演習問題1
(a)
G⊂S1={e}なら、置換される文字のブロック構造は自明だからである。
(b)
Gは可移でないから、あるi,jが存在してg(i)=jとなるgは存在しない。
G·i⋂G·j≠∅なら、あるm∈G·i⋂G·jとあるgi,gj∈Gが存在して、
gi(i)=gj(j)=mだから、gj-1gi(i)=jとなるので矛盾。
故にG·i⋂G·j=∅だから、
少なくとも2つの互いに共通部分のない軌道Ri=G·i,Rj=G·jが存在し、
Gの作用によってRiとRjは不変である。
g(i)=jとなるgが存在しない任意の組(i,j)によって、
Gの軌道は互いに共通部分のない集合R1,...,Rk (k>1)へと分割され、
Gの作用によってR1,...,Rkは不変だから、
Gの元は全ての軌道を自分自身へ移す。
(c)
(b)により、R1,...,Rkの軌道のブロックをGは保ち、
k>1である。k<nなら定義14.2.5によりGは非原始的だが、
Gは原始的と仮定しているので、k=nでなければならない。
このとき全ての軌道のブロックはただ一つの元からなるが、
これはG={e}を意味するからG⊂S1となり(a)に反する。
演習問題2
(a)
u∈Fqnとして
γA-1,-A-1wγA,w(u)=γA-1,-A-1w(Au+w)=A-1(Au+w)-A-1w=u、
またγA,wγA-1,-A-1w(u)=γA,w(A-1u-A-1w)=A(A-1u-A-1w)+w=uだから、
γA,w-1=γA-1,-A-1w。
(b)
u∈Fqnとして
γA,w∘γIn,v∘γA,w-1(u)=γA,w∘γIn,v
(A-1u-A-1w)
=γA,w(A-1u-A-1w+v)=A(A-1u-A-1w+v)+w=u-w+Av+w=u+Av=γIn,Av(u)だから、
γA,w∘γIn,v∘γA,w-1=γIn,Av
(c)
π(γA,w)=Aによってπ:AGL(n,Fq)→GL(n,Fq)を定義すれば、
明らかにπは全射準同型で、Ker(π)={γIn,w}≃Fqn⊴
AGL(n,Fq)だから、
定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりAGL(n,Fq)/Fqn≃GL(n,Fq)。
(d)
Fqn⋊GL(n,Fq)における積は(6.9)により、
w1, w2∈Fqn, A1,A2∈GL(n,Fq)に対し、
(w1, A1)(w2, A2)=(w1+A1w2, A1A2)。
一方u∈Fqn, γA1,w1,γA2,w2∈AGL(n,Fq)として、
γA1,w1∘γA2,w2(u)=γA1,w1(A2u+w2)=A1A2u+A1w2+w1だから、
φ((w1, A1))=γA1,w1によってφ: Fqn⋊GL(n,Fq)→AGL(n,Fq)を定義すれば、
φは群準同型となり、明らかに全射かつ1対1だから同型。
よってFqn⋊GL(n,Fq)≃AGL(n,Fq)。
演習問題3
(a)
γA1,σ1,v1∘γA2,σ2,v2=γA1A2,σ1σ2,A1σ1(v2)+v1だから、
π1(γA,σ,v)=σによってπ1:AΓL(n,Fq)→Gal(Fq/Fp)を定義すれば、
明らかにπ1は全射準同型で、Ker(π1)={γA,e,v}≃AGL(n,Fq)⊴
AΓL(n,Fq)。
定理11.1.7によりGal(Fq/Fp)≃ℤ/mℤなので、定理A.1.1(Lagrangeの定理)により、
[AΓL(n,Fq):
AGL(n,Fq)]=|AΓL(n,Fq)|/|AGL(n,Fq)|=
|AΓL(n,Fq)/AGL(n,Fq)|=|Gal(Fq/Fp)|=mとなる。
(b)
π2(γA,σ,v)=(A,σ)によってπ2:AΓL(n,Fq)→GL(n,Fq)×Gal(Fq/Fp)を定義すれば、
明らかにπ2は全射準同型で、Ker(π2)={γIn,e,v}≃Fqn⊴
AΓL(n,Fq)。
(c)
Fp⊂FqはGalois拡大だから、有限次分離拡大なので、
Fp⊂Fqの原始元αが存在する。
