演習問題13
(a)
g1g2のどの項も、d1次の項とd2次の項の積だから、g1g2はd1+d2の斉次。
(b)
d1=d2なら斉次であるのは明らか。
もしd1>d2なら、g1+g2は d1次の多項式だが、
d2次の項が存在するから、斉次ではない。
d2>d1でも同様に斉次でない。
したがって、g1+g2が斉次なのはd1=d2のときで、その時に限る。
演習問題14
(a)
σiはx1,...xnのi次の斉次多項式だから、(a)により
σiaiはiai次の斉次多項式。したがって、
∏1≤i≤n σiaiのx1,...xnについての全次数は∑1≤i≤n iaiとなり、重みに等しい。
(b)
fは対称だから、定理2.2.2によりσ1,...,σnの多項式で、
fは全次数dの斉次だから、(a)によりd=∑1≤i≤n iaiとなる
σ1a1σ2a2... σnanの項のみの線形結合である。
演習問題15
(a)
演習問題9の辞書式順序でfの項の和を並べた先頭項は、
x1a1x1a2... xnanの形で、deg1(f)=a1となる。
fは対称だから変数の置換によって、
各xi (i≥2)について冪指数がa1となる項が存在するから、
degi(f)≥a1=deg1(f) (1)が全てのi≥2に対し成り立つ。
もし上の辞書式順序のfにおいて、あるxr (r>1)の冪brに対し、
a1<brとなる項x1b1x1b2...xrbr... xnbnが存在したとすると、
fは対称なのでx1の冪指数がbr> a1=deg1(f)となる項
x1brx1b2... xrb1... xnbnも存在する。
この項は先頭項x1a1x1a2... xnanより大きいから、
x1a1x1a2... xnanが先頭項であることと矛盾する
したがって、bi≤a1(i≥2)が全ての項のxi の指数biについて成り立ち、
degi(f)はxi の極大な指数だからdegi(f)≤a1=deg1(f) (2)。
(1)(2)により全てのi≥2についてdegi(f)=deg1(f)。
(b)
各σj (1≤j≤n)はx1 の一次式だから、deg1(f)= a1+a2+...+ an。
(a)により全てのi=1,....,nについてdegi(f)= a1+a2+...+ an。
演習問題16
(a)
演習問題14よりa1+2a2+3a3=6、演習問題15よりa1+a2+a3≤4だから、
(a1, a2, a3)=(0,3,0), (0,0,2), (1,1,1), (2,2,0), (3,0,1)すなわち
σ23,σ32, σ1σ2σ3, σ12σ22, σ13σ3。
(b)
Δは(a)で現れた項の線形結合だからである。
(c)
Δ=-4·03-27·(-1)2=-27。
一方、環準同型である求値写像x1→1, x2→ω, x3→ω2により、
σ1=0, σ2=0, σ3=1だから、(b)のΔの式に代入して
Δ=-27=l1σ32=l1。
(d)
Δ=-4·(-1)3-27·02=4。
一方、σ1=0, σ2=-1, σ3=0だから、(c)と同様にして、
Δ=4=l4σ23=-l4よりl4=-4(問題文のl4=4は誤植)。
(e)
x3+2x2+x=x(x-1)2=0により二重根でΔ=0。
一方、σ1=2, σ2=1, σ3=0だから、(d)により、
Δ=0=l4σ23+l5σ12σ22=-4+4 l5よりl5=1。
(f)
根1,-1,2よりΔ=36である。
σ1=2, σ2=-1, σ3=-2, l1=-27, l4=-4, l5=1だから、
Δ=36=4(l2-4l3-25)よりl2-4l3=34。
(g)
x3-3x2+3x-1=(x-1)3=0により三重根でΔ=0。
一方、σ1=3, σ2=3, σ3=1, l1=-27, l4=-4, l5=1だから、
Δ=0=9(l2+3l3-6)よりl2+3l3=6。(f)と連立してl2=18, l3=-4。
演習問題17
n≥4として(2.22)式の1番目を適用して計算し、s1=σ1を用いて
s2=σ1s1-2σ2=σ12-2σ2,
