2013-01-06

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第3章§4の演習問題その2


演習問題13
t0についてはV(Ft)y=t/xの直角双曲線族(反比例のグラフ)。
t=0ならV(F0)x=0またはy=0だからx軸とy軸。

演習問題14
小問a
包絡線は直線で傾きは1だから、x=u, y=u+bとパラメター付けされる。
F(u,u+b,t)=(u-t)2-(u-t)-b1+4b=0すなわちb=-1/4のときに限り、
[2(u-t)-1]2/4となるので、
すべてのtについてこの直線y=x-1/4は重複度2Ftと交わる。
したがってはすべてのtについて放物線(x-t)2-y+t=0に接する。

小問b
定義5により包絡線の満たす式は(x-t)2-y+t=0かつ-2(x-t)+1=0
これらの式からtを消去してx-y-1/4=0となり小問aと同じ結果を得る。

小問c
F(f(t), g(t),t)=0だから(f(t)-t)2-g(t)+t=0 (1)
包絡線はV(Ft)に接するから、
(f(t),g(t))において包絡線はF|(f(t),g(t))=(2(f(t)-t),-1)と直交するので、
包絡線の(f(t),g(t))での方向ベクトル(f'(t),g'(t))として2(f(t)-t)f'(t)-g'(t)=0 (2)
(1)tで微分して2(f(t)-t)(f'(t)-1)-g'(t)+1=0なので、
(2)からg'(t)を消去すれば、-2(f(t)-t)+1=0。これよりf(t)=t+1/2
さらに(1)よりg(t)=t+1/4と包絡線のパラメター表示を得る。

なおx=f(t), y=g(t)からtを消去して、
包絡線の方程式として直線y=x-1/4を得、小問a,bと一致する。

演習問題15
小問a
いやちゃんとやりましたよ

小問b
本文中の<F, F/∂t>Gröbner基底の一つg5に、
(x,y)=(0,17/4)を代入して135t2-2025/4=135(t2-15/4)を得るのでt=±√15/2

小問c
Maximaでひと通り準備:
------
load("grobner");
F: expand((x-t)^2+(y-t^2)^2-4);
dF: expand(-2*(x-t)-4*t*(y-t^2));
G: poly_reduced_grobner([F,dF],[t,x,y]);
g3: G[1];
g4: G[2];
g1: G[3];
g2: G[4];
g5: G[5];
A2:diff(g2,t);
A3:diff(g3,t);
A4:diff(g4,t);
poly_reduced_grobner([A2,A3,A4],[x,y]);
-----
この結果から<A2, A3, A4>Gröbner基底は{A2, A3, A4}である。

A3=x(431-12y-48y2-64y3)だから、x=0は解の一つ。
x=0のときMaxima
-----
solve(A2,y);
solve(subst(0,x,A4),y);
-----
から、A2, A4の共通根y=17/4を得るので(12)の解の一つ(0,17/4)を得る。

x0なら、
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solve(A2,y);
solve(A3/x,y);
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から、A2, A3の共通根y=(-1+62)/4を得る。
これをA4に代入して解けばx=±√(15+62-124)となり、
問題文の値を得る。

演習問題16
小問a
Maxima
-----
load("grobner");
F: expand((x-t)^2+y^2-t^2/2);
poly_reduced_grobner([F,diff(F,t)],[t,x,y]);
-----
により<F, F/∂t>の簡約Gröbner基底{t-2x,x2-y2}を得る。
Gröbner基底t-2xtの最高次の係数は定数なので、
拡張定理によりにおいてはV(x2-y2)V(t-2x,x2-y2)に拡張できる。
t-2x=0からxならtだからにおいても拡張できる。

小問b
小問aにより包絡線はx2-y2=0すなわちy=x
F=0の式から状況は明らかなので略。

演習問題17
小問a
Maxima
-----
load("grobner");
F: expand((x-t)^2+(y-t^2)^2-t^2);
G: poly_reduced_grobner([F,diff(F,t)],[t,x,y]);
g1: expand(G[1]/2);
g2: expand(G[2]/(-2));
g3: expand(G[3]/3);
g4: expand(G[4]/8);
g5: expand(G[5]/(-4));
g6: expand(G[6]/32);
g7: expand(G[7]/(-16));
-----
により、I=<F, F/∂t>7つの簡約Gröbner基底を得る:
g1=t3-ty-x/2,
g2=t2y+(3/2)tx-x2-y2,
g3=t2x-(2/3)tx2+(1/3)xy,
g4=tx3-3txy-(1/2)x2y-(9/8)x2,
g5=tx2y+(9/4)tx2-(3/2)x3-2xy2,
g6=txy2+(9/4)txy-(1/2)x4-(1/2)x2y2+(3/4)x2y+(27/32)x2,
g7=x(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)
このうちI1=<g7>だから包絡線EV(I1)
1章§2補題2の証明からEV(x)V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)

小問b
g1の最高次の係数は1で定数だから、
拡張定理によりV(I1)上でV(I)へ拡張できる。
A4=g4/∂t=x3-3xy,
A5=g5/∂t=x2y+(9/4)x2,
A6=g6/∂t=xy2+(9/4)xyとすれば、
V(I1)V(A4,A5,A6)上の点においては、
A4, A5,A6が同時に0になることがないので、
g4,g5,g6t1次式であることから、
(x,y)V(I1)2に対しtが一意に決まり、(x,y)Eとなって唯一つの円に接する。

