2011-07-19

コックス「ガロワ理論」 8.2節の演習問題

演習問題1
(a)
7.3節演習問題8(a)で示した。L=(ζ7+ζ7-1)である。

(b)
7.3節演習問題8(a)により、L=(ζ7+ζ7-1)である。
ζ7+ζ7-1(ζ7)だからL(ζ7)。したがってL(ζ7)
ζ77=1より拡大(ζ7)は定義8.2.1を満たすので、(ζ7)は冪根的。

演習問題2
Lが冪根的なら定義8.2.1によりあるγLmが存在して、
L=(γ), γmである。m<3なら補題4.1.3により、
γ上の最小多項式の次数が2次以下となるが、
これは7.3節演習問題8(a)により[L:]=3であることと矛盾するからm≥3

演習問題3
(a)
K1L, K2Lだから、K1,K2を含むLの部分体は少なくともLが存在する。
K1,K2を含むLの部分体全体を{Li}とし、K=i Liとすれば、
全てのiに対しKLiかつK1K, K2K

k1,k2Kとする。全てのiに対しk1,k2Liで、各Liは体だから、
k1,k2の和、積、加法・乗法の逆元も全てのLiの元となるので、
それらはKの元になる。また明らかに0,1Kなので、Kは体。
したがって、KK1,K2を含むLの最小の部分体だからK=K1K2

(b)
K=F(α1,...,αn,β1,...,βm)とすると、Kは体でK1K, K2Kだから、
(a)によりK1K2K
kKとすると、kα1,...,αn,β1,...,βmF係数有理式で表される。
K1,K2を含む任意の体Mにおいて、α1,...,αn,β1,...,βmMだからkMである。
したがってK1,K2を含む全ての体の共通部分にkは含まれるから、
(a)によりkK1K2となりKK1K2
以上によりK=K1K2

演習問題4
(a)
FKGalois拡大だから命題7.1.7(a)を満たす。
LK'が、FK'Galois拡大となる拡大だったとすると、
FK'は有限次正規拡大でαLK'だから、hF[x]L[x]K'上完全分解する。
したがってあるK''K'が存在してK''hの分解体となり、
5.1.7によりL上恒等写像であるような体の同型K''Kが存在する。
K''K'だからこの同型はK'の中への、体の準同型となり、
命題7.1.7(b)が満たされる。したがって、KLF上のGalois閉包である。

(b)
hは命題4.1.5によりF上の既約多項式で、Khの分解体だから、
命題6.3.7によりGal(K/F)は可移。
σGal(K/F)とすれば、σhの根α1を根αiへ可移に移すから、
FLK におけるL=F(α1)の共軛体はσL=σF(α1)=F(αi)

演習問題5
(a)
iについての数学的帰納法で示す。
i=0のときF0=FK2=F0'だからFiFi'
Fi=F0(γ1,...,γi)Fi'=F0'(γ1,...,γi)と仮定すると、
Fi+1=F0(γ1,...,γi)(γi+1)F0'(γ1,...,γi)(γi+1)=F0'(γ1,...,γi+1)= Fi+1'
したがって全てのi=0,...,nに対しFiFi'

(b)
(8.4)式によりFn'=K2(γ1,...,γn)なのでK2Fn'
FK2だからF(γ1,...,γn)=K1Fn'
故に定義8.2.5と演習問題3(a)によりK1K2Fn'

kFn'=K2(γ1,...,γn)なら、kγ1,...,γnK1K2係数有理式で表されるから、
kFn'を含む任意の体の元である。したがって演習問題3(a)によりFn'K1K2
したがってFn'=K1K2

演習問題6
FLは冪根的だから、体の列F=F0F0(γ1)F0(γ1,γ2)...F0(γ1,...,γn)=Lが存在して、
あるmi>0に対しγimiF0(γ1,...,γi-1)
σF上恒等なMの自己同型だから、
σF0=F0σF0(γ1)=F0(σ(γ1))... σF0(γ1,...,γn)=F0(σ(γ1),..., σ(γn))は体の列となり、
γimiF0(γ1,...,γi-1)よりσ(γn)miF0(σ(γ1),..., σ(γi))となるので、
この列は定義8.2.1を満たすから、FσLは冪根的。

演習問題7
FK1Galois拡大だから有限次拡大。
定理7.1.1によりK1に根を持つF上の分離多項式f1は、
α1,...,αnK1f1の根とするとf1=(x-α1)... (x-αn)K1上完全分解し、
K1f1の分解体となるので、K1=F(α1,...,αn)
同様に、K2に根を持つF上の分離多項式f2は、
β1,..., βmK2f2の根としてf1=(x-β1)... (x-βm)K2上完全分解し、K2=F(β1,..., βm)

α1,...,αn,β1,..., βmのうち異なるものをγ1,..., γrとする。
(8.3)式によりK1K2=F(γ1,..., γr)であるから、FK1K2は有限次拡大。
K1K2に根を持つF上の分離多項式f=(x-γ1)... (x-γn)は、
K1K2上完全分解するから、定理7.1.1によりFK1K2Galois拡大である。

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