2012-01-10

コックス「ガロワ理論」 12.2節の演習問題2


演習問題10
(a)
KM, LMMM'だからL,KM'の部分体。
FM'Galois拡大なので正規拡大、かつβM'だから、
βF上の最小多項式hM'上完全分解する。
するとβ'hの根だからβ'M'
したがってK'=F(β')M'の部分体。

(b)
FM'Galois拡大なので、定理7.1.1によりある分離多項式の分解体、
またhF上規約でβ, β'を根に持つから、
命題5.1.8によりあるτGal(M'/F)が存在してβ'=τ(β)
τF上恒等だからτ(K)=τ(F(β))=F(β')=K'

(c)
FLGalois拡大だからある分離多項式fの分解体である。
fの根をα1,...,αnLとすると、L=F(α1,...,αn)
τ|LGal(L/F)なのでτ|LF上恒等で、
命題6.1.4により1inについてτ|L(αi)fの根だからτ|L(αi) L
したがってαLならτ|L(α) L
(b)によりαKならτ|L(α) K'だから、αKLならτ|L(α) K'L
同様にして、αKLならτ-1|L(α’) KLが示せるので、
τ|Lは全射となるから、τ|L(KL)=KL

(d)
定理12.2.5によりGal(KL/K)Gal(L/KL)またGal(KL/K’)Gal(L/KL)
τ|LGal(L/F)なので補題7.2.4により、
Gal(L/F)においてGal(L/KL)=Gal(L/τ|L(KL))=τ|LGal(L/KL)τ-1|Lだから、
Gal(KL/K’)τ|LGal(KL/K)τ-1|Lとなる。

演習問題11
(12.22)の下のGaloisの群の表のうち、
Aに入るのは第2列からのφV(j)φn-1V(j)で、第1列の(V(j))は入れない。)]

(a)
αi1...αinAの要素は全て異なり、各要素は分離多項式fの根だから、
Aの元は表示が異なるだけで、値としてはα1...αnAを置換したものである。

命題6.3.1によりGal(L/F)は自己同型から来る根の置換全体と同一視でき、
これはGの定義と一致するから、
命題6.3.1の同型によってGal(L/F)Gを同一視する。
Aの元はGal(L/F)による根の置換を表すから、
任意のαi1...αinAに対し、αi1...αin=σ·α1...αnとなるσGが存在する。
AσGによって置換された配置全体からなるから、
Gの作用に関するα1...αnの軌道である。

(b)
σ,τGによってσ·α1...αn=τ·α1...αnとなったとすると、
ασ(1)...ασ(n)=ατ(1)...ατ(n)なのだから、σ,τ
は同一の置換なのでσ=τ、故に写像GA11
αi1...αinAの各要素は分離多項式fの相異なる根だから、
あるσGal(L/F)GSnによってα1...αnを置換したものなので、
すべての1knに対しik=σ(k)となるσGが存在するから、
写像GAは全射。

演習問題12
(a)
γ=τσ-1Gをとればγ·(σH·α1...αn)=(γσH)·α1...αn=τH·α1...αn

(b)
演習問題10(c)(d)と全く同様にしてGal(KL/K’)τ|LGal(KL/K)τ-1|L
Gal(L/F)Gで、この同型によってτ|Lσが対応し、
同じ同型によってGal(KL/K)Hが対応するから、
Gal(KL/K’)σHσ-1が対応する。

(c)
任意のσhσ-1σHσ-1 (hH)に対し、
σhσ-1·(σ·α1...αn)=(σhσ-1σα1...αn=(σhα1...αnσH·α1...αnだから、
σHσ-1σ·α1...αnを、σ·α1...αnが属する""の別の元へ移す置換の集合。
そこで写像σHσ-1σH·α1...αnを、σhσ-1→(σhα1...αnのように、
σhσ-1によってσ·α1...αnが移る配置への写像と定義すれば、
σHσ-1Gだから演習問題11(b)と同様にしてこの写像は11かつ全射となるから、
σHσ-1は、σ·α1...αnσ·α1...αnが属する""の別の元へ移す、すべての置換の集合である。

演習問題13
Maximaのバッチファイル
-----------
t1:0;
t2:1;
t3:2;
t4:3;
orb:orbit(y-(t1*y1+t2*y2+t3*y3+t4*y4),[y1,y2,y3,y4]);
s:1$for j:1 thru 24 do (s:s*orb[j]);
s1:subst(sqrt(2),y1,s);
s2:subst(-sqrt(2),y2,s1);
s3:subst(sqrt(3),y3,s2);
s4:subst(-sqrt(3),y4,s3);
s5:ratexpand(s4);
factor(s5);
--------------
で計算したのだが、最終結果は
s(y)=y24-200y22+16620y20-743400y18+19430070y16-302989800y14
+2777491500y12-14100111000y10+34064189265y8-25798725200y6
+7753861216y4-910060800y2+36000000
=(y4-58y2+625)(y4-42y2+225)(y4-40y2+16)2(y4-10y2+1)2
で、因数が4つは一致するが2つは一致しない...
同様に例12.2.1の方も、因数が3つは一致するが3つ一致しない...

演習問題14
[L:KL]=|Gal(KL/K)|演習問題9で示した。
またこれも演習問題9で示したように|Gal(L/F)|=|Gal(KL/K)|[KL:F]だから、
|Gal(KL/K)|<|Gal(L/F)|[KL:F]>1と同値なので、FKLと同値。

演習問題15
(a)
FLFKGalois拡大でKLが定義されているから、
FLKLかつFKKLなので、8.2節演習問題7によりFKLGalois拡大。

σGal(KL/F)F上恒等だからσ|LF上恒等。
FKLFLGalois拡大なので、定理7.2.5によりσL=L
σGal(KL/F)F上恒等だからσ|LF上恒等なので、
σ|LF上恒等なLの自己同型となる。よってσ|LGal(L/F)
同様にしてσ|KGal(K/F)

(b)
写像φ:Gal(KL/F)→Gal(L/F)×Gal(KL/F)σ→(σ|L,σ|K)で定義すると、
φは明らかに群準同型。
演習問題6(d)によりσ|L=eLかつσ|K=eKならσ=eKLだから、
Ker(φ)=eKLなので、φ11

(c)
F=KLだから演習問題14により|Gal(L/F)|=|Gal(KL/K)|
FLGalois拡大なので、命題7.1.5により|Gal(L/F)|=[L:F]
またFKLGalois拡大でFKKLだから、
命題7.1.3によりKKLGalois拡大なので、
命題7.1.5により|Gal(KL/K)|=[KL:K]。故に[L:F]=[KL:K]だから、
定理4.3.8(塔定理)により[KL:F]= [KL:K][K:F]=[L:F][K:F]

(d)
FL, FK, FKLGalois拡大だから、命題7.1.5により
|Gal(L/F)|=[L:F], |Gal(K/F)|=[K:F]|Gal(KL/F)|=[KL:F]なので、
(c)により|Gal(KL/F)|=|Gal(L/F)||Gal(K/F)|
(b)によりφ11だから、φは全射となり、故に同型。

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