2012-01-15

コックス「ガロワ理論」 12.3節の演習問題


演習問題1
4x3+x=x(4x2+1)においてx4x2+1上規約なので、
4x3+x(x)の元の平方で表せない。
したがってy2-4x3-x(x)[y](x)に根を持たないから、
補題A.1.19により(x)上既約。

演習問題2
Steinitzの定理により、(R', R'',...)は、
上代数的独立なR1,...,Rm上代数的なQ1,...,Qlを用いて、
K=(R1,...,Rm)K(Q1,...,Ql)=(R', R'',...)と表すことができる。
4.1節演習問題6により、x1,...,xmを変数としてK (x1,...,xm)で、
R1,...,Rm上の変数とみなすことができる。
また、KK(Q1,...,Ql)は代数拡大だから、定理5.4.1(原始元の定理)により、
ある上代数的なBK(Q1,...,Ql)が存在してK(Q1,...,Ql)= K(B)
したがって、K=(R1,...,Rm)K(B)=(B, R1,...,Rm)

演習問題3
1is AiMi, 1is BiMi<M1,...,Ms>に対し、
1is AiMi+1is BiMi=1is (Ai+Bi)Mi<M1,...,Ms>だから、
<M1,...,Ms>Rの加法についてRの部分群。
また任意のCRについてC1is AiMi=1is CAiMi<M1,...,Ms>
したがって<M1,...,Ms>Rのイデアル。

演習問題4
(a)
定義式(12.36)からS(y) F[x1,...,xn,t1,...,tn][y]で、
x1,...,xnの置換に対する対称多項式だから、
定理2.2.2によりS(y) F[σ1,...,σn,t1,...,tn][y]

求値写像σiciによってS(y)s(y)に移り、
c1,...,cnFだからs(y) F[t1,...,tn][y]
よって(2.30)によりΔ(s)F[t1,...,tn]

(b)
L[x1,...,xn,t1,...,tn][y]においては、求値写像xiαiによってσiciに移るので、
S(y) F[x1,...,xn,t1,...,tn][y]L[x1,...,xn,t1,...,tn][y]s(y)L[t1,...,tn][y]に移る。
したがって(12.36)からs(y)=σSn [y-(t1ασ(1)+...+tnασ(n))]

(c)
fは分離的なのでα1,...,αnは全て相異なるから、
Snの作用のもとでt1ασ(1)+...+tnασ(n)L[t1,...,tn]において全て相異なるので、
(b)によりs(y)L[t1,...,tn][y]は分離的となるから、
命題5.3.2によりΔ(s)L[t1,...,tn]の元として0でない。
(a)によりΔ(s)F[t1,...,tn]L[t1,...,tn]だから、F[t1,...,tn]においてもΔ(s)≠0

演習問題5
(a)
gに含まれる変数の数に関する数学的帰納法で証明する。
gが一変数多項式なら、変数のラベルを適当に変えて、
gF[t1]F[t1,...,tn]としてよい。
t1についてdeg(g)N1だから、gFに高々N1個の根を持つ。
Fの標数は0だから、0a1N1なるa1N1+1個あるので、
その中にg(a1)≠0となるものが存在する。

gi変数多項式の時、gF[t1,...,ti]F[t1,...,tn]としてよい。
g=0jNi pj(t1,...,ti-1) tijと書くと、
帰納法の仮定によりpNi (a1,..., ai-1)≠0となる
0alNl (1li-1)なるa1,..., ai-1が存在する。
tiについてdeg(g(a1,..., ai-1, ti))Niだから、
一変数の時と同様にしてg(a1,..., ai-1,ai)≠0となるaiが存在する。

以上によりg(a1,...,an)≠0となる(a1,...,an)Aが存在する。

(b)
(a)において、「Fの標数は0だから、
0a1N1なるa1N1+1個あるので」という議論を、
Fは無限体だから、任意のN1に対しN1+1個の相異なるFの元を常に取れるので」
に変えればよい。