FqはFp上のベクトル空間で、命題11.1.1により[Fq:Fp]=mだから、
命題4.3.4によりすべてのβ∈Fqは、
β=a0+a1α+...+ am-1αm-1
(a0,..., am-1∈Fp)と一意に表される。
故にすべてのu∈Fqnはu=u0+u1α+...+ um-1αm-1
(u0,..., um-1∈Fpn)と一意に表される。
σ∈Gal(Fq/Fp)はFp上恒等な体Fqの自己同型だから、
σ(u)=u0+u1σ(α)+...+ um-1σ(αm-1)で、σ(α),..., σ(αm-1) ∈Fqなので、
σ(u)は1,α,...,αm-1のFpn係数の線型結合として表される。
故にu→σ(u)によって定まる写像Fqn→FqnはFp上の線形写像で、
σ-1が存在するから、あるB∈GL(n,Fq)が存在してσ(u)=Buとなる。
よって、γA,σ,v(u)=Aσ(u)+v=AB(u)+v=γAB,v(u)
となり、γA,σ,vはFp上のアフィン線形写像γAB,vを与える。
演習問題4
(a)
u∈FnとしてγA,v∈AGL(n,F) (A∈GL(n,F),
v∈Fn)のFnへの作用を、
AGL(n,Fq) での時と同様にγA,v·u=γA,v(u)で定義する。
AGL(n,F) のγIn,uからなるFnと同型な部分群が存在し、
任意のγIn,v∈AGL(n,F)に対し、あるγA,w∈AGL(n,F)が存在してγA,w=γIn,v-1γIn,u。
演習問題2(a)と同様にγA,v-1=γA-1,-A-1vだから、
γA,w=γIn,-vγIn,u=γIn,u-vである。故にγIn,v=γIn,u-v-1γIn,uだから、
任意のv∈Fnに対し、γIn,u-v-1=γIn,v-u∈AGL(n,F)が存在して、
v=γIn,v-u·uとなるので、AGL(n,F)のFnヘの作用は可移。
(b)
AGL(n,F) 内の0の固定部分群をAGL(n,F)0として、
γA,v∈AGL(n,F)0とすると、0=γA,v·0=γA,v(0)=vだから、
AGL(n,F)0={γA,0|A∈GL(n,F)}で、これより明らかにAGL(n,F)0≃GL(n,F)。
(c)
AGL(n,Fq) での時と同様にGL(n,F)のFnへの作用を、
行列の積で定義すれば、u≠0なので線形代数の連立方程式の議論から、
任意のv∈Fnに対しAu=vとなるA∈GL(n,F) が存在するので、
GL(n,F)のFn∖{0}ヘの作用は可移。
(d)
AGL(n,F) は可移で、(b)(c)により{0}の固定部分群AGL(n,F)0≃GL(n,F)が、
Fn∖{0}へ可移に作用するので、演習問題19(a)によりAGL(n,F) は2重可移。
演習問題5
(a)
a∈A, b∈Bとしてπ((a,b))=aによって写像π:A×B→Aを定義すれば、
明らかにπは全射準同型で、Ker(π)={(eA,b)|b∈B
}={eA}×B⊴ A×Bとなる。
A×{eB}についても同様。
(b)
a≠eAかつb≠eBとして、(a,
eB)と(eA,b)がともにNの元なら、
(a,
eB)(eA,b)=(a,b)∈Nである。
Nが(a, eB)の形の元のみからなると仮定すると、
A×Bの部分群A×{eB}≃Aの任意の元(a', eB)について、
(a',
eB)(a, eB)(a', eB)-1=(a'aa'-1, eB)∈N⊂A×{eB}だから、
N⊴A×{eB}≃Aとなり、N≠{(eA,eB)}かつN⊊A×{eB}だから、
Aが自明でない正規部分群を持つことになり、
Aが単純であることと矛盾。
Nが(eB,b)の形の元のみからなると仮定しても同様に、
Bが単純であることと矛盾する。
したがって、a≠eAかつb≠eBとして、
(a,
eB)と(eA,b)の形の元が共にNの元であるか、
またはNの(eA, eB)以外の元は全て(a,b)の形となる。
前者の場合も(a, eB)(eA,b)=(a,b)∈Nである。
(c)
