演習問題1
Fp2⊴AGL(1,Fp2), AGL(1,Fp2)/Fp2≃(Fp2)*である。
Fp2と(Fp2)*はAbel群だから定理8.1.5により可解なので、
定理8.1.4によりAGL(1,Fp2)は可解。
AΓL(1,Fp2)/AGL(1,Fp2)=Gal(Fp2/Fp)≃ℤ/2ℤ。
AGL(1,Fp2), ℤ/2ℤは可解だから、定理8.1.4によりAΓL(1,Fp2)は可解。
|AGL(1,Fp2)|=|Fp2||(Fp2)*|=p2(p2-1)だから、
|AΓL(1,Fp2)|=|AGL(1,Fp2)||Gal(Fp2/Fp)|=2p2(p2-1)。
演習問題2
(a)
α,β,b,b'∈Fp, a,a'∈Fp*とし、γ=γa,b,
γ'=γa',b'∈AGL(1,Fp)とする。
γ(α)=aα+b, γ'(β)=a'β+b'である。
t(α,β)∈Fp2に対し、A=((a,0),(0,a'))∈GL(2,Fp),
w=t(b,b')∈Fp2として、
γA,w∈AGL(2, Fp)をとれば、γA,w(t(α,β))=At(α,β)+w=t(aα+b, a'β+b')=t(γ(α),γ'(β))
なので、δ(α,β)= t(γA,w(t(α,β)))。
故にδに対しγA,wを対応させる写像AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)→AGL(2, Fp)が定義でき、
この写像は明らかに1対1準同型だから、
δとγA,wを同一視することによりδ∈AGL(2, Fp)となる。
(b)
N=((0,1),(1,0))∈GL(2, Fp)とし、γN,0∈AGL(2, Fp)をNと同一視する。
γN,02=γI2,0なのでo(N)=2。
(a)と同じノーテーションの元、
γN,0∘γA,w∘γN,0-1(t(α,β))=γNAN-1,Nw(t(α,β))=(γ'(α), γ(β))=δ'(α,β)。
ただしδ'=(γ',γ),
NAN-1=((a',0),(0,a)), Nw= t(b',b)である。
したがってγN,0∘γA,w∘γN,0-1=δ'∈AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)だから、
N(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))N-1⊂AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)。
逆の包含関係は明らかだから、
N(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))N-1=AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)。
(c)
AGL(1,Fp)=Fp⋊Fp*で、Fp⊴AGL(1,Fp), AGL(1,Fp)/Fp≃Fp*である。
FpとFp*はAbel群だから定理8.1.5により可解なので、
定理8.1.4によりAGL(1,Fp)は可解。
さらにAGL(1,Fp)⊴AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp),
AGL(1,Fp)≃(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))だから、
定理8.1.4によりAGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)は可解。
(b)によりAGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)⊴<AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp),N>=M2で、
M2/(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))≃<N>。|<N>|=2だから<N>は可解なので、
定理8.1.4によりM2は可解。
|M2/(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))|=o(N)=2だから、
