演習問題1
(a)
f=∑0≤i≤deg(f) fixi, g=∑0≤j≤deg(g) gjxjとすると、
fg=∑i∑j figjxixj=∑i∑j fi gjxixj=∑i fixi∑j gjxj= f g。
(b)
f(α)=∑i fiαi=conjg(∑i fiαi)=conjg(f(α))=0。
演習問題2
(a)
a∈ℝ (a>0)は少なくとも1つの実数の平方根√aをもつ。
ℝ[x]においてx2+1は既約だから定理3.1.1により剰余環ℝ[x]/<x2+1>は体。
明らかにφ: ℝ→ℝ[x]/<x2+1> (a→a+<x2+1>)は準同型で
ℝ→Im(ℝ)の写像として同型だからℝ[x]/<x2+1>はφによるℝの体拡大となり、
aとa+<x2+1>をℝ[x]/<x2+1>において同一視できてℝ⊂ℝ[x]/<x2+1>。
ℝ[x]/<x2+1>において(√ax+<x2+1>)2=ax2+<x2+1>=-a+<x2+1>だから、
ℝ[x]/<x2+1>において-aの1つの平方根は√ax。
p63のCauchyの構成と定理3.1.1によりℝ[x]/<x2+1>≃ℂで、
同型写像ψが存在してψ(x)=iである。
ψ⋄φ: ℝ→ℂにおいてIm(ℝ)をℝと同一視すれば、
ℂにおいて任意の負の実数-a (a>0)に対し平方根√aiが存在する。
(b)
(x+iy)2=x2-y2+2ixyだからa=x2-y2, b=2xy。
(c)
b=2xyよりy=b/(2x)。a=x2-y2
に代入してx2についての2次方程式として解けば
x2=[a±√(a2+b2)]/2。
a≥0ならb≠0だからa+√(a2+b2)>0。
a<0ならb2>0より、a2+b2>a2≥0なので、
|a|=-a<√(a2+b2)からa+√(a2+b2)>0。
したがって任意のaについてa+√(a2+b2)>0。
(d)
a2+b2>a2より
(c)と同様に、a-√(a2+b2)<0なので、
α=√[a+√(a2+b2)]/2∈ℝ, β=√{-[a-√(a2+b2)]/2}∈ℝとおいて
x2=α2, -β2。x∈ℝだからx2=α2でx=±α。
y=b/(2x)=より±b/(2α) (復号同順)。
したがって(b)よりa+bi (b≠0)の平方根はα+ib/(2α), -α-ib/(2α)。
演習問題3
f(x)=x2-a (a>0)とする。f(0)=-a<0である。
M>1, M>a>0なる十分大きいMに対し、
a<aM<M2より0<M2-a=f(M)だから、
IVTにより0<x1<M, f(x1)=0となるx1∈ℝが、
少なくとも一つ存在する。
したがって、f(x)=0には実数解が存在するから、
任意の正の整数は実平方根を持つ。
演習問題4
Fの標数が2なら-1=1なので、-1∈Pかつ1∈Pとなるから、
(b)に反する。故にFの標数は2ではない。
-1∈Pなら、(b)により1∉Pだが、
(a)により(-1)(-1)=1∈Pとなり矛盾。
-1≠0だから-1∉Pである。
a2=-1となるa∈Fが存在したと仮定する。
明らかにa≠0。またa∈Pなら(a)によりa2=-1∈Pだから、
-1∉Pに反するのでa ∉P。すると(b)により- a∈Pなので
(a)によりP∋(-a)(- a)=a2=-1となるから-1∉Pに反する。
したがって、a2=-1となるa∈Fは存在しない。
演習問題5
(a)
演習問題4により、x2+1=0の解はF上に存在しないから、
x2+1は既約。
(b)
Fは実閉体だから正元は平方根を持つ。
演習問題4によりFの標数は2でないので、
補題3.2.3の証明と同様に、
二次方程式ax2+bx+c=0の解の公式が
x=[-b±√(b2-4ac)]/(2a)∈F(i)が導かれる。
ただしb2-4ac<0なら√(b2-4ac)=i√(4ac- b2)。
この解を用いて全ての二次多項式は
F(i)上完全分解する。
(c)
g∈F(i)[x]が偶数次だとすると、f=(x-α1)g (α1∈F(i))は奇数次だから、
実閉体の定義によりfは完全分解する。すなわち
α1は根だから定数a∈F(i)としてf=a(x-α1)(x-α2)... (x-αdeg(f))。
ただしα2,...,αdeg(f) ∈F(i)である。
(a)より命題3.1.1からF(i)=F[x]/<x2+1>は体だから、
系A.5.7によりUFDとなるのでこの分解は一意である。
したがってg=a(x-α2)... (x-αdeg(f))と一意に完全分解される。
以上により、全ての次数のF(i)[x]の元はF(i)上完全分解するから、
F(i)は代数的閉である。
演習問題6
(a)
f=∑i fixi (fi∈ℝ)よりf(α)=∑i fiαi=conjg(∑i fiαi)=0。
(b)
ℝ[x]のすべての定数でない多項式fが、
実数係数の1次と2次の多項式の積ならば、
補題3.2.3により2次の多項式はℂ上完全分解するから、
fはℂに少なくともひとつの根を持つので、
命題3.2.1により定理3.2.4の代数学の基本定理が成り立つ。
逆に定理3.2.4が成り立てば、(a)によりf∈ℝ[x]なら
fはα,α∈ℂを根に持つ。
α∈ℝなら1次式の積として完全分解されたfの因子に(x-α)が含まれ、
α∉ℝならfの因子に(x-α)(x-α)=x2-(α+α)x+ααが含まれる。
α+α, αα∈ℝだから、x2-(α+α)x+αα∈ℝ[x]。
したがって、ℝ[x]のすべての定数でない多項式fは、
実数係数の1次と2次の多項式の積。
演習問題7
Fが代数的閉なら、定義により
F[x]はF上完全分解するから、任意の定数でないf∈F[x]について
定数a∈Fとしてf=a(x-α1)(x-α2)... (x-αdeg(f)), α1,...,αdeg(f) ∈F。
したがってf(α1)=0, f(α2)=0,..., f(αdeg(f))=0だから、
fはFに根を持つ。
逆に任意の定数でないf∈F[x]が根α1∈Fを持つとする。
deg(f)に関する数学的帰納法を適用する。
deg(f)=1なら定数a∈Fとしてf=a(x-α1)なのでfは完全分解する。
deg(f)=nのときfが完全分解したとして、
deg(f)=n+1のとき、Fは体だから定理A.1.14により、
任意のfに対しq∈F[x] ,r∈Fが存在してf=(x-α1)q+rだが、
f(α1)=0だからr=0なのでf=(x-α1)q。
deg(q)=deg(f)-1=nだから、qはF上完全分解するので、
fもF上完全分解する。したがってFは代数的閉。
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