演習問題1
fの性質から、Iは定義1を満たすので、Iは単項式イデアル。
演習問題2
f∈I=<xα: α∈A>とするとf=∑1≤i≤s hixα(i) (α(i)∈A, hi∈k[x1,..,xn])と書ける。
hiを単項式のk線形結合に分解した時の、任意の1項の単項式をxβとすると、
hixα(i)はxβxα(i)の形の単項式を含む。
するとxβxα(i)∈Iと、xβが任意であることから、
hixα(i)もIの単項式のk線形結合となるので、fもそうである。
したがって補題3(iii)が得られる。
演習問題3
小問a
n
|**********
|
*********
|
*********
|
*********
| *********
| *****
| *****
------***** m
こんな感じ(手抜き)。
小問b
小問aの手抜き図で*に覆われていない領域の(m,n)をもつ単項式が、
Iの生成元で割れない単項式なので、余りの項として現れる。
すなわち0でない定数項と、yk (k≥0), x, xy1,..., xy6,
x2,
x2y, x2y2, x3, x3y, x3y2, x4, x4y,
x4y2, x5, x5y, x5y2の項。
演習問題4
小問a
J=<x3>で、s=1, α(1)=3である。定理5の証明に従い、
m=m1=6よりα0(1)=α1(1)=α2(1)=α3(1)=6, J0=J1=J2=J3=<x6>,
およびα4(1)=α5(1)=5, J4=J5=<x5>。
よってI=<x3y6, x6, x6y,
x6y2, x6y3, x5y4, x5y5>。
小問b
x6y,
x6y2, x6y3∈<x6>, x5y5∈<x5y4>だから、
I=<x3y6, x6, x5y4>。すなわち図4.2の角になっている部分だけでIは生成できる。
x3y6, x6, x5y4は互いに他を生成できないので、<x3y6, x6, x5y4>が最小の基底。
演習問題5
>は単項式順序、すなわち全順序かつ整列順序だから、
Sは唯一つの最小元γを持つ。
Sの定義によりxγ∈Iだから、
補題2によりあるα∈Aが存在して、xγはxαで割り切れる。
故にα+β=γなるβ∈ℤn≥0が存在する。xα∈Iだからα+β∈Sだが、
γはSの唯一つの最小元だからβ=0, γ=α∈Aでなければならない。
演習問題6
J=<xα(1),..., xα(s)>とする。全てのxβ(i)は適当なxα(i)で割れるので、
補題2によりxβ(i) ∈Jが全てのiについて成り立つからI⊂J。
また全てのα(i)∈Aだから、xα(i)∈IなのでJ⊂I。よってI=J。
演習問題7
Dicksonの補題が成り立つとすれば、任意の単項式イデアルIについて、
B={α(1),...,α(s)} ⊂AとしてI=<xα: α∈B>となるような、
Aの有限部分集合Bが存在する。
したがって、すべてのxα∈Iについて、補題2によりxαはあるxα(i)で割れるので、
α=α(i)+γとなるγ∈ℤn≥0が存在する。
逆にB={α(1),...,α(s)} ⊂Aが存在して、すべてのα∈Aについて
α=α(i)+γとなるγ∈ℤn≥0が存在するなら、全てのxα∈Iはあるxα(i)で割れるので、
補題2によりI=<xα: α∈B>となるから、I=<xα(1),...,
xα(s)>となり、
Dicksonの補題が成り立つ。
演習問題8
小問a
Dicksonの補題により、全ての単項式イデアルI=<xα: α∈A⊂ℤn≥0>は、
有限個のα(1),...,α(t) ∈AをとってI=<xα(1),...,
xα(t)>となる。
xα(1),..., xα(t)は有限個なので、互いを割り切る組合せをすべて探して、
例えばxα(i)がxα(j)を割るならxα(j)を生成元から除くことが出来る。
この探索プロセスはt(t-1)回で終了し、適当に番号を付け替えれば
極小基底<xα(1),..., xα(s)>が得られる。
小問b
I=<xα(1),..., xα(s)>=<xβ(1),..., xβ(r)>で、xα(1),..., xα(s)とxβ(1),..., xβ(r)が、
いずれも極小基底とする。適当に単項式順序を定めて番号を振りなおし、
α(1)<α(2)<...<α(s)およびβ(1)<β(2)<...<β(r)と仮定して良い。
xα(1)∈<xβ(1),..., xβ(r)>だから、補題2によりxα(1) はあるxβ(j)で割れるので、
