2011-05-23

コックス「ガロワ理論」 4.1節の演習問題

演習問題1
f(α)=0より、f=0i≤deg(f) fixi (fiF)とするとi fiαi=0
この両辺をαdeg(f)で割れば、0=∑i fi(1/α)deg(f)-i=j fdeg(f)-j(1/α)j
したがって、1/αg=j fdeg(f)-j xjF[x]の根だから、
1/αF上代数的である。

演習問題2
fgを割るのである0でないuF[x]が存在してg=uf
またgfを割るのである0でないu vF[x]が存在してf=vg
故にf= uvfとなるからuv=1となりu,vは単数。
f,gは共に単多項式だから、u=v=1でなければならないのでf=g

演習問題3
求値写像φ: F[x1,...,xn]→F[α1,...,αn]L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
は環準同型なので単位元を保ち、任意のf,gF[x1,...,xn]に対し
φ(f)+φ(g)=φ(f+g)F[α1,...,αn], φ(f)φ(g)=φ(fg)F[α1,...,αn]だから、
F[α1,...,αn]Lの部分環となる。

有理関数体F(α1,...,αn)については求値写像
φ: F(x1,...,xn)→F(α1,...,αn)L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
を考えれば和と積については同様で、
さらにf≠0について1=φ(1)=φ(ff-1)=φ(f)φ(f-1)だから、
φ(f)≠0に対し乗法の逆元φ(f-1)F(α1,...,αn)を常に取ることが出来る。
したがってF(α1,...,αn)Lの部分体。

演習問題4
補題4.1.9によりF(α1,...,αr)は、
Fα1,...,αrを含むLの最小の部分体である。
F(α1,...,αn)Fα1,...,αrを含む体だから、F(α1,...,αr) F(α1,...,αn)

補題4.1.9により、F(α1,...,αr)(αr+1,...,αn)は、
F(α1,...,αr)αr+1,...,αnを含むLの最小の部分体である。
F(α1,...,αr) F(α1,...,αn)よりF(α1,...,αn)
F(α1,...,αr)αr+1,...,αnを含む体だから、
F(α1,...,αr)(αr+1,...,αn)F(α1,...,αn)

演習問題5
任意のfF[α1,...,αn-1][αn]は、αnを用いた
F[α1,...,αn-1]係数多項式表示だから、fF[α1,...,αn]となり、
F[α1,...,αn-1][αn]F[α1,...,αn]

また、任意のgF[α1,...,αn]の多項式表示を、
αnについての冪の和として表示すれば、
gαnを用いたF[α1,...,αn-1]係数多項式表示となるから、
gF[α1,...,αn-1][αn]よりF[α1,...,αn]F[α1,...,αn-1][αn]

したがってF[α1,...,αn-1][αn]=F[α1,...,αn]

演習問題6
求値写像φF[x1,...,xn]→F[α1,...,αn]L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
を考える。φは環準同型で明らかに全射。
fF[x1,...,xn]に対し、f(α1,...,αn)=0が成り立ったとすると、
fKer(φ)である。ところが、α1,...,αnは代数的独立だから、
α1,...,αnについて成り立つ自明でない多項式関係は存在しないので、
f=0でなければならない。すなわちKer(φ)={0}だから、
φは単射となりしたがって同型写像である。
故にF[α1,...,αn]F[x1,...,xn]

F(α1,...,αn)={r=α/β|α,βF[α1,...,αn]}だから、

求値写像ψF(x1,...,xn)→F(α1,...,αn)L (r(x1,...,xn)→r(α1,...,αn))
は環準同型で明らかに全射。
r(α1,...,αn)=0ならα(α1,...,αn)=0である。
このときαF[α1,...,αn]だから、前段落の記述によりα=0となるので、
r(α1,...,αn)=0となるから、Ker(ψ)={0}
ψは単射となりしたがって同型写像である。
故にF(α1,...,αn)F(x1,...,xn)


例えばα1が代数的数なら、α2,...,αnは超越数ってことか。

演習問題7
(a)
gpに単数でない最大公約数が存在すると、
pは最小多項式だから命題4.1.5によりF上既約なので、
最大公約数はpである。したがってあるdF[x]が存在してg=pd
命題4.1.5によりp(α)=0だから、0=p(α)d(α)=g(α)=βとなり、
β≠0と矛盾。

したがってgpの最大公約数は単数しかありえないから、
gpは互いに素である。

(b)
Ap+Bg=1よりBg=1-App(α)=0だから、B(α)g(α)=1
したがって、B(α) F[α]g(α)の乗法に関する逆元。


ユークリッドのアルゴリズム(Euclidean algorithm=互除法)を使っているので、

3.1節の演習問題5の証明で互除法から剰余環を使ったのと同じことだが、
こちらはもっと泥臭い証明。

演習問題8
(a)
g=x2-3とし、g(√2)上可約と仮定する。
deg(g)=2だから、g(√2)上可約なら(√2)上完全分解するので、
g(√2)に根を持つ。

√2f=x2-2=0の根で、f[x]だから、√2上代数的である。
したがって命題4.1.15により(√2)=[√2]
また、例4.1.16と同様に、(√2)2n=2n, (√2)2n+1=2n√2だから、
α[√2]α=a+b√2, a,bの形に書ける。

g=x2-3とするとg(α)=a2+2b2-3+2√2ab=0
√2は無理数なので、a2+2b2-3=0かつab=0
は整域だから第2式よりa=0またはb=0
これより第1式はそれぞれ、2b2-3=0またはa2-3=0
故にb=√6/2またはa=√3となるが、これらは√3, √6の無理性に反する。

したがってx2-3=0[√2]=(√2)に根を持たないから、
(√2)上既約である。


(b)
f=x4-10x2+1とする。α=√2+√3(√2,√3)とすればf(α)=0で、
4.1.7によりf上既約である。

(α-√3)2=2よりα2-2√3α+1=0なので、
αg=x2-2√3x+1, g(√3)[x]の根でもある。
deg(g)=2<deg(f)=4だから、fα(√3)上での最小多項式ではない。
deg(g)=2かつg[√3]=(√3)に根を持たないから、
g[√3]=(√3)上既約である。しかもg(α)=0なので、
命題4.1.5によりgα(√3)上での最小多項式である。
α(√3)上代数的でf(α)=0だから、
補題4.1.3により(√3)[x]においてfgの倍式である。
したがってf(√3)上既約でない。

実際x4-10x2+1=(x2-2√3x+1)(x2+2√3x+1)

ちょっとびっくり。

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