演習問題8
(a)
ΔがF[σ1,...,σn]において可約、すなわち
Δ=ABでA,B∈F[σ1,...,σn]かつAもBも定数でないと仮定する。
系A.5.7によりF[x1,..., xn]はUFDで、Δ∈F[x1,...,xn]だから、
Δ=∏i<j (xi-xj)2の因数分解は一意なので、
Aには∏i<j (xi-xj)2の積の少なくとも一つが含まれる。
したがって、Aはあるxi-xjで割り切れる。
(b)
例えば(i l)(j m)∈Sn。
したがって、任意のi,j,l,mについて、
σ(i)=l, σ(j)=mとなるσ∈Snが存在する
(c)
(a)によりA=C(xi-xj) (C∈F[x1,..., xn])。
A∈F[σ1,...,σn]なのでAは対称式だから、
任意のl,mに対し、σ(i)=l, σ(j)=mとなるσ∈Snの作用で
不変でなければならない。
例えばσ=(i l)(j m)について(2.31)式から(i l)(j m)·A=A=C(xi-xj)、
これよりA=(j m)-1(i l)-1·C(xi-xj)=C'(xl-xm) (C'∈F[x1,..., xn])が
任意のl,mについて成り立つ。
したがって、Aはすべてのl,mに対しxl-xmで割り切れる。
(d)
(c)によりA=c∏i<j (xi-xj) (c∈F[x1,..., xn])となるから、
Aは∏i<j (xi-xj)=√Δの倍式である。
上と全く同様に、Bも√Δの倍式である。
(e)
(d)により、A=c∏i<j (xi-xj) (c∈F[x1,..., xn])である。
もしcが多項式なら、あるi,jに対し、
c=d(xi-xj) (d∈F[x1,..., xn])となるので、
A=D(xi-xj)2(D∈F[x1,..., xn])となる。
すると(c)と同様にしてAはすべてのl,mに対し、
(xl-xm)2で割り切れるから、A=a∏i<j (xi-xj)2=aΔ (a∈F)となり、
Δ=ABにおいてB=a-1は定数となるから、
AもBも定数でない事に反する。故にcは定数だから、
Aは∏i<j (xi-xj)=√Δの定数倍である。
したがって、B=Δ/A=c-1√ΔとなりBも√Δの定数倍。
ところがFの標数が2でなければ、命題2.4.1により√Δは、
定義2.2.1の対称式の定義に反するから√Δ∉F[σ1,...,σn]。
したがってA,B ∉F[σ1,...,σn]でA,B ∈F[σ1,...,σn]に反する。
以上により、ΔはF[σ1,...,σn]において既約。
(f)
(e)においてFの標数が2なら、
演習問題5により√Δは対称だから、
Δ=AB, A=B=√Δと因数分解できるのでΔは可約である。
演習問題9
普通に計算して
y1-y2=(x1-x4)(x2-x3),
y1-y3=(x1-x3)(x2-x4),
y2-y3=(x1-x2)(x3-x4)
をΔ(θ)=(y1-y2)(y1-y3)(y2-y3)に代入してΔ(θ)=Δを得る。
演習問題10
(a)
F[σ1,...,σn]においてCとDに共通因数はない。
(2.19)式によりF[σ1,...,σn]≃F[x1,...,xn]で、
系A.5.7によりF[x1,..., xn]はUFDだから、
F[σ1,...,σn]もUFD。したがってCmとDmにも共通因数はないので、
任意のm∈ℕについてF[σ1,...,σn]でCmとDmは互いに素である。
(b)
あるp∈F[x1,...,xn]が存在して、CとDを割り切ると仮定する。
このときあるqC, qD∈F[x1,...,xn]が存在して、
C=pqC, D=pqDである。
C,D∈F[σ1,...,σn]だから、任意のσ∈Snについて、
(2.31)式によりC=σ·C=(σ·p)(σ·qC), D=σ·D=(σ·p)(σ·qD)となり、
σ·pはCとDを割り切る。
(c)
Snの位数はn!だから、Cn!のn!個の各Cを、
n!個の各σ·pで割ることができるので、
Cn!はPで割り切れる。同様にDn!もPで割り切れるから、
Cn!, Dn!はPを共通因数として持つ。
2.2節演習問題7によりP∈F[σ1,...,σn]だが、
これはF[σ1,...,σn]においてCとDに共通因数はない事に反する。
したがって、CとDを割り切るp∈F[x1,...,xn]は存在しない。
演習問題11
(a)
2.2節演習問題8によりfは、
基本対称式に関するF係数有理関数であるから、
ある互いに素なC,D∈F[σ1,...,σn]が存在してf=C/D。
演習問題10により、F[x1,...,xn]においても、
CとDは互いに素である。
(b)
f=A/B=C/DよりAD=BC。
系A.5.7によりF[x1,..., xn]はUFDで、
CとDは互いに素だから、CはAを割り、DはBを割るから、
あるg∈F[x1,...,xn]が存在してA=gC, B=gDであるが、
A,Bは互いに素と仮定したから、gはF[x1,...,xn]の単数。
したがってg∈FとなりA,BはそれぞれC,Dの定数倍である。
(c)
(b)により、g∈Fとして
A=gC∈F[σ1,...,σn], B=gD∈F[σ1,...,σn]。
演習問題12
直接計算により、n=2のとき
|∂σ1/∂x1 ∂σ2/∂x1|
|∂σ1/∂x2 ∂σ2/∂x2|
=
|1 x2|
|1 x1|
=x1-x2=√Δ
|1 x2|
|1 x1|
=x1-x2=√Δ
n=3のとき
|∂σ1/∂x1 ∂σ2/∂x1 ∂σ3/∂x1|
|∂σ1/∂x2 ∂σ2/∂x2 ∂σ3/∂x2|
|∂σ1/∂x3 ∂σ2/∂x3 ∂σ3/∂x3|
=
|1 x2+x3 x2x3|
|1 x2+x3 x2x3|
|1 x1+x3 x1x3|
|1 x1+x2 x1x2|
|1 x1+x2 x1x2|
=(x1-x2)(x1-x3)(x2-x3) =√Δ
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