2012-11-21

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第2章§4の演習問題


演習問題1
fの性質から、Iは定義1を満たすので、Iは単項式イデアル。

演習問題2
fI=<xα: αA>とするとf=1is hixα(i) (α(i)A, hik[x1,..,xn])と書ける。
hiを単項式のk線形結合に分解した時の、任意の1項の単項式をxβとすると、
hixα(i)xβxα(i)の形の単項式を含む。
するとxβxα(i)Iと、xβが任意であることから、
hixα(i)Iの単項式のk線形結合となるので、fもそうである。
したがって補題3(iii)が得られる。

演習問題3
小問a
n
|**********
| *********
| *********
| *********
| *********
|     *****
|     *****
------***** m
こんな感じ(手抜き)。

小問b
小問aの手抜き図で*に覆われていない領域の(m,n)をもつ単項式が、
Iの生成元で割れない単項式なので、余りの項として現れる。
すなわち0でない定数項と、yk (k0), x, xy1,..., xy6,
x2, x2y, x2y2, x3, x3y, x3y2, x4, x4y, x4y2, x5, x5y, x5y2の項。

演習問題4
小問a
J=<x3>で、s=1, α(1)=3である。定理5の証明に従い、
m=m1=6よりα0(1)=α1(1)=α2(1)=α3(1)=6, J0=J1=J2=J3=<x6>,
およびα4(1)=α5(1)=5, J4=J5=<x5>
よってI=<x3y6, x6, x6y, x6y2, x6y3, x5y4, x5y5>

小問b
x6y, x6y2, x6y3<x6>, x5y5<x5y4>だから、
I=<x3y6, x6, x5y4>。すなわち図4.2の角になっている部分だけでIは生成できる。
x3y6, x6, x5y4は互いに他を生成できないので、<x3y6, x6, x5y4>が最小の基底。

演習問題5
>は単項式順序、すなわち全順序かつ整列順序だから、
Sは唯一つの最小元γを持つ。
Sの定義によりxγIだから、
補題2によりあるαAが存在して、xγxαで割り切れる。
故にα+β=γなるβn0が存在する。xαIだからα+βSだが、
γSの唯一つの最小元だからβ=0, γ=αAでなければならない。

演習問題6
J=<xα(1),..., xα(s)>とする。全てのxβ(i)は適当なxα(i)で割れるので、
補題2によりxβ(i) Jが全てのiについて成り立つからIJ
また全てのα(i)Aだから、xα(i)IなのでJI。よってI=J

演習問題7
Dicksonの補題が成り立つとすれば、任意の単項式イデアルIについて、
B={α(1),...,α(s)} AとしてI=<xα: αB>となるような、
Aの有限部分集合Bが存在する。
したがって、すべてのxαIについて、補題2によりxαはあるxα(i)で割れるので、
α=α(i)+γとなるγn0が存在する。

逆にB={α(1),...,α(s)} Aが存在して、すべてのαAについて
α=α(i)+γとなるγn0が存在するなら、全てのxαIはあるxα(i)で割れるので、
補題2によりI=<xα: αB>となるから、I=<xα(1),..., xα(s)>となり、
Dicksonの補題が成り立つ。

演習問題8
小問a
Dicksonの補題により、全ての単項式イデアルI=<xα: αAn0>は、
有限個のα(1),...,α(t) AをとってI=<xα(1),..., xα(t)>となる。
xα(1),..., xα(t)は有限個なので、互いを割り切る組合せをすべて探して、
例えばxα(i)xα(j)を割るならxα(j)を生成元から除くことが出来る。
この探索プロセスはt(t-1)回で終了し、適当に番号を付け替えれば
極小基底<xα(1),..., xα(s)>が得られる。