|M2|=2|AGL(1,Fp)|2=2(|Fp||Fp*|)2=2[p(p-1)]2=2p2(p-1)2。
(d)
Nによって0=t(0,0)は固定されるから、
(M2)0=<(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))0,N>である。
(a)によりAGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)≃{γA,w| γA,w∈AGL(2,Fp),
A=((λ,0),(0,μ))∈GL(2,Fp) (λ,μ∈Fp*), w=t(b,b')∈Fp2}。
これより(AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp))0≃{γA,0| γA,0∈AGL(2,Fp),
A=((λ,0),(0,μ))∈GL(2,Fp) (λ,μ∈Fp*)}となるから、
このAとγA,0を同一視して(M2)0=<((λ,0),(0,μ)),N> (λ,μ∈Fp*)。
(e)
Ri={(a,[i])|a∈Fp} (0≤i≤p-1)とすると、
Fp2=R1⋃...⋃
Rp-1, Ri⋂Rj=∅, すべての0≤i≤p-1について|Ri|=pである。
AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)≃
{γA,w| γA,w∈AGL(2,Fp),
A=((λ,0),(0,μ))∈GL(2,Fp)
(λ,μ∈Fp*), w=t(b,b')∈Fp2}。
によるアフィン線形変換によって、
γA,w(Ri)={(λa+b, μ[i]+b')|a∈Fp}={(λa+b,
[μi+b']|λa+b∈Fp}=R[μi+b']となるから、
AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)によって自明でないブロックR1,...,Rp-1は保たれるので、
AGL(1,Fp)×AGL(1,Fp)は非原始的。
演習問題3
演習問題2(c)により|M2|=2p2(p-1)2。
p>3なら|M2|はp2(p2-1)で割れないから、命題14.3.4により、
Sp2の部分群としてM2は2重可移でない。
|M1|/|M2|=(p+1)/(p-1)はp>3なら整数でないから、
定理A.1.1(Lagrangeの定理)によりM2はM1の部分群に同型でない。
演習問題4
vはT(v)のスカラー倍ではないから、vとT(v)は線型独立。
Vは2次元ベクトル空間だからvとT(v)は基底をなす。
Tは同型なのでrank(T)=2だから、
Tの固有ベクトルでないvをとれば、vとT(v)は線型独立になる。
Vは2次元ベクトル空間だからvとT(v)の2つがVの基底をなす。
演習問題5
(a)
平方剰余の話。
s∈Fp*なら、(p-s)2=p(p-2s)+s2≡s2≠0 (mod p)。
pは奇素数なので、1≤s≤(p-1)/2に対する平方剰余だけがSに入る。
s,s'∈Fp*,1≤s,s'≤(p-1)/2に
対しs2≡s'2 (mod p)なら、
s2-s'2=(s-s')(s+s')≡0 (mod p)で、2≤s+s'≤p-1だからs+s'≢0
(mod p)なので、
s-s'≡0
(mod p)となるから、s=s'となる。
故に1≤s≤(p-1)/2に対する平方剰余は全て異なり、(p-1)/2個ある。
またs=0ならs2≡0 (mod p)だから、上と併せて|S|=(p-1)/2+1=(p+1)/2。
(b)
(a)により|S'|=|S|=(p+1)/2だから、|S|+|S'|=p+1>p=|Fp|。
S⋃S'⊂Fpより|Fp|=p≥|S⋃S'|=|S|+|S'|-|S⋂S'|=p+1-|S⋂S'|、
これより|S⋂S'|≥1なのでS⋂S'≠∅。
したがって少なくとも1つのt∈Fpが存在して、
t2∈S⋂S'⊂S'となるから、s2+
t2=a。
演習問題6
(a)
|A-xI2|=(a-x)(d-x)-bc=x2-(a+d)x+ad-bc=x2-tr(A)x+det(A)。
(b)
A2=((a2+bc, b(a+d)),(c(a+d),bc+d2))
=(tr(A)a-ad+bc,
tr(A)b),(tr(A)c, tr(A)d-ad+bc))
=tr(A)A-det(A)I2よりA2-tr(A)A+det(A)I2=0。
