2012-03-31

コックス「ガロワ理論」 14.4節の演習問題3


演習問題16
(a)
γT: AutF(V)AutF(W) (ϕTϕT-1)は明らかに群準同型。
Tは同型なので、ψAutF(W)ならγT(T-1ψT)=ψ, T-1ψTAutF(V)
故にγTは全射。
γT(ϕ)=TϕT-1=eAutF(W)なら、ϕ=T-1T=eAutF(V)だから、
γT11、よって同型だからγT: AutF(V)AutF(W)

(b)
T, T'はいずれもVからWへの同型だから、
Φ-1= TT'-1AutF(W)によってΦ: WWを定義でき、ΦAutF(W)
これよりT'=ΦT

(c)
任意のϕAutF(V)について、
γT'(ϕ)=T'ϕT'-1=ΦTϕT-1Φ-1=ΦγT(ϕ)Φ-1=γΦγT(ϕ)なので
γT'=γΦγT

演習問題17
(a)
aI2+bγαは明らかにγαと可換だから{aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}C(γα)
逆にmC(γα)とする。αFp2Fpなので、
1,αFp上のベクトル空間としてのFp2の基底だから、
m(1)=a+bα=(aI2+bγα)(1)となるa,bFpが存在する。
mγα=γαmだから、m(α)=mγα(1)=γαm(1)=γα(a+bα)=aα+bα2=(aI2+bγα)(α)
Fp2の基底で線形写像が一致するから、m=aI2+bγα
したがってC(γα){aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}

{γβ|βFp2*}{aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}は明らか。
m=aI2+bγαAutFp(Fp2) (a,bFp)とし、β=a+bα≠0とすれば、
m(1)=a+bα=γβ(1), m(α)=aα+bα2=(a+bα)α=γβ(α)だから、
{aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}{γβ|βFp2*}
逆にn{γβ|βFp2*}ならβ=a+bα (a,bFp)とおけるので、
n(1)=β=a+bα=(aI2+bγα)(1), n(α)=βα=(aI2+bγα)(α)となり、
{γβ|βFp2*}{aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}
よって{aI2+bγαAutFp(Fp2)|a,bFp}={γβ|βFp2*}
以上により(14.38)を得る。

任意のa+bαFp2 (a,bFp)について、
mAutFp(Fp2)だからm(a+bα)=am(1)+bm(α)
m(α)=βm(1)だから、m(a+bα)=am(1)+bβm(1)=(a+bβ)m(1)
β=αならm(a+bα)=(a+bα)m(1)=γδ(a+bα)=γδ,e(a+bα)だから、
m=γδ=γδ,eΓL(1,Fp2)
β=σ(α) なら、σGal(Fp2/Fp)なので、
σFp上恒等な体Fp2の自己同型だから、
m(a+bα)=(a+bσ(α))m(1)=σ(a+bα)m(1)=(γδσ)(a+bα)=γδ,σ(a+bα)だから、
m=γδσ=γδ,σΓL(1,Fp2)。したがって(14.40)を得る。

(b)
γμ,σΓL(1,Fp2) (μFp2, σGal(Fp2/Fp))とすると、
γμ,σγσ-1(μ-1),σ-1=γ1,eなのでγμ,σ-1= γσ-1(μ-1),σ-1 
γβC(γα) (βFp2*)と任意のuFp2に対し、
γμ,σγβγμ,σ-1(u)= γμ,σγβ(σ-1(μ-1)σ-1(u))= γμ,σ(βσ-1(μ-1)σ-1(u))
=μσ(β)μ-1u=σ(β)u=γσ(β)(u)で、βFp2*よりσ(β) Fp2*だから、
γμ,σγβγμ,σ-1=γσ(β)C(γα)となるのでγμ,σN(C(γα))
故にΓL(1,Fp2)N(C(γα))

