演習問題1
4x3+x=x(4x2+1)においてxと4x2+1はℚ上規約なので、
4x3+xはℚ(x)の元の平方で表せない。
したがってy2-4x3-x∈ℚ(x)[y]はℚ(x)に根を持たないから、
補題A.1.19によりℚ(x)上既約。
演習問題2
Steinitzの定理により、ℚ⊂ℚ(R',
R'',...)は、
ℚ上代数的独立なR1,...,Rmとℚ上代数的なQ1,...,Qlを用いて、
ℚ⊂K=ℚ(R1,...,Rm)⊂K(Q1,...,Ql)=ℚ(R', R'',...)と表すことができる。
4.1節演習問題6により、x1,...,xmを変数としてK ≃ℚ(x1,...,xm)で、
R1,...,Rmをℚ上の変数とみなすことができる。
また、K⊂K(Q1,...,Ql)は代数拡大だから、定理5.4.1(原始元の定理)により、
あるℚ上代数的なB∈K(Q1,...,Ql)が存在してK(Q1,...,Ql)= K(B)。
したがって、ℚ⊂K=ℚ(R1,...,Rm)⊂K(B)=ℚ(B,
R1,...,Rm)。
演習問題3
∑1≤i≤s AiMi, ∑1≤i≤s BiMi∈<M1,...,Ms>に対し、
∑1≤i≤s AiMi+∑1≤i≤s BiMi=∑1≤i≤s (Ai+Bi)Mi∈<M1,...,Ms>だから、
<M1,...,Ms>はRの加法についてRの部分群。
また任意のC∈RについてC∑1≤i≤s AiMi=∑1≤i≤s CAiMi∈<M1,...,Ms>。
したがって<M1,...,Ms>はRのイデアル。
演習問題4
(a)
定義式(12.36)からS(y) ∈F[x1,...,xn,t1,...,tn][y]で、
x1,...,xnの置換に対する対称多項式だから、
定理2.2.2によりS(y) ∈F[σ1,...,σn,t1,...,tn][y]。
求値写像σi→ciによってS(y)はs(y)に移り、
c1,...,cn∈Fだからs(y) ∈F[t1,...,tn][y]。
よって(2.30)によりΔ(s)∈F[t1,...,tn]。
(b)
L[x1,...,xn,t1,...,tn][y]においては、求値写像xi→αiによってσiはciに移るので、
S(y) ∈F[x1,...,xn,t1,...,tn][y]⊂L[x1,...,xn,t1,...,tn][y]はs(y)∈L[t1,...,tn][y]に移る。
したがって(12.36)からs(y)=∏σ∈Sn [y-(t1ασ(1)+...+tnασ(n))]。
(c)
fは分離的なのでα1,...,αnは全て相異なるから、
Snの作用のもとでt1ασ(1)+...+tnασ(n)はL[t1,...,tn]において全て相異なるので、
(b)によりs(y)∈L[t1,...,tn][y]は分離的となるから、
命題5.3.2によりΔ(s)はL[t1,...,tn]の元として0でない。
(a)によりΔ(s)∈F[t1,...,tn]⊂L[t1,...,tn]だから、F[t1,...,tn]においてもΔ(s)≠0。
演習問題5
(a)
gに含まれる変数の数に関する数学的帰納法で証明する。
gが一変数多項式なら、変数のラベルを適当に変えて、
g∈F[t1]⊂F[t1,...,tn]としてよい。
t1についてdeg(g)≤N1だから、gはFに高々N1個の根を持つ。
Fの標数は0だから、0≤a1≤N1なるa1∈ℤはN1+1個あるので、
その中にg(a1)≠0となるものが存在する。
gがi変数多項式の時、g∈F[t1,...,ti]⊂F[t1,...,tn]としてよい。
g=∑0≤j≤Ni pj(t1,...,ti-1) tijと書くと、
帰納法の仮定によりpNi (a1,..., ai-1)≠0となる
0≤al≤Nl (1≤l≤i-1)なるa1,..., ai-1が存在する。
tiについてdeg(g(a1,..., ai-1, ti))≤Niだから、
一変数の時と同様にしてg(a1,..., ai-1,ai)≠0となるai∈ℤが存在する。
以上によりg(a1,...,an)≠0となる(a1,...,an)∈Aが存在する。
(b)
(a)において、「Fの標数は0だから、
0≤a1≤N1なるa1∈ℤはN1+1個あるので」という議論を、
「Fは無限体だから、任意のN1に対しN1+1個の相異なるFの元を常に取れるので」
