-u)は可約なので命題6.3.7によりGal(L/F)は可移でないから、
σGal(L/F)ならσ(α)=α, σ(β)=βしかない。すなわちσ=1LだからGal(L/F)={1L}

演習問題5
(a)
x4-t4の分解体は(t,-t,it,-it)(t,-t,it,-it)(t)は明らか。
x4-t4(t)において(x-t)(x+t)(x-it)(x+it)と完全分解するので、
(t,-t,it,-it)(t)。したがって(t,-t,it,-it)=(t)

(b)
写像σ: (t)→(t) (tit)上恒等にとると、σは求値写像だから、
定理2.1.2により環の写像として自己準同型で、
明らかにKer(σ)={0}だから環の自己同型。
α(t)(t)としてα(t)α(t)-1=1ならα(t)-1=1/α(t)だから、
σ(α(t)-1)=σ(1/α(t))=1/α(it)=α(it)-1によりσは体の自己同型。
σ(t4)=t4だから、σ(t4)上恒等写像なので、σGal((t)/(t4))

σ(t)=it上恒等だからσ(-t)=-it,σ(it)=-t, σ(-it)=t
さらにσ2(t)=-t, σ2(-t)=t, σ2(it)=-it, σ2(-it)=it, σ3(t)=-it, σ3(-t)=it, σ3(it)=t, σ2(-it)=-tだから、
定義A.4.10によりσGal((t)/(t4))において可移。
命題6.3.1の証明によりGal((t)/(t4))と同型なSnの部分群が存在して可移となるから、
命題6.3.7によりx4-t4は既約。

(c)
(b)により(t4)(t)4次拡大で、
(a)と定理7.1.1により(t4)(t)Galoisだから、定理7.1.5により
[(t4):(t)]=|Gal((t)/(t4))|=4
位数4の有限群は巡回群C4/4と二面体群D4に同型なもののみで、
(b)σについてo(σ)=4により、位数4の元を含むのはC4
したがってGal((t)/(t4))=<σ>C4/4

(d)
(c)により部分群はC2<σ2>={e,σ2}のみで、
Gal((t)/(t4))は巡回群なのでAbel群だから、
<σ2>Gal((t)/(t4))の正規部分群。
(b)により<σ2>は根の符号を交換するので、
t2<σ2>の作用のもとで不変だから、<σ2>に対応する固定体は(t2)のみ。
したがってGalois対応の図式はGalois群の
{e}
<σ2>
Gal((t)/(t4))

に対し

(t)
(t2)
(t4)

となる。

演習問題6
Gal(L/)C4と同型であることが示されたのは、6.3節演習問題4の方)
α=√(2+√2),  σ(α)=√(2-√2)=(α2-2)/αとすれば、
σ2(α)=-α, σ3(α)=-(α2-2)/α, σ4(α)=αなので、Gal(L/)={e,σ,σ2,σ3}とかける。
演習問題5(d)と同様、正規部分群は位数2<σ2>のみで、
σ2は単に根の符号の交換だから、
α2=2+√2<σ2>の作用で不変なので、中間体は(√2)となる。
したがってGalois対応の図式はGalois群の
{e}
<σ2>
Gal(L/)
に対し

(√(2+√2))
(√2)

となる。

演習問題7
(a)
f=Φ77次円分多項式で、x7-1=(x-1)fであるから、命題4.2.5によりf上既約。
命題A.2.1の証明からx7-1の根は1,ζ7,ζ72,...,ζ76となり、
fζ7,ζ72,...,ζ76の相異なる根を持つ。(ζ7,ζ72,...,ζ76)=Lだから、
L上のfの分解体。

(b)
-12≡1 (mod 7)なのでHの生成元σの位数は2だからH={e,σ}
6.2節演習問題4(b)の対応から、[-1]7σ (σ(ζ7)=ζ7[-1]7=ζ76=ζ7-1=ζ7)となるので、
σfの根の複素共役をとる自己同型写像。
αi=ζ7i (1i≤6)とすると、準同型Gal(L/)S6においてσ→(16)(25)(34)である。
σの作用のもとで不変な基本対称式は、α=α1+α6=ζ7+ζ76=ζ7+ζ7-1=Re(ζ7),
α2+α5=ζ72+ζ75=ζ72+ζ7-2=α2-2=Re(ζ72),
α3+α4=ζ73+ζ74=ζ73+ζ7-3=α3-3α=Re(ζ73),
α1α6=α2α5=α3α4=1。したがって固定体は(α)=(ζ7+ζ7-1)

演習問題8
(a)
演習問題7(b)と同じノーテーションのもとで、
1, α1,...6x7-1の根だから、系2.1.5により1+α1+...+α6=0
一方演習問題7(b)の計算からα=(α1+α6)3=α3+α4+3(α1+α6), (α1+α6)2=α2+α5+2だから、
α3+α2-2α-1=1+α1+...+α6=0となるので、αx3+x2-2x-1の根である。
他の2根がα2+α5=α2-2, α3+α4=α3-3αであることは容易に確かめられるので、
(α)x3+x2-2x-1上の分解体だから、定理7.1.1から(α)Galois

演習問題7(a)と定理7.1.1からLGaloisで、|Gal(L/)|=|(/7)*|=6
演習問題7(b)によりH=Gal(L/(α)), |H|=2なので、
定理A.1.1Lagrangeの定理)により[Gal(L/):H]=3
故に定理7.3.1(a)と命題4.3.4により、αの最小多項式をpとして
deg(p)=[(α):]= [Gal(L/):H]=3である。
g=x3+x2-2x-1α1+α6の満たす3次の多項式だから、
補題4.1.3によりpの倍式で、gpはどちらも3次の単多項式だからp=gとなる。

(b)
gα以外の根はα2+α5=α2-2, α3+α4=α3-3αであることは容易に確かめられる。
したがって(α)g上の分解体だから、
定理7.1.1から(α)Galoisで、(a)により[(α):]=3
故に定理7.3.2により、HGal(L/)の正規部分群、
かつGal(L/)/HGal((α)/)で、定理7.1.5により|Gal((α)/)|=[(α):]=3
位数3の群は巡回群C3/3と同型なものだけだから、Gal((α)/)/3