演習問題13
σ=(12...n)ならσ·α=ζ-1αだからσ·(αn)=(σ·α)n=(ζ-1)nαn=αnなので、
<(12...n)>⊂H(αn)。
逆にτ∈H(αn)とすると、τ·(αn)=(τ·α)n=αnだから、
τ·αはxn-αn∈K[x]の根の1つで、ζは1の原始n乗根なので、
あるj (0≤j≤n-1)に対しτ·α=ζjα=σ-j·αとなるから、
τ=σ-j∈<(12...n)>。したがってH(αn)⊂<(12...n)>なので、H(αn)=<(12...n)>。
演習問題14
(a)
α∈Snを任意とし、k (2≤k≤n) が1に置換されるものとすると、
αの共通部分のないサイクルへの分解はα=α1(k1a1...ap-2)である
ただしα1は(k1a1 ... ap-2)とは独立なサイクルの積、p=o((k1a1 ... ap-2))、
また2≤ a1,...,ap-2≤nで、a1,...,ap-2は1でもkでもない。
(A.2)を使ってα=α1(kap-2)...(ka1)(k1)=σ1(kap-2)...(ka1)(1k) (1)。
τ=(12 ...k...n)k∈<(12...n)>を取ると、τはkによって一意に決まる。
τによって1はk へ置換されるので、
τの共通部分のないサイクルへの分解はτ=(kt1... tq-21)τ1である(2≤ t1,...,tq-2≤n)。
ただしτ1は(kt1... tq-21)とは独立なサイクルの積、q=o((k1a1 ... aq-2))、
また、2≤ t1,...,tq-2≤nで、t1,...,tq-2は1でもkでもなく、
(A.2)を使ってτ=(k1)(ktq-2)...(kt1)c1=(1k)(ktq-2)...(kt1)c1
(2)。
(1)(2)により、σ=ατ=α1(kap-2)...(ka1)(1k)(1k)(ktq-2)...(kt1)τ1
=α1(kap-2)...(ka1)(ktq-2)...(kt1)τ1で、1が関係しないので、
ατは1を固定する置換である。
τ∈<(12...n)>だからα<(12...n)>=ατ<(12...n)>=σ<(12...n)>。
すなわち、任意のαに対し1を固定する置換σ=ατが一意に決まり、
α<(12...n)>=σ<(12...n)>となる。
(b)
(a)により、定理12.1.4の証明でσ·fに現れる、
剰余類の代表元σとして、1を固定する置換を常に取ることができるから、
Lagrangeの分解多項式において1は置換されないように出来る。
演習問題15
(a)
αjの式を代入するだけ。
(b)
与式はΦp(ζpm)に等しい。
ζpは1の原始p乗根で、pは素数なので、m≢0 (mod p)ならgcd(p,m)=1だから、
m≡0 (mod p)ならζpm =1なので、Φp(ζpm)=Φp(1)=p。
(c)
(b)により、(a)で証明した式の右辺の和のうち、和で消えないのはl=iの項。
αp=σ1より、σ1+∑1≤j≤p-1 ζp-j(i-1)αj=∑1≤j≤p xi=pxiとなり、所望の公式を得る。
演習問題16
(a)については、f∈K=F(σ1,...,σn)なら明らかにfはSnの作用のもとで不変。
逆にf∈L=F(x1,...,xn)がSnの作用のもとで不変とする。
Kの単数、すなわち定数函数a∈KはSnの作用のもとで不変だから、
定理12.1.6によりf∈K(a)=K。よって(a)が証明された。
(b)については、τ∈Anなら、sgn(τ)=1なので、命題2.4.1によりτ·√Δ=√Δ。
したがってf=A+B√Δ (A,B∈K)ならτ·f = f。
逆にfがAnの作用のもとで不変とする。
命題2.4.1により√ΔはAnの作用のもとで不変だから、
定理12.1.6によりf∈K(√Δ)。
Δ∈Kなので√Δはx2-Δ∈K[x] の根だからK上代数的、
故に命題4.1.15により、K(√Δ)=K[√Δ]なのでf∈K[√Δ]となり、
f=A+B√Δ (A,B∈K)となる。よって(b)が証明された。
演習問題17
fとgが同類函数なら、定理12.1.6によりg∈K(f)だからK(f)=K(g)。
逆にK(f)=K(g)ならg∈K(f)だから、
σ·f=fとなるすべてのσ∈Snに対しσ·g=gとなるので、
fとgは同類函数。
演習問題18
(a)
σ1=0, σ2=2, σ3=4, σ4=2により、(12.10)はy3-2y2-8yとなる。
(b)
(a)により(12.12)のt1=2√(-σ2)=2√(-2)だから、
(12.11)はx2=1t1±t1(x+2σ3/t12)/2=±√(-2)(x-1)。