に変えればよい。
(c)
例えばF=F2={0,1}とし、g=t1(t1+1) ∈F2[t1]とすると、
g(a1)≠0となる(a1)∈F2は存在しない。
演習問題6
(a)
HTMLの制限のため、\tilde(B)はBで表す。
Bの各項の有理式において、Δ∈F[σ1,...,σn]で、
(x-xi)の形の因数はn-1個だから、Bは高々n-1次。
Δ=∏i<j (xi-xj)2には、1≤i,j≤nについてのすべての組(i,j)が現れるから、
Bの第i項のΔ/∏1≤j≤n, j≠i (xi-xj)2の因子において
分母の因子は全て分子も持っている。
したがって分母はΔと約分されて消えるので、Bはxの多項式。
Δ/∏1≤j≤n, j≠i (xi-xj)2の因子で約分されずに残るのは、
xiを含まない(xk-xj)2の形の因子の積である。
すなわち、Bの第i項はΔf=Δ(x-x1)...(x-xn)の中で、
xiを含まない因子のみからなる積である。
任意の互換(ij)∈Snによって、xiとxjのラベルを交換する作用をBに作用させると、
xiを含まない第i項はxjを含まない第j項へ、
xjを含まない第j項はxiを含まない第i項へそれぞれ移るから、
結局第i項と第j項が交換されるだけとなり、任意の互換(ij)の作用に対しBは不変。
Snはすべての互換から生成されるから、Snの作用に対しBは不変となるので、
Bはx1,...,xnについての対称式。故に定理2.2.7によりB∈F[σ1,...,σn,x]。
(b)
x=xiならBのうちxiを含まない第i項以外はすべて消え、
B(xi)=Δ/∏1≤j≤n, j≠i (xi-xj)。
一方(12.7)と同様の計算によりf'(xi)=∏1≤j≤n, j≠i (xi-xj)だから、
B(xi)=Δ/f'(xi)よってΔ-B(xi)f'(xi)=0。
(c)
(b)においてiは任意だから、すべてのx1,...,xnはΔ-Bf'の根なので、
Δ-Bf'は∏1≤j≤n (x-xj)=fを因子に持つからf|Δ-Bf'。
したがって(Δ-Bf')/f=Aとおけば、Af+Bf'=Δ。
deg(f)=nよりdeg(f')=n-1だからdeg(Δ-Bf')≤2(n-1)=2n-2より
deg(A)=deg(Δ-Bf')-deg(f)≤n-2となり、A, Bは所望の性質を持つ。
演習問題7
f=xn-c1xn-1+...+(-1)n-1cnとする。
求値写像σi→ciによって演習問題6のA, B, f, f'をA, B,
f, f'∈F[x]に写せば、
演習問題6(c)によりAf+Bf'=Δ, deg(A)≤n-2, deg(B)≤n-1となる。
演習問題8
(a)
t1,...,tn∈ℤはすべて相異なるから、すべてのσ∈Snに対しσ·βも全て相異なる。
したがって(12.3)によりθ(y)=S(y)なので、(12.5)でg=xiに対するψをΦiと書いて
Φi(y)=∑σ∈Sn S(y)xσ(i)/(y-σ·β)∈F[x1,...,xn,y]。これより(12.8)はxi=Φi(β)/S'(β)。
Φi(y)の和はすべてのσ∈Snにわたるから、x1,...,xnの対称式なので、
定理2.2.2によりΦi(y)∈F[σ1,...,σn,y]。
(b)
すべてのσ∈Snに対しσ·βも全て相異なるので、S(y)は分離的だから、
命題5.3.2によりΔ(S)≠0。S(y) の和はすべてのσ∈Snにわたるから、
S(y)はx1,...,xnの対称式なので、S(y) ∈F[σ1,...,σn,y]=F[σ1,...,σn][y]。
さらにS(y)は単多項式なので、演習問題7のFをF[σ1,...,σn]とみて、
A(y)S(y)+B(y)S'(y)=Δ(S)となる、A,B∈F[σ1,...,σn,y]が存在する。
A(y)S(y)+B(y)S'(y)=Δ(S)にy=βを代入すれば、
βはS(y)の根だから、B(β)S'(β)=Δ(S)。
(c)
(b)によりB(β)S'(β)=Δ(S)≠0だから、B(β)/Δ(S)=1/S'(β)。
これを(a)のxi=Φi(β)/S'(β)に代入して、
xi=B(β)Φi(β)/Δ(S)=Ψi(β)/Δ(S)なので(13.37)を得る。
0 件のコメント :
コメントを投稿