(a-1,b-1)∈Nなので、任意のa1∈Aに対し
(a1,b-1)(a-1,b-1)(a1,b-1)-1=(a1a-1a1-1, b-1)∈Nだから、
(a,b)(a1a-1a1-1, b-1)=(aa1a-1a1-1,eB)∈N。
(d)
あるa≠eAに対しすべてのa1∈Aについてaa1=a1aなら、
Aの中心Z(A)⊴
Aに{eA}でない元aが存在する。
Z(A)はAbel群だがAは非Abel群だからZ(A)⊊Aなので、
Aが自明でない正規部分群を持つことになり、
Aが単純であることと矛盾。
したがって、任意のa≠eAに対しあるa1∈Aが存在してaa1≠a1a。
故にこのようなa1∈Aについて、aa1a-1a1-1≠eA。
N⊴
A×BかつA≃A×{eB}⊴
A×BだからN⋂(A×{eB})⊴A×Bで、
かつN⋂(A×{eB})⊴A×{eB}である。
A×{eB}≃Aは単純だから、N⋂(A×{eB})={(eA,eB)}またはN⋂(A×{eB})=A×{eB}。
(b)により存在が示されたa≠eAかつb≠eBなる任意の(a,b)∈Nに対し、
前の段落で示したことから、あるa1∈Aが存在して、aa1a-1a1-1≠eAだから、
(c)より(aa1a-1a1-1,eB)∈N⋂(A×{eB})かつ(aa1a-1a1-1,eB)≠(eA,eB)。
したがって、N⋂(A×{eB})={(eA,eB)}ではありえないのでN⋂(A×{eB})=A×{eB}。
(e)
すべての(a,b)∈A×Bについて、(a,b)=(a,eB)(eA,b)で、
(a,eB)∈A×{eB}⊂Nかつ(eA,b)∈{eA}×B⊂Nだから、(a,b)∈Nとなり、
故にA×B⊂N。 N⊴A×Bと仮定しているから、N=A×B。
演習問題6
(a)
a∈A, gag-1=ag∈Agとして、写像A→Ag (a→ag)を考えれば、
明らかにこの写像は全射準同型で、gag-1=eならa=eだから1対1、故に同型。
したがって、Agの自明でない部分群がNにおいて正規なら、
Aの自明でない部分群もNにおいて正規だから、
Aが極小であることと矛盾。したがってAgも極小である。
(b)
a,a1∈Aを任意として、AAg1の元はag1a1g1-1の形である。
g(ag1a1g1-1)g-1=(gag-1)(gg1a1g1-1g-1)=(gag-1)[(gg1)a1(gg1)-1]で、
gag-1∈Ag⊂AAg1, (gg1)a1(gg1)-1∈Agg1⊂AAg1だから、
すべてのgについてg(ag1a1g1-1)g-1∈AAg1となるのでAAg1⊴G。
(c)
Gの元によるAの共軛部分群のうち、
異なるもの全てをAg1,...,Agn (g1=e)とする。
Gは有限群だから、n≥1は有限。
このときAの最大位数の元は、Ag1...Agn≃Ag1×... ×Agnである。
すると任意のg∈Gについて、Ag⊂Ag1...Agnとなるから、
(b)と同様の議論によりAg1...Agn⊴G。
また演習問題7によりAg1...Agn⊴Nだから、Nの極小性と(a)から
N=Ag1...Agn≃An。
演習問題7
(a)
H⊴G, K⊴Gより、任意のg∈G,h∈H, k∈Kについてghg-1∈Hかつgkg-1∈Kだから、
hk∈HKに対しghkg-1=ghg-1gkg-1∈HKなので、HK⊴G。
(b)
任意のh∈H,
k∈Kについてkh-1k-1∈Hかつhkh-1∈Kなので、
(hkh-1)k-1=h(kh-1k-1)=hkh-1k-1∈H⋂K={e}となり、故にhk=kh。
(c)
(b)により(h1,k1),
(h2,k2)∈H×Kについて、
(h1,k1)(h2,k2)=(h1h2,k1k2)→h1h2k1k2=(h1k1)(h2k2)∈HK
と写像されるから、この写像は準同型で明らかに全射で、
核は(eH, eK)だけだから1対1、故に同型。よってH×K≃HK。
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