演習問題1
σrはr次かつ各xi (1≤i≤n)について高々1次なので、
次数付き辞書式順序のルールに従えばiが小さい順にr個のxiを、
一つずつかけ合わせたものが先頭項である。
したがってσrの先頭項は x1x2..xr。
演習問題2
(a)
β=(b1, b2,..., bn), γ=(c1, c2,..., cn) (各bi≥0, ci≥0は整数) とし、
xα, xβ, xγの次数をそれぞれ
A=deg(xα)=a1+a2+...+an,
B=deg(xβ)=b1+b2+...+bn,
C=deg(xγ)=c1+c2+...+cn
とする。xα>xβより以下の場合がある。
(I) A>B,
(II) A=Bかつ、あるj≥0が存在してai=bi (i≤j), aj+1>bj+1。
(I)の場合、deg(xα+γ)=A+C>B+C=deg(xβ+γ)だからxα+γ>xβ+γ。
(II)の場合、ai+ci =bi+ci (i≤j), aj+1+cj+1>bj+1+cj+1となるからxα+γ>xβ+γ。
以上によりいずれの場合もxα+γ>xβ+γ。
(b)
(a)の定義に加え、δ=(d1, d2,..., dn) (各di≥0は整数) 、
D=deg(xδ)=d1+d2+...+dnとする。
xγ>xδなので、(a)で調べた(I), (II)の場合のそれぞれが、さらに
・ C>D,
・ C=Dかつ、あるk≥0が存在してci=di (i≤k), ak+1>bk+1
の2つの場合に分かれるが、実質的には以下の2つの場合である
(i) A>BかつC≥D、またはA≥BかつC>Dの場合
いずれの場合もdeg(xα+γ)=A+C>B+D=deg(xβ+δ)よりxα+γ>xβ+δ。
(ii) A=BかつC=Dの場合
m=min(j,k)として、
ai+ci =bi+di (i≤m), am+1+cm+1>bm+1+dm+1となるからxα+γ>xβ+γ。
(c)
xα>xβのときα>βと定義することにし、LT(f)= xφ, LT(g)= xψとすると、
f= xφ+∑α<φ xα, g= xψ+∑β<ψ xβだから、
LT(fg)=LT(xφxψ+xφ∑β<ψ xβ+xψ∑α<φ xα+∑α<φ∑β<ψ xαxβ)。
(a)(b)により、xφxψ>(他の和に現れる任意の項)だから、
LT(fg)=xφxψ=LT(f)LT(g)。
演習問題3
例2.2.4の手続きに従ってひたすら計算。
演習問題4
σ1(α1, α2, α3)=-b, σ2(α1, α2, α3)=c, σ3(α1, α2, α3)=-dである。
(2.17)において、-(2α1+2α2+2α3)=-2σ1(α1, α2, α3)=2b。
α12+α22+α32+3α1α2+3α1α3+3α2α3
=(α1+α2+α3)2-2(α1α2+α1α3+α2α3)+3(α1α2+α1α3+α2α3)
=σ12(α1, α2, α3)+σ2(α1, α2, α3)=b2+c,
-(α1+α2)(α1+α3)(α2+α3)=-∑3α12α2-2σ3(α1, α2, α3),
ここで
f=∑3 x12x2とし、定理2.2.2の証明でのアルゴリズムで地道に計算して
f=σ1σ2-3σ3を得るので、
-(α1+α2)(α1+α3)(α2+α3)=-σ1(α1, α2, α3)σ2(α1, α2, α3)+σ3(α1, α2, α3)
=bc-d
以上により与式のg(x)が得られる。
演習問題5
(a)
演習問題1によりLT(σr)=x1x2..xr。演習問題2により
LT(cσ1b1σ2b2... σnbn)=cLT(σ1b1)LT(σ2b2)...LT(σnbn)=cx1b1+b2+...+bnx2b2+...+bn... xnbn。
(b)
写像(b1,...,bn)→(b1+b2+...+bn,b2+...+bn,...,bn)をμとし、
(b1+b2+...+bn,b2+...+bn,...,bn)=μ(b1,...,bn)=μ(c1,...,cn)=(c1+c2+...+cn,c2+...+cn,...,cn)となったとすると、
第n番目の成分を比較してcn=bn。
すると第n-1番目の成分はbn-1+bn=cn-1+bnとなるからbn-1=cn-1。
同様に繰り返して結局(b1,...,bn)=(c1,...,cn)となるから、
μは1対1である。
(c)
(a)で与えられたh(u1,...,un)の各項に対する先頭項の中で、
極大の項lLTが存在する。lLTはh(u1,...,un)の項l(u1,...,un)に由来するとする。
φ(h)=h(σ1,...,σn)においてlLT≤mLTなる項mLTがあったとする。
mLTはh(u1,...,un)のある項m(u1,...,un)に由来し、mLT=LT(m(σ1,...,σn))となる。
lLT<mLTなら、lLTが先頭項の中で極大すなわちlLT≥mLTと矛盾するから、
lLTとmLT等しい大きさを持つが、(b)によりμは1対1だから、
m(u1,...,un)とl(u1,...,un)は同じ項である。
したがって、lLTはh(σ1,...,σn)の各項の先頭項の中で最大となるので、
h(σ1,...,σn)の先頭項である。さらに、l(u1,...,un)以外の項からは、
lLTに等しい大きさを持つ項は出ないので、
φの作用でlLTが打ち消されて0になるということは起こりえないこともわかる。
h(u1,...,un)≢0、すなわち、あるbiが0でないかまたはh(u1,...,un)≡a≠0なら、
(a)によりlLT≠0が存在するかまたはφ(h)=a≠0だから、Ker(φ)={0}。
故にφは全単射となるので、F[u1,...,un]≃F[σ1,...,σn]、
すなわち逆写像φ-1: F[σ1,...,σn]→F[u1,...,un]が存在して全単射である。
定理2.2.2によりF[x1,...,xn]の任意の対称多項式s∈F[σ1,...,σn]に対し、
s=f(σ1,...,σn)=g(σ1,...,σn)となったとすると、
f(σ1,...,σn)-g(σ1,...,σn)=0にφ-1を作用させればf(u1,...,un)-g(u1,...,un)=0より
多項式としてf=gとなるから、定理2.2.7が従う。
演習問題6
h=u1u3-u22とするとφ(h)=0となり、hは自明でないKer(φ)の元である。
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