α(1)≥β(1)。同様にxβ(1)∈<xα(1),...,
xα(s)>よりα(1)≤β(1)だからα(1)=β(1)。
次にxα(2) はあるxβ(j)で割れるが、α(1)=β(1)からxβ(1)=xα(1)で、
xα(1),..., xα(s)は極小基底だからxα(2) はxβ(1)では割れない。
故にα(2)≥β(2)。同様にしてα(2)≤β(2)だからα(2)=β(2)。
以下同様に繰り返して、もしs<rなら
α(1)=β(1), α(2)=β(2),..., α(s)=β(s)を得る。
するとxβ(s+1)はxα(1),..., xα(s)で割れないので、
補題2によりxβ(s+1)∉<xα(1),...,
xα(s)>=Iとなるが、
これはxβ(s+1)∈<xβ(1),...,
xβ(r)>=Iと矛盾。
s>rでも同様に矛盾を得るので、s=rでなければならない。
以上により{xα(1),..., xα(s)}={xβ(1),..., xβ(s)}だから、Iは唯一つの極小基底を持つ。
演習問題9
f∈Iだから補題3により、fの全ての項はIに属し、
したがって補題2によりfの全ての項はどれかのxα(1),..., xα(s)で割れるから、
割り算アルゴリズムからfを(xα(1),..., xα(s))で割った余りは0。
演習問題10
>mixedで用いるℤn+m≥0の元を、α∈ℤn≥0, β∈ℤm≥0として(α,β)で表す。
lex順序とgrlex順序は単項式順序なので、
明らかに>mixedは全順序で系6の(i)(ii)を満たす。
lex順序とgrlex順序は整列順序だから系6により、
すべての(α, β)∈ℤn+m≥0についてα≥0かつβ≥0となるから、
(α, β)≥0となるので、再び系6により>mixedは単項式順序。
演習問題11
小問a
u·αはℝの通常の数順序に従うから、全順序かつ、
u·α> u·βなら任意のγ∈ℤn≥0に対しu·(α+γ)>u·(β+γ)なので、
>uは系6の(i),(ii)を満たす。
u1,...,unは正なのでu·α≥0。
さらにu1,...,unは線形独立だから、u·α=0となるαは0だけだから、
α≥u0となるので、系6により>uは整列順序。
以上により>uは単項式順序。
小問b
√2の最小多項式x2-2はℤ上規約だから、
1と√2はℤ上線形独立なので、
uは独立ウェイトベクトル。
小問c
√3の最小多項式x2-3はℤ(√2)上規約だから、
1,√2,√3はℤ上線形独立なので、
uは独立ウェイトベクトル。
演習問題12
(問題文の「u·α>σu·βあるいは...」は「u·α>u·βあるいは...」の誤植)
小問a
任意のα,β∈ℤn≥0について、u·α≠u·βならu·α,u·βはℤ≥0の数順序に従うので、
順序が定まる。
u·α=u·βならα,βは>σに従い、>σは単項式順序なので全順序だから、順序が定まる。
よって>u,σはℤn≥0の全順序。
α>u,σβかつu·α>u·βなら、任意のγ∈ℤn≥0に対し
u·(α+γ)>u·(β+γ)なので、α+γ>u,σβ+γ。
α>u,σβかつu·α=u·βなら、>σは単項式順序なので
α+γ>σβ+γだからα+γ>u,σβ+γ。
以上により>u,σは系6の(i)(ii)を満たす。
u·α>0=u·0なら明らかにα>u,σ0。
u·α=0なら、>σによってαと0が順序付けられ、
>σは単項式順序なので整列順序だから系6によりα≥σ0、よってα≥u,σ0。
したがって任意のα∈ℤn≥0についてα≥u,σ0だから、系6により>u,σは整列順序。
以上により>u,σは単項式順序。
小問b
第2章§2定義5により、u1=u2=...=un=1。
小問c
u1,...,unのうちあるui が0なら、
αi≠0かつαj=0 (j≠i)となるαをとれば、α≠0かつu·α=u·0。
n>1でu1,...,unがすべて0でないなら、
α1=u2かつαj=0 (j≠1)となるαと、
β2=u1かつβj=0 (j≠2)となるβをとれば、α≠βかつu·α=u·β=u1u2。
n=1は単に一変数の降冪順で切り分けは必要ない。
すなわちu·α=u1α1=u·β=u1β1ならα=β。
小問d
u,α,βの定義から明らかにu·α>0かつu·β=0だからα>iβ。
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