演習問題7
mg=gmかつmh=-hmの時は、mg=-gmかつmh=hmの時と同様にすれば、
(mg)g=(gm)g=g(mg),
(mg)h=mgh=-mhg=hmg=h(mg)だから、
mg∈CGL(2,Fp)(g)⋂CGL(2,Fp)(h)となり、
補題14.4.3によりmg=a'I2+b'g=c'I2+d'h
(a',b',c',d'∈Fp)。
これよりmg=gmかつmh=hmの時と同様に、
λ∈Fpとしてmg=λI2だから、m=λg-1、故に[m]=[g-1]。
g2=-I2だから、g=-g-1なので[g]=[g-1]となり[m]=[g]∈H。
mg=-gmかつmh=-hmの時は、
(mgh)g=mghg=-mggh=gmgh=g(mgh),
(mgh)h=mghh=-mhgh=hmgh=h(mgh)だから、
mgh∈CGL(2,Fp)(g)⋂CGL(2,Fp)(h)となり、
補題14.4.3によりmgh=a"I2+b"g=c"I2+d"h (a",b",c",d"∈Fp)。
前段落と同様にして、[m]=[h-1g-1]=[h-1][g-1]。
h2=-I2だから、h=-h-1なので[h]=[h-1]となり、また[g]=[g-1]だから、
[m]=[h][g]=[hg]=[-gh]=[gh]∈H。
演習問題8
(a)
|G|=24=23·3なので、定理A.5.1(Sylowの定理)により、
GはN3個の位数3の3-Sylow部分群を持ち、N3|24かつN3≡1 (mod 3)。
これよりN3=1または4。
N3=1なら唯一つの3-Sylow部分群をH1としてH1⊴G。
H1≃ℤ/3ℤは単位元以外は位数3の元のみを含み、
H≃(ℤ/2ℤ)2≃D4は単位元以外は位数2の元のみを含むので、H⋂H1={e}。
H⊴Gだから14.3節演習問題7(b)により、
Hの元とH1の元は可換だからH1⊂CG(H)=Hだが、これはH⋂H1={e}と矛盾。
したがってN3=4。
(b)
H1⊴N(H1), N(H1)⊂Gなので、|N(H1)|=2l·3 (0≤l≤3)。
このうち可能な最大のlに対する位数を持つ群がN(H1)。
定理A.5.1(Sylowの定理)により、
N(H1)が持つ3-Sylow部分群の数をn3として、
n3≡1 (mod 3)かつ2l·3|n3。
H1⊴N(H1)だからn3=1なので、0≤l≤1となる。
したがって|N(H1)|=2·3=6。
(c)
(a)によるGは、互いに共軛な4つの3-Sylow部分群を持つから、
共軛によるGの作用によって4つの3-Sylow部分群は置換されるので、
準同型φ: G→S4が存在する。
Gの4つの3-Sylow部分群をH1, H2, H3, H4とする。
N(Hi)の共軛による作用によってHiは不変で、
N(Hi)はHiを不変にするGの部分群の中で最大のものだから、
N(Hi)はHiの固定部分群。
故にKer(φ)=N(H1)⋂N(H2)⋂N(H3)⋂N(H4)である。
Ker(φ)が位数3の元を持てば、すべてのN(Hi)が位数3の同じ元を持ち、
したがってすべてのN(Hi)が、
この位数3の元で生成される位数3の同じ部分群を含む。
(b)により|N(Hi)|=6=2·3だから、
すべてのN(Hi)に位数3の部分群は唯一つHiのみなので、
H1=H2=H3=H4となり、Gの3-Sylow部分群は唯一つとなる。
これは(a)と矛盾するから、Ker(φ)は位数3の元を持たない。
(d)
(b)により|N(Hi)|=6=2·3 で、
(c)によりKer(φ)=N(H1)⋂N(H2)⋂N(H3)⋂N(H4)かつ、
Ker(φ)は位数3の元を持たないので、Ker(φ)は位数2の元を高々1つ持つ。
よって|Ker(φ)|≤2だから、|G|=24=|G/Ker(φ)||Ker(φ)|≤2|G/Ker(φ)|。
定理A.1.9(群準同型の基本定理)によりG/Ker(φ)≃Im(φ)なので、
|Im(φ)|≥12である。
S4の位数12以上の部分群はA4とS4だけだからIm(φ)はA4を含む。
(e)
(d)により|Ker(φ)|≤2。Ker(φ)≠{e}すなわち|Ker(φ)|=2と仮定する。
すると(d)によりIm(φ)=A4。
N2⊴G, |N2|=2なる群N2が存在したとすると、
N2=Ker(φ)またはN2⋂Ker(φ)={e}である。
