2013-01-07

コックス, リトル&オシー「グレブナ基底と代数多様体入門」第2版 第4章§1の演習問題


3章§5,§6は余り興味ないので演習問題はパス。

演習問題1
小問a
f1=y-x2, f2=z-x3,g=f12+f22として、
a=(ax, ay, az)V(f1,f2)3ならf1(a)=f2(a)=0よりg(a)=0だからV(f1,f2)V(g)
逆にaV(g)3ならg=0となるのはf1=f2=0の時に限られるから、
aV(f1,f2)となるのでV(g)V(f1,f2)
したがってV(g)=V(f1,f2)だからV(g)も捩れ3次曲線。

小問b
Hilbertの基底定理により、あるf1,...,fs[x1,...,xn]が存在してI=<f1,...,fs>
g=f12+...+fs 2[x1,...,xn]をとれば、小問aと同様にして、
V(g)=V(f1,...,fs)となるので、第2章§5命題9よりV(g)=V(I)となる。

演習問題2
V(J)={(0,1)}なので、f=xならfV(J)上で消えるから、
fI(V(J))だが、明らかにfJ

演習問題3
小問a
例によってHTMLの問題により\tilde(x)xで表す。

(1)の座標変換は全て1次変換だから、
i次斉次多項式hi(x1,...,xn)(1)の変換を行なっても、
x1,...,xnについての全次数はiのままである。
それ故x1Nを含む項はhNのみから入る。

hN(x)=|α|=N cαxα (x=(x1,...,xn), αn≥0)とする。
hN(x)の和のx1Nの項への寄与は、x1α1=x1α1と、
xjαj=(xj+ajx1)αj (2jn)x1についての最高次の項ajαjx1αjから来るので、
a=(a1,...,an)(ただしa1=1)として、c(a2,...,an)x1N=x1N|α|=N cαaα
すなわちc(a2,...,an)=|α|=N cαaα=hN(a)=hN(1,a2,...,an)

小問b
hの全次数をNとして、h(x)=|α|=N cαxαk[x1,...,xn] (x=(x1,...,xn), αn≥0)とする。
k[x1,...,xn]h(x)が零多項式なら、すべてのcα=0だから、
明らかにh(1,x2,...,xn)k[x2,...,xn]の零多項式。

逆にh(1,x2,...,xn)k[x2,...,xn]の零多項式とする。
hN次斉次多項式なので、hの項のうちc(N,0,...,0)x1N
以外の項は全てx2,...,xnを含むから、c(N,0,...,0)以外のcα=0
さらにc(N,0,...,0)h(1,x2,...,xn)の定数項となるが、
h(1,x2,...,xn)は零多項式なのだから、c(N,0,...,0)0に等しい。
したがってすべてのcα=0だから、k[x1,...,xn]でもh(x)は零多項式。

小問c
c(a2,...,an)a2,...,anの多項式として零多項式なら、
小問aによりa2,...,anの多項式としてc(a2,...,an)=hN(1,a2,...,an)=0だから、
小問bによりa1,...,anの多項式としてhN(a1,...,an)=0
すなわちhN(x1,...,xn)=0だから、f1の全次数がNであることに反する。
したがってc(a2,...,an)a2,...,anの多項式として零多項式ではない。

演習問題4
kを代数的閉体とし、かつ有限体だったと仮定してk={a1,...,an}とすれば、
kは少なくとも0,1 (0≠1)を含むのでn≥2
f=(x-a1)(x-a2)...(x-an)k[x]とし、g=f-1とすれば、
n≥2だからgは定数でない。
kは代数的閉体だから、全ての定数でないk[x]の多項式はkに根を持つが、
全てのkの元aiについてg(ai)=1だからgkに根を持たないので矛盾。
したがってkは無限体。

演習問題5
0=0なので0I
f,gIについてf+g=f+gだからf+gI
fI, hk[x1,...,xn]として、(1)の逆変換x1=x1, xj=xj-ajx1 (2jn)によって
hhk[x1,...,xn]へ移るとすれば、fhIだからfhI
したがってIk[x1,...,xn]のイデアル。

演習問題6
f=0のときは<f1,...,fs >はイデアルなので0<f1,...,fs>だから、
Hilbertの零点定理の証明は終わっているので、f≠0とする。
(2)に求値写像k[x1,...,xn,y]→k(x1,...,xn) (y1/f)を作用させれば、
求値写像は環準同型だから、k(x1,...,xn)において(3)、さらに(4)が得られる。
(4)は多項式の関係だから、k[x1,...,xn]において(4)と同じ関係式が成り立つので、
fm<f1,...,fs>となりHilbertの零点定理が成り立つ。

演習問題7
小問a
fkに根x=aを持てば(a,1)≠(0,0)かつfh(a,1)=0

逆に(a,b)≠(0,0)かつfh(a,b)=0が成り立ったとする。
b=0ならfh(a,b)=a0an=0a0≠0だからa=0となるので、
(a,b)≠(0,0)に反するから、b≠0
するとfhn次の斉次だから0=fh(a,b)/bn=f(a/b)
kは体だからa/bkなので、fkに根を持つ。