これを解いて復号+の式からx=√2i/2±√(-2-4i√2)/2、
復号-の式からx=-√2i/2±√(-2+4i√2)/2を得る。
(c)
(b)によりt1=2i√2。
y3-2y2-8yの根は0,-2,4だから、y2=-2, y3=4とおいてt2=4i, t3=2√2。
これより(12.17)においてt1t2t3=8σ3=32となる組は、
x1=(-t1+t2+t3)/4=√2/2+(2-√2)i/2,
x2=(t1-t2+t3)/4=√2/2+(-2+√2)i/2,
x3=(t1+t2-t3)/4=-√2/2+(2+√2)i/2,
x4=(-t1-t2-t3)/4=-√2/2+(-2-√2)i/2。
(b)において-2-4i√2=2(1-i√2)2, -2+4i√2=2(1+i√2)2だから、
(b)の復号+の式はx2, x3に、復号-の式はx1, x4にそれぞれ一致する。
演習問題19
(a)
h,h’∈GについてhH=h’Hなので、任意のhh1∈hHに対し、
あるh2=h’-1hh1が一意に存在して、hh1=h’h2である。
このとき、ghh1∈ghHに対し、gh’h2=ghh1∈gh’HとなるからghH⊂gh’H。
逆の包含関係も全く同様に示されるから、ghH=gh’H。
故にg·hHは矛盾なく定義される。
(b)
eHの固定部分群をGeHとすると、任意のh1∈Hに対し、
h1·eH=h1H=H=eHだからH⊂GeH。
逆にh2∈GeHとすると、H=eH=h2·eH=h2Hによりh2∈HだからGeH⊂H。
故にGeH=H。
(c)
問題文のg→σの写像をφ: G→Smとし、φ(g)=σ, φ(h)=τとする。
明らかにφ(eG)=(1)だから、Gの単位元はSmの単位元に移る。
(gh)·giH= h·(g·giH)=h·gσ(i)H=gτ(σ(i))H=gτσ(i)Hにより、
φ(gh)=στだから、φは群準同型。
(d)
n∈N=Ker(φ)を任意に取る。N⊴Gだからgingi-1∈Nなので、
(gingi-1)·giH=g(φ(gingi-1)(i)H=g(1)(i)H=giH。一方(gingi-1)·giH=ginHだからginH=giH。
すなわちあるh1,h2∈Hが存在してginh1=gih2なので、n=h2h1-1∈HだからN⊂H。
(e)
定理A.1.3(群準同型の基本定理)によりG/N≃Im(φ)⊂Smだから、
定理A.1.1(Lagrangeの定理)により、[G:N]=|G|/|N|=|Im(φ)|。
Im(φ)はSmの部分群だから、|Im(φ)|は|Sm|=m!を割るので、
[G:N]はm!を割る。
(f)
(d)により、Hは部分群N=Ker(φ)を含み、
(e)によりGにおけるN⊴Gの指数[G:N]はm!=[G:H]!を割る。
(g)
n≥5とし、H⊂Snが1<[Sn:H]≤|Sn|=n!なるSnの部分群とする。
N⊴Snだから、定理8.4.6によりN={e}, N=AnまたはN=Snのいずれかである。
またN⊂Hだから、|N|≤|H|なので[Sn:N]≥[Sn:H]。
(f)により、N={e}のとき[Sn:N]=n!|[Sn:H]!だから[Sn:H]≥nである。
N=Anのとき[Sn:N]=2|[Sn:H]!, [Sn:An]=2≥[Sn:H]だから[Sn:H]=2。An⊂HだからH=An。
N=SnのときN⊂HだからH=Snなので、[Sn:H]=1となり1<[Sn:H]に反する。
したがって、定理12.1.10(a)が成り立つ。
n≥5とし、H⊂Anが1<[An:H]≤|An|=n!/2なるAnの部分群とする。
定理8.4.3によりAnは単純群だから、
N⊴AnによりN={e}または N=Anのいずれかである。
上と同様にして、N={e}のとき[An:N]=(n!/2)|[An:H]!だから[An:H]≥nである。
N=AnのときN⊂HだからH=Anなので、[An:H]=1となり1<[An:H]に反する。
したがって、定理12.1.10(b)が成り立つ。
演習問題20
Hを[G:H]=pなるGの部分群とする。
演習問題19(f)により、N⊴G, N⊂HなるNが存在して、[G:N]|p!。
ところがN⊂Hだから、|N|≤|H|なので[G:N]≥pだから[G:N]=p。
したがって|N|=|H|だからN⊂HよりH=N⊴G。故にHはGの正規部分群。
演習問題21
(a)
Sn-1⊂SnはSnの部分群で、|Sn-1|=(n-1)!だから[Sn:Sn-1]=n。
(b)
D4⊴A4において[A4:D4]=3<4だから、定理12.1.10(b)は成立していない。
0 件のコメント :
コメントを投稿