N2⋂Ker(φ)={e}なら、Ker(φ)⊴Gだから14.3節演習問題7(a)によりN2Ker(φ)⊴G、
またKer(φ)⊴N2Ker(φ)だから、
第3同型定理によりN2Ker(φ)/Ker(φ)≃N2⊴G/Ker(φ)≃Im(φ)。
したがってIm(φ)=A4は位数2の正規部分群を持つが、
A4は位数2の正規部分群を持たないので矛盾。よってN2=Ker(φ)。
Ker(φ)⋂H={e}なら、H⊴Gと14.3節演習問題7(b)により、
Hの元とKer(φ)の元は可換だからKer(φ)⊂CG(H)=Hだが、これはH⋂Ker(φ)={e}と矛盾。
故にKer(φ)⊂Hでなければならない。H≃(ℤ/2ℤ)2≃D4なので、
Hの位数2の部分群はHの正規部分群だからKer(φ)⊴H。
すると第3同型定理によりH/Ker(φ)⊴G/Ker(φ)≃Im(φ)≃A4で、
|H/Ker(φ)|=2だから、A4が位数2の正規部分群を持つことになり矛盾。
よってN2=Ker(φ)もありえないから、Gは位数2の正規部分群を持ちえないので、
Ker(φ)={e}でなければならない。したがって(d)によりG≃S4。
演習問題9
(a)
補題14.4.3により明らかにC(g)=CGL(2,Fp)(g)はFp*I2を含み、
m1,m2∈C(g)=CGL(2,Fp)(g)とすれば、
あるa1,b1,a2,b2∈Fpに対しm1=a1I2+b1g, m2=a2I2+b2gなので、
m1m2=(a1I2+b1g)(a2I2+b2g)=a1a2I2+(a1b2+a2b1)g+b1b2g2
=(a2I2+b2g)(a1I2+b1g)=m2m1だからC(g)はAbel群。
(b)
補題14.4.3によりm=aI2+bg (a,b∈Fp)とすれば、
m∈Ker(φ)ならφ(m)=I2=det(m)m-2だから、g2=-I2も用いてdet(m)I2=m2=(a2-b2)I2+2abg。
g∈GL(2,Fp)∖Fp*I2だからab=0だが、
m∈GL(2,Fp)だからdet(m)=a2-b2≠0なので、a,bの両方が0になることはない。
a=0と仮定するとm=bg (b∈Fp*)なので、det(m)=b2。
するとg2=-I2からφ(m)=-b2b-2I2=-I2。
p>2なので-I2≠I2だから、m∉Ker(φ)となり矛盾。
よってa≠0, b=0だから、m∈Fp*I2なのでKer(φ)⊂Fp*I2。
逆にm=aI2∈Fp*I2 (a∈Fp*)ならφ(m)=I2だからFp*I2⊂Ker(φ)となるので、
Ker(φ)=Fp*I2。故に|Ker(φ)|=|Fp*|=p-1。
定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりIm(φ)≃C(g)/Ker(φ)だから、
|Im(φ)|=|C(g)|/(p-1)。
(c)
φ(m)=I2=det(m)m-2だからdet(φ(m))=det(m)2det(m)-2=1なので、
Im(φ)⊂{w∈C(g)|det(w)=1}。
(d)
g2=-I2となるg∉Fp*I2は全て互いに共軛だから、
((0,-1),(1,0))とも共軛なので、g=((0,-1),(1,0))と仮定してよい。
したがって補題14.4.3により、m∈C(g)ならs,t∈Fpとして、
m=sI2+tg=((s,-t),(t,s))だから、det(m)=s2+t2≠0。
演習問題5により、任意のa∈Fpに対しs2+t2=aとなるs,t∈Fpが存在する。
det(m)≠0なので、Im(det)=Fp*となり、det: C(g)→Fp*は全射群準同型で、
Ker(det)={w∈C(g)|det(w)=1}である。
定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりIm(det)≃C(g)/Ker(det)だから、
|Im(det)|=|Fp*|=p-1=|C(g)|/|Ker(det)|。
(b)により|Im(φ)|=|C(g)|/(p-1)だから、|Im(φ)|=|Ker(det)|。
(c)によりIm(φ)⊂Ker(det)だから、Im(φ)=Ker(det)={w∈C(g)|det(w)=1}。
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