2011-05-20

コックス「ガロワ理論」 2.4節の演習問題2


演習問題8
(a)
ΔF[σ1,...,σn]において可約、すなわち
Δ=ABA,BF[σ1,...,σn]かつABも定数でないと仮定する。

A.5.7によりF[x1,..., xn]UFDで、ΔF[x1,...,xn]だから、
Δ=i<j (xi-xj)2の因数分解は一意なので、
Aにはi<j (xi-xj)2の積の少なくとも一つが含まれる。
したがって、Aはあるxi-xjで割り切れる。

(b)
例えば(i l)(j m)Sn
したがって、任意のi,j,l,mについて、
σ(i)=l, σ(j)=mとなるσSnが存在する

(c)
(a)によりA=C(xi-xj) (CF[x1,..., xn])
AF[σ1,...,σn]なのでAは対称式だから、
任意のl,mに対し、σ(i)=l, σ(j)=mとなるσSnの作用で
不変でなければならない。
例えばσ=(i l)(j m)について(2.31)式から(i l)(j m)·A=A=C(xi-xj)
これよりA=(j m)-1(i l)-1·C(xi-xj)=C'(xl-xm) (C'F[x1,..., xn])
任意のl,mについて成り立つ。
したがって、Aはすべてのl,mに対しxl-xmで割り切れる。

(d)
(c)によりA=ci<j (xi-xj) (cF[x1,..., xn])となるから、
Ai<j (xi-xj)=√Δの倍式である。
上と全く同様に、BΔの倍式である。

(e)
(d)により、A=ci<j (xi-xj) (cF[x1,..., xn])である。
もしcが多項式なら、あるi,jに対し、
c=d(xi-xj) (dF[x1,..., xn])となるので、
A=D(xi-xj)2(DF[x1,..., xn])となる。
すると(c)と同様にしてAはすべてのl,mに対し、
(xl-xm)2で割り切れるから、A=ai<j (xi-xj)2=(aF)となり、
Δ=ABにおいてB=a-1は定数となるから、
ABも定数でない事に反する。故にcは定数だから、
Ai<j (xi-xj)=√Δの定数倍である。
したがって、B=Δ/A=c-1ΔとなりBΔの定数倍。

ところがFの標数が2でなければ、命題2.4.1によりΔは、
定義2.2.1の対称式の定義に反するからΔF[σ1,...,σn]
したがってA,B F[σ1,...,σn]A,B F[σ1,...,σn]に反する。
以上により、ΔF[σ1,...,σn]において既約。

(f)
(e)においてFの標数が2なら、
演習問題5によりΔは対称だから、
Δ=AB, A=B=√Δと因数分解できるのでΔは可約である。

演習問題9
普通に計算して
y1-y2=(x1-x4)(x2-x3),
y1-y3=(x1-x3)(x2-x4),
y2-y3=(x1-x2)(x3-x4)
Δ(θ)=(y1-y2)(y1-y3)(y2-y3)に代入してΔ(θ)=Δを得る。

演習問題10
(a)
F[σ1,...,σn]においてCDに共通因数はない。
(2.19)式によりF[σ1,...,σn]F[x1,...,xn]で、
A.5.7によりF[x1,..., xn]UFDだから、
F[σ1,...,σn]UFD。したがってCmDmにも共通因数はないので、
任意のmについてF[σ1,...,σn]CmDmは互いに素である。

(b)
あるpF[x1,...,xn]が存在して、CDを割り切ると仮定する。

このときあるqC, qDF[x1,...,xn]が存在して、
C=pqC, D=pqDである。
C,DF[σ1,...,σn]だから、任意のσSnについて、
(2.31)式によりC=σ·C=(σ·p)(σ·qC), D=σ·D=(σ·p)(σ·qD)となり、
σ·pCDを割り切る。

(c)
Snの位数はn!だから、Cn!n!個の各Cを、
n!個の各σ·pで割ることができるので、
Cn!Pで割り切れる。同様にDn!Pで割り切れるから、
Cn!, Dn!Pを共通因数として持つ。
2.2節演習問題7によりPF[σ1,...,σn]だが、
これはF[σ1,...,σn]においてCDに共通因数はない事に反する。

したがって、CDを割り切るpF[x1,...,xn]は存在しない。

演習問題11
(a)
2.2節演習問題8によりfは、
基本対称式に関するF係数有理関数であるから、
ある互いに素なC,DF[σ1,...,σn]が存在してf=C/D
演習問題10により、F[x1,...,xn]においても、
CDは互いに素である。

(b)
f=A/B=C/DよりAD=BC
A.5.7によりF[x1,..., xn]UFDで、
CDは互いに素だから、CAを割り、DBを割るから、
あるgF[x1,...,xn]が存在してA=gC, B=gDであるが、
A,Bは互いに素と仮定したから、gF[x1,...,xn]の単数。
したがってgFとなりA,BはそれぞれC,Dの定数倍である。

(c)
(b)により、gFとして
A=gCF[σ1,...,σn], B=gDF[σ1,...,σn]

演習問題12
直接計算により、n=2のとき
|∂σ1/∂x1 σ2/∂x1|
|∂σ1/∂x2 σ2/∂x2|
=
|1 x2|
|1 x1|
=x1-x2=√Δ

n=3のとき
|∂σ1/∂x1 σ2/∂x1 σ3/∂x1|
|∂σ1/∂x2 σ2/∂x2 σ3/∂x2|
|∂σ1/∂x3 σ2/∂x3 σ3/∂x3|
=
|1 x2+x3 x2x3|
|1 x1+x3 x1x3|
|1 x1+x2 x1x2|
=(x1-x2)(x1-x3)(x2-x3)=√Δ

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