演習問題18
(a)
Aa{hgh-1| hM}なる元aを持つと仮定する。
Aa={h1ah1-1| h1M}h1ah1-1= h2gh2-1なるh,h1Mが存在すれば、
a=h1-1h2gh2-1 h1=(h1-1h2)g(h1-1h2)-1<hgh-1>なので仮定に反するから、
AaMかつAaAの真部分群。
これはAの極小性に反するので、A={hgh-1| hM}

(b)
aA, zZ(A)とする。AMだから、任意のmZについて
a=mbm-1なるbAが存在するので、
a(mzm-1)=mbm-1 mzm-1= mbzm-1=mzbm-1= mzm-1 mbm-1=(mzm-1)aだから、
mzm-1Z(A)となりZ(A)M

演習問題19
(a)
gFp*を法pでの原始根とすると、
補題9.1.2Fermatの小定理)によりgp-1=1
p-1≡0 (mod 8)だから、p-1=8mとなるmが存在するので、
1=gp-1=g8m=(gm)8gは原始根だから(gm)2≠1, (gm)4≠1なので、
ζ=gmとしてo(ζ)=8

(b)
(平方剰余の第2補充法則によりp≡1 (mod 8)なら2は平方剰余だから、
α2=2となるαFp*が存在する。)

i2=ζ4, (ζ4)2=1なので0=ζ8-1=(ζ4-1)(ζ4+1)=0
(a)によりζ4≠1だからζ4=i2=-1
故に(1+i)2=2iだから、α=iζ(1+i)とおけばα2=2となる。

(c)
(14.25)の行列をa1=((0,1),(1,0)), a2=((i,0),(0,1)), a3=((1,-1),(1,1))とする。
ただし(b)によりi2=-1, i=ζ2
det(a1)=-1ia1SL(2,Fp),
det(a2)=iなのでiζa2SL(2,Fp),
det(a3)=2なのでiζ(1+i)a3SL(2,Fp)
演習問題10(a)により<[a1],[a2],[a3]>S4なので、
S4<[ia1],[iζa2],[iζ(1+i)a3]>PSL(2,Fp)

(d)
ζ82=iだから、Fpにおけるζにおけるζ8が対応している。

演習問題20
(a)
gh=-hgCayley-Hamiltonの定理から、
命題14.4.4の証明と同様にしてg2=h2=-1
これより(gh)2=-g2h2=-1, g(gh)=-(gh)g=g2h=-h,
h(gh)=-(gh)h=-gh2=-g, -I2Z(<g,h>)
写像gi, hjの対応により、ghkで、
Q<g,h>(…というか<-I2, g,h>)は同じCayley表を持つことが確かめられるから、
Q<g,h>

(b)
(14.26)ππ=π2π1,
π1:AGL(2,Fp)GL(2,Fp) (γA,vA),
π2:GL(2,Fp)PGL(2,Fp) (A[A])と分ける。

命題14.4.4と同じノーテーションのもとで、
(M3)0=π2-1(N(H)), H=<[g],[h]>PGL(2,Fp)

任意のm(M3)0をとると、[m]N(H)だから[m]H[m]-1=H
この両辺にπ2-1を作用させれば、
Ker(π2)=Fp*I2GL(2,Fp)の全ての元と可換であることと、
π2-1(H)=<g,h>Fp*I2から、
m<g,h>m-1Fp*I2=<g,h>Fp*I2
q<g,h>ならdet(mqm-1)=det(q)=1だから、
実はm<g,h>m-1=<g,h>なので、mN(<g,h>)。故に (M3)0N(<g,h>)

逆にmN(<g,h>)なら、任意のq1<g,h>について、
あるq2<g,h>が存在してmq1m-1=q2
この両辺にπ2を作用させれば、[q1],[q2]<[g],[h]>=Hで、
[m][q1][m]-1=[q2]Hとなるから、[m]N(H)
なのでmπ2-1(N(H))=(M3)0となるからN(<g,h>)(M3)0
以上により(M3)0=N(<g,h>)

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