小問b
I=<xα(1),..., xα(s)>=<xβ(1),..., xβ(r)>で、xα(1),..., xα(s)xβ(1),..., xβ(r)が、
いずれも極小基底とする。適当に単項式順序を定めて番号を振りなおし、
α(1)<α(2)<...<α(s)およびβ(1)<β(2)<...<β(r)と仮定して良い。

xα(1)<xβ(1),..., xβ(r)>だから、補題2によりxα(1) はあるxβ(j)で割れるので、
α(1)β(1)。同様にxβ(1)<xα(1),..., xα(s)>よりα(1)β(1)だからα(1)=β(1)
次にxα(2) はあるxβ(j)で割れるが、α(1)=β(1)からxβ(1)=xα(1)で、
xα(1),..., xα(s)は極小基底だからxα(2) xβ(1)では割れない。
故にα(2)β(2)。同様にしてα(2)β(2)だからα(2)=β(2)
以下同様に繰り返して、もしs<rなら
α(1)=β(1), α(2)=β(2),..., α(s)=β(s)を得る。
するとxβ(s+1)xα(1),..., xα(s)で割れないので、
補題2によりxβ(s+1)<xα(1),..., xα(s)>=Iとなるが、
これはxβ(s+1)<xβ(1),..., xβ(r)>=Iと矛盾。
s>rでも同様に矛盾を得るので、s=rでなければならない。
以上により{xα(1),..., xα(s)}={xβ(1),..., xβ(s)}だから、Iは唯一つの極小基底を持つ。

演習問題9
fIだから補題3により、fの全ての項はIに属し、
したがって補題2によりfの全ての項はどれかのxα(1),..., xα(s)で割れるから、
割り算アルゴリズムからf(xα(1),..., xα(s))で割った余りは0

演習問題10
>mixedで用いるn+m0の元を、αn0, βm0として(α,β)で表す。

lex順序とgrlex順序は単項式順序なので、
明らかに>mixedは全順序で系6(i)(ii)を満たす。

lex順序とgrlex順序は整列順序だから系6により、
すべての(α, β)n+m0についてα≥0かつβ≥0となるから、
(α, β)≥0となるので、再び6により>mixedは単項式順序。

演習問題11
小問a
u·αの通常の数順序に従うから、全順序かつ、
u·α> u·βなら任意のγn0に対しu·(α+γ)>u·(β+γ)なので、
>uは系6(i),(ii)を満たす。

u1,...,unは正なのでu·α0
さらにu1,...,unは線形独立だから、u·α=0となるα0だけだから、
αu0となるので、系6により>uは整列順序。
以上により>uは単項式順序。

小問b
√2の最小多項式x2-2上規約だから、
1√2上線形独立なので、
uは独立ウェイトベクトル。

小問c
√3の最小多項式x2-3(√2)上規約だから、
1,√2,√3上線形独立なので、
uは独立ウェイトベクトル。

演習問題12
(問題文の「u·α>σu·βあるいは...」は「u·α>u·βあるいは...」の誤植)

小問a
任意のα,βn0について、u·αu·βならu·α,u·β≥0の数順序に従うので、
順序が定まる。
u·α=u·βならα,β>σに従い、>σは単項式順序なので全順序だから、順序が定まる。
よって>u,σn0の全順序。

α>u,σβかつu·α>u·βなら、任意のγn0に対し
u·(α+γ)>u·(β+γ)なので、α+γ>u,σβ+γ
α>u,σβかつu·α=u·βなら、>σは単項式順序なので
α+γ>σβ+γだからα+γ>u,σβ+γ
以上により>u,σは系6(i)(ii)を満たす。

u·α>0=u·0なら明らかにα>u,σ0
u·α=0なら、>σによってα0が順序付けられ、
>σは単項式順序なので整列順序だから系6によりασ0、よってαu,σ0
したがって任意のαn0についてαu,σ0だから、系6により>u,σは整列順序。
以上により>u,σは単項式順序。

小問b
2章§2定義5により、u1=u2=...=un=1

小問c
u1,...,unのうちあるui 0なら、
αi0かつαj=0 (ji)となるαをとれば、α≠0かつu·α=u·0
n>1u1,...,unがすべて0でないなら、
α1=u2かつαj=0 (j≠1)となるαと、
β2=u1かつβj=0 (j≠2)となるβをとれば、αβかつu·α=u·β=u1u2

n=1は単に一変数の降冪順で切り分けは必要ない。
すなわちu·α=u1α1=u·β=u1β1ならα=β

小問d
u,α,βの定義から明らかにu·α>0かつu·β=0だからα>iβ

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