(c)
例えばF=F2={0,1}とし、g=t1(t1+1) F2[t1]とすると、
g(a1)≠0となる(a1)F2は存在しない。

演習問題6
(a)
HTMLの制限のため、\tilde(B)Bで表す。

Bの各項の有理式において、ΔF[σ1,...,σn]で、
(x-xi)の形の因数はn-1個だから、Bは高々n-1次。

Δ=i<j (xi-xj)2には、1i,jnについてのすべての組(i,j)が現れるから、
Bの第i項のΔ/1jn, ji (xi-xj)2の因子において
分母の因子は全て分子も持っている。
したがって分母はΔと約分されて消えるので、Bxの多項式。
Δ/1jn, ji (xi-xj)2の因子で約分されずに残るのは、
xiを含まない(xk-xj)2の形の因子の積である。
すなわち、Bの第i項はΔf=Δ(x-x1)...(x-xn)の中で、
xiを含まない因子のみからなる積である。

任意の互換(ij)Snによって、xixjのラベルを交換する作用をBに作用させると、
xiを含まない第i項はxjを含まない第j項へ、
xjを含まない第j項はxiを含まない第i項へそれぞれ移るから、
結局第i項と第j項が交換されるだけとなり、任意の互換(ij)の作用に対しBは不変。
Snはすべての互換から生成されるから、Snの作用に対しBは不変となるので、
Bx1,...,xnについての対称式。故に定理2.2.7によりBF[σ1,...,σn,x]

(b)
x=xiならBのうちxiを含まない第i項以外はすべて消え、
B(xi)=Δ/1jn, ji (xi-xj)
一方(12.7)と同様の計算によりf'(xi)=1jn, ji (xi-xj)だから、
B(xi)=Δ/f'(xi)よってΔ-B(xi)f'(xi)=0

(c)
(b)においてiは任意だから、すべてのx1,...,xnΔ-Bf'の根なので、
Δ-Bf'1jn (x-xj)=fを因子に持つからf|Δ-Bf'
したがって(Δ-Bf')/f=Aとおけば、Af+Bf'=Δ
deg(f)=nよりdeg(f')=n-1だからdeg(Δ-Bf')≤2(n-1)=2n-2より
deg(A)=deg(Δ-Bf')-deg(f)n-2となり、A, Bは所望の性質を持つ。

演習問題7
f=xn-c1xn-1+...+(-1)n-1cnとする。
求値写像σiciによって演習問題6A, B, f, f'A, B, f, f'F[x]に写せば、
演習問題6(c)によりAf+Bf'=Δ, deg(A)n-2, deg(B)n-1となる。

演習問題8
(a)
t1,...,tnはすべて相異なるから、すべてのσSnに対しσ·βも全て相異なる。
したがって(12.3)によりθ(y)=S(y)なので、(12.5)g=xiに対するψΦiと書いて
Φi(y)=σSn S(y)xσ(i)/(y-σ·β)F[x1,...,xn,y]。これより(12.8)xi=Φi(β)/S'(β)
Φi(y)の和はすべてのσSnにわたるから、x1,...,xnの対称式なので、
定理2.2.2によりΦi(y)F[σ1,...,σn,y]

(b)
すべてのσSnに対しσ·βも全て相異なるので、S(y)は分離的だから、
命題5.3.2によりΔ(S)≠0S(y) の和はすべてのσSnにわたるから、
S(y)x1,...,xnの対称式なので、S(y) F[σ1,...,σn,y]=F[σ1,...,σn][y]
さらにS(y)は単多項式なので、演習問題7FF[σ1,...,σn]とみて
A(y)S(y)+B(y)S'(y)=Δ(S)となる、A,BF[σ1,...,σn,y]が存在する。

A(y)S(y)+B(y)S'(y)=Δ(S)y=βを代入すれば、
βS(y)の根だから、B(β)S'(β)=Δ(S)

(c)
(b)によりB(β)S'(β)=Δ(S)≠0だから、B(β)/Δ(S)=1/S'(β)
これを(a)xi=Φi(β)/S'(β)に代入して、
xi=B(β)Φi(β)/Δ(S)=Ψi(β)/Δ(S)なので(13.37)を得る。

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