小問b
kが代数的閉体でないので、k上に根を持たないgk[x]が存在する。
gh(0,0)=0は自明。
小問aにより(a,b)≠(0,0)以外にgh(a,b)=0となる(a,b)k2は存在しないから、
f=ghとおけばV(f)={(0,0)}

小問c
変数の数sについての数学的帰納法を用いる。
s=1についてはf=x1k[x1]の根はx1=0だけだから成り立つ。
s=2については小問bで示した。
変数の数がs-1の時成り立つと仮定して、変数の数がs+1のときを考える。
kが代数的閉体でないので、k上に根を持たないgk[xs]が存在する。
gh(xs,y)をとる。帰納法の仮定により、
hk[x1,...,xs-1]h=0の解がks-1の原点のみになるものが存在するので、
f=gh(xs,h)k[x1,...,xs]をとれば、小問aにより、
f=0となるのはxs=0かつh=0の時のみ。
h=0の解はks-1の原点のみだから、f=0の解はksの原点のみである。

なお演習問題1g(xs)=xs2+1に対応する。

小問d
ヒントがまんま。

k[x1,...,xs]において小問cf(x1,...,xs)をとってf(g1,...,gs)を考えれば、
f=0の解はg1=...=gs=0のみだからV(f)=V(g1,...,gs)

演習問題8
V(I)ならIknに零点を持つ多項式からなるからIS=

逆にIS=とする。
kが代数的閉体ならS=k{0}
IS=だからIk[x1,...,xn]なので弱形の零点定理によりV(I)

kが代数的閉体でないときは、演習問題7により、
あるfk[x1,...,xn]が存在してV(I)=V(f)
さらに演習問題7でのfの構成は斉次多項式から行われるので、
fIである。IS=よりfSだから、
fknに零点を持つので、V(f)。したがってV(I)

演習問題9
小問a
fk[x1,...,xn], rkとしてαA(rf(x))=rf(Ax)=rf(x)=A(f(x))
またgk[x1,...,xn]としてαA(f(x)+g(x))=f(Ax)+g(Ax)=f(x)+g(x)=αA(f(x))+αA(g(x))
したがってαAk線型。

小問b
αA(f(x)·g(x))=f(Ax)·g(Ax)=f(x)·g(x)=αA(f(x))·αA(g(x))

小問c
αAが上への11になるには、
x=Axなるxxの全ての成分に対し一意に決まることが必要だから、
Aが正則行列であることが必要条件。
逆は明らかなのでAが正則行列であることが必要十分。

小問d
I={αA(f): fI}とする。αA(0)=0なので0I
またf,gIとすると、小問aによりf+g=αA(f+g)Iだが、
hk[x1,...,xn]に対し常にh=αA(h)なるhが存在するとは限らないので、
一般にはhfIはいえないから、Ik[x1,...,xn]のイデアルでない。
実際A=((1,0),(1,0))ならx= x, y=xなので、
任意のf(x,y)についてf=αA(f)=f(x,x)だから、
Iの元はyを含まない多項式からなる。
例えばf=xyとすればf=x2Ih=yとすればhf=x2yI

αAが上への11、すなわち小問cによりAが正則なら、
hk[x1,...,xn]に対し常にh=αA(h)なるhが存在するから、
小問bによりhf=αA(hf)IだからIk[x1,...,xn]のイデアル。

小問e
I={fk[x1,...,xn]: αA(f)I}とする。αA(0)=0Iなので0I
またf,gIとすると、小問aによりαA(f+g)=f+gIだからf+gI
hk[x1,...,xn]として小問bによりαA(hf)=hfIとなるのでhfI
したがってIk[x1,...,xn]のイデアル。

小問f
αAは求値写像だから環準同型なので、a,bはそのまま成り立つ。
cは一般には条件を見出すことが難しそう。
dが一般にイデアルにならないことは変わらない。
eは環準同型としての性質のみに依存しているので、
Aの成分がk[x1,...,xn]でも成り立つ。

演習問題10
f1=y-x2, f2=z-x3,g=f12+f22として、
g<f1, f2>だから<g><f1, f2>

p,q[x,y]に実根を持たない、
定数倍を除き異なる、2変数の上で既約な多項式とし、
0でないf[x,y]についてV(f)とする。
1章§2補題2の証明からV(fq)=V(f)V(q)で、
V(q)=なのでV(fq)=V(f)。同様にV(fp)=V(f)
<fp><fq>と仮定すると、あるg[x,y]が存在してgfp=fqだからp|q
p,q上規約だからpqの定数倍でなければならないが、
これはp,qの取り方に矛盾。同様に<fq><fp>と仮定しても矛盾だから、
<fq><fp>は包含関係がない、
同一の空でない多様体を与えるイデアルである。

[x]でも同様に、p,q[x]を次数が2以上の、
異なる上の規約単多項式とすることで、
包含関係がない、同一の空でない多様体を与えるイデアルを作ることが出来る。

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