演習問題4
5.4節演習問題4(a)により [L:F]=p2なのでF⊂Lは有限次拡大で、
5.4節演習問題5(b)によりL=F(α,β)だから、
命題6.1.4によりσ∈Gal(L/F)としてσ(α), σ(β)は(xp-t)(xp-u)の根で、
σ(α), σ(β)によってσは一意的に決まる。
Gal(L/F)は各々の最小多項式の根の間での置換からなる。
5.4節演習問題4(a)により、αのF上の最小多項式はxp-tで根はαだけ、
βのF上の最小多項式はxp-uで根はβだけ。
(xp-t)(xp-u)は可約なので命題6.3.7によりGal(L/F)は可移でないから、
σ∈Gal(L/F)ならσ(α)=α, σ(β)=βしかない。すなわちσ=1LだからGal(L/F)={1L}。
演習問題5
(a)
x4-t4の分解体はℂ(t,-t,it,-it)。ℂ(t,-t,it,-it)⊃ℂ(t)は明らか。
x4-t4はℂ(t)において(x-t)(x+t)(x-it)(x+it)と完全分解するので、
ℂ(t,-t,it,-it)⊂ℂ(t)。したがってℂ(t,-t,it,-it)=ℂ(t)。
(b)
写像σ: ℂ(t)→ℂ(t) (t→it)をℂ上恒等にとると、σは求値写像だから、
定理2.1.2により環の写像として自己準同型で、
明らかにKer(σ)={0}だから環の自己同型。
α(t)∈ℂ(t)としてα(t)α(t)-1=1ならα(t)-1=1/α(t)だから、
σ(α(t)-1)=σ(1/α(t))=1/α(it)=α(it)-1によりσは体の自己同型。
σ(t4)=t4だから、σはℂ(t4)上恒等写像なので、σ∈Gal(ℂ(t)/ℂ(t4))。
σ(t)=itはℂ上恒等だからσ(-t)=-it,σ(it)=-t, σ(-it)=t、
さらにσ2(t)=-t, σ2(-t)=t, σ2(it)=-it, σ2(-it)=it, σ3(t)=-it, σ3(-t)=it, σ3(it)=t, σ2(-it)=-tだから、
定義A.4.10によりσは Gal(ℂ(t)/ℂ(t4))において可移。
命題6.3.1の証明によりGal(ℂ(t)/ℂ(t4))と同型なSnの部分群が存在して可移となるから、
命題6.3.7によりx4-t4は既約。
(c)
(b)によりℂ(t4)⊂ℂ(t)は4次拡大で、
(a)と定理7.1.1によりℂ(t4)⊂ℂ(t)はGaloisだから、定理7.1.5により
[ℂ(t4):ℂ(t)]=|Gal(ℂ(t)/ℂ(t4))|=4。
位数4の有限群は巡回群C4≃ℤ/4ℤと二面体群D4に同型なもののみで、
(b)のσについてo(σ)=4により、位数4の元を含むのはC4。
したがってGal(ℂ(t)/ℂ(t4))=<σ>≃C4≃ℤ/4ℤ。
(d)
(c)により部分群はC2≃<σ2>={e,σ2}のみで、
Gal(ℂ(t)/ℂ(t4))は巡回群なのでAbel群だから、
<σ2>はGal(ℂ(t)/ℂ(t4))の正規部分群。
(b)により<σ2>は根の符号を交換するので、
t2は<σ2>の作用のもとで不変だから、<σ2>に対応する固定体はℂ(t2)のみ。
したがってGalois対応の図式はGalois群の
{e}
↓
<σ2>
↓
Gal(ℂ(t)/ℂ(t4))
に対し
ℂ(t)
↑
ℂ(t2)
↑
ℂ(t4)
となる。
演習問題6
(Gal(L/ℚ)がC4と同型であることが示されたのは、6.3節演習問題4の方)
α=√(2+√2), σ(α)=√(2-√2)=(α2-2)/αとすれば、
σ2(α)=-α, σ3(α)=-(α2-2)/α, σ4(α)=αなので、Gal(L/ℚ)={e,σ,σ2,σ3}とかける。
