演習問題1
V=W1⋃...⋃Wmと仮定する。
(a)
W1⊂WiならW1⋃Wi=WiだからV=W1⋃...⋃Wm=W2⋃...⋃Wm。
したがってW1⊂WiなるW1はVの構成に寄与しないので、
すべてのi>1に対しW1⊄Wiと仮定してよい。
(b)
すべてのi>1に対しW1⊄Wiなので、
どのWiにも属さないW1の元が存在するから、
W1⊄W2⋃...⋃Wm。
(c)
v∈W1∖(W2⋃...⋃Wm)⊂V, w∈V∖W1⊂Vで、VはF上のベクトル空間だから、
すべてのλ∈Fに対しλv+w∈V=W1⋃...⋃Wm。
Fは無限体だからλv+wは無限に存在するので、
鳩の巣原理によりλ1v+w, λ2v+w∈Wi (λ1≠λ2)となるiが少なくとも一つ存在する。
(d)
(c)のWiにおいて、u1=λ1v+w,
u2=λ2v+w (u1,u2∈Wi)とする。
i=1だったとする。
W1はVの部分ベクトル空間だから、W1∋λ2u1-λ1u2=(λ2-λ1)wだが、
w∈V∖W1と取ったのだから(λ2-λ1)w∉W1となり矛盾。したがってi>1。
WiはVの部分ベクトル空間なので、Wi∋u2-u1=(λ2-λ1)vで、v∈W1だからv∈W1⋂Wi。
ところがv∈W1∖(W2⋃...⋃Wm)と取ったのだから、
v∉W1⋂Wiとなり矛盾。
以上によりV= W1⋃...⋃Wmではありえない。
・・・帰納法の仮定を使おうとするとかえってgdgdになる・・・。
てかこの証明に帰納法いらなくね?
まあだからわざわざ訳注で、帰納法を使うとしたらこう簡略化、
ってな証明を出してるわけなんだろうなぁ。
演習問題2
(a)
任意のt,r∈Fと、(t1,...,tn),(r1,...,rn) ∈Wσ,τについて、
∑1≤i≤n (ασ(i)-ατ(i))(tti+rri)= t∑1≤i≤n (ασ(i)-ατ(i))ti+r∑1≤i≤n (ασ(i)-ατ(i))ri=0だから、
t(t1,...,tn)+r(r1,...,rn)∈Wσ,τとなるので、Wσ,τはFnの部分ベクトル空間。
α1,...αnは相異なり、またσ≠τだから、(t1,...,tn)=(1,0,...,0)∈Fnに対し、
∑1≤i≤n (ασ(i)-ατ(i))ti=ασ(1)-ατ(1)≠0なので、Wσ,τ≠Fnである。
(b)
演習問題1により⋃σ,τ∈Sn, σ≠τ Wσ,τ≠Fnだから、
すべてのσ,τ∈Sn, σ≠τに対して、
∑1≤i≤n (ασ(i)-ατ(i))ti≠0すなわち∑1≤i≤n ασ(i)ti≠∑1≤i≤n ατ(i)tiとなるような、
(t1,...,tn)=∈Fnが存在する。故にこのt1,...,tnを用いた(12.21)のs(y)は分離的。
演習問題3
演習問題2によりs(y)が分離的になるようにt1,...,tnをとれるので、
n!個のVσは全て異なる。
ある1≤i,j≤nについてti=tjなら、(ij)∈Snに対しV(ij)=V(1)となり、
Vσが全て異なることと矛盾するから、t1,...,tnも全て相異なる。
また命題5.2.1の証明と同様にしてs(y)∈F[y]である。
h(y1,...,yn)=t1y1+...+tnyn∈F(y1,...,yn)とし、
σ∈Snに対し、hσ(y1,...,yn)=σ·h=t1yσ(1)+...+tnyσ(n)∈F(y1,...,yn)とすると、
t1,...,tnが全て相異なるので、σがSnを走るときhσは全て相異なる多項式である。
故にSnのhへの作用のもとで、hの固定部分群H(h)={(1)}すなわち|H(h)|=1だから、
定理12.1.4によりhの分解多項式はS(y1,...,yn;y)=∏σ∈Sn (y-hσ)となり、
命題5.2.1の証明と同様にしてS(y1,...,yn;y)∈F(σ1,...,σn)[y]。
さらにS'(y1,...,yn;h)=∏σ∈Sn, σ≠(1) (h-hσ)∈F(σ1,...,σn)[h]である。
ただし、ダッシュはyでの微分を表す。
任意の1≤j≤nについて(12.5)と同様の函数
ψj(y1,...,yn;y)=S(y1,...,yn;y)∑σ∈Sn yσ(j)/(y-hσ)を考えると、
∑σ∈Sn yσ(j)/(y-hσ)は対称有理式で、S(y1,...,yn;y)はすべてのy-hσを因数に持つから、
ψj(y1,...,yn;y)∈F(σ1,...,σn)[y]。
するとψj(y1,...,yn;h)=ψj(y1,...,yn;h(1))=yj∏σ∈Sn, σ≠(1) (y-hσ)=yjS'(y1,...,yn;h)なので、
yj=ψj(y1,...,yn;h)/S'(y1,...,yn;h)∈F(σ1,...,σn)(h)。
求値写像yj→αjを用い、この求値写像によってhはVに写ることと、
σ1,...,σnはFの元に写ることから、
αj=ψj(α1,...,αn;V)/S'(α1,...,αn;V)∈F(V)。
1≤j≤nは任意だから、各αjはVのF係数有理関数として表される。
演習問題4
βの満たすF[x]の既約多項式をgとし、gの相異なる根をβ1=β,..., βrとする。
またfの相異なる根をα1,...,αsとする。
α1,...,αs, β1,..., βrのうち異なるものをγ1,..., γtとし、