V(I1)V(A4,A5,A6)上の点においては、
g1t3次式であることから高々3つの円に接する。

Maxima
-----
A4:diff(g4,t);
A5:diff(g5,t);
A6:diff(g6,t);
poly_reduced_grobner([A4,A5,A6],[x,y]);
-----
により<A4,A5,A6>の簡約Gröbner基底は{A4,A5,A6}
A4=A5=A6=0の実数解は(0,a) (a)すなわちV(A4,A5,A6)=V(x)
これよりV(A4,A5,A6)V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)
=V(x)V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)=(0,0)なので、
V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)上の点のうち、
V(x)にも属する(0,0)以外は唯一つの円に接する。
あとはV(x)上の点について調べればよい。

このときg3は常に0で、g2=0からa=0またはt2-a=0
これよりtとなるのはa≥0のとき。
g1=0からt=0またはt2-a=0
したがって、a>0のときV(x)上の点(0,a)t=±√aなる2円に接する。
a=0のときはt=0だけがg1の根だから、
原点を中心とした半径0の円すなわち(0,0)に「接する」。

以上まとめると、V(I1)のうち、
上の包絡線Eに含まれるのは、V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)と、
V(x)すなわちy軸のうちy≥0の部分。
V(x4+x2y2-(9/2)x2y-(27/16)x2-4y3)1つの円(ただし(0,0)も円とみなす)に接し、
V(x)y>0の部分が2つの円に接する。


演習問題18
演習問題15cから<A2, A3, A4>Gröbner基底は{A2, A3, A4}である。
演習問題15cで計算したg1, A2, A3, A4から、Maxima
-----
poly_grobner_member(g1,[A2,A3,A4],[x,y]);
poly_grobner_member(diff(g1,x),[A2,A3,A4],[x,y]);
poly_grobner_member(diff(g1,y),[A2,A3,A4],[x,y]);
-----
はすべてtrueを返すので、g1,g1/∂x,g1/∂y<A2, A3, A4>

また、
-----
GG:poly_reduced_grobner([g1,diff(g1,x),diff(g1,y)],[x,y]);
poly_grobner_member(A2^2,GG,[x,y]);
poly_grobner_member(A3^2,GG,[x,y]);
poly_grobner_member(A4^2,GG,[x,y]);
-----
poly_grobner_memberがすべてtrueを返すので、
A22,A32,A42<g1,g1/∂x,g1/∂y>

以上により(14)が証明された。

演習問題19
小問a
明らかなので略。

小問b
Maxima
-----
F:(x-t)^2+y^2-1;
dF: diff(F,t);
G:poly_reduced_grobner([F,dF],[t,x,y]);
-----
により、I=<F,F/∂t>の簡約Gröbner基底は{y2-1,t-x}となり、
I1=<y2-1>

求める包絡線をE2とする。
tの最高次の係数は1で定数だから、
拡張定理によりV(I1) 2上ではV(I)へ拡張できるからEV(I1)

t-xt1次式であることから、
(x,y)V(I1)2に対しtが一意に決まるから(x,y)EとなるのでV(I1)E
故にE=V(I1)となり小問aと一致する。

小問c
Maxima
-----
F:(x-t^3)^2+y^2-1;
dF: diff(F,t);
G:poly_reduced_grobner([F,dF],[t,x,y]);
-----
により、I=<F,F/∂t>の簡約Gröbner基底は、
{t5-t2x, t3x-x2-y2+1, t2y2-t2, x2y2-x2+y4-2y2+1}となり、
I1=<x2y2-x2+y4-2y2+1>=<(y-1)(y+1)(x2+y2-1)>
これよりV(I1) =V(y-1)V(y+1)V(x2+y2-1)=V(y-1)V(y+1)V(F0)

求める包絡線をE2とする。
Iの簡約Gröbner基底の、t5の最高次の係数は1で定数だから、
拡張定理によりV(I1)2上ではV(I)へ拡張できるからEV(I1)

(x,y)V(y-1)V(y+1)=V(y2-1)2のとき、
t3x-x2-y2+1=t3x-x2=x(t3-x)=0よりx=0またはt3-x=0
x0ならt3-x=0となるtが決まるので、(x,y)E
x=0ならt5-t2x=t5=0よりt=0となるので(x,y)E
したがっていずれにせよ(x,y)E

(x,y)V(F0)2ならt3x-x2-y2+1=t3x=0よりx=0またはt=0
t=0なら(x,y)E
またx=0ならF0=0からy2-1=0で、t5-t2x=t5=0からt=0となるので(x,y)E
したがっていずれにせよ(x,y)E

以上によりV(I1)EだからE=V(I1)となり、包絡線はV(F0)を含む。

この振る舞いからすると、包絡線をちゃんと扱うには少なくとも、
2F/∂t2の情報を入れる必要がありそうだなー。

演習問題20
小問a
3においてF=F/∂x=F/∂y=0の連立方程式を、
§1で記述されたように解いて解のtを求めればよい。

小問b
F=xy-tとして、Maxima
-----
F:x*y-t;
dFx: diff(F,x);
dFy: diff(F,y);
G:poly_reduced_grobner([F,dFx,dFy],[t,x,y]);
-----
により<F,F/∂x,F/∂y>=<x,y,t>を得るから、
F0だけが(0,0)において特異点を持つ。
実際V(F0)は演習問題13で示されたようにx軸とy軸だから、
(0,0)V(F0)の曲線は交叉する。

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