s3=σ1s2-σ2s1+3σ3=σ13-3σ1σ2+3σ3,
s4=σ1s3-σ2s2+σ3s1-4σ4=σ14-4σ12σ2+4σ1σ3+2σ22-4σ4。
n=2のときはr>nつまりr=3,4に対し(2.22)式の2番目を適用
((2.22)式が見づらいが、1番目の最後の項がないのと、
σnの項までしか和をとらないということ)して、
s3=σ1s2-σ2s1=σ13-3σ1σ2,
s4=σ1s3-σ2s2=σ14-4σ12σ2+2σ22。
同様にn=3のときr>nつまりr=4に対し
s4=σ1s3-σ2s2+σ3s1=σ14-4σ12σ2+2σ22+4σ1σ3。
演習問題18
演習問題17においてn=3で、
Newtonの恒等式の2番目により、全てのn≥4について、
sn=σ1sn-1-σ2sn-2+σ3sn-3である。求値写像s1→3, s2→5, s3→12の作用のもとで
σ1=s1→σ1(α,β,γ)=3∈ℤ, σ2=(σ12-s2)/2→σ2(α,β,γ)=2∈ℤ,
σ3=(s3-σ13+3σ1σ2)/3→σ3(α,β,γ)=1∈ℤなので、
帰納的にsn∈ℤが全てのn≥4について成り立つ。
たまたまσ1(α,β,γ), σ2(α,β,γ), σ3(α,β,γ)∈ℤだからsn∈ℤ (n≥4)になったのだが、
ℤは体でないから、ℤ[x1, x2, x3]に定理2.2.2を適用することはできないので、
ℤ[x1, x2, x3]の対称式がすべてσ1, σ2, σ3の整数係数多項式で表せるとは限らない。
・・・のだけれど、定理2.2.2の証明でFが体であることは使っていないから、
たぶん結局は定理2.2.2の証明と同様に、
ℤ[x1, x2, x3]の対称式はσ1, σ2, σ3の整数係数多項式で表せる。
演習問題17により
α4+β4+γ4
=σ14(α,β,γ)-4σ12(α,β,γ)σ2(α,β,γ)+2σ22(α,β,γ)+4σ1(α,β,γ)σ3(α,β,γ)
=29。
演習問題19
(a)
全ての基本対称式がs1,...,snの多項式で表されることを
(2.22)式のrについての数学的帰納法で証明する。
r=1のときσ1= s1, σn=0 (n>1)なので成り立つ。
r=kで成り立つと仮定し、r=k+1のときを考える。
k+1>nのときはσk+1=0なので成り立つ。
k+1≤nのとき(2.22)の第1式より
(-1)k(k+1)σk+1=sk+1-[σ1sk-σ2sk-1+...+(-1)kσks1]から
σk+1=(-1)k/(k+1){sk+1-[σ1sk-σ2sk-1+...+(-1)kσks1]}
この左辺は帰納法の仮定によりs1,...,sk+1の多項式だから、
r=k+1でも成り立つ。
以上により、全ての基本対称式はs1,...,snの多項式として表される。
定理2.2.2により、すべての対称多項式は基本対称式の多項式だから、
すべての対称多項式はs1,...,snの多項式である。
(b)
(a)の手続きを繰り返して、
σ4=[s14-6s12s2+8s1s3+3s22-6s4]/24。
演習問題20
F2[x1,x2,...,xn]=ℤ/2ℤ [x1,x2,...,xn]において、
σ2(x1,x2,...,xn)=x1x2+x1x3+...+ xn-1xn=P(s1,...,sn)と表されたとする。
求値写像x1=1, x2=1, x3=...=xn=0の作用のもとで σ2=1, s1=s2=...=sn=1+1=0より、
P(0,...,0)=σ2(1,1,0,...,0)=1だから、P(s1,...,sn)の定数項は1である。
一方、またx1=x2=x3=...=xn=0のもとでσ2=0, s1=s2=...=sn=0だから、
P(0,...,0)=σ2(0,0,0,...,0)=0だから、P(s1,...,sn)の定数項は0となり矛盾。
したがって、σ2(x1,x2,...,xn)=P(s1,...,sn)となる多項式Pは存在しない。
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