2012-03-10

コックス「ガロワ理論」 14.3節の演習問題2


演習問題8
(a)
γ(γ')-1:{1,..,l}→{1,..,l}11かつ全射だから、
{1,..,l}の置換なのでσ=γ(γ')-1Sl

(b)
例によってHTMLの制限のため\hat{σ}σで表す。

φS(T)を任意として、σγ'(φ)=σ(γ'φ(γ')-1)=σγ'φ(γ')-1σ-1
=γ(γ')-1γ'φ(γ')-1γ'γ-1=γφγ-1=γ(φ)だから、γ=σγ'

演習問題9
T={1,..,n}とする。S(T)=Snである。
σiHに対し、γ(σi)=iγ:HTを定義すると、
明らかにγ11で、7.4Cから|H|=|G|=nだからγは全射。
σjHを一つ固定すると、γ(φσj)=γφσjγ-1についてγφσjγ-1(i)=γφσj(σi)=γ(σjσi)で、
σjσi=σkHとなるkTが、GCayley表から唯一つ定まるのでγφσjγ-1(i)=k
異なるiに対しkは全て異なるので、
γφσjγ-1GCayley表から定まるTの置換となるから、
γφσjγ-1HS(T)=Snとなるので、γ:{φσj|σjH }→HS(T)=Snとなるから、
HSnにおいて正則。

演習問題10
(a)
γ11で全射だから、|G|=l
γは同型でIm(γ)=Gだから|{φg|gG}|=|G|=lである。

γは同型だから、g1Gに対しg1=γ(φg)となるφgS(G)が存在する。
そこでG{1,...,l}への作用をg1·i=γ(φg)·i=γφg(γ-1(i))=γ(gγ-1(i)) (i{1,...,l})
によって定義すると、γ(φg)·i=iとなるとき、γ11で全射なので、
gγ-1(i)=γ-1(i)だから、g=eとなり、したがってγ(φe)=eである。
故にGi={e}なので、定理A.4.9(群の作用の基本定理)により、
|G·i|=|G|/|Gi|=|G|=lだから、G·i={1,...,l}
iは任意だからGは可移で、Gの固定部分群は全て{e}なので自明。

(b)
Gは可移だから|G·1|=l
Gの固定部分群は自明だから、1の固定部分群G1={e}なので、
定理A.4.9(群の作用の基本定理)により|G|=|G·1||G1|=lである。

Gは可移なので、任意のi{1,...,l}に対しi=τ(1)=γ(τ)となるτGが存在する。
したがってγは全射で、しかも|G|=|Im(γ)|=lだからγ11

(c)
(a)により任意のi{1,...,l}に対し、i=τi(1)となるτiGが唯一つ存在し、
γ-1(i)=τiだから、任意のgGSlについて、
γ(φg)(i)=γφgγ-1(i)=γ(-1(i))=γ(i)=i(1)=g(i)となるのでγ(φg)=g
したがってγによって{φg| gG }Gへ写るからGは正則。

演習問題11
(a)
Fpnにおけるスカラー倍は加法から構成できるのだから、
Fpnにおいて加法について閉じている部分集合は全て部分空間である。
すなわち加法群としてのFpnの任意の部分群は部分空間。

(b)
γは群準同型だから任意のu,vFpnについてγ(u+v)=γ(u)+γ(v)で、
Fpnにおけるスカラー倍は加法から構成できるので、
スカラー倍の算法も保たれる。よってγは線型。

演習問題12
(a)
AGL(n,Fp)は可解とは限らないので、Gも可解とは限らず、
したがってFpnGの正規部分群とは限らないから、
定理14.3.16の証明の話はそのままでは使えない。)

GAGL(n,Fp)だから、Gの任意の元はγA,vと書ける。
Gにおける0Fpnの固定部分群をG0とすると、
任意のg=γA,vG0Gについてg·0=A0+v=v=0だからg=γA,0GL(n,Fp)なので、
G0GGL(n,Fp)。逆に任意のγA,0GL(n,Fp)に対しγA,0·0=0は明らかだから、
G0=GGL(n,Fp)である。したがって、
GVヘの作用はG0の元による線形変換γA,0と、
Fpnの元による平行移動γIn,vとの合成となる。
すべてのgG0についてg(V) Vだが、gは正則な線形変換だから、
g(V) =Vである。よってG0の元による線形変換によってVは不変だから、
任意のvFpnについて、g(v+V)=Av+V

演習問題11(a)と同様に、Fpnにおけるスカラー倍は加法から構成できるのだから、
Fpnの任意の部分空間は、加法について閉じているので、
加法群としてのFpnの部分群になる。
R1=V,...,RkFpnの加法群としての部分群Vのすべての剰余類とすると、
1<|V|=|R1|=...=|Rk|<pnである。
任意のvFpnについて、v+Vはどれかの剰余類と等しい集合だから、
Fpnの作用による平行移動によってR1,...,Rkのブロック構造は保たれる。
また前の段落で示したことから、G0の元の作用による一次変換によって、
R1=Vは不変で、他の剰余類は別の剰余類に移るから、
R1,...,Rkのブロック構造は保たれる。
したがって、GVヘの作用によってR1,...,Rkのブロック構造は保たれ、
1<|V|=|R1|=...=|Rk|<pnだから、Gは非原始的。

(b)
演習問題2(b)によりすべてのγA,wGγIn,vFpnについて
γA,wγIn,vγA,w-1=γIn,AvFpnだからFpn G
GAGL(n,Fp)だから、G/FpnGにおける線形変換からなる。
したがって(a)で示したことによりG/FpnGGL(n,Fp)=G0

FpnAbel群だから命題8.1.5により可解。
故に定理8.1.4によりGが可解であることと、
G/FpnG0が可解であることとは同値。

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