Mをfgの分解体とすれば、補題4.1.9によりM=F(γ1,..., γt)。
L1=F(α1,...,αs)⊂Mはfの分解体で、故に系5.1.7によりLと同型、
またK1=F(β1,..., βr)⊂Mはgの分解体で、故に系5.1.7によりKと同型である。
演習問題5
L⊂KならK=KLで、fはK上完全分解するから、KLはfのK上の分解体。
L⊄Kとし、fの根をα1,...,αnとすると、L=F(α1,...,αn)。
すべてのα1,...,αn∈KならL⊂KとなりL⊄Kと矛盾するので、
少なくともひとつのαiはKの元でない。
拡大K⊂M⊂KLが存在してすべてのα1,...,αn∈Mなら、
L⊂MとなるからMはLとKを含むが、
LとKを含む最小の体は合成体の定義によりKLだからM=KL。
したがって、KLはすべてのα1,...,αnを含むKの拡大体のうち最小のものだから、
fのK上の分解体である。
fは分離的だから、定理7.1.1によりK⊂KLはGalois拡大。
演習問題6
(a)
σ,τ∈Gal(KL/K)とすると、任意のα∈Lについて、σ(α), τ(α), στ(α)∈Lだから、
(στ)|L(α)=στ(α)=σ(τ(α))=σ(τ|L(α))=σ|Lτ|L(α)となるので、
(στ)|L=σ|Lτ|L。
(b)
(a)においてτ|L=σ-1|Lとおけば、
e|L=σ|Lσ-1|Lだからσ-1|Lはσ|Lの逆写像。
(c)
(a)により明らか。
(d)
F⊂L, F⊂Kはともに有限次拡大だから、
定理4.4.3によりF上代数的なα1,...,αn∈Lとβ1,..., βm∈Kが存在して
L=F(α1,...,αn), K=F(β1,..., βm)。
(8.3)によりKL=F(α1,...,αn,β1,..., βm)である。
σはF上恒等でα1,...,αn,β1,..., βmを固定するから、KL上恒等。
演習問題7
(a)
∛(1-2√7)=-3/β∈K。
(b)
Cardanoの公式により
α2=ω∛(1+2√7)+ω2∛(1-2√7)∈K', α3=ω2∛(1+2√7)+ω∛(1-2√7)∈K'だから、
K'はfの全ての根を含んでいる。
演習問題8
fの根をα1,...,αn∈Lとする。F⊂Lの原始元をVとすればL=F(V)で、
1≤i≤nについてφi∈F(x)が存在してαi=φi(V)。
F⊂Kは有限次拡大だから、
定理4.4.3によりF上代数的なβ1,..., βm∈Kが存在して
K=F(β1,..., βm)。故に(8.3)によりKL=F(β1,..., βm,V)=K(V)。
任意のσ∈Gal(KL/K)に対し、(12.29)の写像による、
σのSnにおける像をまたσと書くことにすればσ(αi)=ασ(i)。
σはK上恒等だからF上恒等で、
命題6.1.4によりσ(V)はVのF上の最小多項式sの根。
F⊂LはGalois拡大だから正規拡大なので、
命題5.2.1によりsはL上完全分解するから、σ(V)∈Lとなり、
σ(αi)=φi(σ(V))∈Lである。よってφi(σ(V))=ασ(i)。
このσに対しσ|L∈Gal(L/F)を考えると、σ|LはF上恒等でφi∈F(x)であることと、
V, σ(V)∈Lよりσ|L(V)=σ(V)であることから、σ|L(αi)=φi(σ|L(V))=φi(σ(V))=ασ(i)。
(12.28)の写像によるσ|LのSnにおける像をまたσ|Lと書くことにすれば、
σ|L(αi)=ασ|L(i)だから、ασ(i)=ασ|L(i)となり、
したがってσとσ|Lは各αiに対し全く同じ置換を与える。
よって(12.28),(12.29)の写像によってσとσ|LはSnの同じ元に写る。
演習問題9
F⊂L⋂K⊂LにおいてF⊂LはGalois拡大なので、
定理7.1.5により|Gal(L/F)|=[L:F]だから、
定理4.3.8(塔定理)により|Gal(L/F)|=[L:L⋂K][L⋂K:F]。
命題7.1.3によりL⋂K⊂LはGalois拡大だから、
定理7.1.5により[L:L⋂K]=|Gal(L/L⋂K)|。
さらに定理12.2.5により|Gal(KL/K)|=|Gal(L/L⋂K)|だから
[L:L⋂K]=|Gal(KL/K)|なので、|Gal(L/F)|=|Gal(KL/K)|[L⋂K:F]。
故に [L⋂K:F]=|Gal(L/F)|/|Gal(KL/K)|。
Gal(KL/K)は定理12.2.5によりGal(L/F)の部分群と同型だから、
この部分群をGal(KL/K)と同一視して、
定理A.1.1(Lagrangeの定理)により[L⋂K:F]=[Gal(L/F):Gal(KL/K)]。
F⊂L⋂K⊂Kなので定理4.3.8(塔定理)により
p=[K:F]=[K:L⋂K][L⋂K:F]=[K:L⋂K][Gal(L/F):Gal(KL/K)]。
pは素数だから[Gal(L/F):Gal(KL/K)]=1または[Gal(L/F):Gal(KL/K)]=p。
すなわち、[Gal(L/F):Gal(KL/K)]=1ならGal(L/F)≃Gal(KL/K)で、
[Gal(L/F):Gal(KL/K)]=pならGal(KL/K)は、
Gal(L/F)の指数pの部分群と同型であることを意味する
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