演習問題5(d)と同様、正規部分群は位数2の<σ2>のみで、
σ2は単に根の符号の交換だから、
α2=2+√2は<σ2>の作用で不変なので、中間体はℚ(√2)となる。
したがってGalois対応の図式はGalois群の
{e}
↓
<σ2>
↓
Gal(L/ℚ)
に対し
ℚ(√(2+√2))
↑
ℚ(√2)
↑
ℚ
となる。
演習問題7
(a)
f=Φ7は7次円分多項式で、x7-1=(x-1)fであるから、命題4.2.5によりfはℚ上既約。
命題A.2.1の証明からx7-1の根は1,ζ7,ζ72,...,ζ76となり、
fはζ7,ζ72,...,ζ76の相異なる根を持つ。ℚ(ζ7,ζ72,...,ζ76)=Lだから、
Lはℚ上のfの分解体。
(b)
-12≡1 (mod 7)なのでHの生成元σの位数は2だからH={e,σ}。
6.2節演習問題4(b)の対応から、[-1]7→σ (σ(ζ7)=ζ7[-1]7=ζ76=ζ7-1=ζ7)となるので、
σはfの根の複素共役をとる自己同型写像。
αi=ζ7i (1≤i≤6)とすると、準同型Gal(L/ℚ) →S6においてσ→(16)(25)(34)である。
σの作用のもとで不変な基本対称式は、α=α1+α6=ζ7+ζ76=ζ7+ζ7-1=Re(ζ7),
α2+α5=ζ72+ζ75=ζ72+ζ7-2=α2-2=Re(ζ72),
α3+α4=ζ73+ζ74=ζ73+ζ7-3=α3-3α=Re(ζ73),
α1α6=α2α5=α3α4=1。したがって固定体はℚ(α)=ℚ(ζ7+ζ7-1)。
演習問題8
(a)
演習問題7(b)と同じノーテーションのもとで、
1, α1,...,α6はx7-1の根だから、系2.1.5により1+α1+...+α6=0。
一方演習問題7(b)の計算からα=(α1+α6)3=α3+α4+3(α1+α6), (α1+α6)2=α2+α5+2だから、
α3+α2-2α-1=1+α1+...+α6=0となるので、αはx3+x2-2x-1の根である。
他の2根がα2+α5=α2-2, α3+α4=α3-3αであることは容易に確かめられるので、
ℚ(α)はx3+x2-2x-1のℚ上の分解体だから、定理7.1.1からℚ⊂ℚ(α)はGalois。
演習問題7(a)と定理7.1.1からℚ⊂LはGaloisで、|Gal(L/ℚ)|=|(ℤ/7ℤ)*|=6。
演習問題7(b)によりH=Gal(L/ℚ(α)), |H|=2なので、
定理A.1.1(Lagrangeの定理)により[Gal(L/ℚ):H]=3。
故に定理7.3.1(a)と命題4.3.4により、αの最小多項式をpとして
deg(p)=[ℚ(α):ℚ]= [Gal(L/ℚ):H]=3である。
g=x3+x2-2x-1はα1+α6の満たす3次の多項式だから、
補題4.1.3によりpの倍式で、gとpはどちらも3次の単多項式だからp=gとなる。
(b)
gのα以外の根はα2+α5=α2-2, α3+α4=α3-3αであることは容易に確かめられる。
したがってℚ(α)はgのℚ上の分解体だから、
定理7.1.1からℚ⊂ℚ(α)はGaloisで、(a)により[ℚ(α):ℚ]=3。
故に定理7.3.2により、HはGal(L/ℚ)の正規部分群、
かつGal(L/ℚ)/H≃Gal(ℚ(α)/ℚ)で、定理7.1.5により|Gal(ℚ(α)/ℚ)|=[ℚ(α):ℚ]=3。
位数3の群は巡回群C3≃ℤ/3ℤと同型なものだけだから、Gal(ℚ(α)/ℚ)≃ℤ/3ℤ。
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