2011-02-16

ハーツホーン「幾何学I・II」 7節の演習問題2

 7.4
任意の直線を一つとると、公理I2によりこの直線上に2A,Bが存在する。
公理B2によりこの直線上にA*B*Cとなる点Cが存在する。
2B,Cが存在するので、公理B2により、
この直線上にB*C*Dとなる点Dが存在する。
もしDAが同じ点ならA*B*CかつB*C*A
公理B1によりA*B*CかつA*C*Bとなるから公理B3に反するので、
DAと異なる点である。

2C, Dが存在するので、公理B2により、
この直線上にC*D*Eとなる点Eが存在する。
もしEAが同じ点ならA*B*CかつC*D*A
すなわち公理B1によりA*B*CかつA*D*Cなので、
B, Dは二つともA,Cの間にあり、したがって公理B3により
B*D*CまたはD*B*C。ところがB*C*Dだったのだから、公理B3に反する。
したがってEAと異なる点である。

2E, Fが存在するので、公理B2により、
この直線上にD*E*Fとなる点Fが存在し、命題7.2(b)により、
FEに関してDと反対側にある。
また、C*D*Eだから、命題7.2(a) (Paschの公理B4, 公理I3を使用)により、
C,DEに関して同じ側にある。
B*C*DかつC*D*Eだから、演習問題7.1によりB*C*Eなので、
B,CEに関して同じ側にある。
同様にA, BEに関して同じ側にあることが示されるので、
A, B, C, DはすべてEに関して同じ側にあるから、
FA, B, C, D, Eのいずれとも異なる点である。

以下Fの場合と同様に、E*F*Gとなる点GF*G*Hとなる点H...
が存在して全て異なる点であることが示せるので、
任意の直線は無限に多くの異なる点をもつ。

7.5
公理I1-I3の全ては必ずしも要請しない(とくにI3)。

上の演習問題7.4の解答において、
{ A, B, C, D, E }5点までは、それらが異なる5点であることを示すのに
Paschの公理B4を必要としなかったが、Fからの6点以上からなるモデルは、
FAと異なることを示すために、命題7.2すなわちPaschの公理B4I3を必要とした。
Paschの公理B4を要請しない場合、A*B*CD*E*Fに共通の点がないので、
FAは一致しうるから
問題文にあるのと同型な、{ A, B, C, D, E }5点からなり
A*B*C, B*C*D, C*D*E, D*E*A, E*A*Bとなる、
有限個の点からなる循環するモデルが可能である。
したがって、直線の分離の性質は公理B1, B2, B3からは導けない。

7.6
まず次の補題を証明する。
補題 :異なる2直線, mが点Aで交わるとする。
, m上にそれぞれ、Aと異なる点L1, L2およびM1, M2が存在して、
A*L1*L2およびA*M1*M2とする。このとき、
(a) A, L1, M1は直線L2M2に関して同じ側にある。
(b) L2は直線L1M2に関してA, M1と反対側にあり、
かつM2は直線L2M1に関してA, L1と反対側にある。
∵) Aが直線L2M2上にあれば公理I1により, mは一致して
仮定に反するので、Aは直線L2M2上にない。
また、直線L2M2の交点はL2しかないから、L1は直線L2M2上にない。
同様にM1も直線L2M2上にない。

直線L2M2上にない点は命題7.1によって、
直線L2M2に関してAと同じ側にある点の集合S1に属するか、
Aと反対側にある点の集合S2に属するかのいずれかしかない。
A*L1*L2なので公理B3からL2AL1の間にないから、
線分AL1は直線L2M2と交わらないので、
命題7.1(a)により L1S1。同様にしてM1S1
これで補題の(a)が証明された。

上と同様にA, M1, L2は直線L1M2上にない。
直線L1M2上にない点は命題7.1によって、
直線L1M2に関してAと同じ側にある点の集合T1に属するか、
Aと反対側にある点の集合T2に属するかのいずれかしかない。
直線L1M2mの交点はM2で、A*M1*M2から、
線分AM1は直線L1M2と交わらないのでM1T1
直線L1M2の交点はL1で、A*L1*L2から、
線分AL2は直線L1M2と交わるので命題7.1(b)によりL2T2
同様にして補題(b)の残りも証明される。
これで補題の(b)も証明された。

この補題を以下の証明で用いる。

共線的でない3O, A, Bを任意にとる。
公理B2により、直線OAAに関してOと反対側に、
O*A*Dとなる点Dが存在する。
同じく、直線OBBに関してOと反対側に、
O*B*Eとなる点Fが存在する。

D, Eが一致すると、Dは直線OAと直線OBの交点となるが、
直線OAと直線OBはすでに交点Oを持っているので、
命題6.1によりこれは不可能。
したがって、D, Eは異なる点だから、
公理I1により、直線AE, BDが存在する。

直線OE上でO*B*Eかつ直線OD上でO*A*Dだから
上で証明した補題により、O,Aは直線BDに関して同じ側にあり、
かつEと反対側にある。
命題7.1(b)により、直線BDは直線AEと交わるので、
交点Fが存在してE*F*Aである。
同じく補題によりD*F*Bである。

E*F*A、またE*B*Oだったから補題により
F, Eは直線OAについて同じ側にある。
またD*F*B、またD*A*Oだったから補題により
F, Dは直線OBすなわち直線OEについて同じ側にある。
したがって、定義によりFAOEすなわちAOBの内部の点だから、
命題7.3(横木定理)により、半直線OFと線分ABの交点Cが存在する。
ゆえに任意の異なる二点A,Bについて、A*C*Bとなる点Cが存在する。
LINK
ヒルベルト
幾何学基礎論

--------------
・・・ヒルベルト「幾何学基礎論」定理3を見たらもっとうまかったw
共線的でない3D, A, Bを任意にとる。
公理B2により、直線ADDに関してAと反対側に、
A*D*Eとなる点Eが存在する。
公理I1により直線EBが存在し、直線EBBに関してEと反対側に、
E*B*Fとなる点Fが存在する。
さらに直線DFが存在する。

直線DFEを通ればD,Eの異なる二点が直線AEと直線DFの交点になるが、
これは命題6.1により不可能だから直線DFEを通らない。
同様に頂点Aも通らない。
直線DFBを通れば直線EFと一致するから同様に不可能なので、
直線DFBも通らない。
したがって直線DFABEにおいてPaschの公理B4の条件を満たすから、
線分ABまたは線分EBと交わる。
ところが直線EBと直線DFの交点は線分EB上にない点Fだから、
直線DFは線分ABと交わらなければならないので、
A*C*Bとなる直線DFとの交点Cが存在する。
ゆえに任意の異なる二点A,Bについて、A*C*Bとなる点Cが存在する。

0 件のコメント :

コメントを投稿